TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します   作:Revak

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第9話

 

 アーカディアの街には飲食店も数多い。

 ダンジョン近くにもファミレスは存在するが、表で有名な店ではない。個人経営の店しかない。

 店に入ると昼飯時だがすぐ案内され四人席に二人は向かい合って座る。

 

 メニュー表を見ながら何頼むか考え、最終的に二人ともハンバーグ定食を頼んだ。

 

 お冷を飲んでから陽斗が口を開いた。

 

「俺たち、レベルアップが必要だと思うんだ」

「レベルアップ……けど、どうやって?」

 

 ゲームならば敵を倒すだけでいつかはレベルが上がる。だがここは現実だ。

 敵を倒しても熟練度は上がるがレベルは上がらない。

 

「素直に先生に聞こうと思う。エルンスト先生なら何か知ってると思う」

「それが一番だね……あとは、仲間もいるかな。最低でもタンクは欲しい」

「だよなー、けどタンクなんているか?」

「いないよなぁ」

「ただ、人数増やすのは賛成だ。大地を誘おうと思う」

「相良か。確かに前衛向きだ。よし、勧誘は任せていい? 私はエルンスト先生に何かいい方法聞くから」

「ああ、任せてくれ! また土曜日大学で話そう」

「うん、わかった」

 

 そうして話していると料理が来る。

 普通に美味しかった。

 

 

 

 ■

 

 四月十九日。授業が終わった十一時頃にアストレアは筆記用具を仕舞ってから席を立ちあがり帰ろうとするエルンストに話しかけた。

 

「先生、今ちょっとお時間いいですか?」

「いいぞ、なんだ」

 

 快く返事をくれたことにアストレアは気を良くする。

 

「実は、ダンジョンを攻略しているんですがボスに負けてしまって、強くなるにはどうしたらいいでしょうか?」

「そりゃまた難儀な質問だな。大学では教えられない事だな」

 

 その言葉にアストレアは目を点にして驚く。

 

「どうしてですか?」

「大学は魔法の使い方や開発方法を教える機関であって戦闘力を高める場所じゃないからだ。だが、強くなりたいというのなら……うーむ。学長にでも相談してみると言い。今なら学長室にいるはずだから」

「わかりました、ありがとうございます」

 

 アストレアは礼を言い頭を下げると教室を出て三階へと向かった。

 

 エレベーターに乗り三階に上がり学長室の前に来る。

 ノックをすると「どうぞ」と返事が来てアストレアは中に入る。

 椅子に座って優雅にコーヒーを飲んでいるオリヴィアが居た。当然全裸だ。

 

「あら、アストレア、どうかしたのか?」

「はい、学長。少し相談したいことがありまして……」

「ふむ。女体での自慰行為の方法か?」

「いや違います。すまし顔で変な事言わないでください」

 

 アストレアの自慰方法は独学だ。クリトリス弄ったり膣内に指入れて遊んでる。

 

「えっと、実は強くなる方法を探していまして、何か方法を知りませんか?」

「アストレアならコピー魔法で強くなれるだろ……と言いたいが、まずは戦闘経験がないからな。どうするか……うーむ」

 

 オリヴィアは少し悩む素振りを見せる。

 

(秩序の刃に売り込む……にしてはアストレアの意思を聞かんといけないしアストレアはそれを望まないだろう。となるとうちの教師で……うん、そうだな)

 

「だったら三年の担当のレグルスに相談すると言い。彼女なら効率の良い強化方法を知っているはずだから」

「わかりました、ありがとうございます。レグルス先生はどのような容姿をしてますか?」

「腰まで届く赤い髪に赤い目の女だ。筋肉バキバキの女だな。今の時間なら運動場に居ると思う。会いに行くと言い」

「わかりました、ありがとうございます! 行ってきます!」

 

 気を付けてなーとオリヴィアは手を振るいアストレアは小走りで運動場に向かうのだった。

 

 ■

 

 大学には運動場がある。といっても広さは高校の運動場ほどの広さだ。

 数が少ないながらも何人か学生が居る。

 

 アストレアは聞いた容姿に合う女性を探す。

 

「あ、いた」

 

 運動場でなぜか竹刀を持ちながら声を上げている女性を見つけた。

 

 そこに居たのは少し妙な格好をした女性だ。

 聞いていた通りの赤い髪に瞳。顔つきはワイルド系と言えるだろう。

 身長は百八十二センチと女性にしても高身長。

 タンクトップと短パンだけという格好でありバキバキの腹筋が良く見える。

 腕も足も太く筋肉質だ。

 

「あと二週ー!」

 

 その教師──レグルスがそう叫ぶと走っている学生三名が悲鳴を上げる。

 

「あの、すみません。ちょっといいですか?」

 

 アストレアは勇気を出してレグルスに話しかけた。

 

「ん、なんだ? 新入生」

 

 レグルスは軽快な笑顔を浮かべた。女性の笑顔にアストレアはちょっとくらっと来た。

 

「え、えっと。強くなる方法を学長に聞いたらレグルス先生に聞くと良いと言われてきたんですが、何か強くなれる方法を教えてください!」

 

 アストレアは小さく頭を下げた。

 

「ほぉ、うむ。見る限り弱いな。基礎ができてない。独学だろう?」

「なんか雰囲気で行けるって感じでやってます」

「ガバガバだな。鍛えてないまんこみたいだ」

 

 いいかたぁ! とアストレアは思ったが賢いので口を噤んだ。

 

「どれ、まずは魔力で身体能力を強化してみろ」

「わかりました」

 

 言われるがまま魔力を纏い身体能力を上昇させる。

 

「無駄が多いし流れも悪いしロスも多い。これは鍛えがいありそうだ」

 

 ニヤリとレグルスは笑みを浮かべた。

 

「ど、どうします?」

「まずは、そうだな……重力修行と行こう」

「重力修行?」

「ああ、グラビティ」

 

 レグルスは魔法を唱えた瞬間アストレアの体が重くなる。重力が高くなったのだ。

 思わずアストレアは膝をつく。

 

「目標はその状態で普通の運動が出来るようになる事だな。今は走ってる奴らみたく走れるようになってもらおう。三年共はこの魔法を受けた状態で走ってるぞ」

「先輩たちこの状態で走ってるんですか……?! すごい……!」

 

 うぉぉぉとアストレアは気合を入れて立ち上がろうとするもなかなか立ち上がれない。

 身体能力強化の割合が悪いのだ。

 魔力量だけで言えばアストレアは一般的な魔法使いの倍以上……それどころか優秀な魔法使いの約十倍にも及ぶ膨大な魔力を持つ。

 これは六つの幻獣と融合させられた結果だ。だからこそ十倍以上という膨大な魔力を持てる。

 だが、変換効率が悪すぎる。燃費が悪すぎるのだ。F1カー並みに悪い。

 

「うぉぉぉおぉ!」

 

 アストレアはどうにか立ち上がろうと努力するのだった。

 

 

 

 

 ■

 

 

 一時間後。

 

「うむ。立つことは出来たな」

 

 レグルスがそう笑いながら言った。

 そこには立ち上がった状態のアストレアが居た。

 だが、立っているだけだ。歩く事も腕を動かすことも出来ていない。

 多少は出力がマシになったと言えるだろう。

 

「あっ駄目だ」

 

 瞬間アストレアは体勢を崩し地面に倒れた。

 

「もう立てないか……今日はこれまでだな」

 

 レグルスが指を鳴らすとアストレアにかかっていた重力魔法が解除される。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 ぜぇぜぇと息を荒げアストレアは息を整えようとする。

 

「私は基本昼間の三時半までは暇だからな。特訓してやろう」

「ありがとうございます……」

 

 頑張れよ若者ーと言いながらレグルスは去っていった。

 

「大丈夫ですか?」

 

 そこに声をかける者が居た。

 

 三年生の男、狼真だ。

 ぱっと見はなよっとした男だ。身長は百六十五センチ程度。

 だが服の下には筋肉がついている。細マッチョというやつだ。

 

「だ、大丈夫……です……」

 

 ぜえぜえ言いながらアストレアは息を整えようとする。

 それを見かねて真が腰につけたバックからスポーツドリンクを取り出す。

 このバックは魔道具でアイテムボックスの魔法と同じ効果を持つ。ただ普通に時間は経過する。

 

「これ、どうぞ」

「あ、ありがとうございます……」

 

 アストレアは貰ったスポドリを一気飲みする。

 

「ありがとうございます、落ち着きました」

「それはよかった。レグルス先生のトレーニングは最初はきついですからね。慣れるとそうでもないですが」

 

 軽く真は笑みを浮かべる。

 

「ところで、ダンジョン配信してるアストレアさん、ですよね。大学に通ってたんですね」

「あ、視聴者さんでしたか、これはどうも。大学に通いながら生活費の為バイトがてらダンジョン攻略してます」

「生活に困窮してるんですか?」

「というよりは未来に転生みたいなことになったので戸籍も貯金もなくなって頼れる人がいない状態なので……」

「それは……大変ですね。あ、そうだ。良かったら仲間になりそうな人紹介しましょうか?」

「え、いいんですか? それはありがとうございます」

「はい。同じ三年のカーラ・ルボーさんなら仲間になってくれると思います」

 

 ただ、と真は続ける。

 

「すこし、その、癖のある人なので……そこだけはちょっと注意が必要かもです」

 

 その言い方に何か感じ取ったが気にすることはないだろうとアストレアは思い話を聞くことにする。

 

「そのルボーさんはどこにいますか?」

「ルボーさんならトレーニングルームにいると思うよ。案内しよっか」

「お願いします!」

 

 そうして二人は大学を歩く。

 この魔法大学にはトレーニングルームも併設されている。学生なら無料で利用可能な施設の一つだ。他には図書館もある。

 

 運動場から歩く事十分。目的地に着く。

 

 トレーニングルームは広い。魔法で空間を拡張されているのだ。

 更には多種多様な筋トレ用の道具がある。ランニングマシンやバーベルなどがある。

 どれもが魔道具であり使用者の意思にそって重さや速さを変えるなどが出来る便利な道具だ。

 そんなトレーニングルームだが人気はない。

 適正体重あるならば魔力操作で身体能力を上昇させればいいので素の身体能力を上げる必要性というのがほとんどないのだ。

 これは魔力による上昇が元のステータスを参照しない仕様が悪さしている。

 そのため筋トレするのは一部の者だけである。

 

「あ、いたいた。カーラさーん」

 

 真は重いバーベルを上げている女性に声をかける。

 見ての通り大きなバーベルだ。輪には二トンと書かれている。

 

 金髪碧眼の女だ。身長は百七十五センチ。

 タンクトップに短パンの美女で左目の下には傷がある。ポニーテールだ。

 筋肉が凄く腹筋は割れている。

 

(二トン?!)

 

 表示通りならとんでもない重量である。人が持てる重量ではない。

 だがその女、カーラは苦も無く上下させている。

 

 真の声に気づきカーラはバーベルを下した。

 そのまま立ち上がると笑顔を向ける。

 

「真じゃないか、どうした?」

「カーラさん、このアストレアさんが貴女と話したいと」

「ほう? 今年の新入生だな。見たところ幻獣のハーフか?」

「初めまして、アストレアです。幻獣と人間の融合体? です」

「融合……あぁ、新聞に載っていた救出された一般人か。大学に来たのか。よろしくな、一年」

「よろしくお願いします……それで、話したいことがあるんですが、よかったら食堂まで行きませんか? おごりますし」

「後輩に奢らせる訳にいかないだろう? 私が奢るよ。着いて行くよ」

 

 そう言うとカーラは浄化の魔法を使う。

 アンデッドなどを浄化する魔法ではなく体を清潔にする方の浄化だ。

 汗なども消え綺麗な状態になる。

 

 さぁ行こうと三人は歩き出す。

 

「しかしルボーさん、筋トレが趣味なんですか?」

 

 アストレアが話題作りの為にも話しかける。

 

「筋トレ、というよりは自分をいじめる行為が好きなんだ。負荷をかけるのが好きでね」

「それで筋トレを……筋トレって魔法使いにも有効なんですか?」

「古い鍛錬方法だね。一定値の筋力あれば後は魔力で幾らでも強化出来るから、魔力操作で上昇した身体能力で筋トレしても効果は殆どないよ。ゼロじゃないってだけだね」

「そうなんですか……」

「ただ、体を慣らしたり上昇した身体能力に慣らす為にするぐらいはいいとは思うけどね」

 

 そう軽く雑談を交わしながら食堂に着く。

 それぞれ軽食を頼み受け取って席に座る。

 

「それで、話って?」

 

 カーラが真剣な目つきでアストレアに問いかける。

 

「私、今ダンジョンを攻略してて、その攻略のために仲間を集めてるんです。ルボーさんに仲間になってほしくて声をかけました」

「ダンジョン? そんなのあったの?」

 

 カーラは本当に知らないという。

 ダンジョンの知名度は低い。二年前に出来ただけのもので一応宣伝はしたが二桁来るならいい方程度のものだったからだ。

 

「はい。大学から徒歩十分ぐらいのところにあります」

「意外と近いね」

「私はそのダンジョン攻略を配信してます」

「おー、昔流行った小説みたいだね。しかしダンジョン配信か……」

「配信はあくまでおまけなので嫌なら配信しないで攻略しますが」

「あ、配信自体は別にいいよ。嫌じゃない」

「そうですか……」

「しかしダンジョン配信か。いいよ。仲間になろう」

「本当ですか?! ありがとうございます!」

「ああ。ダンジョン攻略はいつもどうしてる?」

「基本毎日午後一時から攻略してますね。土曜日には同級生の陽斗と攻略してます」

「毎日はちょっとやりすぎじゃないか? 平日は鍛錬に割いて土曜と日曜に重点的に攻略しよう」

「やっぱ毎日はあれでしたね。じゃあそのようにします!」

「じゃあSNSと電話番号交換しようか」

 

 二人はネクサスギアを使いラインと電話番号を攻略した。

 ついでにダンジョンパーティ用のラインを作った。

 

「それじゃあ土曜日の九時、ダンジョンに集合しようか」

「はい! お願いします! 先輩!」

 

 先輩、という響きにカーラは笑みを浮かべるのだった。

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