ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「カオスも捕まったし、リリンも戻って来たし、これで万々歳や!」
全てを終えたアルティメイトフォースゼロのクランルームは勝利に喜ぶ一同の姿があった。全てが上手くいった事にタオは手放しに喜んでいた。
「ああ! 俺達の大勝利だ!」
「これで以前と同じように安心してGBBBBで遊ぶことが出来ますね」
拳を高らかに上げて喜ぶマシマ。その隣でシーナはかつてのGBBBBが戻ってくる事を心から安堵していた。
「正確に言えば、前と同じ、ではなく前以上と言うべきかな。事件が解決したことによりβ版から正式リリース版への 実装作業も再開される事になる。妨害工作もなくなった分、作業の進行も加速する筈だ」
「そっか。遂に正式版へのアップデートが来るんだね!」
「具体的なスケジュールは決まっていないが、そう遠い話ではないのは確かだ」
シーナの言葉を引き継ぐように今後のGBBBBを話すマイスターにミサは正式版のGBBBBがいよいよ目前に迫ってきたことに楽しみを待ちきれないと表情を輝かせるとそんなミサにマイスターは微笑みかける。
「正式版かぁ……。新しいミッション、新しいイベント……。楽しい事がいっぱいあるんだろうな。ねぇ、リリンは──」
正式版GBBBBへ期待を膨らませるリンはそのままリリンの気持ちを聞こうとするが、リリンの姿はどこにもなかった。
「……って、あれ? リリンは……? リリンが、いない……!?」
「──……私はここ」
クランルームを見渡してもリリンの姿はなく、慌てふためいているとふとモニターの方からリリンの声が聞こえる。見て見ればそこにはリリンの姿が。
「リリン!? こっちに戻ってきた筈じゃ……」
「……ごめんなさい。私、何だか疲れちゃった」
何故、モニター越しなのか、リンは驚いているとリリンは困ったように眉を寄せながら力なく答える。
「こちらに戻るだけのエネルギーも残っていなかったという事か。流石にあれだけの事があってはな」
「そうだね。そこで無理させちゃったら仕方ないし」
マイスターとユウヒはリリンが戻ってこれなかった理由を察する。ただでさえデビルガンダムのコアユニットにされただけではなく、その後のリリン・カーネーションなどリリンの負担は計り知れない。
「リリン……大丈夫なの?」
「……うん。少し休めば、大丈夫だから」
リンはリリンを気遣うと、リリンは心配しないでほしいとばかりに笑いかける。
「そうか……。休みが必要なのは俺達もリリンちゃんも同じだよな」
「でしたら、今はゆっくりと休息なさってください」
「せやな! いっぱい休んで、その分、またいっぱい遊ぼうな!」
リリンを思い遣り、マシマ、シーナ、タオは彼等らしい言葉でリリンを送る。
「君の回復については、私の方からも最善を尽くしてもらえるよう運営に掛け合おう。だから今は安心して休んでくれ」
「アタシ達、ずっとここで待ってるから! このGBBBBで!」
マイスターも運営に掛け合ってでもリリンの復帰が早まる事を約束してくれた。そんなマイスターの隣ではリンが寂しさを堪えながらもリリンを見送る。
「うん。だから今はおやすみ。リリン」
ツムギも寂しさを堪えつつもリリンを見送る。これが今生の別れにはならないと信じているから。
「……みんな、ありがとう。私の、みんなの大好きな大切なGBBBBを守ってくれて……。じゃあ……少しの間、おやすみなさい」
最後にリリンは感謝の言葉を口にする。リリンの言葉に一同が頷くなか、リリンを映したモニターは暗転するのであった。
・・・
リリンと別れたツムギは1人、マイハンガーに置かれているストライクブレイザー・リブレイクのコックピットに訪れていた。締め切ったコックピットの中で目の前のモニターにはリリンのようなデータ状の光球が表示されていた。これがブレイザーのデータであった。
「やっぱりブレイザーも行くんだね」
ブレイザーもまたリリンのように眠りにつくのだろう。元々ターンΩとの戦闘で激しい損傷を受けていたブレイザーだ。事態が収拾したらリリンのように眠りにつくのは不思議なことではない。
「……大丈夫。離れていても想いは繋がってる。俺はここでずっと待ってるから」
目尻に涙を浮かべながらツムギはモニターに映るブレイザーのデータに触れる。寂しさはある。それでもリリン同様に今はただ待つだけだ。
《……ツ、ムギ……》
「なに、ブレイザー?」
たどたどしくツムギの名を口にするブレイザー。ブレイザーが何か言語を発する事自体が珍しいが、今はその言葉に耳を傾ける。
《イ、ッテ……クル》
「うん、いってらっしゃい。ブレイザー」
今はただブレイザーの傷が癒え、帰ってくるのを待つだけだ。そのやり取りを最後にツムギは深く顔を俯かせるも、寂しさを振り払うように顔を見上げ、薄暗いコックピットから出ていく。
・・・
「相変わらずセレクトMの料理は美味しいですね」
それから1ヶ月半が流れた。ツムギはナギサと共にセレクトMに訪れ、提供される軽食に舌鼓を打っていた。
「そう言ってもらえるとやっぱり嬉しいよ」
カウンター席の向かいに立つのはタツヤであった。あれからリハビリを経て退院し、学校にも家業にも復帰したようだ。
「やっぱりタツ兄のご飯は美味しいよねー!」
「まあ正直、まだ休んでてほしいけどね」
近くにはエプロン姿のヒマリとアヤトの姿もあった。タツヤを気遣うアヤトの言葉にタツヤは大丈夫だってと苦笑する。
「それより、まさかツムギが新しいガンダムブレイカーになるなんてな。俺達も先輩かぁ……」
「そう言うの変に意識したらロクなことにならないよ」
タツヤが操られている間にツムギはガンダムブレイカーとなった。感慨深そうにうんうんと頷いているタツヤに立つアヤトは釘を差す。
「でもでも、ヒマリもブレイカーエストレーモ・ヴェロの時、一緒に戦ってるからヒマリもガンダムブレイカーだよね! あれ、そうなるとツム君が先輩?」
「別にそういうのは意識しないかな。俺はただ俺なりの祈りで破壊と創造のガンダムブレイカーの名を使われせもらっただけだし」
ヒマリもある意味でガンダムブレイカーだろう。うーんと頭を悩ませるヒマリにツムギは苦笑する。
「でも、その祈りがGBBBBの未来を切り拓いた。紛れもなくツムギはガンダムブレイカーだ」
謙遜するツムギに対して、タツヤは微笑みかける。数々の功績を残してきたガンダムブレイカー。それでも結果、そうなったのであってその真髄はまた別のところにあるとタツヤは考えている。いや、タツヤだけではない。この場にいる他の面々もだ。
「ツムギ、手を出してくれるか」
ふとタツヤはツムギの手を求めてくる。ツムギは意味は分からずとも言われるがまま手を差し出す。するとタツヤは自身の拳とツムギの拳を上下に打ち鳴らした。
「バトンタッチだ。頑張れよ、後輩」
そして最後にハイタッチのように手を打ち鳴らす。それはガンダムブレイカーの継承のようにも見えた。
「俺達も前にユウヒさんからバトンを受け取ったんだ。ユウヒさんやイチヤさんもその前のシュウジさんからバトンを受け継いで、そのシュウジさんもショウさんからバトンを託されたらしいよ」
「そうやってガンダムブレイカーは脈々と受け継がれていったんですね」
バトンタッチ。タツヤが語るその意味を話すアヤトに先程のハイタッチの重みを感じたツムギは感触を確かめるようにしっかりと拳を握る。
「俺は……俺の光で走り切ります。そしてこのバトンを繋いでみせます」
握りしめた拳の強さはツムギの強い意志を示すかのようだ。決意を見せるツムギにタツヤ達は微笑む。
「じゃあツム君はツム先輩だね! ヒマリも頑張るよー!」
「ナギサさんも置いていかれないようにしないとね! ナギサさんをそう簡単に置いてけると思うなよー」
ヒマリもガンダムブレイカーの1人としてツムギに触発されたように晴れやかな表情を見せ、ナギサも張り切ったようにツムギの頬を人さし指で突っつく。
「ああ。みんなで駆け抜けていこう。俺達の……みんなのGBBBBで!」
きっとGBBBBが正式サービスを開始すれば、多くの出会いが待っている事だろう。今はただツムギはその期待感に胸を躍らせる。
──ガンプラバトルには色んな楽しみ方がある。ガンプラに興味がない人も、初心者も楽しんで良い。
全てを肯定してくれる自由な世界。
人に生きる力を与える世界。
制限も、不自由もあるけれど、その全部が成長の鍵となる
それが彼等のGBBBBだから
そしてこの世界は続いていく……。プレイヤーのガンプラへの想いがある限り。
《──皆様、大変長らくお待たせ致しました。これより、GBBBBの正式サービスを開始致します。心ゆくまでGBBBBをお楽しみください》