ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「四天王を倒し、4つの鍵が揃ったことでカオスの要塞へと突入する道は開けた。君達の協力のおかげだ」
クロカンテを撃破して帰還したマイスター達。帰還して暫くGBBBBの状況を確認しに行ったマイスター、ショウ、ライム、アータルはクランルームに戻ってくると解錠されたゲートから続くカオスの要塞への道を表示させらながら改めて参加メンバー全員に感謝の言葉を口にする。
「ようやくリリンを助けに行けるんだね!」
「ついでにあのカオスって奴もぶっ倒してやんなきゃ!」
リリンを助けられる目処が立ったのもあってリンの表情は明るく、隣にいるミサも血気盛んな様子を見せる。
「はやる気持ちは分かるが、その前にやらなくてはならないことがある。カオスの牙城に辿り続く為には要塞の奥にある防衛システムを無効化する必要がある事が分かったんだ」
「えぇ……まだやらなきゃいけないことがあるの?」
早くリリンを助け、カオスの野望を阻止する。その気持ちは皆、同じだがマイスターの説明では、どうにも簡単にはいかないようだ。四天王戦を経たというのもあって、まだ障害があるという事実にリンはうんざりした様子だ。
「そうだ。その防衛システム無効化の為には中継地点を全て破壊しなくてはならん」
「ミッションステージの奥に存在するモノリスと呼ばれる6つのタワー……。これがその中継点だ」
ライムの説明を引き継ぐようにマイスターがモニターに表示させたのは不気味に発光するタワーだ。これら全てを破壊しなくてはならないようだ。
「しかも事はそう簡単ではない。モノリス同士がお互いを補い合っているため、無事なモノリスがあるとシステムが復旧されてしまうのだ。その為、モノリスを破壊した後はその場に残り、システムの再生を阻止する必要がある」
「その間に他のモノリスを破壊していき、全てのモノリスを破壊することができれば、いよいよカオスの元へ辿り着く道を開ける訳だ」
厄介なことにモノリスは半ば同時に破壊しなければならないらしい。アータルとショウの説明に理解は示すものの手間のかかる作戦に一部は面倒そうな様子だ。
「6つのモノリスの再生を阻止するために居残る……。同時に攻めるにせよ、順に攻めるにせよ、戦力が分散されるってことか……」
「それもカオスの作戦だろう。とはいえ、ここはその企みに乗るしかない。作戦に関するメンバー選出はこちらで行い、明日発表する。今日は解散にしよう」
マシマの言う通り、戦力の分散は避けられない。それこそがカオスの目論見でもあるのだろう。とはいえ今日、これ以上はミッションを受けることは出来ない。歯痒いがマイスターの言葉に頷いたメンバーは解散するのであった。
・・・
ツムギは1人、マイハンガーを歩いていた。対フリーダムフリート用のチームだけあって丹精込めて作られたガンプラがズラリと並ぶのは壮観だ。そんな中、ツムギが目指したのはボロボロのストライクブレイザーの元であった。
「──それでねー。この間の配信でさ」
リフトを昇ってストライクブレイザーのコックピットに向かおうとしている矢先、ふとストライクブレイザーのコックピットから声が聞こえてくる。
「あれ、ノセじゃん」
誰かと思えば、ストライクブレイザーのコックピット内でシートに身を預けていたのはナギサだった。コックピットの中を覗き込み、驚いているツムギに気付いたナギサは反応する。
「何してるの?」
「ブレイザーに話しかけてたんだよ。ノセもそのつもりで来たんじゃないの?」
まさかナギサがいるとは思わなかったが、ナギサの言うようにツムギも彼女と同じようにストライクブレイザーの中で眠るブレイザーに話しかけるためにやってきていた。
「まあまあ、目的は一緒なんだから入りなよ」
「わっ!?」
するとナギサはシートから身を乗り出すと、外からコックピットを覗き込んでいたツムギの手を取って、そのまま引き寄せてコックピットに連れ込んだのだ。
「やーん、ノセのえっちー」
「これはナギサが……!」
とはいえツムギにとって予期せぬ行動だった為、バランスも取れずナギサの身体に覆い被さるような態勢になってしまう。何とか弁明しようとするツムギだが、言ったところで仕方ないのだろうと嘆息してしまう。
「もぅ拗ねないでよー」
拗ねたつもりはないが、下手なことを言っても仕方ないだろう。そう思って何気なくナギサを見れば口では軽口を叩いてるもののほんのり頬を紅く染めていた。
「でも、まさかナギサがブレイザーに話しかけてるなんて思わなかったよ」
「ナギサさんだけじゃないよ。それこそクラン・ブレイカーズのみんなやユウヒさんにアータルさんとか今の作戦に参加している人達は合間に来て、ブレイザーに話しかけてるんだよ」
ブレイザーに話しかけているのはツムギだけではなかったようだ。しかもナギサが言うにはGBBBBを奪還する為の今のチームのメンバーは折を見て、ブレイザーに話しかけてくれているというのだ。
「みんな、GBBBBやリリンちゃんだけを気にしている訳じゃないよ。ブレイザーの事もちゃんと気にしてるんだから」
「そっか……。嬉しいな」
GBBBBやリリンを取り戻す為に躍起になっているのはツムギも同じだ。そこに何かを言う気はないが、自分の知らないところでブレイザーの為にタオやナギサ達が話しかけていてくれていたという事実にツムギは知らず知らずのうちに笑みを見せてしまう。
「じゃあ、ナギサさんはこれで失礼するね。2人の邪魔しちゃ悪いし」
「そんなことはないけど……。でも、ありがとう。ブレイザーを気にかけてくれて」
ふとナギサはストライクブレイザーのコックピットから出ようとする。プライベートの話もあるだろう。コックピットから出てリフトに乗ったナギサにブレイザーのことを感謝すると、彼女は好きでやってることだから気にしないで良いよとばかりに笑顔で応え、そのままログアウトする。
「……GBBBBを始めた頃はこんな事になるとは思ってなかった」
ナギサがログアウトし、ツムギはシートに身を預けながら、これまでの出来事を振り返る。ただGBBBBを楽しむ、何の考えもなしに遊ぶためだけに訪れたのに、まさかGBBBBを命運を握る戦いに身を投じるとは思っていなかった。
「……ガンダムが好きで、ガンプラが好きで、バトルが好きで……。正直に言うと、こんな戦いは好きじゃないんだ。俺は俺が作ったガンプラが一番強いんだってそう信じてる。でも……それはガンプラバトルの中で証明したい。一番強いんだって、最高なんだって思うからこそこんな誰も楽しめない戦いで武器として使いたい訳じゃない」
ガンプラバトルという枠組みの中で最強を証明したい。自分の全てを込めたガンプラだからこそ胸を張って。だからこそGBBBBを取り戻すという殺伐とした戦いの中で武器としてガンプラを使いたい訳ではなかった。
「でも……もう少し頑張ってみるよ。ブレイザーが目覚める場所を、GBBBBを取り戻さないといけないから」
それでもツムギが戦うのはGBBBBやリリンを取り戻したいからだ。改めてブレイザーへ決意を口にすると、コックピットから出ていく。
「……あれ? どうしたんですか」
コックピットから出てリフトに乗って降りていくツムギはふと地上で見知った顔を見つける。マイスターだ。ストライクブレイザーを見上げていたようで、地上に降りたツムギはマイスターに声をかける。
「……ブレイザーのことが気になってね」
「ああ、マイスターもブレイザーに話しかけてくれてたんですか?」
どうやらマイスターもブレイザーを気にかけていたようだ。ナギサの言葉もあって聞いてみれば、マイスターはどこか照れくさそうにしながらも頷く。
「……現状においてブレイザーの自己修復に任せるしかない。だが我々の声はきっとブレイザーにも届いている。私にはその確信があるからね」
マイスターが確信があると言葉にするだけあって、その声は力強いもので彼はそのままストライクブレイザーを見上げる。
「……私にも昔、君にとってのブレイザーのような大切な“ともだち”がいてね。我々が知らないうちに多くの事を学び、私達の予想を上回る行動さえしていた」
「ともだち……。その人は今どこに?」
マイスターはどこか懐かしむように穏やかに話す。その声色を聞いているだけでその“ともだち”がマイスターの中で大きい存在だったというのを感じさせた。ふと気になったツムギが問いかけると……。
「……思わぬ別れがあって今は遠いところにいる。今の我々には届かないような。ずっと、ずっと……」
「……ごめんなさい」
「君が謝る事ではないさ。だが君達にはこれ以上、そんな思いはさせない。GBBBBを、タツヤを、リリン君を、そしてブレイザーを……。全部取り戻す。ガンプラバトルを楽しんでくれている君達の笑顔をこれ以上、曇らせやしない」
どこか寂しそうに遠くを見据えるマイスター。その言葉から辛い出来事があったのだろうと察したツムギは無神経に聞いてしまった事を詫びると、マイスターは苦笑交じりながらも彼の中の根底にある強い想いを表すように答える。
「俺も戦い続けます。勿論、ブレイザー達の為にも。それにマイスターが俺達の為に戦ってくれるというのなら、俺はマイスターの為にも……マイスターの笑顔の為に戦います」
ツムギも改めてGBBBB奪還のための決意を露にする。そしてその中にはGBBBBのプレイヤーを想うマイスターへの想いを込めながら。そんなツムギの言葉に少し驚いたような反応を見せた後、マイスターは穏やかに笑うのであった。