TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します   作:Revak

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第7話

 

 配信は順調に進み、第二層へと突入した。

 

「ここからはどんなモンスターが出るか楽しみですね~」

 

【スライムワンパンウーマンの台詞だ、面構えが違う】【上位の幻獣なのかな】

 

 気づけば視聴者数は倍の二十人に到達していた。

 それらに律義に返しながらアストレアは第二層を進む。

 すると角から骸骨がひょっこり現れた。

 これは死霊魔法で作ったアンデッドではなく骸骨型のゴーレムだ。人の骨を集めるのはリスクがあるのだ。現代だと通報されかねない。

 

「えいっ」

 

 アストレアは突撃し顔にパンチを食らわせた。

 瞬間骸骨は弾け飛んだ。

 

「……この骸骨、何か素材になるのかな」

 

【公式サイト見たけど骸骨は材料にならん】【第二層からは宝箱あるからそれメインの方がいいね】

 

「宝箱! ロマンあるね!」

 

 ワクワクしながらアストレアが進む。

 道中スケルトンやスライムが出るが全てワンパン、蹴りやらパンチで片づける。

 

(うーん。一般人なのに戦う事に遠慮がないな)

 

 などとアストレアは思う。

 中身が一般人でも体は最上位の幻獣の物だ。肉体に精神が引っ張られてるのである。

 故血なまぐさい戦い──実際には血は微塵も出てないが──を問題なく出来ているのである。

 

「あ、宝箱」

 

 そうして通路を進んでいると奥に宝箱を見つけた。

 RPGのダンジョンにありそうな宝箱だ。木で出来た箱である。

 

「ミミックじゃないか確認しますね」

 

 いるとは聞いてないが念のために確認する。

 解析魔法の結果、普通の宝箱であることが判明し、更に面白いことがわかる。

 何と中身はランダムで開いた瞬間に確定するというタイプの物だ。

 

「よし、どうせなら……」

 

 そこで同じ一年生の陽斗の魔法をセットする。

 陽斗の魔法は確率操作だ。

 今のところ本人の練度が低くプラマイ十パーセントしか弄れないが成長すればプラマイ九十九パーセント操作できるようになる。

 確定クリティカルに確定回避が可能になる力だ。チートである。

 アストレアのコピー魔法も練度などもコピーした対象に依存するので研鑽することは出来ないが充分強力だ。

 

「ごまだれ~」

 

 そう言いながら宝箱を開ける。

 

 中身はポーション二つだ。体力回復ポーションと魔力回復ポーション。

 

「普通ですね」

 

【いきなりレアアイテムとかはないな】【ポーションあるだけいいべ】

 

 じゃあ探索再開じゃーとアストレアはポーションをアイテムボックスに仕舞い探索を再開した。

 

 

 

 ■

 

 最終的にアストレアは第三層まで降りたが、そこで時間になったので戻ることにした。

 視聴者数は変わらず二十人ほど。

 その中のコメントには【ダンジョンなんてあったんだ】というものや【自分もダンジョン潜ろうかな】というコメントが幾つかあった。

 この時点でシエロの目論見は達成と言えるだろう。ダンジョンに人を来させるのが目的なのだから。

 

「ご視聴ありがとうございました~毎日一時ぐらいにダンジョン配信するつもりなので良かったらチャンネル登録と高評価お願いします~」

 

 そうしてアストレアはダンジョンから帰り、配信を切った。

 

 受付に行きアストレアは素材はどこで売ればいいのか聞く。

 

「素材ならあっちよ。あそこのマークさん……禿げたおっさんのところよ」

「わかりました、ありがとうございます」

 

 そのままアストレアは換金所の受付に行く。

 

「おぉ、いらっしゃい」

 

 マークという男は身長百八十センチの大男だ。筋肉質な体をしている。

 

「素材見せてみな」

「はい、どうぞ」

 

 アストレアはアイテムボックスからスライムを入れた瓶五十個を出す。

 

「お、多いな」

 

 その数に驚きながら魔法のレジを使って換金をする。

 

「どこの国の金にする?」

「日本円でお願いします」

「あいよ……日本円で二万五千円だ」

 

 マークはそうレジから一万円札二枚と五千円札一枚を渡す。

 余談だか札に書かれてる人は昔とは当然違う。

 

「ありがとうございます」

 

 自分で稼いだ金だ……とアストレアは感極まった。

 この金を口座に入れれば念願のサブスクに登録しアニメが見れる。

 

 小躍りしながらアストレアは銀行に向かうのだった。

 

 

 

 ■

 

 一週間が経った。

 その間、平穏なものだった。

 ダンジョン攻略は順調で四層まで進みスケルトンやゾンビも倒し始めた。

 スライムも倒し素材の回収は忘れない。

 

 授業の方も順調でアストレアの体は記憶力もいいのか一度メモすれば忘れることはなかった。

 そうした土曜日の朝、電話がかかった。

 

 ダンジョンに行かずアニメを見ていたアストレアはそれに出る。

 

「もしもし?」

『急に悪いな、アストレア。ちょっと相談したい事あるんだけどいいかな?』

 

 電話の主は陽斗だった。

 

「別にいいけど、何?」

『電話じゃちょっと……できれば直接会って話したいんだ』

「直接……てことは大学で? いいけど。いつ?」

『できれば今すぐが良いんだけど、いいかな?』

「いいよー、今から向かうね」

『悪い! 助かる!』

 

 そうして電話を切りアストレアは部屋着から外着に着替えて大学に向かった。

 

 

 大学の外でアストレアは陽斗を見つけた。

 アストレアが声をかけるより前に陽斗がアストレアを見つけ「おーい!」と声をかけた。

 

「久しぶり」

「ああ、授業の日が違うからなかなか会えないもんな、俺ら」

 

 アストレアとサラ、かおりは学校に通っていないが陽斗たち男子生徒と陽菜は学生だ。

 そのため午後から授業を受けるためこの一週間顔を合わせていない。

 といってもラインを交換したのでネットでは多少話しているが。

 

「それで、話って?」

「ああ、食堂で話そう」

「わかった」

 

 アストレアは陽斗に着いて行き食堂へと向かう。

 大学は土日もやっているが授業はない。食堂も普通に空いている為問題はない。

 食堂に行きカウンターでコーヒーとココアを買う。一つ百円だった。

 

 席に座ると途端陽斗が手を合わせ頭を下げてきた。

 

「すまん! 俺をダンジョンに連れてってくれないか!」

 

 その台詞にアストレアは目を点にする。

 

「ダンジョンに?」

 

 アストレアがダンジョンに潜ってることはクラスラインで周知されている。

 

「あぁ。俺、苦学生で……家にお金入れたいんだけど、学校はバイト禁止で、だからダンジョンならバイトじゃないからいいかと思うんだ。アストレアに迷惑かける形になるが……」

「私に頼まず一人で行く、というのは?」

「初心者が一人で行って怪我を負ったらその時点でマイナスだから、アストレアには悪いが一人で行く勇気が出なくて……連れてって貰えたらな、と……」

 

 どうだろうか、と陽斗は頭を下げて頼み込む。

 

「頭を上げて、別にいいよダンジョンに連れてくぐらい。代わりに……ダンジョン配信に一緒に映って貰おうか」

 

 ぐへへとアストレアは乙女がしちゃいけない顔をする。

 

「配信に映るぐらいならいいぜ、流石に名字とか通ってる学校晒すとかは駄目だけど」

「おう、じゃあ早速これ飲んだらダンジョン行こうぜ!」

 

 そうして二人はダンジョンに向かうのだった。

 

 

 

 ■

 

「いらっしゃい。今日は一人じゃないのね」

 

 ダンジョンの受付のリラにそう言われた。

 

「はい。今日は二人で潜ろうと思います」

「そう、人が増えて私としては暇が無くなっていいことね」

「そんなに増えたんですか?」

「今週だけで四人も増えたわ」

「多いっすね」

「人が増えれば私たちの仕事も増えるから暇じゃなくなる。いいことね」

 

 そうリラは笑みを浮かべた。

 

 アストレアと陽斗が名前を用紙に書く。

 

「それじゃあダンジョン探索、行ってらっしゃい」

「はいっ」

 

 

 ダンジョン第一層に入るとアストレアはアイテムボックスからドローンを出し、配信を始めた。

 

「どうもー。いつもニコニコアストレアでーす。陽斗、自己紹介どうぞ」

「おう、俺は陽斗。確率操作の魔法を使う魔法使い初心者だ! よろしく!」

 

【男だ】【カップルチャンネルに変更か~?!】【乱数調整マンか?】

 

 視聴者数は変わらず二十人程度だ。

 

「今日は二人でダンジョン探索しまーす。まずは陽斗にスライムとの戦いに慣れてもらおうかな」

「おう、よろしく頼む!」

 

 そうして二人はダンジョン内に入る。

 

「これがダンジョン……」

 

 これぞファンタジーだ、と陽斗は興奮しながら壁に触る。

 

「最初はスライムと戦ってもらうけど、気合は大丈夫?」

「おう、大丈夫だ!」

 

 陽斗は握りこぶしを作って見せる。

 

「じゃあ先に進もうか」

「おうっ」

 

 そうして先に進むと丁度良くスライムが居た。

 

「まずは陽斗一人で戦ってもらおうか」

「わかった。うぉぉぉ行くぜ!」

 

 陽斗は未熟ながらも魔力で身体能力を強化しスライムに右手で殴り掛かる。

 だがスライムは陽斗の腕に絡みつき関節技をかけようとする。

 

「黒いコアを狙って!」

 

 アストレアがそう助言を叫ぶ。

 

「お、おうっ!」

 

 陽斗は左手をスライムの体内に突っ込みコアを握りつぶした。

 どろりとスライムが液体に戻る。

 

「じゃあこの瓶に入れよっか」

 

 アストレアはそう言うとアイテムボックスから瓶を取り出した。

 

「お、おう。どう入れるんだ?」

「念動力でちょちょいのちょいよ」

 

 そう言うとアストレアはポルターガイストの力で瓶に液体を詰めた。三割ほど埋まった。

 

「この調子で行こう!」

「おう!」

 

 そうして二人はダンジョンを進むのだった。

 

 

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