ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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信念のぶつかり合い

 

 カオスが待ち構える要塞内へと突入したストライクブレイザー・リブレイク達。やがて巨大なガンダムヘッドを思わせる造形物の上に立つブラックロータスとその傍らに拘束されているクレールの姿を確認する。

 

「リリン……!」

 

 クレールから反応がない。その姿に居ても立っても居られなくなったリンはすぐさまクレールの元へ向かおうとするが、その行く手をブラックロータスが阻み、リンは顔を険しくさせる。

 

「ようこそ、諸君。よくぞここで来た……とまずは褒めてやろう」

 

 しかしリンの反応もお構いなしに両腕を広げたカオスは仰々しい物言いで語り掛ける。

 

「カオス……お前の目的は何だ? 単にGBBBBの破壊が目的ならば私達をここに招き入れる必要もなかっただろう。この巨大な要塞フィールドを構築し、四天王とのバトルミッション、防衛シールドの解除ミッションなどの仕掛け……ここまで回りくどい手段を用いてお前は何を求めている?」

「……成る程。つまりは無駄なことをしていると言いたいのだな?」

 

 リン・カーネーションがすぐさまブラックロータスから距離を取る中、マイスターはずっと感じていた疑問を投げかけると、そんなマイスターの疑問をカオスは要略する。

 

「マイスター・アイン……。お前は勘違いをしているな。私はただの破壊者ではないのだよ」

「これ程までの混乱を招いておきながら、何をぬけぬけと……!」

 

 プレイヤー達の大切なガンプラやGBBBBを奪い、混乱を齎しながらも尚もこのような事を語るカオスに対し、マイスターは露骨に不快感を露わにする。

 

「混乱? そうかな? 自由で、予測不能で、手強い……。今のGBBBBは実に楽しいゲームだ。そう思わないか? 私のやっていることは確かに無駄だろう。だが、ゲームは無駄を楽しむからこそゲーム足り得るのだ。そしてそれは人にしか作れない。だから私はお前達に提供したのだよ。AIなどに作れないゲームをな」

 

 一連の出来事をゲームと語るカオス。確かに宣戦布告の際もゲームと語っていたが、本気でそう思って、今までの不可解なミッションの数々を用意してツムギ達に仕掛けていたのだろう。

 

「さっきから訳分かんないことをベラベラと……。ゲームがどうとか、AIがどうとかそんな事どうでもいい! アンタの我が儘でGBBBBを滅茶苦茶にして、沢山の人に迷惑かけて、リリンを攫って! リリンがAIだって言うけどアンタの方こそ人の心がないんじゃないの!」

 

 しかしカオスが何を語ろうとそれがどのような思惑であろうとリリンを攫い、GBBBBに混乱を齎した以上、リンにとっては到底受け入れられることではなかった。

 

「私はどこまでも人だよ、お嬢さん。誰よりも人の可能性を信じている……。ただの人間だ。だからこそ、マイスター・アインやガンダムブレイカー達……当初はお前達に期待していたのだがね」

 

 あくまで自分は人であると語るカオス。故にマイスターに期待していたと語った事に当のマイスターは不可解そうに顔を顰める。

 

「AIなどには出来ない無限の可能性が人にはある。例えば覚醒もそうだ。システムに愛された者だけが使用できる、いまだに正体不明の……未知なる人の可能性。それを見せてくれたマイスター達には期待していたが……酷く失望させられたよ。ガンダムブレイカー達はGBBBBを傍観し、マイスター……お前はGBBBBの運営に同調した。AIを是とする連中にな」

 

 もしかしたらマイスターならばGBBBBをカオスにとってより良い方向へ導いてくれる……。そんな淡い期待をマイスターに寄せていたが、当のマイスター自身は運営側に立った。それがカオスにとって大きな失望に繋がったようだ。

 

「……勝手に期待して勝手に失望か。目の前の相手を見ようともせず……。単なる逆恨みだな」

「なんとでも言うがいい。今のお前達に興味はないのでね」

 

 勝手に期待され、そして失望する。この事にはマイスターはカオスだけではなく、過去にも経験があるのか、それこそカオスに対してどこか落胆しているような素振りを見せる。しかしカオスにとってはマイスターは最早、眼中になかった。

 

「それよりも……ツムギ君、キミだよ。マイスターに失望したからこそ、私は君に期待したのだ。覚醒と更にはAIの力を使いこなす新たなビルダー……。人類の革新たる君ならば私の気持ちが分かる。そう思ったのだよ。君ならば私の意志に応え、共に戦う資格がある今一度訊こう。私の仲間になる気はないか?」

 

 カオスはずっとツムギに執着して度重なる勧誘を行っていた。覚醒という希少価値。それを使いこなす新世代のビルダーに強い期待を抱いたのだろう。だからこそこの場でまたツムギに誘いを持ちかける。

 

「ゲーム……とアナタは言いました。でも、アナタ達以外の誰が今のこの状況を楽しんでるんですか? そんなのはただの独りよがりだ。そんな人の側に立つことはありえません」

「……やはりな。結局は君も下らない連中の一員というわけだ」

 

 ゲームと語ったところで少なくともツムギが考えるゲームとはそれをプレイする者達も楽しんでこそだ。こんな息苦しい現状をゲームと認めるわけにはいかない。そんなカオスの元につくつもりはなかった。とはいえカオス自身もツムギが断ってくる事は察していたのか、ツムギにも失望したように肩を落とす。

 

「ならば!」

 

 するとブラックロータスは振り返り、クレールに向かって手を翳すとクレールの機体は激しく発光し、データ状の球体へと変化すると真下のガンダムヘッドに吸い込まれていく。次の瞬間、フィールド全体を揺らす轟音と地響きが響き渡る。

 

「ならば、私に見せてみろ! お前達がどれほどの想いを秘めているかを! そして倒してみろ! システムの枠組みすら超えた力で私が生み出した最強の機体を!」

 

 ブラックロータスの背後にいたガンダムヘッドがその姿を変える。デビルガンダムをベースにしつつもそのデザインは大きくアレンジされ、そのカラーリングも毒々しい紫色をベースとしており、それはまさにGBBBBを混沌に齎す悪魔のガンダムと形容するに相応しかった。

 

「私が正義か、お前達が正義か……。ここで決着をつけようではないか! AIなど命令を実行する事しか出来ない存在だ。そんなものに管理されるようではこの世界に楽しさを求めるなど絶望的だ。そんなことに気付かぬ愚かなビルダーや運営にガンプラバトルシミュレータを汚染する権利はない! だから私が粛正する!」

「勝手なこと言って! アンタなんかにリリンの何が分かるって言うのよ! リリンは……私達と一緒に色んなミッションに行って、色んな人と話して……。私達と同じようにGBBBBを楽しんでた! リリンと私達で何が違うって言うのよ! リリンの心を踏みにじったアンタを許さない! アンタを倒して、リリンを助けて見せる!」

 

 これがカオスが用意した奥の手なのだろう。背後のデビルガンダムを誇示するように大きく両腕を広げるブラックロータス。仰々しいカオスの物言いにリンは真っ向から否定する。

 

「我々はお前ほど急ぎ過ぎもしていなければガンプラバトルシミュレータに失望もしてはいない。誰にだって気に入らない事があるだろう。でも、だからって誰かを傷つけて自分の思い通りにしていい免罪符にはならない!」

「本当にアナタがガンプラバトルシミュレータを愛していたとしても今のアナタには誰も笑顔には出来ない。アナタ自身を孤独にしているだけだ。だから……ここで全部、破壊してみせます!」

 

 リンに続くようにマイスターとツムギは己の意思を示すと、デビルガンダムとの戦闘が始まる。遂にGBBBBの命運を賭けた最終決戦の火蓋が切って落とされるのであった。

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