ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「そんなバカな……! こんなことが!」
タツヤを奪還され、ブレイカーエストレーモ・ヴェロにまで至ったその姿を見て、ゼノギアは目に見えて動揺していた。しかしそれが隙となったのだろう。ブレイズブレイカーの胸部のトヴァシュトリ超高インパルス砲の砲撃が放たれ、咄嗟にシールドで防ぐも完全には防ぎきれず、シールドは破壊され、ターンΩはそのまま吹き飛ぶ。
「タツヤさん!」
「やっと帰って来たか」
ブレイズブレイカーはそのままブレイカーエストレーモ・ヴェロの元へ向かい、同じようにガンダムルークも合流する。通信越しに見えるタツヤの姿にツムギもマイスターも安堵したように微笑む。
「みんな、迷惑をかけてごめん。ここから挽回する!」
ブレイカーエストレーモ・ヴェロのコックピット内でタツヤは彼らしい活力に満ちた笑顔を見せた。
「よくもやってくれたじゃないか……」
しかし三機のセンサーが反応する。見てみれば損傷を受けたターンΩが建造物に沈み込むパンテラの首を掴んで強引に持ち上げたのだ。するとパンテラは不気味に小刻みに震えだすと、やがて地面にゆっくりと降り立つ。
するとパンテラはビームマグナムの銃口をブレイズブレイカー達へ向ける。タツヤを失っても尚、動けるのはGBVによるウイルス感染が齎す効果だろう。その影響でガンプラを操り、動かしているのだ。
「シキ……。もう止めろ」
「ここで止まれるようなら、こんな事はしていないさ」
ゼノギアではなく親友であるシキに向けて説得しようとするタツヤだが、ゼノギアは、シキはその言葉を一蹴する。
「私は知りたいのだよ。この世界の秘密を……。覚醒とは何なのか。覚醒が行き着く先を」
「何でそこまでして……」
「君だって覚醒のその先を知りたがっていただろう」
確かにタツヤは覚醒のその先を目指した。しかしそれはなにもGBBBBを乗っ取ってまで行うことではなかった。
「……何がそこまでお前を駆り立てたのかは知らないけど、でもこんな事を続けるというならここで止めてみせる」
「やはり君はヒーローだ。それで良い。やってみせろ」
もうこれ以上の言葉は不要か。友を止めるため、ビームライフルの銃口を向けたタツヤの強い意志を真正面から受けたゼノギアはそうでなくてはとどこか嬉しそうにしながらも戦闘の火蓋は再び切って落とされる。
ブレイカーエストレーモ・ヴェロはターンΩを目指して飛び出す。しかしその行く手を阻んだのは魂を失い、ウイルスに蝕まられながら動くパンテラであった。もつれ込むようにブレイカーエストレーモ・ヴェロはパンテラとの戦闘を始め、その隙にブレイズブレイカーとガンダムルークはターンΩに攻撃を仕掛ける。
「マイスター……。いや、
ゼノギアはマイスターではなく、その仮面の奥に秘められた存在に向けて問いかける。
『俺達が
マイスターもゼノギアの発言には思い当たる節があるようで、その脳裏には覚醒の光だけではなく、アザレアの花弁のような光を周囲に走らせるガンダムブレイカーの姿が過る。
「興味がない。あの力はあの時の、あの瞬間の彼等だけの力だ。それにあれはアマミヤ・イチヤだけでは到達できなかった」
覚醒のその先を知っていても尚、マイスターはそれ以上に何かをしようという気はなかった。それはまるで宝箱にしまい、大切に保管するかのように。
「やれやれ……。だから私は君にときめかない。本当につまらない男だ」
マイスターの意思を言葉で耳にしてゼノギアは心底、落胆したようにため息をついた。そんなゼノギアのターンΩの真横からビームサーベルを引き抜いたブレイズブレイカーが迫る。
「覚醒の先なんて誰にも分からない……! けど、あったとしたってお前には絶対に到達できない!」
「言うじゃないか。足踏みしている君達と違って私は進み続けているのだがね」
ターンΩもすぐにビームサーベルを装備してブレイズブレイカーとの鍔迫り合いとなり、激しいスパークが走る。
「お前がかつて覚醒を発現させるだけの凄いビルダーだったのは分かってる。タツヤさんと友達だったのなら悪い人じゃなかったんだろ。でも、人の想いを踏みにじるような今のお前に覚醒が応える訳がない!」
「馬鹿らしい。何の根拠にもなっていないじゃないか」
「じゃあ何でお前は覚醒の先に至ってないんだ。GBBBBを掌握したお前達なら覚醒の事も、その先も分かる筈だろ!」
カオス達はGBBBBを掌握した。しかしカオスを含め、ゼノギアはいまだ覚醒の全容も分かっていなかったのだ。それを見透かした確信めいたツムギの言葉に僅かに不快そうにゼノギアは眉を顰める。
「お前は急ぎ過ぎた。一歩たりとも進んでなんかいない! ただ泥沼に沈んでるだけだ!」
ブレイズブレイカーは覚醒を果たす。瞬時にビームサーベルを二刀流で装備すると覚醒の影響によって出力が上がり、巨大化した圧倒的なビームの刃を叩きつけるようにターンΩに振り下ろしたのだ。撃破には至っていないものの大きな損傷を与えることに成功した。
「……ツムギ、と言ったか。そうだな。君の言う通りだ。GBBBBを掌握して尚、私の望む答えは得られなかった。だが、私もこの道を選んだ。ならば、沼の底に沈もうとその先で得られるものを手にするまでだ」
今までブレイザーのおまけ程度でツムギその物に興味を抱かなかったゼノギアだが、ここで初めてツムギという存在を改めて認識すると、ボロボロのターンΩはふわりと宙に舞ったかと思えば、一瞬にしてブレイズブレイカーの眼前に迫る。
「月光蝶よ。全てをΩの刻へ」
ターンΩの背から虹色の蝶の羽のようなものが広がる。それは全てを文明を崩壊させた禁断の力。終焉の燐光が全てを黒歴史に埋葬する。
「ツムギ君!」
ブレイズブレイカーの目の前で発動した月光蝶。避ける間もなく月光蝶として放出されるナノマシンは光のように鮮やかに輝くと、瞬く間にブレイズブレイカーに浸食し、ブレイズブレイカーを崩壊させる。マイスターはその光景を目にし、動揺はしたものの月光蝶を危険性を理解しているが故にその機動力を活かしてすぐさまターンΩから距離を取り、少しでも安全圏へ離脱しようとする。
「フィールドが崩壊しようとしてるの……? これが月光蝶……!?」
「このままじゃモノリスの破壊どころじゃなくなるッ!」
パンテラと戦闘を行っているブレイカーエストレーモ・ヴェロ。タツヤ達もターンΩが放つ月光蝶を確認したのだろう。かつてリリンが攫われた時のようにフィールドが大きく震動を始める。それはターンΩの月光蝶が全てを消し去ろうとしているからだろう。その絶望的な光景にヒマリとアヤトは焦りを見せる。
「諦めるのはまだ早いだろ」
そんなアヤトとヒマリを鼓舞したのはタツヤだった。落ち着き払ったその声にアヤトとヒマリは耳を傾ける。
「見せてやろう。俺達兄妹の力を」
ビームサーベルを振りかぶったパンテラが襲い掛かるもブレイカーエストレーモ・ヴェロは片腕で受け止めるとパルマフィオキーナを使用しながらそのまま握り潰すと、トランザムを発動させ、すれ違いざまにビームソードで両断して撃破する。
「……うんっ! 決して絆を、GBBBBの明日を、ううん、全てを諦めないもん!」
「こうやって3人でいられるのは当たり前の事じゃないんだ。だからこそ、この奇跡はきっと嘘じゃない!」
タツヤの言葉に奮い立ったヒマリとアヤト。もう迷いはない。マトイ3兄妹の想いの応えるようにブレイカーエストレーモ・ヴェロは覚醒を果たす。
「ああ、俺達兄妹なら何でもできる。俺達が描ける可能性は無限なんだ!」
ブレイカーエストレーモ・ヴェロは宙に舞い上がると、ツインドライブから超高濃度の七色のGN粒子を解き放つ。トランザムバースト。それがツインサテライトキャノンに並ぶブレイカーエストレーモ・ヴェロの奥の手だ。
「これは……!」
月光蝶に対抗するように放たれたトランザムバーストはどんどんその範囲を広げていき、光の波と化したGN粒子はこのエリアのモノリスを破壊し、近くにいたガンダムルークもその輝きに触れる。するとガンダムルークの目立っていた損傷は見る見るうちに癒えていったのだ。月光蝶を発動させるターンΩを一時的に押し留めながら、転送ゲートを通じてトランザムバーストの光は全てのエリアに拡散する。
・・・
「みんな、今だ!」
転送ゲートを通じてすべてのエリアでトランザムバーストが四天王やリプレイス、NPC機達に損傷を与え、味方機の損傷を回復させるという離れ業を見せるなか、それを見ていたショウはすぐさま指示を出す。今なら遮るものはなにもない。ショウの指示を受けた各エリアのファイター達は同時にモノリスに攻撃を仕掛け、これを破壊する。
「……よし、防衛システムの解除成功だ! みんな、フィールドの崩壊に巻き込まれる前に離脱しろ!」
モノリスを同時に破壊したことでカオスの要塞への道が遂に開かれた。それを確認したショウは現在進行形で崩壊しつつあるフィールドの状況を見て、指示を出すと次々に帰還を始める。
・・・
地響きがどんどん大きくなる。そんな中、第五班のフィールドではブレイカーエストレーモ・ヴェロとターンΩが向かい合っていた。
「……次でいよいよ決着だ。待っているよ、タツヤ」
「……分かった。すぐに行くよ、シキ」
タツヤからすれば言いたいことも聞きたいことも山ほどある。しかし今はその時ではないのだろう。ブレイカーエストレーモ・ヴェロとターンΩは同時にフィールドから離脱し、月光蝶の影響を受けたフィールドは崩壊するのであった。