ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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リンとリリン

 

「アタシも見たかったなぁ、覚醒。凄かったんでしょ」

「バトルの映像アーカイブは残ってるから気になるなら後で送るよ」

「ホント? 助かる~」

 

 後日、GBBBではリンがログインしていた。フリーダムフリートのバトルの日の出来事を振り返りながらリンは先日、ツムギから聞いていた話から覚醒について興味を示すとアーカイブ自体は残っているのかツムギの言葉に飛びつく。

 

「でも、アタシと見間違えるほどそっくりな子がいたっていうのは、ちょっと信じられないけどね」

「信じるもなにも僕らは実際に見たし、一緒に戦ったしなぁ。メッチャ強かってんで」

 

 とはいえツムギから話は聞いていたが、それでも自分そっくりな存在に関しては今一現実味を帯びていないのだろう。俄かに信じ難いように笑うリンにそうは言われてもとばかりにタオは洗練されたリリンのバトルを思い出しながら答える。

 

「……あれ? リリンじゃない?」

「噂をすればや! おーい、リリン!」

 

 ツムギも同じように頷きながらも視界の端に誰かを捉える。リリンだ。初めて出会った時同様、なにをするでもなくぼーっと佇んでいるリリンに気付くとタオは大きく手を振りながらリリンに声をかける。

 

「へぇ、アンタがリリンかぁ……ってホントにアタシそっくり! なんで!?」

「わからない……」

 

 こちらに気付いたリリンもん……とツムギ達に合流すると改めて出会ったリンはリリンの外見が自身と瓜二つなことに信じられないとばかりに目を見開いて驚いている。だが当のリリンはふるふると首を横に振るのみだ。

 

(違う……ところはあるけど……うん……)

 

 リンとリリン。確かに瓜二つだがリンにはある腰のポシェットがなかったりと細部が異なるが身体的特徴として胸がリンよりも大きいところだろう。そんな事に気付いてしまう自分に自己嫌悪しながらもツムギはただただ口を閉じる。

 

「もしかして同じアバターでサブアカウント作ってBOTで動かしてたとか?」

「そんな訳ないでしょ。なんでそんな事する必要があるのよ」

 

 タオが思いついた事をそのまま口にするとリンはすぐさまきっぱりと否定する。仮にリリンがリンのサブアカウントだとしてもそれを本人の預かり知らないところで動いているのだからそれはそれで別の問題になる。

 

「じゃあ双子の姉妹だったり……?」

「おねえちゃんはいるけど双子じゃないよ。それにGBBBだってやってないし」

 

 その後もタオは思いつくまま話すもこれも違う。仮に双子だとしたら出会ったリンはあそこまで驚かないだろう。そこでリンの姉の存在を明かされるが、どうやらGBBBはプレイしていないらしい。

 

「でもホントに瓜二つだね。これ、もうデータ完コピじゃない? もしかしてアタシのアバターデータがどこかにアップされてたとか……?」

「わからない……」

「さっきからわからないばっかりじゃない……」

 

 瓜二つという単語に先程の考えが再び過ったのか、ツムギが一人虚空を見つめているなか、疑問だけが浮かび、一向に答えらしい答えが出ない状況と先程と全く同じ反応をするリリンにリンはがっくりと肩を落とす。

 

「じゃあさ、どんなガンプラが好きなの? いつからプレイしてるの?」

「……覚えて、ない」

 

 リンが矢継ぎ早に質問するが相変わらずリリンは首を横に振るのみだ。

 

「まあいいや。とりあえず実力を見せてもらおうじゃない! 同じ姿でも私の方が上だって証明してあげるんだから!」

 

 埒が明かない状況にリリン自身への追求は無駄だと感じたのか、ミッションの話を切り出すリン。ツムギやタオの言う通りならばリリンの操作技術はかなりのものであるらしい。アバターが瓜二つな事もあってかリンは対抗心を燃やしている。

 

「……なんか大変なことになってもうたね」

「まあ、バトルなら変に取り繕わずありのままのその人が分かったりするし、この方が良いのかも」

 

 善は急げとばかりにミッションを受注するリン。その後ろ姿に置いてけぼりのタオとツムギは困ったような様子だ。

 

「よし、後の事は任せたで! 僕はここで見守ってるから気張ってや!」

「タオのそういうところ良くないよ」

 

 ミッションを受注したのかニコニコ顔で戻ってくるリン。面倒事の予感がしたのかタオはツムギに丸投げするとPGガンダム戦を思い出したのか、ツムギはため息をつく。とはいえ再びリリンのバトルを見るのも悪いものではないだろう。タオに見送られるなか、マイハンガーへ向かう。

 

「見た目も一緒。ガンプラ名も一緒だと紛らわしいな」

 

 ストライクブレイザーのコックピットではミッション内容を確認しながら僚機の二機のフレールを見る。今はまだしもこのままバトルをしてもややこしいだけだろうとツムギはリリンのフレールの識別名をリリンの名前からフレールLに改める。

 

「行こう、ブレイザー!」

 

 準備を整え、リン達にも確認してみれば問題ないようだ。ツムギはストライクブレイザーと共に出撃していくのであった。

 

 ・・・

 

「さあ、行っくよー! 絶対に負けないんだから!」

 

 選ばれたのは砂漠エリアだった。今回は現れる敵NPC機を撃破していく殲滅ミッション。バトルエリアにストライクブレイザー達が降り立つと早速リンは対抗心を燃やしてリリンにアピールする。

 

「……?」

「ノッてこないんだ……。アバターの見た目はそっくりだけど中身はあんまり似てないみたいだね」

 

 が、肝心のリリンはなにをしているんだとばかりの反応だ。まるでリンが滑ったようないたたまれない空気が漂うなか、リリンの態度にリンはがっくしと言わんばかりだが気を取り直して飛び出していく。

 

「砂漠か……。正直、あんまり得意じゃないな」

 

 バトルエリアの内容によってガンプラにもその影響が及ぶ。特に今回のような砂漠エリアであれば砂の影響を大きく受け、動きも制限されてしまう。防砂の類は塗装の腕が求められる。ストライクブレイザーもちゃんと塗装はして作成したが砂の影響を全く受けない程ではないのだろう。ツムギは緊張感を宿しながらNPC機との戦闘を始めていく。

 

 早速リンのフレールに敵NPC機が迫る。だが今のリンは戦意が燃えており、望むところだとばかりに接近戦に持ち込む。ビームサーベルで剣戟を繰り広げるなか、一瞬の隙をついて敵NPC機の胴体部に一太刀、そのまま袈裟切りによって葬る。

 

「ふふっ、これがアタシの実力なんだから! リリン、今の見てた!?」

 

 リンとしても手応えがあったのだろう。自慢げに鼻を鳴らしながら対抗心を燃やすリリンを見やると……。

 

「……え?」

 

 なんとリリンのフレールLは流れるように三機の敵NPC機を撃破したではないか。しかもリリンとしても特に凄い事をしたという自覚もないのか、特に反応を示さず、リンの声に反応する。

 

「アタシが一機倒している間に三機も!?」

「凄いよ、リリン!」

 

 だが手応えがあった分、リンには衝撃が大きかったのだろう。唖然としているリンを他所にストライクブレイザーも敵NPC機を撃破し、フレールの隣に降り立ちながらリリンの戦いを称える。

 

「ま、まあ? 今までのは準備運動みたいなもんだし? ここからが勝負なんだから!」

「勝負……? よくわからないけど続けるなら……私も続ける」

 

 そんなツムギにまるで言い訳するように話すリンは更に戦意を燃やすが、リンの言葉に首を傾げながらもミッションを続けるというのなら特に異論はないのか、フレールLは戦闘を再開する。

 

「……負けないんだから」

 

 一切、表情が揺れ動かないリリンに思うところがあるのか。リリンに遅れを取らないようにフレールも飛び出していく。競うようにバトルをするフレールとフレールLに対し、今回の自分の役割はサポートだと認識しているのか、ストライクブレイザーも援護に回る為、動き出す。

 

《……》

 

 そんな三機の様子を遠巻きに一機のガンプラが見つめていた。これは途中参加可能なミッションなのだろうか? だがそんな事よりも注目すべきはそのガンプラの外観だろう。

 

 それはまさにストライクブレイザーその物であった。

 

 戦闘に参加する気はないのだろう。そのストライクブレイザーはジッとその無機質なカメラアイに戦闘の様子を映している。リンとリリン。そして二機のストライクブレイザー。物語の歯車は少しずつ動き出すのであった。

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