ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「流石、タツヤさん……。強い……!」
アオバがアキナを撃破したのと同時刻、ツムギの駆るブレイズブレイカーはタツヤのパンテラと激闘を繰り広げていた。幅広く火器を揃えるブレイズブレイカーをもってしてもデストロイモードを発動させたパンテラにはまともな直撃はなく寧ろ弾幕の嵐を掻い潜ってブレイズブレイカーを肉薄してくる。
「タツ兄!」
そこにジーグリージョが高速でパンテラに迫る。近接戦の最中にいたパンテラはすぐにブレイズブレイカーを蹴り飛ばし、ジーグリージョに意識を向ける。
タツヤは全距離においてオールラウンダーにこなせるタイプだが、何よりは近距離でその実力は遺恨なく発揮される。一瞬の内にジーグリージョと距離を詰めたパンテラは容赦なく両手に装備した計六基のビームサーベルを振るおうとする。このままではジーグリージョが危険だ。ブレイズブレイカーはすぐに援護に向かおうとするも、ジーグリージョが取った行動はツムギの予想を反するものだった。
「ごめんね、タツ兄」
ジーグリージョはその両手を伸ばしてパンテラを正面から抱きしめたのだ。ツムギだけではなく、タツヤでさえ予想外の行動に驚く中、ヒマリから出てきたのはタツヤへの謝罪だった。
「みんなの為に頑張って、今だって誰かに利用されて……。みんな、タツ兄に押し付けてばっかりだよね」
ジーグリージョを振り解こうと暴れるパンテラ。しかしヒマリはそれでもなおタツヤへの懺悔を続けていた。
「ヒマリちゃん!」
しかし操れているタツヤには関係ない。パンテラのビームサーベルはジーグリージョを腹部から貫いたのだ。その悲痛な姿にツムギはすぐにでもジーグリージョの元へ向かおうとするも、周囲に展開した操られているガンプラ達の妨害を受けて思うような行動が出来なかった。
「……ヒマリ達、強くなるから。タツ兄の背中を見てるじゃない。一緒に並べるように」
貫いたビームサーベルでジーグリージョを引き裂こうと操作しようとしたタツヤだが、ふとジーグリージョのコックピットが開く。中から出てきたのはヒマリであり、ヒマリの姿を視認したタツヤは激しい頭痛に襲われるかのように明らかに動揺していた。
「だから……帰ってきて。タツ兄」
パンテラに両腕を伸ばすヒマリ。モニター越しにヒマリを見るタツヤの表情が苦悶でどんどん歪んでいくなか、それを振り払うように強引にジーグリージョの両腕を振りほどいたパンテラはジーグリージョの元から去っていく。
「……ヒマリちゃん、大丈夫?」
「うん……。もしかしたら、だけど……ヒマリの声、少しは届いた気がするの」
ジーグリージョを支えるブレイズブレイカー。ヒマリがコックピット内のシートに戻るなか、ツムギの問いかけにヒマリはタツヤに声が届いた。そんな確信を得ながら防衛ミッションに専念するのであった。
・・・
「ネオ・ジオング……。あの時を思い出す!」
一方でクロカンテが操るネオ・ジオングと戦闘を続けるマイスター達。射出されたファンネルビットを避けながら、ウィルはかつての戦いを思い出す。宇宙エレベーターを舞台にした決死の戦いだ。
「あの時はイチヤや“ロボ太”もいたけどね!」
当時、ミサもその戦いに参加しており、あの時、共に戦っていたアマミヤ・イチヤとかけがえのない“ともだち”の名前を口にする。
「あの頃とは大きく変化してしまった。だが……!」
「その分、強くなったよ!」
一見すれば驚異的なネオ・ジオングの存在。しかしそれを相手にするのは経験豊富なトップクラスのガンプラファイター達だ。ウィルの言葉に対し、ミサは頼もしささて感じる心強い笑みを見せる。
「受けてみろ!」
「ちょこざいなぁ!」
セレネスノーヴァは高電圧の雷を放つ。苛烈なまでの電磁攻撃はネオ・ジオングの機体を走り、次々に暴力的なまでの損傷を与えていく。広範囲に渡る攻撃を受けたクロカンテは忌々しげに叫ぶが……。
「一点突破!」
クロカンテがセレネスノーヴァに気を取られている内にネオ・ジオングの前にアザレアブレイジングが飛び上がって躍り出たのだ。
「爆熱爆砕! ブレイジングゥウ……キィーック!!」
全身のスラスターを全稼働させ、煌めくエメラルドグリーンの輝きを纏いながらネオ・ジオングのコアユニットに収まるフレイムスペリオルに飛び蹴りを食らわせ、貫いたのだ。
「貴様らぁ……タダでは済まさん!」
ネオ・ジオングという切り札を切ったにも関わらず、形勢逆転どころか一機も撃破できない状況に目に見えて怒りを露にするクロカンテ。コアユニットであるフレイムスペリオルが大破に近い損傷を受け、ネオ・ジオング本体も各所で小さな爆発が起きる中、砲口を近くにいたアザレアブレイジングへ向ける。
「──!」
しかしそれすら神速と形容できるほどの機動力で迫ったガンダムルークの一撃で阻まれてしまったのだ。
「ふざけるな、俺が最強だ! 最強のガンプラを使っているんだ!」
そのまま機動力を活かして瞬く間にネオ・ジオングへ損傷を与えていくガンダムルーク。手も足も出ない状況にクロカンテが現実を受け入れられずにわめき散らかしていると……。
「……行こう」
「え……?」
そのままガンダムルークはアザレアブレイジングへ手を伸ばしたのだ。その姿に何か既視感のようなものをミサが覚えるなか、意を決したミサはアザレアブレイジングでガンダムルークのマニピュレータを掴み、二機は共に飛び上がる。
「これでぇえ────っ!!!」
するとガンダムルークとアザレアブレイジングは覚醒の輝きを纏ったのだ。繋ぎ合った手の中から覚醒の力を形作ったかのような光の刃が出現する。その神々しく輝く光の刃と共にミサは咆哮を挙げながらネオ・ジオングを貫く。
「そんなバカな……!? 私は……私は四天王最強の男なのだぞ!?」
「最後まで見苦しいな。四天王最弱に改めたらどうだい」
ネオ・ジオングの爆発まで時間の問題だろう。錯乱したかのようなクロカンテの言葉にウィルは呆れ交じりに話す。
「まったく……あんなのものを持ち出しておいて負けるなんてアホとしか言いようがないね」
「こんな結末……私は認めんぞーッ!」
GBVで強化しているとはいえ、三対一の状況下で負けただけならばまだ言い訳も立つだろうが、その上でネオ・ジオングまで持ち出して負けるその醜態にミサが呆れるなか、遂にネオ・ジオングは轟音をあげて爆発する。
「これで鍵は揃ったな」
ネオ・ジオングの爆発地からエンブレムが出現する。ゆっくりと降りてくるエンブレムを手中に収めながらマイスターはどこか安堵した様子を見せる。
しかし次の瞬間、フィールドが地響きと共に轟音をあげたのだ。そのあまりに異様な様子にマイスター達が周辺を警戒していると、先程まで火山地帯だったフィールドはかつて訪れたカオスの要塞へと続く転送ゲート前に再構築されたではないか。
これまで集めたエンブレム、そして今、マイスターが手に入れたクロカンテのエンブレムが一つに合わさると行く手を阻むランナー状の門の窪みに収まり、音を立てて激しく回転すると、遂に門が崩壊したのだ。
「……ここからが本番だ。取り戻すぞ、GBBBBを……。彼らの笑顔を」
遂にカオスの要塞へと続く道が解放された。マイスターはその道を見据えながら気を引き締めた様子を見せると、一先ず帰還するのであった。