神ゲーなのに、今日も釣り日和   作:ひよこ大福

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千紫万紅の樹海窟

サードレマを出てしばらく進んだ先で、えびす天丼は足を止め、これまでの乾いた地形とも沼とも違う空気の濃さを感じ取りながら視線を巡らせ、色鮮やかな葉を持つ木々と絡み合う根や蔦、そしてその隙間を縫うように流れる水の筋が重なり合って広がるこの場所が単なる森ではなく洞窟と森林が混ざり合ったような立体的な構造を持つエリアであることを理解する。

 

「……雰囲気変わったな」

 

そう呟きながら足を踏み入れると、地面はしっかりしているものの湿り気を含んでいてところどころ滑る感触が返ってくるため、踏み込みの強さと重心の置き方を自然と調整しながら進むことになり、そのまま水の流れに沿って歩いていくと、やがて岩に囲まれた小さな川へと出る。

 

水は澄んでいて底まで見えるが、流れの中にはわずかに深くなっている場所や影が落ちている部分があり、そこだけ色が濃く沈んで見えることで魚が潜む場所として成立していることがはっきりと分かる。

 

「……いいな、ここ」

 

川辺に立ち、インベントリを開いて新しく手に入れたルアーを確認する。

 

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【ミノー】

【ポッパー】

【バイブレーション】

 

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「……まずはこれだな」

 

ミノーを取り出し、ロッドに装着して軽く振りながら感触を確かめると、水の抵抗をしっかり拾う感覚が手元に伝わり、無理に操作を加えなくても動きが出ることが分かる。

 

「……これなら流すだけでいいな」

 

立ち位置を調整し、流れの先にある影へと狙いを定めて振り抜くと、ルアーは水面に落ちて小さな波紋を広げ、そのまま流れに乗せながらゆっくりと巻き始める。

 

一定のリズムで伝わる振動。

 

水を切る感触。

 

「……ちゃんと泳いでる」

 

そのまま余計な動きを入れずに影の際を通していくと、わずかに手元に違和感が走る。

 

「……触ったか」

 

すぐには合わせず一度止め、そのまま少しだけ動かした瞬間に明確に引きが強くなる。

 

「……今だな」

 

合わせる。

 

ロッドがしなる。

 

ラインが張る。

 

「……いいな」

 

魚が暴れるが無理に引かず流れに任せながらいなし、時間をかけて少しずつ寄せていくと、水面に影が浮かび上がる。

 

「……来たな」

 

引き上げる。

 

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【中型魚を釣り上げました】

【魚図鑑が更新されました】

 

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表示を確認する。

 

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【翠流イワナ】

 

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「……いいな」

 

軽く頷きながらインベントリに収めると、同じ場所へもう一度投げるが反応はなく、流れと影の関係を考えながらその場に留まり続ける意味がないと判断してルアーを回収する。

 

「……変えるか」

 

ポッパーを取り出し、水面用の軽さを指先で確かめながらロッドに装着して投げると、着水と同時に浮かび上がり、軽く引くだけで水面が弾けるような音と波紋が広がる。

 

「……分かりやすいな」

 

小刻みに動かして止めるという動作を繰り返すと、水面が突然割れて飛び出すように反応が出る。

 

「……来たな」

 

合わせるが引きは軽く、そのまま寄せるとすぐに水面へ浮かび上がる。

 

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【小型魚を釣り上げました】

 

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「……やっぱり小さいな」

 

ポッパーを戻し、次にバイブレーションを取り出して重さを確かめながら装着し、流れのやや深い場所へと投げ込むと、そのまま沈んでいく感覚がラインを通して伝わる。

 

「……底か」

 

少し待ってから巻き始めると、底を擦るような重い感触が返ってきて、障害物に引っかかりそうな気配を感じながら慎重に動かしていくが反応はなく、この場所ではリスクの方が大きいと判断してすぐに回収する。

 

「……場所選ぶな」

 

そう呟きながら再びミノーに戻し、今度は流れの中心ではなく、少し外れた影の深い場所を狙って投げると、水の流れがわずかに緩む位置でルアーの動きが変わるのが手元に伝わる。

 

「……ここだな」

 

そのまま巻き続けると、これまでより明確に重い引きが伝わる。

 

「……来たな」

 

合わせる。

 

ロッドが大きくしなる。

 

ラインが引き出される。

 

「……これはいいな」

 

無理に引かず、魚の動きに合わせていなしながら体勢を維持し、時間をかけて少しずつ寄せていくと、水面に浮かび上がる影が先ほどより明らかに大きいことが分かる。

 

「……でかいな」

 

そのまま引き上げる。

 

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【中型魚を釣り上げました】

【魚図鑑が更新されました】

 

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表示を確認する。

 

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【紫鱗ヤマメ】

 

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水面に浮かび上がった体は、光の加減で鱗がわずかに紫に揺れて見え、その見た目だけでも他とは違うことが分かる。

 

「……当たりだな」

 

そう呟きながら魚をインベントリへ収め、えびす天丼は再び水面へと視線を向ける。

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