サードレマの通りを抜けて外へ出たえびす天丼は、インベントリに収めたばかりの調理器具の重みを意識しながら歩きつつ、釣りと料理が繋がったことでこれまでよりも行動の幅が広がったことを実感し、その流れを途切れさせないためにも再び千紫万紅の樹海窟へと足を向ける。
樹海窟へ入ると湿った空気と独特の植物の匂いが広がり、木々の隙間から差し込む光が水面に揺れている様子を確認しながら川辺へと降り立ち、流れの強さや影の位置を見極めることで魚の溜まりやすい場所を判断しつつ、無駄に歩き回るのではなく狙いを絞ることで効率よく釣ることを意識する。
「……この辺か」
そう呟きながらミノーを装着し、流れの奥にある影へと狙いを定めて投げると、ルアーは水面に小さな波紋を残して沈みかけながら流れに乗り、そのまま一定のリズムで巻くことで水中での動きを安定させると、影に差し掛かった瞬間にわずかな違和感が手元に伝わる。
「……触ったな」
すぐに合わせず一瞬待ち、その後にしっかりと合わせることでロッドに重みが乗り、魚が流れに乗って抵抗するのを無理に止めずにいなしながら寄せていくことで、安定したやり取りのまま一匹目を釣り上げる。
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【中型魚を釣り上げました】
【翠流イワナ】
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既に知っている魚であるため表示は簡潔で、そのままインベントリに収めると同じ場所にもう一度投げるのではなく少し位置をずらし、影の角度と流れの変化を見ながら次の一投を決める。
二匹目は流れの境目で食いつき、先ほどよりも軽い引きではあるが無駄に暴れないため短時間で寄せることができ、同じ魚でも反応の出方や引きに差があることを確認しながらそのまま三匹目、四匹目と釣果を重ねていく。
四匹目は少し強い引きを見せ、流れの中心へ逃げようとする動きをロッドの角度で制御しながら時間をかけて寄せることで一回り大きい個体を釣り上げる。
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【中型魚を釣り上げました】
【紫鱗ヤマメ】
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「……こんなもんか」
インベントリに複数の魚が揃ったところで釣りを切り上げ、そのまま川から少し離れた平らな場所へ移動すると、周囲の安全を軽く確認してから調理器具を取り出し、地面に安定させるように設置することでその場で調理ができる状態を整える。
「……ここでやるか」
魚を一匹取り出し、店でやった工程を思い出しながら火を起こすが、屋外であるため火の揺れが一定ではなく、風の影響で熱の当たり方が変わることにすぐに気づき、同じ手順でも環境が違えば結果が変わることを意識する。
最初の一匹はその違いに対応しきれず、火の強さが変わるたびに判断が遅れ、結果として片面を焼きすぎてしまい、反対側は火が弱くなったタイミングで焼いてしまったことで中途半端な仕上がりになる。
「……やっぱり簡単じゃないな」
原因を整理しながら二匹目に取りかかり、火との距離を一定に保つのではなく状況に合わせて位置を細かく動かすことで均一に熱を通すことを意識しながら焼き進めると、見た目としては整うが食べた瞬間に味が薄く感じられることで塩の振り方が甘いことに気づく。
三匹目は塩を多めに振り、同じ焼き方で仕上げるが今度は味が強く出すぎてしまい、素材の風味よりも塩気が前に出ることでバランスが崩れるため、単純な増減ではなく細かい調整が必要であることを実感する。
四匹目は塩の量を少し抑えながら火の位置も調整し、焼きすぎないように注意して返すタイミングを見極めることで味と食感のバランスが近づくが、まだわずかにズレがあることを感じる。
五匹目はそのズレを埋めるために塩の量をほんの少しだけ増やしつつ焼き時間も調整し、火の当たり方を均一にするためにこまめに位置を変えながら焼き上げることで、味と食感の両方が揃い始める。
六匹目はこれまでの感覚をそのまま再現するように意識しながら焼き上げることで安定した仕上がりになり、さらにもう一匹で同じ結果が出るかを確認することで再現性があることを確かめる。
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【焼き魚(良)】
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「……いけるな」
釣る、焼く、調整するという一連の流れが自然に繋がった瞬間、これまで別々だった行動が一つの流れとして成立した感覚があり、その積み重ねがそのまま結果として現れたことを実感する。
その感覚を確かめるようにもう一度同じ手順で焼き上げた瞬間、視界の端に表示が現れる。
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【料理スキルを習得しました】
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「……来たな」
表示を見て軽く息を吐きながら、ここまでの試行錯誤がそのまま形になったことに納得し、ただ繰り返しただけではなく判断と調整を重ねたことが意味を持っていたことを実感する。
残った魚と道具を片付けながら、これで釣ったものをその場で処理できるようになったことを改めて理解し、行動の幅が一段広がったことを感じる。
「……これで回せるな」
そう呟きながら川の方へ視線を向けると、さっきまでと同じ景色が少し違って見えることに気づきながら、えびす天丼は次に何を試すかを考え始めた。