ヒロアカ✖️K   作:SUZUTA

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個性把握テスト

NO,side

懐かしい夢を見た。アンナがいて、尊さんがいて、吠舞羅のみんながいたあの頃の夢。目を覚ましてもしばらくの間余韻に浸っていたけれど、ふと視界に入った時計に息を呑む。次の瞬間、ぼんやりしていた意識が、一気に引き戻された。 

「......やばい」

ベッドから跳ね起きると冷たい水で顔を洗い、無理やり眠気を振り払う。制服に袖を通しながら、どこか現実に戻り切らない感覚が胸に残ったままだ。 

「行ってきます」

誰もいない店内に声をかけると、静かな空気がわずかに揺れた気がした。外に出た瞬間、朝の空気が肌に触れる。バー『HOMRA』を背に、駅までの道を駆け出した。

 

瑠花が教室に着くと、扉の前で3人の生徒が話していた。

「プレゼントマイクの言ってた通り受かったんだね!!そりゃそうだ!!パンチ凄かったもん!!」

「いや!あの…!本っ当あなたの直談判のおかげで…ぼくは…その…」

「話してるところごめん。そこどいてくれる?」

「「え?」」

声をかけられて振り向くと、小柄な少女が立っていた。肩で切り揃えられた黒髪がさらりと揺れる。

「「あ......ごめん」」

道を塞いでいたことに気がついた二人は、慌てて道を開けた。

「すまない。扉の前で話し込んでしまって。俺は私立聡明中学出身飯田天哉だ」

「柊瑠花。それより、もう先生来てるから早く席に座った方が良いよ」

そう言った直後「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」と声が響いた。

「ここは…ヒーロー科だぞ」

教室の入り口には寝袋に身を包み、ゼリー飲料を一気飲みしているどこからどう見ても不審者にしか見えない男がいた。

(((なんか!!!いるぅぅ!!!)))

「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね」

(((先生!!?)))

「てことは…この人もプロヒーロー…?」

でもこんな人見たことないぞと緑谷が不思議に思っていると

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

(((担任!!?)))

クラスの全員が驚いていると、「早速だが、コレ着てグラウンドにでろ」と相澤が寝袋の中から体操服を取り出した。

 

 

瑠花side

「「「個性把握テスト…テスト!?」」」

グラウンドに集合した私たちは先生の唐突な言葉に驚いていた。 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事出る時間ないよ」

茶髪のショートボブの子の質問を一刀両断した先生はさらに説明を続けた。

「雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは"先生側"もまた然り。」

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈。中学の頃からやってるだろう?"個性"禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けてる。合理的じゃない」 

「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった?」

「67m」

素の身体能力でそれってすごくない?と私が驚いていると先生が爆豪君にボールを渡していた

「じゃあ個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。」

爆豪君が「じゃあまぁ」と投げる構えを取ると「死ねえ!!!」という掛け声と共にボールがすごい勢いで飛んでいった。

「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

そう言いながら結果を見せると、そこには705mというとんでもない結果がでていた。

「何だこれ!!すげー面白そう!!」「705mってマジかよ」

「個性思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」

生徒たちは口々にそう言うと、面白そうという言葉に先生が反応した。

「……面白そう…か」

「ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

「よし。トータル成績最下位の者は、見込みなしと判断し、除籍処分としよう」

「「「はあああ!?」」」

先生の突然の宣言にみんな驚いている。最下位は除籍なんて急に言われたらそれは驚くか。 

「最下位除籍って…!。入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても…理不尽すぎる!!」

さっきの茶髪の子(麗日さんというらしい)が先生に抗議するが、

「自然災害…大事故…身勝手な敵たち。いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれている。そういうピンチを覆していくのがヒーロー。」とこれもバッサリ両断した。

「放課後、マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。」

「"Plus Ultra"さ。全力で乗り越えて来い」

正論だね。これぐらい乗り越えられないようなら、ヒーローなんてなれないだろうね。まぁ、私はヒーローになんてなる気はないけど。ここに来たのだって、アンナの言葉(・・・・・・)あったからだし。最下位にならない程度に頑張るか。入試でやりすぎたせいで、特待生なんて面倒なのになっちゃったし。なったからには、ある程度の好成績は残さないと。

 

50m走から始まり、握力、立ち幅跳びと順調に進んでいるなかで、1人だけ気になる生徒がいた。緑谷出久。彼はまだ、一度も個性を使っていない。このままだと除籍になっちゃうけど大丈夫かな?

 

「緑谷君は、このままだとマズいぞ…?」

「ったりめーだ。無個性のザコだぞ!」

 

その会話の内容に私は疑問をもった。妙だな。あの試験は簡単ではあったけど、無個性の人間に突破できるような難易度ではなかった。身体能力やそれ以外に何か秀でているわけでも無さそうだ。そう思考ていると、緑谷君がボールを投げていた。

「46m」

「な…今確かに使おうって…」

「個性を消した。」

 

個性を抹消する…。私のこの王の力も消してくれたりしないかな。なんて考えながら、私は爆豪君に話しかけた。

「ねぇ、爆豪君」

「あ?何だよチビ女」

「(チビ女って、人が気にしてることを)緑谷君ってさ本当に無個性なんだよね」

「だから、何だよ」

「じゃあなんで…相澤先生は個性を消す個性を緑谷君に使ったの?」

私の言葉に爆豪君は目を見開き、急いで緑谷君の方を見た。次の瞬間、緑谷君は凄い勢いでボールを投げた。 

「あの痛み…程じゃない!!」

「先生……!まだ……動けます」

 

なるほど。自壊するほどのパワー。今まで使わなかったわけだ。そして、そのパワーを腕じゃなくて指先に集中させ、最小限の負傷に留めた。緑谷君、なかなか面白いね。相澤先生も似たようなことを思ったのか笑みを浮かべていた。けど、私の横にいる爆豪君は目と口を開き、驚愕していた。

「(何だあれ…!!個性の発現はもれなく4歳までだ!ありえねぇ…!けど実際…!!)」

「どーいうことだ、こら。ワケを言えデクてめぇ!!」

「うわああ!!!」

 

爆豪君が緑谷君に襲いかかるが、私が後ろから爆豪君の右手腕を掴んで止めた。爆豪君はもう片方の手で攻撃攻撃しようとするが、私はそれを掴んだ腕を軸に回転しながらジャンプすることで避け、後ろに着地した後、爆豪君を押さえつけた。

「少し落ち着きなよ。爆豪君。」

「離せ!チビ女!!(何だこいつ!!力づくで解こうとしてもびくともしねぇ…!!」

「やめろ、二人とも」

そう言うながら、個性を発動した相澤先生が近づいてきた。

「ったく。何度も個性使わすなよ…」

「俺はドライアイなんだ」

(((個性すごいのにもったいない))) クラスの全員がそう思った

 

「時間がもったいない。次準備しろ。柊、爆豪を離せ」

「わかりました」

 

そう言って拘束を解いた私は次の場所へ向かった。

 

残りの種目も問題なく終え、全種目が終了した。

 

「んじゃ。パパッと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので、一括開示する」

 

結果発表のホログラムを出しながら相澤先生は続けて言った。

「ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

「「「はーーーーー!!!!??」」

 

その言葉にほとんどの者が驚いた。

 

「あんなのウソに決まってるじゃない…。ちょっと考えればわかりますわ…」

八百万さんはそう言ってるが、あれは間違いなく本気だった。考えを変えた理由はおそらく緑谷君だな。アレがなかったら確実に除籍してた。

 

そんな事を考えながら、自分の結果を見た。7位か。まぁちょうど良いくらいの結果になったな。にしても、初日から凄かったな。これならしばらくは退屈せずに済みそうだ。そう思いながら、私は制服に着替え、荷物を持って、帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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