TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します 作:Revak
ホテルに着いた。
四階建ての建物でありビジネスホテルに似ている。
「ホテルはここです。八月二十八日にチェックアウトの予定ですのでどうかそれまではご自由にお過ごしください」
とホテルのラウンジで人魚の兵士に言われた。
「それじゃあここからは自由行動だ。各々好きに過ごすと良い」
じゃあ解散、とエルンストが言った。
「よっしゃ海行こうぜ!」
陽斗がそう叫んだ。
それに同意するのはアストレアと大地、透真、翔と陽菜だ。
残るブーフとサラ、かおりは海に行く気はないと言う。
「それじゃあ俺たちは泳いでくるぜ!」
うぉぉぉおと叫びながらアストレアたちはホテルから出て行った。
「じゃあ、私は図書館を探すわ。かおりと……ブーフさんはどうする?」
「我も図書館に行こう。魔法都市の文化がどのようなものか気になる」
「ワシは適当に食べ歩きでもするかの。屋台多かったし」
という訳で一行はばらばらに行動することになった。
■
「海だー!」
アストレアたち一行は海岸に来ていた。
海岸には白い砂浜があり、海水浴の客が何十名かいる。
アストレアも幻術を使うことなく本来の姿をさらしているが問題はない。ここは魔法世界の都市なのだから。
「泳ごうぜ!」
そうして各々楽しみ始める。
アストレアと大地が魔力操作だけで泳ぎの速さを競ったり、陽斗と陽菜がビーチフラッグやったり。
三対三に別れてビーチボールやるなど、海を堪能した。
海岸にも魔法の灯りはあるため暗くはない。更にここは海底なので日焼け対策をする必要もない。まぁ魔力操作できれば皮膚が太陽の紫外線に負けることはないが。
そうして遊んでるとビーチがにわかに騒がしくなってくる。
はてなんだろうかと生徒たちが目線をそちらに向けるとそこにはこの竜宮城の王ビスケスが居た。
お供に金髪碧眼の美少女人魚を三人も連れている。
「ここにいたのか、アストレア」
ビスケスはそう気軽にアストレアに話しかける。
「ど、どうも……何か御用で?」
「うむ。其方と親交を深めに来た。ともに遊戯をしようではないか!」
はーはっはっは! とビスケスは笑った。
流石に領主様相手に……と生徒たちは緊張した面を見せるが領民たちはまたか、という表情をする。
割と気さくな領主をしているのである。ビスケスは。
「といっても何します?」
陽斗がそう尋ねる。
一行は色々と楽しんだ後なので疲労もしている。肉体的疲労とは魔法で無縁に出来るし精神的疲労も回復できるが今は精神的には疲れていた。
「ふむ。では砂の城でも作ろうではないか。勿論魔法ありでな!」
「まぁ、最後にそれぐらいなら……」
という訳でビスケスvs生徒一行の砂の城対決が行われた。
アストレアは魔法で砂を集めたり固めたりしブロック状にし城を建築していく。
大地や翔、透真なども合わせて作る。
そして三十分後に出来たのは砂で出来た金閣寺と名古屋城だ。鯱もついている。
「どうだ!」
大地が胸を張りながらビスケスの方を見る。
そこには驚愕に目を見開く物があった。
「どうだ? 余の街を作って見せたぞ!」
そこにあったのは砂で正確に再現されたこの竜宮城があった。街並みも城も再現されている。
しかも再現の関係かサイズも結構でかい。
何かしらふいんき(何故か変換できない)も出ており異様であるが見ごたえはあるだろう。
「これは……負けね」
アストレアは素直に負けを認めた。
「はーっはっは! どうだ、魔法で保管して持ってくか?」
「いやそこまでは……こういうのはその場限りだからこそいいと思うので」
アストレアはそう断った。
それに対しビスケスは「それもそうだな!」と軽く返した。
「そうだ、明日の昼頃、城に来ると良い。盛大に持て成そうぞ!」
それだけ言うとビスケスは大笑いしながら去っていった。
一同はなんだったんだろう……と疑問に思いつつまぁいいかですました。
■
翌日。昼頃。
どうせならと生徒全員──エルンストはどっか酒飲みに行ってた──で城に来た。
そしたらとんでもない歓待を受けてしまった。
城の食堂のテーブルには魚系の料理が並び、食堂に併設された踊り場では美女がポールダンスを踊っている。
料理なども魔法で調理を時短、簡略化した物が多く魔法で特殊なスパイスを作りかけている為非常に美味である。
食堂で一行は食べ進める。
「なにこれうめぇ……」
アストレアが思わず素に戻りながらロブスターを食べる。殻ごと食った。
ロブスターって殻もうまいんだなとアストレアはバリバリと貪る。
食べていると隣にビスケスが座ってくる。
「楽しんでいるかな?」
「……はい、食事も美味しいですし……あの、なんでこんなことを?」
「其方が類まれなる美女だからだ」
決め顔でビスケスは言った。
それに対し自分そんなに美女か……? とアストレアは疑問を抱く。
男だった目線から見て美女なのはわかるが、だからと言ってここまで個人に対し金をかけた歓待をするほど価値があるとは思えないのだ。
「そ、そうですか……照れますね……」
「ふむ。どうだ、今夜私と一発」
「それはお断りします」
「そこをどうか」
「お断りします」
「そうか……それは残念だ。ところで、其方たちはダンジョン配信なる物をしているらしいな」
「はい、していますが……それが何か?」
「ここはひとつ、余と模擬戦でもしないか? もちろん配信しながら、だ」
その言葉にアストレアは興奮してくる。
「模擬戦! いいですね、しましょうしましょう! この後すぐしましょう!」
「ああ、とびっきりのを見せてやろう!」
はーはっはっは! とビスケスは笑った。
■
竜宮城内の戦闘訓練場にて。
竜宮城には四十人の兵士が居り、その為の訓練施設だ。
その中央にてアストレアとビスケスは対峙する。
お互いに武装した状態だが、ビスケスは違う。
薄い青色のトライデント一つ持っただけでありそれ以外の魔道具は纏ってない。
トライデントも魔道具で張るが頑丈さと自己修復機能のみ着いた攻撃性能が殆どない代物だ。
アストレアはレーベンの即死機能をオフにして構えた。
大地がなぜか審判役をやらされている。
「では……はじめ!」
それだけ言うと大地はダッシュで逃げた。
アストレアとビスケス、両者ダッシュし衝突する。
レーベンとトライデントが衝突し合う。
ぎゃりぎゃりと嫌な音が響く。
アストレアがレーベンを振るいビスケスがトライデントで防ぐ。
先に動いたのはビスケスだ。
「リームシュトローア!」
ビスケスが大量の水を生み出した。
水がアストレアを襲う。
波に押されアストレアは体勢を崩した。
その隙を見逃すビスケスは突撃し胸にトライデントを突き刺そうとする。
だがアストレアは魔力を解放し衝撃波を放つ。ビスケスは咄嗟に後ろにジャンプすることで回避した。
アストレアは体勢を直しレーベンを持って突撃。ビスケスはトライデントで防ぐ。
果敢に攻め立てるアストレアに対しビスケスは防御一辺倒だ。
思ったより強くない、とアストレアがニヤッと笑みを浮かべた瞬間ビスケスは額から超強力な水鉄砲を放った。
それによりアストレアの頭ががくんと後ろに揺れる。
その隙を逃さずビスケスは更に後ろに退避した。
「いいぞ、良いぞ、では……使い魔契約をした者の極致を見せてやろう!」
ビスケスがそう叫ぶと観戦していたレヴィが走って来てビスケスに抱き着いた。
頭を直したアストレアはそれを見て「二対一ってこと?」と不機嫌そうにつぶやいた。
「そういう訳ではない。行くぞ! エーテル・シンクロ!」
ビスケスがそう叫ぶとレヴィが光の粒子となってビスケスに吸収された。
次の瞬間、ビスケスは水の鎧を纏った。
頑丈そうな重層鎧。関節部分も覆われている。
頭にはヘルメットの代わりに水で出来た王冠を被っている。
右手には先ほどまでのトライデントはどこへやら。水で出来たランスを持っている。左手にはこれまた水で出来たラウンドシールドを持っている。
背中には水で出来た竜の翼が生えている。
そして何よりの変化として、ビスケスは女に成っていた。
どこかレヴィの要素がある水色の髪に碧眼の美女である。胸も大きい。
「なん……だと……」
アストレアはそれを見てどこかの死神漫画みたいなことを呟いた。
エーテル・シンクロとは使い魔契約を結んだ主と使い魔が同意することで行える融合化魔法だ。
相手と魔力を共鳴させ、主の魔力かける使い魔の魔力でとんでもない魔力量の増加と出力を得ることが出来る。
魔力の掛け算、通称M2Aと呼ばれている。なお略称ばかり有名になって誰も本来の名称を知らない。知ってるのは五賢人くらいだろう。
「行くぞ!」
可憐な女の声でそうビスケスは宣言し突撃する。
とんでもない速さで突撃してくる。
アストレアはレーベンで防御するがぎりぎりで間に合った。
(速い!)
更にビスケスは連撃を叩き込む。
それらに対しアストレアは防御しようとするも幾つか間に合わず受けてしまう。
(スピードだけじゃない、パワーも上がっている!)
アストレアは内心舌打ちをした。
(──これなら手加減する必要ないか)
アストレアはそう判断し猛攻を受けながら魔法のセットを変えた。
使うのは聖美恵の身体強化魔法。
その気になればマッハ十で走れるようになる身体能力を手にしたアストレアは一転し攻撃に移る。
大ぶりの攻撃。ビスケスは盾で防ぐも大きく吹き飛ばされる。
「それが本気か!」
ビスケスはそう笑顔で返した。
そこにアストレアは突撃する。
真上からの振り落としに対しビスケスは盾で防ぐ。
アストレアは
ビスケスは背中の翼で飛翔する。
高速飛翔だ。弾の殆どは回避され一部も盾で受け止められる。
その弾幕を突っ切りアストレアは攻撃に転じる。
突き、斬撃、袈裟斬りなどを放つ。
盾で防がれるも衝撃までは殺せずビスケスにダメージが蓄積する。
ビスケスは上に移動しランスをアストレアに向けた。
「水龍の咆哮!」
魔法が放たれた。
水で出来た龍の頭部によって地面へと落とされる。
ガードは間に合ったが衝撃が強い。背中を強打した。
「んぎぎぎい!」
アストレアは叫びながらレーベンを振るう事で水龍を吹き飛ばした。
「水神の戦槍!」
更に魔法を発動する。
何十本もの水で出来た槍がアストレアに向かって飛んでくる。
「なんの! ツェアレーゲン!」
アストレアは光の矢を無数に放つ。
当てることで相手の魔法を解除する魔法だ。光の矢と水の槍がぶつかって相殺される。
更にアストレアは
召喚するのはウィザードだ。ローブを被った白い人間でありねじ曲がった杖を持っている。
これはブーフからコピーした魔法である。
アストレアは飛行魔法で空に居るビスケスに接近しつつ
「水龍の尾!」
ビスケスは龍の尾を水でもしそれでもって弾幕を打ち払った。
それと同時にアストレアが接近。レーベンを振るう。
盾とレーベンが衝突し、防御しながらもビスケスはランスで攻撃する。
「むっ」
だが、当たらない。確率操作で命中率を大きく下げている今は大抵の攻撃は通じない。
ならばとばかりにビスケスは頭上に大きな水のハンマーを生成する。
「水神の鉄槌!」
それに気づかなかったアストレアはそのハンマーによってまたも地面へと叩きつけられた。
「むきゅう……」
パタン、とアストレアは倒れた。
脳を強打し脳震盪を起こしたのだ。
「余の勝ちだな!」
はーはっはっは! とビスケスは笑いながら地上へと降りる。
陽斗がアストレアに駆け寄る。
脳震盪を起こした人間を揺らすわけにはいかないのでアイテムボックスからポーションを取り出しかけた。
ポーションは飲まずともかけるだけでも効果がある。
回復したアストレアはうなりながら立ち上がった。
「ありがとう……負けてしまった……」
「ま、まだ余の方が一枚上手だったというだけだ。経験を積めば其方は余にも勝てるだろうよ」
「そうですか……精進します」
アストレアはアイテムボックスにポーションをしまった。
「ではこれから宴と行こうか!」
そうビスケスは笑いながらエーテル・シンクロを解除し二人に戻る。
(私は実質二人に負けたから負けではないのでは……?)
などと思いつつアストレアは宴と言うなら腹いっぱい食わせてもらおうとうきうきしながらビスケスに着いて行った。