ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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その心は何処へ向けられて

 

「今日のミッションの相手は四天王のカルパッチョだ」

「カルパッチョって言ったら、女の子のアバターだった人だっけ?」

 

 ドーラとの戦いから翌日。本日の相手はマイスターが言うようにカルパッチョだ。リンも対面したこともあってカルパッチョは印象に残っているのだろう。その外見に触れる。

 

「ああ。準決勝で戦った相手だな。カワイコちゃんだったからよーく覚えてるぜ」

「本当に、女の子に関してだけは物覚えがよろしいのですね」

 

 敵とはいえ、カルパッチョの外見はとても可愛らしい。その外見を思い出しては締まりのない笑みを見せているマシマにシーナは心から呆れたような溜息をつく。

 

「でも実際、彼女は凄い人気者やし、記憶に残りやすいんかも知れんなぁ。フリーダムフリートの中でも、プレイの配信動画の視聴者数はダントツなんやって」

「敵として相対する以上、注目すべきなのは人気よりも戦闘能力の方だ」

 

 タオ曰くフリーダムフリートの中でもダントツな人気を誇るというカルパッチョ。あの外見と小生意気な性格はある意味人気になれる素養はあるのかもしれない。しかしアータルの言うように敵として考えた時にはそれは関係のないことだ。

 

「確かに、操縦技術は天才的だったな。それにガンプラの方も良い仕上がりだった」

「奴のガンプラのベースはアビスガンダム……。水陸両用機体だ。となると恐らく水場での戦闘になるだろうな」

 

 マシマは実際にカルパッチョとバトルをした経験がある。だからこそその実力とガンプラの出来については警戒するべきなのは理解している。ライムの言うようにドローレスは水陸両用のアビスガンダムがベース。有利なバトルフィールドで待ち構えていることだろう。

 

「ガンプラの性能を最大限に生かせるような場所で待ち構えているってことだね」

「だが地の利は人の和に如かず、とも言う。例え地の利が向こうにあっても連携すれば後れは取らない筈だ」

 

 ミサが言うように地形を活かした戦いになるだろう。しかしこちらには水場に対応するようなガンプラはいない。それでもショウが言うように全くの不利になるということはないはずだ。

 

「そろそろアタシも出番が欲しいねー」

 

 メンバーの選出に悩んでいると、行き詰まりを感じたのか、ユカが名乗りを上げる。今ではベクルックスのリーダーであるユカ。6年前からブランクがあった彼女だが、今では6年前以上の実力があるだろう。

 

「ならばワタクシの出番ですわね。事実なのでわざわざ口にする事ではありませんがユカと一番相性が良いのはワタクシですもの」

「聞き捨てならないな。ユカと一番相性が良いのは僕だろう」

 

 ユカと誰が組むか。そうともなればいの一番に名乗りを上げるシオン。しかしそこに待ったをかけたウィルと見えない火花が散る。

 

「ユカさんだったらナギサさんも出たいかもー!」

「アタシも最近、ユカ姉と組めてないから出たい」

「私もユカさんにベクルックスに誘われた身なので、組む権利はあるかな」

 

 妹分であるナギサやソフィーの他にアオバも純粋にユカを慕う気持ちから立候補し始める。

 

「おいおい、俺の存在まで忘れてもらっちゃ困るぜ」

「他は兎も角、ウィル君とマシマ君は下心しかないので遠慮してもらおうか。君達が出るのなら私がユカ君と組む」

「……アンタまで出てこなくていいって」

 

 マシマも名乗りを上げ始め、挙句の果てにはウィルとナンパ癖のマシマが絡んでいるせいか、マイスターまで名乗りを上げる始末だ。何気なく参加表明したユカであったが、頭痛を感じてしまう。

 

「ユカは相変わらずモテるね。私も立候補しようかなー?」

「ミサ義姉さんも勘弁してよ……」

 

 フリーダムフリートにGBBBBを乗っ取られ、息苦しい事も多かったが、ここにきて明るく賑やかな空気が流れ始める。そんな雰囲気を感じて、悪戯っ子っぽく笑うミサにユカはため息をついてしまう。

 

「……あの! アタシ、出たい!」

 

 そんな中、リンが名乗りを上げたのだ。ユカ目当てというよりはその瞳に宿した色はなにか強い意志を宿していた。

 

「思い出したんだけど、準決勝の間、あのカルパッチョって子とリリンが何かやり取りしてたんだよね。それが気になって……」

 

 準決勝時の顔合わせの際、リリンがカルパッチョに何か言おうとした際、カルパッチョが何やら人差し指を鼻先に立てて黙っているようにジェスチャーをしていたのを思い出したリン。その後、すぐさま試合だったので指摘する機会もなかったが、どうせならと思ったのだろう。

 

「良いんじゃない。確かミサ義姉さんの従妹でしょ? ならアタシの事もお姉ちゃんだと思って良いよ」

「……ユカ。アナタ、ほんっっっっとうに色んな方に粉をかけますわね。流石に節操がないのでは?」

「何でそうなるのさ……」

 

 リンの理由を聞き、問題ないと思ったようだ。他にもミサの従妹というのもユカの興味を引いたのだろう。しかし一方でシオンは顔を顰め据わった目でユカを見やり、当のユカは他意がないため重い溜息をつく。

 

「じゃあ間を取って僕が出ようかな。リンちゃんはそれこそクラン・ブレイカーズの最初の方から見てるからクセは知ってるつもりだし、ユカちゃんとも付き合いは長いしね」

「……まあ、君ならば良いだろう」

 

 時間もないため、いつまでもユカ絡みで最後のメンバーが決まらないというのは避けたい。ユウヒが立候補すると、マイスターもユウヒを信頼しているのか、承認し、ユカ、リン、ユウヒの編成でカルパッチョ攻略に臨む。

 

「防衛ミッションには俺が出よう」

 

 続いて予想される活動可能区域への襲撃に対する防衛ミッション。ここで名乗りを上げたのはショウであった。

 

「タツヤ君はいまだデストロイモードをアキナという子はトランザムを発動させての戦闘は行っていない。四天王のうちの半分が倒された以上、そろそろ本腰を入れてくる事だろう」

 

 パンテラもリプレイスもステータスアップのトランス系スキルを持つガンプラをベースにしている。それをいまだに使用していないのは活動可能区域への攻略に対して本腰を入れていないからだろう。しかし四天王の内の2人は撃破した。ならばそろそろその辺りも警戒すべきだろう。始まりのガンダムブレイカーであるショウならば実力としても問題ないと思ったのか、マイスターは頷く。

 

「私も出ます。アキナが出てくるかは分かりません。でも……」

「俺も……。タツ兄を取り戻さないと」

 

 続いて立候補したのは初回と同じくアオバとアヤトであった。因縁もある為、2人が出撃するのは構わないと思ったのか、ショウは頷き、攻略班と防衛班でそれぞれ出撃準備に取り掛かる。

 

 ・・・

 

「アタシと一番相性が良いのはアンタだよね、バルバトス」

 

 カタパルト画面が表示され、出撃も秒読みとなるなか、ふとユカはコックピット内でバルバトスに呼びかける。初めて組んだガンプラであるバルバトス。一度は破壊されたり、その度に組みなおしたりと様々な思い出がある。

 

「ガンダムバルバトスルプスレギーナ、出るよ!」

 

 バルバトスルプスノームはGBBBBに踏み出すために。そして今はGBBBBを守るために新たに生まれ変わったユカのバルバトス。両腕にフルクロスを纏った女王は真紅の瞳を持つかつての少女に応え、出撃していくのであった。

 

 ・・・

 

「いたいた。ねえそろそろアタシの出番だからちゃんと見てt──」

 

 一方でカオスの要塞ではカルパッチョ攻略ミッションの情報が入り、カルパッチョもまた迎え撃つ準備を進めるなか、ゼノギアを探していた。声をかけようとしたその時……。

 

「私は知りたいんだよ。この世界の秘密を……。そしてタツヤ、君ならばより高みに行ける」

 

 ゼノギアは物言わぬタツヤに穏やかな口調で話しかけていた。見れば普段付けている仮面も外している。あくまでゼノギアではなくタツヤの友人であるシキとして話をしているのだろう。タツヤは何の反応もしないが、そのまま活動可能区域へ侵攻のため、発進準備へ取り掛かる。

 

「おや、何か用かな?」

「……アタシにはそれつけるんだ。アンタ、人とキスする時もサングラス外さないタイプ?」

 

 タツヤを見送ったゼノギアはふとカルパッチョの存在に気付き、仮面をつけて対応する。だがタツヤへの穏やかな口調と自分から素顔を見せたゼノギアに自分との対応の差を感じたのだろう。露骨な不機嫌そうな顔を見せる。

 

「まさか。キスをするほど魅力的な相手ならばその顔をこの目に焼き付けるよ」

「べ、別にアタシにしろとか言ってないし……!」

 

 カルパッチョが不機嫌な理由を察したのか、マスクを外して指でカルパッチョの顎先を持ち上げるゼノギア。眼前のゼノギアの素顔に頬を紅潮させ、カルパッチョはしどろもどろになってしまっている。

 

「ふふっ、君ならば彼らに負けないだろう。その活躍を見届けさせてもらうよ」

「トーゼン! 瞬きも許さないから!」

 

 顎先から流れようにカルパッチョの頬を撫でて微笑むゼノギアにカルパッチョも戦意が高まったのだろう。ゼノギアの横をすり抜け、ビシッと念を押すようにゼノギアを指差して走り去ってしまう。

 

「つくづく悪い男だな、君は」

 

 カルパッチョを見送ったゼノギアはすぐにマスクをつける。そんな彼に声をかけたのは一連のやり取りを見ていたカオスであった。

 

「おやおや、傍から見ればこの要塞はヴィランの集まりだと思いますが」

「それもそうだ。だが、カルパッチョは君をいたく気に入っているようだ。以前よりも充実しているように見える」

 

 軽口で返すゼノギアに対し、自分の立場がどう映っているのかは理解しているのか、くつくつと笑いながら何かにつけてはゼノギアと絡みたがるカルパッチョについて触れる。

 

「君は狡猾だ。まるでアダムとイブを唆した蛇のようだね」

「このような事をしているのです。我々は禁断の果実を口にした咎人でしょう」

 

 だが果たしてゼノギアはカルパッチョをどう思っているのだろうか。少なくともカオスからすれば悪い男に引っかかっているように見えるのだろう。カオスの言葉に笑みを見せながら立ち去るゼノギアはコンソール画面を開き、カルパッチョの戦闘を見るのであった。

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