TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します   作:Revak

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第30話

 

 昼食を食べ終えたアストレアと明は魔法大学を出てダンジョン方面に向かう。

 二人一緒に歩きながら談笑する。

 

「私はね、ダンジョンを攻略してるんだ」

「ダンジョン? そんなのがあるんですか?」

「うん。五賢人……偉い人たちが作ったダンジョンでね。宝箱がたくさんあって結構お金になるよ」

 

 その言葉に明は目を輝かせた。

 

「お金になるん、ですか?」

「うん。最近は一日十万円ぐらいは稼いでるかな」

「じゅ、十万円も?! 闇バイトか何かで……?」

「いやそういうのいはないよ。危険もあるしね。ダンジョンだから敵もいるし」

「敵……どんなのがいるんですか?」

「基本はゴーレムだね。だけど魔法で作ったゴーレムは魔法も使えるし身体能力高いのも多いから油断は禁物かな。私は後衛で魔法使って戦ってるよ。仲間たちは前衛」

「お仲間と共に潜ってるんですね……そっか……」

 

 アストレアのその言葉に明は俯いて何か考え始めた。

 果て何かまずかっただろうかと考えつつ相手の言葉をアストレアは待つ。

 

「あの、そのダンジョン……僕でも潜れますかね」

 

 そんな台詞が来てアストレアは驚きつつ返答する。

 

「うーん。難しい、かな。最低限魔力操作で身体能力は上げれないと……基礎操作ぐらいなら私が教えられるけど」

「そ、そうですか……」

 

 またも明は俯いた。

 

 

 明は一般的な家庭の出身の特化型魔法使いである。

 両親も健在で家族仲が悪いというのもなく、姉が一人と妹が一人居る。

 家族には魔眼の事は言ってある。相手に信じさせるには見つめ続ければ相手も実感せざるおえないのでそこら辺の問題はなかった。

 小学校、中学は殆ど登校せずに終わった。魔眼のせいで人が多くいる場所に行くと意図せず問題を起こしてしまうからだ。

 高校も通信を選んだのは通信制ならば魔眼があっても通えるからだ。

 

 明はこれまで家族に迷惑をかけ続けてきたと思っている。

 これまでほぼ引きこもりのようなものでゲームなどをしていた。その中にはRPGもある。

 だからこそダンジョンと言うRPGその物に対し自分の魔眼なら出来るかもしれないと思ったのだ。

 ダンジョンに行き金を得れば家族に恩返しができる、と。

 

「と、着いたよ」

 

 そう考えていると二人は魔道具店に着く。

 

 着いた先はこじんまりとした店だ。

 店の表には看板があり看板にはイリアス魔道具店と書かれている。

 

 自動ドアを二人は潜って中に入る。

 

 中には棚が所せましとあり、棚には多種多様な魔道具が置いてある。

 

 魔法の店、という事で明は興奮しながら見渡す。

 ポーションの棚もあり体力回復のポーションなどが置いてある。ポーションは基本容器は何でもいいがこの店は試験管の瓶に入れていた。

 

「大熊さーん」

 

 アストレアはカウンターで本を読んでいる店主に話しかけた。

 

「ん、なんだ?」

 

 店主はいかつい男だ。

 服の上からでもわかる鍛え上げた筋肉を持ち、どっしりとした体躯だ。

 顔つきは日本人のものだが左目の瞼には傷がある。

 

「この子の魔眼を抑える魔道具が欲しいんですけど、あります?」

「魔眼を抑える魔道具? 珍しいの欲してんな……だがないぞ。オーダーメイドなら受け付けるが」

 

 オーダーメイド、という言葉に明は固まる。

 今の時代でも、いや今の時代だからこそオーダーメイドは高くつく。

 

「そっか。形は選べます?」

「なんでもできるが……そこの坊主、何がいい?」

 

 急に話しかけられ明はあたふたとする。

 

「え、えっと、その……指輪がいい、かなって」

 

 明も少年なので指輪とかのファッションをしたい年頃だ。

 

「わかった。デザインはどんなのが良い?」

 

 デザインまで考えてなかった明はどうしようかと悩む。

 少し悩んだ後、口を開く。

 

「ダイヤモンドが付いているのがいいかなって、シンプルなのでお願いします」

「わかった。前払いで十万だ」

 

 その言葉にぴしりと明は固まった。

 

「わかった。十万円ね」

 

 アストレアはアイテムボックスから財布を取り出し万札を十枚取り出して支払う。

 それを見てようやく明は再起動する。

 

「ま、待ってください! そんな大金払えません!」

「あぁ、大丈夫よ。私が言ったのだから私が払うわ」

「だ、だからと言ってそんな大金の物を貰うなんて……!」

「十万ぐらい大した金じゃねぇぞ、坊主。気にするな」

「き、気にするなって……」

 

 そんな会話の横でアストレアと店主の大熊は代金を支払ってしまった。

 受け取り用の書類に名前と電話番号を書きアストレアはそれを貰う。

 くるりとアストレアが振り返ると明はまだわたわたとしていた。

 それを見て流石に悪いかな、と思ったアストレアはあることを思いつき口を開く。

 

「じゃあさ、ダンジョン潜って返済しようよ」

「だ、ダンジョンに? けど僕、まだ力が……」

「私が特訓付き合うよ。魔法使いの長い目で見ればわずかな時間だしさ、ダンジョン行きたいんだろう?」

 

 そう言われると明も口どもるしかない。

 少し考えた末、相手が良いと言っているなら……と明は諦念と共に口を開く。

 

「わかりました、お願いします。ダンジョンに行って十万円稼ぎます!」

「うん。ダンジョンに行ける日を楽しみに待ってるよ」

 

 明に普通にバイトして十万稼ぐという考えはなかった。

 魔眼が明日どうにかなるとしてもこれまでコミュニケーションがまともに取れなかった自分が普通に働けるわけがないとわかっているのだから。

 

 

 

 ■

 

 翌日。十二時半ごろ。

 イリアス魔道具店にアストレアと明の二人は来ていた。

 アストレアは店主の大熊から指輪を受け取り、それを明に渡す。

 明は緊張しながら受け取った。

 

「これが……魔道具」

 

 渡されたのは銀色の指輪で大粒のダイヤモンドが付いている指輪だ。

 明が右手の人差し指にはめると効果を発揮する。

 

「これが、制御」

 

 魔法使いとしてある程度既に魔力を使えていたからか、魔道具の使用に問題はなかった。

 

「その指輪は着用者の魔眼を封じるがオンオフは聞く。使い分けるんだな。と言ってもまぁ魔眼を制御できるようになれば要らなくなるもんだろうがな」

「ありがとうございます! 大切にします!」

 

 明はうっとりとした表情で指輪を撫でた。

 

「じゃあ、これから時間あるよね? 大学に戻って運動場行こうか。そこで魔力操作の感覚を掴もう!」

「はいっ! お願いします!」

 

 明は意気揚々と店を出て大学へと戻っていった。

 大学へ戻る道中も明は興奮していた。

 これで物心ついた時からの問題をどうにか出来るのだ。興奮しない訳がなかった。

 

 魔法大学の運動場に着く。

 運動場に人は居なかった。貸し切り状態である。

 

「それじゃあ、まずは魔力が体に流れるところを実感しようか」

「お願いします!」

 

 明は元気よく返事をした。

 

「じゃあ、ちょっと……いやだいぶ触れるけど、いいかな?」

「だ、大丈夫です」

「うん。じゃあ背中から失礼するね」

 

 そう言うとアストレアは背中から明に抱き着いた。

 

「?!?!?」

 

 明は困惑し声も出ないがアストレアはこの方法やっぱ恥ずかしいかと思う。

 だが明はそんなこと考えておらず己の背中に当たる胸の感触によって興奮していた。

 女の裸体など母の死か見たことないし巨乳などネットでしか見れない。その本物の胸が己の背中にぎゅっと形を変えるほどについている。

 そのことに興奮せざるおえない。

 

「じゃ魔力流すからね~」

 

 アストレアはそう言うと明の体に魔力を流す。

 明は胸の感触よりも魔力の感触を感じ取った。

 

 己の中に満ちる未知のエネルギー、魔力。

 魂から湧き出る力である。

 

 明はそれを感じ取る。

 

「じゃあこの状態で歩いてみようか」

「こ、この状態で?!」

 

 後ろから美女に抱き着かれた状態で歩く。文にすると簡潔だが実際にやるとすると何かのプレイとしか考えられない。

 だが今この場に居るのは明とアストレアだけ。

 これならまぁいいのか? と思いつつ明は了承し「お願いします」と返答した。

 

「いっちにー」

 

 そうして一歩ずつ歩きながら己に魔力が流れている状態を把握する。

 歩くたびにアストレアの胸が明の背中に押し付けられる。勃起しないようお祈りしながら明は歩く。

 二十歩ほど歩いたところでアストレアは止まった。

 そして明の背から離れる。

 

「どう? 感覚つかめた?」

「つ、掴めたと思います……ちょっと、試してみますね」

 

 胸の感触の名残を悲しみつつ明は魔力を操作する。

 己に流れている超常のエネルギーを明は操作する。

 

「お、出来ているね」

 

 それに対し明は返答できなかった。

 そのまま五秒ほど全身に流していると集中が切れ魔力操作できなくなる。

 

「こ、これ難しいですね……」

 

 その言葉に対しアストレアは苦笑しながら返す。

 

「あー、まぁそこは人によるとしか……個々人の才能で上達速度も違うからね。目標は魔力操作した状態でこのグラウンド一周かな」

「先は長いですね……よろしくお願いします!」

 

 そう明は頭を下げる。

 

「うん。君が上達するまで一緒に頑張ろう!」

 

 アストレアは笑顔でそう言い、明はその笑顔にどきっとしたのだった。

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