ハイスクールD×D〜刹那と獣と水銀と〜 作:Campus#R
向かいのソファに腰掛けたリアス・グレモリーが口を開く。
「さて、今朝のことを聞きましょうか。」
「客人待たせておいてよくそんな態度がとれるな。」
そう言い放つ一誠。話を切り出してきたグレモリーだが、わざわざ呼んでおいて偉そうにされるのはさすがに頭にくる。詫びの一つでも入れればその後は少しは友好的に進んだであろうが、
「あら。
まったく悪びれるそぶりもない。むしろ何故そんな事を言うの?と言ったように不思議に首を傾げている。
この時点で二人から友好的という選択肢は消えた。
「………あぁそうかい。わかった始めようか。」
「理解してくれたようで嬉しいわ。」
「まあね。俺もそこまで馬鹿じゃない。(諸悪の根源叩いてからの行動で判断するが、それ抜きにしても仲良くはしたくないな。)」
「そちらとは是非、友好的にしたいしな。(同感だ。情報も最低開示、てかここに
そして今後の方針も決まった。
神井は後ろでニヤニヤと笑っている。
「ではまず、今朝の事とそれについての経緯を教えてもらえるかしら?」
「ええ…………グレモリー先輩は朝の件、何処まで見ましたか?」
「そうね…………私が見たのは殆ど終わりも同然だったわね。満足気な笑みを浮かべながら消えていった所は見たわ。」
「……ま、大体それが全貌だ。朝の登校中に俺が堕天使に遭遇、そのまま戦闘になった。向こうはどうやら、えっと
この言葉に眉をひそめる神井。
「あら、貴方達神器について知っているの?」
「いや、今日戦闘した堕天使が教えてくれた。まぁ昔から俺たちは、なんでこんなことができるのか不思議だったから疑問が解決したよ。」
「俺たち…ということは兵藤君も?」
「ああ、それらしいものは一応。」
そう。一誠達は『神器持ちの人間だが、その存在や、それに関係する事を知らなかった一般人』としての立場とすることにしたのだ。
「なるほど。どんな神器か気になる所だけど無理な詮索はマナー違反ね。さっきの言葉からすると裏のことは知らないのね?」
「裏…というと、堕天使のような存在の事か?」
「そう。この世界には堕天使以外にも様々な種族がいるわ。天使、堕天使、悪魔、妖怪、魔法使い、モンスター、ドラゴン、数えればキリが無いわね。すぐには信じて貰えないかもだけど…でも今朝実際に見てもらってるわね。」
「…確かに、にわかには信じがたいけど信用するしかないですね。では先輩方は何故このような集まりを?裏についても知ってて俺たちをここに呼んだんだ。何か理由があるんだろ?」
「あら察しがいいわね。そう、私達は貴方達の言ったようにある目的でここに集まっているわ。」
「目的?」
「ええ。私達部員は全員、
「「⁉︎」」
二人は内心驚きを隠せなかった。
が、冷静になればその通りだ。さっきまで一般人と大して変わらなかった後輩に、面と向かっていきなり『私達は悪魔なのよ。』というのも可笑しな話だ。どうやらグレモリー側も正体は隠すつもりらしい。
「私達はその力を使ってこの街を守っているわ。街に流れ着いたはぐれ悪魔や堕天使なんかを狩ってね。所謂秘密結社みたいなものね。」
「なるほど。つまりは勧誘か。その秘密結社に加わって欲しいと?」
「その通りよ。正直最近になってこの街に手を出す輩が増えていてね。だから人手は多いに越したことはないのよ。その点、堕天使を倒した松田君や、その友人で神器持ちの兵藤君はこちらにとって貴重な戦力となるわ。」
「何故手を出す輩が?ここは普通の街の筈だ。」
「……正直言ってそれについてはわからないわ。現に今日席を外している朱乃には、それについて調べさせているわ。」
「そうなのか…。(どうする十哉?)」
「(どうしたもこうしたも結論は出てるんだろ?)」
「(……そうだな。)」
「で、どうかしら?無理に、とは言わないんだけどオカルト研究部に入ってくれるととても助かるわ。」
「……悪いけど断らせてもらいます。」
「そう…理由を聞いても?」
「そっちに加わるメリットがない。こっちは自衛の手段をもう持ってる。今日の朝の事から人外倒すくらい訳はない。他に困っていることもないし。」
「あら?貴方達二人、もう一人いるんだったわね。三人でどうにかなると思ってるの?」
「………っく。はははは。」
リアス・グレモリーの言葉に十哉が小さく笑いを零す。
「どうしたのかしら、松田十哉君?」
気にくわないという雰囲気で十哉に尋ねる。
「いや。今ので尚更あんた達とは組みたくないと思ったんだよ。自分の実力も、相手の力量も
(自分で危険に突っ込む奴の台詞じゃないよな。)
口には出さないがそうツッコミたい一誠。
「っ!貴方ね「まぁ待てリアスぅ。」皇帝様。」
((うげ…。))
「向こうは自分達だけで良いって言ってるんだぁ。それなら彼らとは別に行動した方が効率が良いだろぉ?どうやら危険が及べば動いてくれるようだしなぁ。とりあえずお互い顔が知れたってことで今日はいいんじゃないかぁ?」
「……わかりました。皇帝様の仰る通りに。」
「そういうことだ一誠ぃ。
「(これからも何も今までにも無かったが)そうか。なら今日の所は失礼する。それと俺の、を強調したが別に興味もないからな。」
「そうかいぃ。それなら安心だぁ。」
下品な笑みを浮かべながら神井は目を閉じた。
バタン
「……疲れた。」
「全くだ。二度とここには来たくないな。」
オカルト研究部の部室から出た二人は揃って溜め息を吐いた。
「そして結局来なかったな永斗。」
「まぁ本来そんなやつだ。心配の必要は無いだろ。」
「いや心配は一切してない。てか十哉も難しいことを。俺たちの力の見極めとか無理に決まってるだろ。」
「いいだろ?向こうが格下なのは事実だしな。」
そんな会話をしながら旧校舎を出た時だった。
「うぇ⁉︎」
ヒトガタの紙が飛んできて一誠の顔に貼り付いた。そのせいで驚いた一誠はついつい可笑しな悲鳴を上げてしまったが…。
「…これ永斗の式か?なんでこんなの…。」
疑問もそのまま、紙は剥がれると二人を先導するように飛んで行く。
「着いてこいってことか。どうする一誠?」
「……流石に行こう。普段の永斗ならこんな回りくどいことはしない筈だからな。大丈夫だとは思うが事情があるんだろ。」
二人はおとなしく紙の飛ぶ方へとついていった。
「これで良かったのですか皇帝様?」
オカルト研究部の部室ではリアスと神井が絡んでいた。既にこの場には木場と塔城はいない。先程の対談が終わり次第リアス・グレモリーが帰らせたのだ。
「問題ないぃ。むしろ良くやってくれたよリアスぅ。」
「あぁ、ありがとうございます皇帝様。しかし、先程とやり取りで何が分かったのですか?」
「なぁに、こちらの事だぁ。リアスは気にしなくて大丈夫だぜぇ?」
「もう、イケズねぇ。」
そんな時、
「皇帝様。只今戻りましたわ。」
転移魔法陣により今日一日居なかった姫島朱乃が現れる。
「ああ朱乃かぁ。どうだったぁ?」
「はい。どうやら三人共今と大して変わらないようですわ。特に目立った噂や悪評価等も聞きませんでした。そして彼らと積極的に関わっていた人もいませんでしたわ。基本的にあの三人で行動していたようですね。」
「そうかぁ…そうかそうかぁ!良くやったぞ朱乃ぉ。これで心置きなく殺ることができるぅ。」
「全ては皇帝様の為に、ですわ。」
その言葉に頬が裂けるほど口元を歪めた神井は内心で大いに笑った。見目麗しい美女二人が自分の前に傅いている事が。兵藤一誠、松田十哉、元浜永斗が転生者であると確信したが故に。
神井は他にも転生者がいることを知っていた。転生前に神(彼はそう呼んでいる)に聞いていたのだ。ただし人数まで聞いていなかったが。
先程会話している時に彼はリアス・グレモリーにある事を言っていた。それは『こちらから人外に関する情報を喋らずに会話を進めること』。現にリアス・グレモリーは一切堕天使とは一言も話していないのに十哉は『堕天使と遭遇した』や、『神器を狙われた』との証言を得た。
しかしこれだけでは不確定である。彼らの言った通り戦った堕天使が喋ったという可能性があるためだ。しかし神井の中ではこの時点で黒に近い灰色というべき立場として捉えていた。
それを後押ししたのが朱乃の情報である。神井はこの世界が『ハイスクールD×D』だと転生の時点で教えられていたため知っていた。転生者だとすれば、他ならぬ昔の自分と同じ。つまり精神年齢的に周りに馴染むことが出来ず、孤立するのだ。そして自然と同じような者が集まる。人とはそういうものだ。
そして一誠の態度。おっぱい好きの変態で無ければ、覗きで女子に追いかけ回される事もない。学校でエロ本を広げた噂も聞かない。止めにリアス・グレモリーに何の反応も示さなかった。原作では一目で恋に落ち、一生を賭けて守ると誓った相手をだ。
(クハハハハ!こうも簡単に事が運ぶとはなぁ!能力を使う必要も無かったかぁ。この程度に気づかないとは奴らの力量も知れたなぁ。だが、現時点で下級堕天使風情を殺せるのは予想外だぁ。少し考えを改める必要がありそうだが、問題ないだろうぅ。
さぁて、奴らをどこで消してやろうかぁ。アニメや原作から察するにぃ?アーシアの神器を堕天使が奪うのはそろそろだろうぅ。そこで一緒に消すとするかぁ。来ない可能性もあるがその時はその時だぁ。)
「クククッ…ハーッハハハハハハハハハハ!」
オカルト研究部の部室に響く高笑い。その発信源の眼には、赤い鳥の模様が浮かび上がっていた。
「ところで十哉?あっちが何か探ってたのは気づいてたか?」
「当たり前だろ?あんな未熟な聞き出し方で怪しまない方が不自然だろ。別に今日向こうに教えたことは、こっちにも損はないだろ?」
「それもそうだな。」
アンチは無いよ?本当だよ?でも追加した方が良いんでしょうか。よくわかりません。
そしてあんなに決めた感じを出していたのに残念な神井。
まぁ知ってた。
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