TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します 作:Revak
三月十四日月曜日。朝の九時。
アストレアたちシリウス一行は五十層にある五十一層への階段前で配信を開始した。
「はーい、今日もダンジョン配信始めまーす!」
アストレアがドローン前で笑顔で言う。
大地が問いかける。
「なぁ、その大鎌なんだ? 買ってきたのか?」
その言葉にアストレアはふふんと鼻を鳴らす。
「実は作ってもらったんだ~。アオスさんとシエロ様のお手製の魔道具だよ!」
その言葉に陽斗が驚く。
「なにそれすっげぇ?! どんな効果持ってんの?!」
「なんと切ったい相手の耐性持っていない相手への百パーセントの即死に~体力魔力スタミナの吸収付き!」
「すげぇ魔道具だな」
大地がクソ高そうと思いながらじろじろと見る。
コメント欄も盛り上がる。
今のところ視聴者数は四十人ほどで登録者数は五百人程度だ。
【強そう】【よく似合ってる】【なんで作ってもらったの?】【いくらしたんだろこれ】
アストレアは言いにくそうに言う。
「あ~、実は先日誕生日で、そのお祝いってことで透さんが話を通して作ってくれたんだ」
「え、アストレア誕生日だったの?! 言えよ、祝えないだろ!」
陽斗がこのーと言う。
大地も「俺の誕生日祝ってもらったんだからお前のも祝うぞ」と言う。
「いや、自分で誕生日言うのはちょっと恥ずかしかったから……」
「取りあえず今日はダンジョンから帰ったら誕生日会だな」
カーラが笑顔で言った。
それにアストレア以外は賛同する。
「こ、これぐらいにしてダンジョン行こ!」
アストレアはそう言いダンジョンへと進んだ。
扉を開けて入るとそこは迷宮だ。
黒い石で出来た通路だが整ってはいる。
一定間隔で魔道具の灯りが置いてある為灯りには困らない。
「それじゃあ行こうか」
アグネスを先頭、次にブーフという形で一行は進む。
全員武器を持ち警戒した状態で進む。
五分ほど歩くと敵が出たとアグネスが言う。
「右手の通路から敵が来てる。敵はゴーレムで……これはミノタウロスかな」
「わかった。私が人当てしよう」
そうカーラが前に出て代わりにブーフとアグネスは下がる。
カーラが構えると同時に右の通路からゴーレムが出てくる。
三メートルほどの巨体。男の胴体に牛の頭と足を持ち、バトルアックスを持った姿。
ミノタウロスを模したゴーレムだ。
カーラがヘイトを集めミノタウロスのヘイトを集める。
ミノタウロスはそのままカーラに攻撃するも盾で防がれる。
攻撃している隙を突いて大地が足を蹴り、崩れた体勢に陽斗が頭に斧をぶち込む。
頭が砕け散り、ミノタウロスは機能停止した。
「サクサクいこう」
残骸は放って置いて奥へと進む。これが最近のやり方だ。
遠距離攻撃はアストレアがコピーした魔法で行うようにしているのでアストレアも必須である。敵が複数出た時はアストレアも魔法を使う。
そうして奥へと進んでいく。
更に五分ほど進むとアグネスが「小型の敵六体」と言い全員警戒に入る。
カーラが前衛に移ると同時に奥から敵が現れる。
出て来たのは人の子供程度の背丈に緑色の肌をしたゴーレム、ゴブリンだ。全裸だが短剣や棍棒を持っている。
カーラが突撃する。
カーラに攻撃が集中するもタンクなのでやられることはない。
攻撃している隙を突いて一体ずつ陽斗と大地が破壊する。
アストレアはお馴染みの
そのあとも少し談笑しながら奥へと進んでいく。
十字路の分かれ道に到達つするもアグネスは迷うことなく左に進む。
進んだ先の右手に扉があり、罠がないかアグネスが確認した後開ける。罠はなかった。
中は小部屋だ。奥の壁際に宝箱がぽつんと置いてある。
宝箱を見つめたアグネスは「げっ」と声を上げた。
「これミミックだね」
「ミミックか……じゃあ陽斗、頼んだ」
「アイヨっ」
アグネスが宝箱の横に移動し、陽斗が斧を構える。
「せーのっ」
アグネスが宝箱を開けると同時に宝箱がミミックとなり襲い掛かる──前に陽斗の斧で真っ二つに破壊された。
「ドロップはどんなものかなっと」
割れた宝箱から幾つかの宝石が落ちる。
下層のミミックはこうして倒すことでもドロップアイテムを落とすので倒すメリットはある。ただ普通の宝箱より中身は少ないが。
宝石をアストレアが回収し小部屋を出て通路を進んでいった。
ダンジョン攻略はまだまだ先が長い。
■
三月二十八日。アストレアは大学が始まる一週間前という事でダンジョンに今週は潜らず各々好きに過ごそうと決めていた。
そのため朝は殆ど寝て、昼過ぎになって起きて最低限身だしなみを整え寮一階の食堂に降りた。
「ん?」
そこには見知らぬ者がいた。
蕎麦を食べている女であり金髪碧眼の女であり整った容姿にボン! キュ! ボンな体形をしている。
服装も露出が激しい服でありアストレアにあの服を着て外に出る勇気はない。エロ自撮りならするが。
その女は箸を苦戦しながら使い蕎麦を食べている。セットにカツ丼もある。
「oh! こんにちは!」
その女はアストレアを見ると挨拶をする。
「こんにちは。あなたは新入生?」
「hai! この春から魔法大学に通う事になったメアリー・S・アーンです! 見ての通りアメリカ人ネ!」
「そう、私はアストレア。人間と幻獣の融合体で、元は日本人よ」
「oh? 幻獣?」
「あぁ、えっと……ドラゴンとか悪魔とか、そう言った超常の生物の事よ」
「おー! ファンタジーの権化! 握手してください!」
「いいわよ」
アストレアも手を差し出し握手をする。
「あなた、魔法が使えるの?」
「いえ、才能があるから来ただけで魔法がどんなのかすらわかってません!」
アストレアの世代が異常なだけで基本新入生は入学時点から魔法が使えたりする訳ではない。
「なにかあったら言ってね、力になるから」
そうにっこりとアストレアは微笑んだ。
■
四月四日月曜日。朝の八時半。
アストレア、サラ、かおりの三人は談笑しながら女子寮から魔法大学へ向かっていた。
「しかし新学期かぁ。なんかやること変わるのかな」
アストレアがそう話題を切り出す。
「魔法大学で面白いことは殆どないからのぉ。イベントも特にないし……たまにオリエンテーションがあるぐらいじゃし……」
かおりが苦笑する。
「そうね……ないなら作ればいいんじゃない?」
サラがそう言いだす。
「作る?」
「そう、大学なら部活……じゃなくてサークル作れるんじゃない?」
「サークルか……となるとやっぱダンジョン攻略サークルになるのかな」
「あなたならそうじゃない? 作るなら私も入るわよ」
「そんなにダンジョン攻略してるのか?」
かおりが疑問符を浮かべた。
「月に一回か二回程度だけどね、そこそこ稼いではいるわ」
「配信の方は……」
「する気はないわよ。顔出し怖いし」
「そっかぁ」
しょぼーんとアストレアはした。
そうして話していると大学につく。
二年の教室は春休み前に教えられているので問題なく二年の教室に入り、教師が来るのを待つ。
教室の作りも一年生の物と変わらない作りだ。
座って待っているとエルンストが入ってくる。
エルンストは教卓に立つとため息を吐きながら挨拶をする。
「新学期おめでとう。それじゃあ早速講義を始める」
そうして二年の授業が始まった。
■
二年の授業も終わり三人は昼飯時という事で食堂に来ていた。
食堂にはこれまで来ていた三年生が卒業してこなくなった代わりに二人の新しい利用者が居た。
メアリーと黒髪黒目の中学生ほどの少年だ。二人ともラフな格好をしている。
少年の方はメアリーに詰められあたふたしている。顔を反らしもごもごと何か言っている。
どれ助け舟でも出してやるかとアストレアは近づく。
自分も元は陰キャで美少女に近寄られればあんな風になるだろうと思い哀れに思ったのだ。
尚今の自分が美女になっていることは頭から消えている。
「メアリーさん、そこの男の子困ってるよ」
その台詞に男とメアリーはアストレアの方を向く。
「oh! これは失礼。ですがこの人が魔眼を持っているというので気になって……」
魔眼とは特化型魔法使いの一種の事だ。
生まれつき特定の魔法を行使できる者や体を鍛えすぎた結果魔力を扱えるようになった者を特化型魔法使いと呼ぶ。
特化型魔法使いは一芸特化の者が多くそれは出来るがそれ以外はたとえ魔道具を使っても出来ないといった者が多い。
その中でも魔眼と言うのは眼という言葉の通り眼に依存した魔法を使える者を指す。
「魔眼? 確かに珍しいね。だけど少年が困っているじゃないか」
「え、えっと、その。だ、大丈夫です」
その少年は声をどうにか絞り出した。
「あら、助けは要らなかった?」
アストレアが顔を近づけると少年は顔を反らした。
長い前髪で目を隠している少年だ。
「そ、それより、僕から離れた方がいいです。僕の目は、相手を石にしちゃうので」
「ん-? ちょっと解析いいかな」
「ど、どうぞ?」
「ありがとう」
アストレアはシエロの解析魔法を行使する。
解析結果魔眼の能力が判明する。
それは眼で見た相手を見続けることで石にするという能力だ。
徐々に石にしていき最初は動きが遅くなる程度だが時間が経つにつれ完全に石にするという物。
この石になるというのは基本不可逆で完全に石にされた場合死亡判定になるので蘇生魔法が必要になる。
ただ相手が魔法使い……というよりは一定以上の魔力を持っている相手には通じにくいというのがある。この場の者なら全員抵抗できる程度だ。
更に言えば完全に石にしてしまう前ならば視界の外に置くことで徐々に元に戻るというと特性があるためそこまで脅威ではない。
今はまだ魔法使い相手には意味をなさないが鍛えたり制御できるようになれば相手を一瞬で石にすることも可能になるだろう。
「石化の魔眼、だね……これを持ってたのなら……大変だったね」
特化型魔法使いは幼少期、自我が芽生えたころから己の魔法が使える者がほとんどだ。
そのためにこの少年は見たものを石にしてしまう目を持って生まれたのならその人生は悲惨なものだったはずだ。
流石に画面越しならば通じないが、眼鏡やガラス越しならば通じてしまう為人を見れない人生を送ってきたのだ。
「大学にはその魔眼をどうにかするために?」
「う、うん。ネットで調べたらここのサイトを見つけて……魔法の大学ならどうにか出来るかなって……まだ授業始まったばかりでどうにかなってないけど……」
「なら私がどうにかしよう。これからお昼ごはんの後時間ある?」
「あ、ありますけど……何ですか?」
「いや、魔眼を抑える魔道具でも作ってもらおうと思って」
「抑えられるんですか?! 魔眼を?!」
少年はガタっと立ち上がった。
それに対しアストレアは動揺することなく「うん」と返す。
「知り合いに腕のいい魔道具職人が居てね。彼なら抑える道具も作れるはずだよ」
「お、お願いします!」
少年は頭を下げた。
「気にしないで……と、自己紹介してなかったね。私はアストレア。大学二年生。君は?」
「
「高校はどうしてるの?」
「通信制通ってます」
「あ、そうなんだ、ごめんね……それじゃあご飯食べようか」
この後アストレアが奢って食事をした。
メアリーもサラもかおりもやってきて女四人と男一人の食事となった。
明は結構緊張していた。