ハイスクールD×D〜刹那と獣と水銀と〜 作:Campus#R
一週間後
特に何事も無く日常が過ぎていった。今日も学校、登校中である。
「おはようございます一誠君。」
「ああ、おはよう。十哉は?」
「さぁ?一誠君と一緒だとおもってたのでわかりませんね。
…堕天使の様子はどうですか?」
「予想以上に大人しくしてる。最低限の食事も与えてるし問題ないだろ。」
「なら大丈夫ですね。しかしこの一週間は動きがありませんでしたね。」
「確かに拍子抜けする位何も無かったな。このまま何も無ければ……そんなことはないか。」
今いる地点からそう遠くない所で覚えのある魔力反応。
「ははは…この魔力は確実に十哉君ですね。よくよく考えれば当たり前です。というより、むしろ一週間何も無かったのが不思議なほどです。」
「全くだ。って俺との取り決めはどうなったよおい。」
「完全に頭から飛んでるでしょうねぇ…。」
これから絶対に面倒な事になると諦めながら、二人は十哉の元へと向かったのだった。
ドーナシークside
レイナーレ様が失踪してから一週間が経った。人一倍私達の事を気にかけるお人だ、こんなに長い期間何の連絡もないのはおかしい。そう思って私は今朝早くから駒王町を捜索している。カラワーナやミッテルトも「ほっとけばそのうち戻ってくる」と言いながら心配する素振りを見せていたのだ。尚更早く見つけないとまずいだろう。
「ここか…」
そうやって辿り着いたのはとある公園。レイナーレ様の魔力残滓が色濃く残っていた場所だ。
(ここに来ていたのはほぼ確実な筈だ。ということは、ここを起点に周辺を探れば「何してるんだおっさん?」っ!)
急いで振り返った。考え事をしていたとはいえ、気配に全く気が付かなかった。
だが、
振り向いてはならなかった。高校生と思われるその青年を、私は黄金の獣に幻視した。
「真昼間からコート着込んで探し物か?流石に怪し過ぎるな。ま、そんなこと言いながらあんたが堕天使ってことはわかってるぜ?」
それを聞いて戦闘態勢に移行するドーナシーク。正体がバレたのだ。カマをかけた可能性もあるが、一般人が堕天使などと普通呼ばない。
それを見て十哉は内心歓喜していた。久々の人外との戦い、一誠や永兎との模擬戦も楽しいのだが、流石にマンネリ感が否めない。それに
(いいね。こんなに早くに堕天使見つけれるとは思っても見なかった。)
元々彼らの使う『光』の使い方に十哉は非常に興味を持っていた。確かに彼は大体の武術も武器も扱える。もし初見でもスペックによっては相手より高い精度で自分の物とすることも可能だ。しかし、十哉は生前槍を使っていた。あらゆる武器や武術に手を出してみた物の、やはり槍がシックリくるのだ。その点、堕天使の扱う『光』の力は非常に応用が利く。槍にするにも持ってこいなのだ。
(『光』の力を使うのは恐らく生まれつきの人外に限られる。人間が扱うことは無理とは言わないだろうが、少し時間がかかる。なら)
「なぁ堕天使さん?普通に戦うだけじゃつまらない。ここは一つ賭けをしないか?」
「賭けだと?」
「ああ。そっちが勝てば俺は確実にあんたが欲しがってる情報を渡す。」
「はっ!たかが人間が何を「レイナーレ…」っ!」
「どう?信用する気になった?」
「…………いいだろう。貴様のその賭けとやらに乗ってやろう。で?貴様がもし、万が一にでも勝てた場合はどうする気だ?」
「随分と下に見られてるなぁ。俺が勝った場合、あんたの隷属だ。」
「ハハハハハ!隷属とはまた大きく出たな。いいだろう。始めようか。」
「言質は取った。後から無しにしてくれなんて言うなよ堕天使!」
「ほざけ小僧!」
現場へと走る一誠と十哉。
「あーあ。派手にやってら。」
「完全に結界を張るという認識が吹っ飛んでますね。近づけば近づくほど音が派手になってます。これはもう確実に気づかれたでしょうね。」
「……しょうがない。腹は括りますか。」
「そうです…っ!」
突然永兎が立ち止まる。
「どうした永t「…彼女です。」は?」
「ああ!これは紛れもなく彼女の魂!ようやく女神が私の元へと来てくださったのですね!待っててください。今すぐ余計な輩が付かないよう駆けつけますので!」
その瞬間、転移魔法で何処かへ去って行く永兎。一誠はそれをぽかーんと見つめることしか出来なかった。
「
虚空より現れる対戦車擲弾発射器。それを躊躇なく引くが、その弾頭は堕天使に着弾する前に光の槍にて相殺される。
「ぬう!銃火器を創造する『神器|セイクリッド・ギア》』。先程の自信、これによるものか!」
「そう思ってくれて構わない!」
ゾロターンMG30機関銃を持ち銃弾をばら撒く。
ドーナシークは本来なら受け止める代物ではあるが、
(このままでは千日手か。ならば!)
ドーナシークは翼を羽ばたかせ機関銃の射程外まで離脱すると、20の光の槍を作る。複数作ったのはもちろん相手が人間だからだ。いくら回避が上手かろうと当たれば終わり。所詮人だ。
「精々耐えろよ小僧ォ!」
その声に降り注ぐ光の槍。流石に銃火器を呼び出せるとは言え、パンツァーファウスト一発程に匹敵する槍複数となると手数が足りない。故に
「『緋々色金』」
もう一つの聖遺物を併用させ手数を増やす。視線を向けた光の槍は急に発火し消滅する。残った槍は三度出現したパンツァーファウストによって相殺された。
「一人空飛んでるのはズルいな?そっから引き摺り下ろさせて頂こう!『
縄がドーナシークの首に巻き付き、十哉は思い切りそれを引っ張り地へと落とした。
「ガッ!」
頭から思い切り落とされたドーナシークは脳震盪によりすぐには動けない。衝突直前に全力の抵抗をしたが、抑えれたのはそこまでだった。
十哉は頭にゾロターンMG30機関銃を突き付ける。
「勝負ありだ。約束は守れよ堕天使。」
「ぐぅ……。」
悔しさと情けなさが入り混じり黙り込むドーナシーク。
「……なぁ堕天使よ。貴殿は今の現状を悔やんでいるか?」
「な、何を…。」
「何、そういった風に表情が読み取れたのでな。貴殿は今、たかが人間に負けた事に加え、有力な情報を仲間へと持ち帰る事すら出来なかった。ま、それだけではないだろう。
卿は恐らく今までもこのように上の者達にこのような事をされていたのだろう?散々媚びを売った者には罵られ、虐げられ、それを仲間達と共に支えながら今まで来たのだろう?それを全て才能などと理由を付け逃げた。それを悔やんでいるのだろう?」
その言葉に思い浮かぶのは上級堕天使に媚びを売る自分。罵られる自分。虐げられる自分。そして男なのに女性に支えてもらう自分。
そしてそれを才能のせいにし、諦めた自分。
知らず知らずの内にドーナシークは唇を噛み締め、手は固く握られていた。
「もう一度聞こう。卿はそれを悔やんではいないのか?今の周りに、環境に!そしてそれを受け入れていた自分自信に!」
「……悔しい。悔しい!強さが欲しい!俺はっ!」
そうだ。何で諦めた。どうして立ち止まった。何故足掻かなかった。俺はどうしたいのか。
「俺はっ…勝ちたいっ!」
周囲に、自分に、もう二度と負けたくない。
「その気概やよし!ならば今一度、我が元で研鑽を積むがいい。そして見返せ!己が全てを!貴殿を我がレギオンに加わる事を許そう!永遠の闘争の中で己が強さを見つけよ!」
その声と共に堕天使の手に現れる聖痕。これでドーナシークは完全に十哉のレギオンと化した。
足元から霧状になりゆっくりと消えていく。
「…最後に聞かせてくれ。レイナーレ様は無事か。」
「それに関しては俺よりあいつの方が適任だ。な、一誠?」
「気づいてたのかよ。」
木陰から出てくるのは一誠。少し前に着いてはいたのだが、十哉が熱弁している最中だったので入りに行くタイミングを完全に見失っていたのだ。
「レイナーレは無事だ。最低限の食事等もやってるから安心してくれ。一応拘束はしてるがな。」
「そうか。こんなことをいえる立場でも、ましてや敵に言うことでもないが、よろしく頼む。」
「ああ。わかった。」
それを最後にドーナシークは消えた。
「さて十哉?この現状を説明してくれよ。何でこうなった?」
「あーそれはだな「奇遇ね。私もそれについて気になっていた所なの。」あれ?」
公園の入り口付近から歩いて来たのはリアス・グレモリー。駒王学園三年にしてオカルト研究部部長、そしてグレモリー眷属を率いる貴族悪魔だった。
「結界ってそんな簡単に壊れたっけ?」
「馬鹿、最初から張ってないだろそんなもの。」
「え?………あっ。」
「…お前は。」
「あの、話聞いてるかしら?」
今回の聖遺物、活動位階紹介
ドーラの列車砲以外の武器(積み込んであった物に限る)を使用できる。ただし一度に一つ。
緋々色金
視線の先の対象物を燃やす。ただし、『視線を合わせる』という条件のため、人に使うには少々不便。
首吊りのための縄を呼び出し相手に巻きつける。
形成(笑)さんの活動が適当だって?これしか思い浮かばなかったんです。すみません。あと、作者は兵器等にはそこまで詳しくありません。ドイツ兵器でゲーム内で聞いた物、有名な物を出しています。
ザミエル姉さんの活動は、聖遺物が『列車砲は警備、整備などをする4000人必要』という面を用いました。そのため、警備、自衛の為に銃火器を複数積んでいたという考えです。
6/3修正しました