TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します   作:Revak

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第35話

 

 

「それじゃあ形式的に世話になったので礼を言うように」

 

 一週間が経ち、エルンストが城でそう言った。

 

「お世話になりました!」

 

 そう一斉に言い、小さく生徒たちは頭を下げた。

 

「また来るが良い! 特にアストレアは歓迎するぞ!」

「はは、機会があったら……」

 

 アストレアは愛想笑いをした。

 

 こうして一週間の課外学習は終わった。

 

 

 

 

 ■

 

 

 八月三十一日。朝の九時。

 

「ダンジョン潜りますわよ!」

 

 アストレアはそう笑いながら言った。

 今アストレアと明が居るのはダンジョン前だ。二人っきりである。

 

「これがダンジョン……ファンタジーっぽくはないですね」

 

 明は周囲を見ながら言った。

 

「まぁ、ここもファンタジー全開にすると受付とか面倒になるからね。じゃあ受付に行って名前書こうか」

「名前書くんです? 何のために?」

「一日に入る人数を知るためと、万が一の為の救助用としてだよ。さ、いこ」

「わかりました」

 

 

 アストレアは明を連れて受付に行き、名前を書く。

 そうして名前を書き終わると階段に行き階段を降りてダンジョンの中に入る。

 

「これがダンジョン……」

 

 墳墓である。

 横幅は広く六人横並びでも問題ないだろう。

 左右の壁には窪みがありそこにはオブジェとしての骸骨がある。

 この骸骨は本物ではない。

 

「じゃあ、危険が迫らない限り私は手を出さないから、一人でやってみようか」

「わ、わかりました」

 

 明は緊張しながらそう返し、銃を抜いて進みだした。

 アストレアは気楽に、明はびくびくと怯えながら進む。

 

 進事五分。十字路を右に進むとモンスターが出現する。

 

「スライムだ」

 

 出て来たのは緑色の粘体、少し透き通っている体の中央には黒い結晶がある。

 

「スライムはコアを壊すと機能停止するよ」

「わ、わかりました」

 

 明は銃を撃つ。

 命中率も上げている訓練をしていたのかコアに命中し破壊された。

 

「最初の層のモンスターは倒すと素材になって、これを持ち帰るとお金になる。今日は私が瓶持ってきたからスライムこれに詰めようか」

「スライムを瓶に……? 何に使うんです?」

「ポーションの材料だって」

「……人を襲うものをポーションに……なんか複雑です」

「はは、気にしたら負けさ」

 

 そう笑いながら二人は瓶にスライムを詰めた。

 

「それじゃあ、先に行こうか」

「はいっ!」

 

 そうして先へと進んでいったのであった。

 

 

 

 

 ■

 

 

 二千百二年十月七日。

 一年以上の月日が経ち、シリウス一行はついにダンジョン最終層の百層に来ていた。

 

 神聖さを感じさせる天使の門を開け、一行は中に入る。

 

「でか」

 

 部屋の中央には巨大な木が生えていた。

 百メートルほどの巨大な木だ。若々しい木であり生命力を感じさせる。

 

 さらに言えば非常に広い空間だ。千人以上いても広さを感じられる部屋であり円形、左右の壁には観客席があり、人型のマネキンが座っている。

 

「ボスが出てくるぞ!」

 

 アグネスが叫んだ。

 

 大樹の前に魔法陣が現れる。

 

「魔法陣でかくね?」

 

 大地がそう呟いた。

 大地の言う通り魔法陣は巨大だ。五十メートルはある。

 

 魔法陣から巨体が出てくる。

 

 それは白い姿をしている。

 全長五十メートルの圧倒的巨体。

 すらっとした体形の女だが、胸はでかい。

 脇の下から更にもう一対腕が生えている。

 額には赤い宝石が付いている。

 四つの手には大剣を持っており、腰みのしかつけていない。

 

「これがラスボスか」

 

 腕が鳴る、と大地が腕をまくった。

 

 ラスボス、ボス名ケーニングは口を開いた。

 

『魔神の御前』

 

 機械的な女の声だ。合成音声に近い。

 

 瞬間全員に重圧がかかる。

 重力が増加し行動を阻害する。

 

「な、何のその!」

 

 陽斗が気合を入れ身体強化魔法を行使する事で行動を可能にするが影響を完全に取り除くことは出来ない。

 

「ふんぬらばっ!」

 

 アストレアは控えていた消滅空間の纏いをオンにする。

 これにより自身に害ある重力も消し去ったことで通常通り動けるようになった。

 

 ケーニングが下の二つの手で攻撃してくる。

 カーラも盾を構え左手の大剣を防ぎ、アストレアが右の大剣を弾いた。

 

 アストレアが跳躍し胸に迫る。

 レーベンを振るうも謎の白い障壁によって防がれた。

 

 ならばと大地と陽斗が足を攻撃するもこれもまた白い丸い障壁で防がれた。

 

「特殊な防壁だ! HPが高いけど一度破れば一時間は再度展開出来ない! さらに一度に三枚までしか展開出来ない!」

 

 アグネスが解析結果を叫んだ。

 了解、とアストレア、陽斗、大地の三人が叫んだ。

 

 アストレアが後方に移る。

 これまでコピーしてきた魔法を三つ同時発動する。

 フランメピーケ。炎の槍を生み出す魔法だ。相手を炎上状態にさせる。

 ツー・フリーレン。氷の棘を放つ魔法。相手を氷結させる。

 ブリッツ。雷の弾を放つ。相手を一定時間動けなくする。

 

 同時に何度も発動することで多重化し何百と言う炎、氷、雷の弾幕が生まれる。

 

 弾幕がケーニングに向かって飛ぶ。

 ただ一定方向からだけでなく四方向からの弾幕だ。

 ケーニングは障壁を出すことで三つ防ぐが残る一方向からの弾幕は防げずその身で受ける。

 だがその体自体の防御力も高く大したダメージにはならないが、蓄積すれば死には至る。

 

 足を陽斗と大地が攻撃する。

 今度は障壁が出ず通じ、ダメージが入る。

 

 ダメージを蓄積させ倒す。

 

 アストレアが魔力のレーザー砲を放つ。

 

 胸に着弾しケーニングの胸を削った。

 

 陽斗が跳躍する。何十メートルという大ジャンプだ。

 斧を振るい攻撃しようとするがケーニングは上の左手の大剣で防御する。

 しかしその防御に使われた大剣に罅が入る。

 ケーニングは右手の剣で陽斗を攻撃し吹き飛ばす。

 

 その代わりに大地が入ってきた。

 

「どっせい!」

 

 そう叫びつつ全力の殴打を放ち、右手の剣をぽきっと折らせた。

 

 そのままさらに大地は空を蹴って移動。その頭まで移動する。

 

「これ多分弱点だろ!」

 

 大地がそう叫びつつ額の赤い宝石を狙って蹴りを放った。

 障壁は今もアストレアが弾幕を展開している為出ることはない。

 蹴りがさく裂し、宝石が割れた。

 

『アアアアアアアアアアアアアアア!』

 

 ケーニングは発狂した声を上げた。

 声の五月蠅さに思わず全員眉を潜める。

 ケーニングはそのまま頭突きを放ち大地を地面へと吹き飛ばした。

 

 傍には陽斗が立っていた。

 

「せーの……どっせい!」

 

 アストレアがレーベンを振るいながら魔法を行使した。

 飛ぶ斬撃を放つ魔法シュナイデンを放つ。

 巨大な──ケーニングの半分にも及ぶ黒い飛ぶ斬撃がケーニングを襲う。

 障壁によって防がれるが障壁が一つ割れた。

 弾幕がこれまで以上に着弾しダメージを蓄積させる。

 

 陽斗も大地も跳躍し攻撃し、カーラも足元を攻撃しヘイトを貯める。アグネスはブーフと共に後方に下がった。ボス戦でこの二人に出来る事は無い。

 

 気づけば移動していたケーニングとシリウス一行だがケーニングが移動する。

 

「あっ! 修復するつもりだ! あの木を倒して!」

 

 アグネスがそう叫んだ。

 

「任せろ!」

 

 陽斗がそう叫びつつ中央にある大木に攻撃する。

 だが大木からしずくが落ちケーニングに当たり、修復される。

 しかし大木が折れ、そのままケーニングを巻き込んで倒れた。

 

「チャーンス!」

 

 アストレア、陽斗、大地、カーラの四人がチャンスとばかりに攻撃に移った。

 倒れたケーニングに向かって各々近接攻撃を当てまくる。

 障壁によって最初の数撃は防がれるも全力全快攻撃で破壊することに成功する。

 修復された以上のダメージを与えることに成功するも一分ほどでケーニングが魔力の衝撃波を放つことで折れた大樹含め攻撃していた四人が吹き飛ばされる。

 しかし空中で体勢を直し着地することに成功。

 

 後方からアストレアが遠距離攻撃魔法を幾つも放つ。

 雷の槍に水で出来た竜の咢、空飛ぶバッタなどの攻撃だ。

 

 魔法攻撃が着弾しケーニングにダメージが蓄積していく。

 

 陽斗が攻撃する。ケーニングは左手の上の剣で迎撃するもその剣が折られた。

 ならばとばかりに目からレーザーを放つ。

 カーラがボレアレスを使い攻撃を自身に向ける事でレーザー砲はカーラに直撃した。

 だがカーラは無事だ。防御特化は伊達ではない。

 

 その後もシリウス一行の攻撃は続く。

 五分ほど攻防したのちついにケーニングの剣全てが折れた。

 

 素手となったケーニングが怒り狂いながら大地に向かって四つの拳で殴り掛かる。

 だが転移魔法でカーラと位置を交換することでカーラが攻撃を受ける。

 その間に三方向から陽斗、大地、アストレアの三人が全力攻撃を仕掛ける。

 

 ケーニングの体中に罅が入り、一部欠損すらする。

 

「このまま押し込めば勝てる!」

 

 陽斗がそう叫び全員攻撃に移る。

 

 ケーニングは拳を持って襲い掛かるがその速度は損傷の結果下がっている。

 問題なくさばき攻撃する事が出来る。

 

 アストレアがこれならばと美恵の身体強化とエンハンスをセットし、シュナイデンをゼロ距離で胸に向かって放った。

 

「トドメダァァァァァァ!」

 

 そうしてケーニングは真っ二つに斬られ──機能を停止した。

 

 ケーニングの破片、残骸が飛び散る。

 各々回避したり迎撃し、アストレアも地面に着地する。

 

「やったな!」

「ああ!」

 

 陽斗と大地がハイタッチする。

 

 カーラとアグネスもハイタッチし、アストレアも私も私もと大地に近寄りハイタッチした。

 

 ファンファーレが鳴った。

 

 音の方向に全員向くと其処には天使が降りるような演出と共に天使とは魔反対の存在であるアオス・シュテルベン・モルトが転移してきた。

 

「アオスさん?」

 

 因みにアストレアはアオスとツイッター交換したまにDMで話している。

 

「冒険者たちよ。よくぞ我がダンジョンを攻略して見せたな。素晴らしい」

 

 そうアオスは骨の手でどうやっているのかわからないが拍手をする。

 

「それで、だ。ダンジョンをクリアした報酬として我が宝物庫へ案内しよう」

「宝物庫?!」

 

 アグネスがひゃっほいと興奮する。

 アオスが地上に降りる。

 

「では行こうか──ゲート」

 

 黒い靄が渦場となり転移門を形成する。

 

「さぁ、ここを潜ると良い」

 

 そうアオスが言い最初に潜った。

 次にアグネスが興奮しながら入って遅れて他の者たちが入っていく。

 

「すご」

 

 中に入ったアストレアは間抜けな声を漏らした。

 

 宝物庫の中はまさしくこの世の金銀財宝すべて集めたかのような空間だ。

 金貨の山が乱立し、その山一つとっても十メートルを超えている。

 その金貨の山の中には魔道具が入っているし、黄金で出来た杯などもある。

 壁には窪みがあり窪みには貴重な魔道具がしまってある。

 

「さぁ、ここから一つ好きなものを持って行くといい」

「いいんすか?!」

 

 陽斗が本当にこんなところから持って行っていいのかと疑問を呈すがアオスは「初回ダンジョンクリアの報酬だ。これぐらい豪華じゃないと意味がないだろう?」と返す。

 アグネスはひゃっはーと魔道具を物色し始めた。

 

「選んだあとは私に声をかけてくれ。盛大にパーティを開こうじゃないか」

「わ、わかりました」

 

 流石のアストレアも緊張しながら物色を始める。

 武器は持っているので補助道具か防具が欲しいなと探し始める。

 

 色々と見て回る。

 槍、ハンマーなどの武器から黄金で出来た鎧にビキニアーマー、黒曜石の鎧などなど。

 

 そうして三十分ほど物色することで好みの物を見つける。

 一見するとそれは花の形にカットされたダイヤモンドが付いているだけの指輪だが展開することで機能する魔道具の防具だ。

 一定値までのダメージの無効化に自動修復、所有者の好きな形への変化などの機能が付いている優れものだ。

 これにしようと指輪を取り右手中指に指輪をハメる。

 

 そうしてアオスの元に戻ると他の者たちは居た。

 

「よし、それじゃあパーティ会場に行こうか」

 

 アオスがそう言うと次の瞬間転移する。

 

 転移した先はパーティ会場の中だ。

 屋内であるが結構な広さを持つ。まるでアニメや漫画で出てくる貴族のパーティ会場のような広さを持つ。

 

 テーブルの上には見たことない美食が置いてあり、香りが食欲をそそる。

 

「さぁ、存分に楽しんでくれたまえ。ダンジョン初の攻略者としての栄誉を誇ると言い」

 

 こうしてシリウス一行はダンジョンを攻略し終えた。

 これからもアストレアは生きていく。月に行ったり月の主とバトルがそれはまた別のお話。

 

 

 




これにて完結です。
ご拝読ありがとうございました。
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