TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します   作:Revak

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第8話

 

 第三層をアストレアと陽斗の二人は進む。

 

「おっ宝箱だ」

 

 進んでいると角に宝箱を見つける。

 四つ目の宝箱だ。他の宝箱はポーションやポテチなどのおかしが出て来た。

 

「ミミックじゃないね。開けよっか」

 

 解析魔法で中身を当てる。

 

「よし、ここは俺が……」

 

 陽斗が確率操作の魔法を使い中身の良さを上げながら宝箱を開ける。

 中身はロボット人形が一つだった。

 

「お、これ珍しいな。まだあったんだ」

「知ってるのかアストレア」

「ああ、昔の有名なロボットアニメだよ。映画も何回かやってたはず」

「へぇ。調べてみよ」

 

 陽斗が軽く検索をする。

 

「……これ、ネットで二十万で売ってるの発見したんだけど」

「え、マジ?」

 

 慌ててアストレアもネクサスギアで検索をかける。

 するとそこには同じ人形が二十万でフリマサイトに売られていた。

 

「……どうしよ」

「見なかったことにする?」

「ん-、アストレア、いる?」

「要らないかなぁ。売るしかないかな」

「じゃあ、二人で半分こしよ」

「そうしよっか」

 

 そのあともダンジョンを巡り宝箱を二つ開けたが中身は平凡な物だった。

 そうして陽斗の初めてのダンジョン探索は終わるのだった。

 

 

 

 ■

 

 

 月曜日の朝八時四十分。女子寮からアストレアとサラ、かおりの三人は大学へと歩く。

 

「聞いたぞアストレア、おぬし陽斗とダンジョンに行ったらしいじゃないか。何か進展でもあったか?」

 

 かおりのその顔にはにやにやとしたものがあり恋愛的なゴシップを求めているとわかる。

 

「ん-、しいて言えば一人十万円手にしたぐらいかな」

「えっ何それ怖い」

 

 サラが素直な感想を言った。

 手にした人形は陽斗が表世界の質屋に持って行き二十万で売れた。

 その日は一人十一万の稼ぎになった。

 

「ダンジョン探索か。私も行こうかな」

 

 サラがそう言った。

 

「お、一緒に配信する?」

「配信はちょっと、ネットに顔を晒すのは怖いからやめとくわ。ただ、魔法を実践的に練習できる場ってのはいいと思ってね」

「まぁ今の時代は平和じゃからのぉ。戦争なんて起きたことないし」

 

 魔法世界は日夜人が死んだり事件が起きたりしているが戦争や内乱と呼べる規模の争いが起こった事はない。

 世界の崩壊を企むテロリストなんてものも居ないので平和だ。ただ馬鹿なことをする犯罪者は湧いてくるが。

 

「しかし実際どれぐらい稼げるんじゃ? ダンジョン攻略は」

「今のところ最大で三万円ぐらいかな。三時間ぐらい潜るだけでそれだけ得られるよ」

「結構稼げるのね。アルバイト代わりによさそう」

「ワシもダンジョン攻略ユーチューバーになろうかのぉ」

「ユーチューブは駄目でしょ」

 

 などと話しながら三人は仲良く大学に向かうのだった。

 

 

 

 

 ■

 

 その週の終わりの土曜日。アストレアと陽斗はアーカディアの街の魔道具屋に来ていた。

 きっかけは陽斗の「武器買おうぜ!」という一言だ。

 これまで陽斗もアストレアも素手で戦ってきたがよく考えたら戦うのには武器があった方が良いという事で武器を買いに来たのだ。予算が許すならば防具も買おうと思っている。

 

「ここが武器屋か……ワクワクするな」

 

 着いた先は一軒家の建物であり鍛冶屋に見える。

 陽斗がそうワクワクを隠せない様子でいる。

 

 早速入ろうぜ、と二人がドアを開けて中に入る。ちりんと鈴が鳴った。

 

「いらっしゃい。いろいろあるからゆっくり見て行ってね」

 

 店主はピンク色の髪に茶色い目の少女だ。なぜかメイド服を着ている。

 店内は外見以上に広く空間魔法で拡張されているのだろう。

 台座には魔道具の武器が置いてある。

 種類は多様で剣に槍、斧に銃と多種多様だ。

 

「いろいろあるな」

 

 アストレアは剣を手に取ってみる。無骨な剣だ。

 

「斧なんてのもあるな……意外と軽い」

 

 陽斗は斧を手に取って振ってみる。

 他にも二人は色々と触ってみる。武器初心者なんだからまずはバットがいいんじゃないか。いや短剣ならどうだ、などと。

 そうして話しているとアストレアは壁にかかっている武器を見つけ、目を輝かせた。

 

「あれほしい!」

 

 くわっと大声を出したアストレアに陽斗が「うわびっくりした」と驚く。

 

 アストレアは壁に飾ってある武器、大鎌を手に取った。

 

「それ武器なのか? 使いにくそうだけど……」

「けどロマンの塊じゃん!」

 

 アストレアが手に取ったのは柄が1.5メートル程、刃が百センチの大鎌だ。

 柄は黒く逆に刃は白い。

 

「いや、ロマンだけあっても実用性が無いんじゃ……」

「お客さん。うちの商品をなめて貰っちゃ困る。ちゃんと実用性はあるよ」

 

 気づいたら後ろに居た店主がそう発言してきた。

 突然の出現に陽斗はうわっと驚いた。

 

「通常鎌は引いて斬る道具だが、この武器は違う。外側の刃でも斬れるんだ。もちろん引いて斬ることも出来る。耐久性もあるぜ」

「おお、実用性バリあるじゃん。幾ら?」

「ざっと五万だな」

「ちょっと懐が痛むけど……払えないことはないな」

 

 アストレアはめちゃくちゃ買う気になった。

 次の瞬間「よし」とつぶやく。

 

「この大鎌ください」

「毎度!」

 

 陽斗は本当にそれで戦えるのか? と疑問に思ったが本人が楽しんでるので余計なことは言わないでおいた。

 

「あ、店主さん。初心者向けの剣ってないですかね」

「だったら無難にブロードソードとかだね。そっちは三万ぐらいだ」

「へぇ。見せて貰っていいですか?」

 

 そうして陽斗は店主と話し合い武器を探す。その間イナは大鎌を振り回していたのだった。

 この後陽斗は最終的に斧を買った。

 

 

 ■

 

 昼食を適当な飯屋で済ませ、アストレアと陽斗はダンジョンに来ていた。

 

「そこっ!」

 

 第四層で陽斗がゾンビを切りつけた。

 確率操作の魔法でクリティカル率を上昇させ致命の一撃をゾンビに食らわせ破壊した。

 ゾンビとは言うが見た目が腐った死体に見えるだけのフレッシュゴーレムだ。素材としては肥料になる。

 

「どりゃぁ!」

 

 アストレアも向かってくるスケルトン三体に大鎌の薙ぎ払いを当てる。一撃で動かぬ物質に変わった。

 

【武器あると効率違うな】【パンツ見えた】

 

 コメントを流し見しながら二人はダンジョンを進む。

 

 二十分ほど戦っていると第五層への階段前に着く。

 そこには先客が居た。

 

「お、配信者の人だ」

 

 そこに居た小年と言える年齢の者がアストレアたちに近づいてくる。

 

「どうもー、今配信してて顔はともかく声映っちゃいますけど大丈夫ですか?」

「全然大丈夫だ、顔も映ってもいいよ」

「あ、じゃあ設定弄りますね」

 

 そうしてアストレアはARの設定画面を弄り少年の顔を映す。

 身長百七十センチの十七歳ほどの少年だ。少し茶髪に似た黒髪に黒目の男である。安物の服を着ている。

 

「魔法大学三年の入江春雄(いりえはるお)だ。アストレアさんの配信見てこのダンジョンに来たんだ」

「おお、視聴者でしたか、ご視聴ありがとうございます」

「こちらとしてもこんな面白いところを教えてくださりありがとう。魔法の練習に丁度いいので助かってます」

「入江先輩はどんな魔法使うんだ?」

 

 陽斗が気になってしょうがないという感じで問いかける。

 

「魔法の鎧を生成して纏う感じ。今は魔力が足りないので使えないが……お二人はボスに挑みに来たの?」

「ボス? 五層にはボスが居るのか?」

「はい。このダンジョン五層ごとにボスが居るんだ。五層のボス結構強いよ」

「ボス戦か。バえそうだな」

 

 アストレアがワクワクする。

 

【最初のボスは驚く事間違いなしだね】【映像的にもバえるぞ】

 

「うしっそれじゃあボス戦行こうぜ!」

 

 陽斗も乗り気になり、二人は入江に礼を言うと奥へと進んだ。

 

 

 ボスの扉を開け、中に入る。

 

「工場?」

 

 中の作りは工場のような物だ。半径三十メートルほどの部屋だ。

 赤い壁に床、壁には何かの配管が付いている。

 円形上の広間で中央には人が立っている。

 

 ある程度近づき、二人は武器を構える。

 アストレアが問いかける。

 

「貴女がボスですか?」

「そうだよ、私がこの第五層のボスだ」

 

 ふふんとその少女に見える者は胸を張った。

 

 歳は十五かそこらだろう。

 水色の髪と瞳をした活発そうな少女である。同じく水色のつなぎを着ている。

 

「いやー、アストレアちゃんには感謝するよ。あんたのおかげで挑戦者が増えて、暇じゃなくなってきたからね」

 

 さんきゅーとボスの少女、河岸なとりが礼を言った。

 

「そ、それはどうも」

 

 相手が人だとやりにくいな、とアストレアと陽斗は思う。

 相手が完全な人外だから魔法を使って倒すことに躊躇はなかったが相手が人だと困る。

 

「さてお話もこれぐらいにして、ボス戦と行こうか!」

 

 ボスの少女がそう言うとボスの足元から水色の魔法陣が出現する。

 半径十メートルの巨大な魔法陣だ。

 

 魔法陣からボスが出現する。

 

「ろ、ロボット?!」

 

 出て来たのは巨大なロボット型のゴーレムだ。

 人型だが頭部はなく、胸に操縦席が付いている。ガラスの席だ。

 

 茶色い人型のロボット。足は四角く手足も体も四角い。

 はロケットランチャー砲が二砲両肩についており左右の腰にも一丁ずつついている。

 

「見よ! 我がコペルニクスマークワンの力を!」

 

 わーはっはっは! と笑いながら河岸なとりが乗り込んだ。

 

「来るぞ!」

 

 コペルニクスが拳をふりかざし攻撃してくる。

 アストレアと陽斗はダッシュで避ける。

 拳が地面に命中する。

 

「隙ありだ!」

 

 その攻撃の終わりを狙い陽斗が斧で攻撃する。

 足に命中するもわずかな傷しか出来ない。

 

 アストレアも反対側の足に攻撃するも同じくわずかな傷しか出来ない。

 

「嘘だろ?!」

 

 これまでアストレアはスケルトンでもゾンビでもワンパンで倒してきた。陽斗は三発程度で倒してきた。

 火力不足だ。身体能力強化の練度が低いのである。

 

 コペルニクスがジャンプする。

 

「跳んだ?!」

 

 アストレアが驚愕に目を見開き目を点にする。

 空からコペルニクスの両肩のロケランをアストレアと陽斗二人に向ける。

 

「ミサイル発射!」

 

 ロケットランチャーが放たれた。

 

「回避ぃー!」

 

 二人はダッシュして避ける。だが追尾性能付きで逃げ切ることは出来ない。

 コペルニクスが着地すると同時に着弾。二人が爆炎に包まれる。

 

 陽斗は全身に火傷を被い、危機と判断されダンジョンの外に転移させられた。

 アストレアは服に多少煤が出来た程度で無事だ。素の肉体強度が高いのである。

 

「こんにゃろ! ポルターガイスト!」

 

 アストレアがコピーしたザ・マッドマンのポルターガイスト、念動力でぐしゃぐしゃに潰そうとする。

 だが出力不足だ。動きを遅くする事は出来ても壊すことは出来ない。

 腰のミサイル砲からミサイルが放たれる。

 

 慌ててアストレアはミサイルに対し炎の魔法をぶつける。コピーしておいた魔法の一つだ。

 火球が飛びミサイルと衝突し爆発を起こす。

 

 安堵したのも束の間。コペルニクスが背中のブースターで加速しアストレアに殴り掛かる。

 

「あっ」

 

 アストレアは防御も回避も間に合わず──その拳を体に受けた。

 

 ぐしゃっという嫌な音と共にアストレアは吹き飛ばされ強制転移でダンジョンの外に戻されたのだった。

 

 配信は強制的に終了された。

 

 

 

 ■

 

(体中痛い!)

 

 アストレアは意識を失っていなかった。

 幻獣の体は強靭で背骨が折れた程度では死にはしない。

 

 ダンジョンの外に転移させられたアストレアはどうにか回復しようとあがく。

 コピーしてストックして置いた回復魔法をセットし発動。十一秒かかった。

 そのかいあって体の傷は無くなり立ち上がれるようになった。

 

 立ち上がるとそこには陽斗が居た。

 

「お、無事だったか! よかった!」

 

 陽斗が心配そうな顔でそう言った。

 

「陽斗も無事だった? 直撃してたけど大丈夫?!」

「おう、リラさんに回復魔法かけて貰ったから大丈夫だ、もう治った!」

 

 よく見るとそこには紫色の髪の少女、リラも居た。

 

「よかった……」

 

 ほっとアストレアは胸を撫でおろした。

 

「しかし負けちまったな、俺ら」

「うん……流石にボスだけあって格が違ったね」

 

 そこには暗い雰囲気が流れていた。

 

 それを打ち消すようにリラがパンと手を叩いた。

 

「反省会は他所でやって頂戴。ここだと他の人の邪魔になるから」

「あ、はい……どっか行く?」

「ファミレス行こうぜ」

 

 そうして二人は暗い顔のままアーカディアの街に向かった。




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