神ゲーなのに、今日も釣り日和   作:ひよこ大福

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湖の主の食材

湖喰いのルミナスガルとの戦闘を終えたあと、えびす天丼は湖畔へ腰を下ろしたまましばらく荒くなった呼吸を整えていたが、釣り上げた直後にそのまま戦闘へ移行するとは思っていなかったせいで疲労感は想像以上に大きく、それでも静かな湖を見ていると嫌な疲れ方ではなく、むしろ“やり切った”側の感覚が強く残っていることに気づき、自然と肩の力が抜けていく。

 

「……いや、ほんとにびっくりしたな」

 

そう呟きながら視線を落とす。

 

湖畔へ横たわるルミナスガルの巨体は、動かなくなった今でも異様な存在感を放っており、淡く発光する鱗と鋭い牙は普通の魚というよりモンスターとしての印象を強く感じさせる。

 

「……ネームドって、こんなのまでいるんだな」

 

そう言いながらドロップウィンドウを開き、表示されたアイテムへ視線を向ける。

 

---

 

【湖喰いのルミナスガルの上質肉】

【発光鱗】

【鋭牙】

 

---

 

「……あ、食材あるんだ」

 

思わずそう漏れる。

 

ネームドモンスターだったため、てっきり素材系だけが落ちるものだと思っていたが、しっかり食材も含まれていることに少し驚きながらアイテム詳細を開く。

 

---

 

【湖喰いのルミナスガルの上質肉】

ネームドモンスター《湖喰いのルミナスガル》から取れる希少食材。

淡い魔力を含んでおり、加熱することで強い旨味を引き出せる。

 

---

 

「……絶対うまいやつだろこれ」

 

自然と口元が緩む。

 

釣りを始めてから料理にも興味を持つようになり、最近では“どう食べるか”まで含めて行動を考えるようになっていたが、ネームドモンスターの食材ともなれば期待しない方が難しい。

 

そのまま他のドロップも確認する。

 

発光鱗は素材アイテム。

 

鋭牙も武器やアクセサリ用の加工素材らしい。

 

「……ちゃんと素材も落ちるんだな」

 

そう呟きながらインベントリへ収納し、それから改めてステータス画面を開く。

 

---

 

————————————

 

PN:えびす天丼

 

LV:19

 

JOB:レンジャー

 

所持金:4200マーニ

 

HP(体力):22

 

MP(魔力):12

 

STM(スタミナ):28

 

STR(筋力):11

 

DEX(器用):24

 

AGI(敏捷):18

 

TEC(技量):26

 

VIT(耐久力):10

 

LUC(幸運):21

 

スキル

 

・キャストコントロールLv.3

 

・ウォータースキャンLv.2

 

・クイックフッキングLv.2

 

・フィッシュファイトLv.2

 

・フィールドクッキングLv.1

 

・素材解体Lv.1

 

・エイムアシストLv.2

 

・ロングレンジLv.1

 

・ショートステップLv.1

 

装備

 

頭:無し

 

胴:湖沼鱗の軽装

 

腕:湖沼鱗の軽装

 

脚:湖沼鱗の軽装

 

足:湖沼鱗の軽装

 

武器:魔核共鳴弓

 

アクセサリー:無し

 

————————————

 

「……だいぶそれっぽくなってきたな」

 

最初はただ釣りをするつもりだったはずなのに、気づけば料理を覚え、ネームドモンスターと戦い、装備まで変わっている。

 

特にレンジャーというJOB表示は、今の自分の動き方にかなり合っている気がした。

 

弓を使い、探索し、採取して、釣りをして料理もする。

 

「……まぁ、方向性としては間違ってなさそうだな」

 

そう呟きながらステータスを閉じ、改めてルミナスガルの上質肉へ視線を向ける。

 

せっかくなら、この場で料理してみたい。

 

そう思った瞬間には、もうインベントリから調理器具を取り出していた。

 

湖畔へ簡易調理セットを設置する。

 

火を起こす。

 

周囲は静かだ。

 

水面に揺れる淡い光だけが、湖畔をぼんやり照らしている。

 

「……ここで料理するの、なんか贅沢だな」

 

そう言いながらルミナスガルの肉を取り出す。

 

普通の魚とは違う。

 

肉質がしっかりしている。

 

それでいて、ほんのわずかに青白い光を帯びている。

 

「……いや、本当に光ってるんだなこれ」

 

包丁を入れる。

 

感触は硬すぎず、それでいて弾力がある。

 

切った断面から透明感のある脂が滲み、見ただけでも質の良さが分かる。

 

「……これ、下手に味付けしない方が良さそうだな」

 

そう考え、まずは素材の味を見るために塩だけで焼くことに決める。

 

軽く塩を振る。

 

火へ乗せる。

 

ジュッ、と音が鳴る。

 

その瞬間、香りが一気に広がる。

 

「……うわ、なんだこれ」

 

普通の焼き魚とは違う。

 

香ばしいのに、どこか甘い匂いも混ざっている。

 

火を通していくうちに肉の表面がほんのり発光し始め、水色に近い光が弱く揺れる。

 

「……料理してるだけで面白いなこれ」

 

焼きすぎないように火加減を調整し、脂が落ちすぎないタイミングでひっくり返して均一に熱を通していく。

 

音が変わる。

 

匂いが強くなる。

 

焼き色も綺麗だ。

 

「……そろそろ良さそうかな」

 

そう呟きながら火から下ろし、軽く息を吹きかけてから口へ運ぶ。

 

次の瞬間。

 

「……あ、これめちゃくちゃうまいな」

 

思わず声が漏れる。

 

柔らかい。

 

だがただ柔らかいだけではなく、噛むたびに旨味が広がり、そのあとにほんの少しだけ冷たいような不思議な感覚が舌へ残る。

 

「……魚なのに、なんか肉っぽさもあるんだな」

 

それでいて脂はしつこくない。

 

普通の魚とも獣肉とも違う。

 

ネームドモンスターという特別さが、そのまま味へ出ているような感覚がある。

 

「……これ、ちゃんと料理覚えてて正解だったな」

 

そう呟きながらもう一口食べ、静かな湖を見渡す。

 

釣りをして、戦って、料理して食べる。

 

最初はただ生活系をやるつもりだったはずなのに、気づけば色んなことをやっている。

 

「……でも、こういうの結構好きなんだよな」

 

そう言いながら、えびす天丼はもう一度ルミナスガルの料理へ手を伸ばした。

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