ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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自分だけの世界

 その後、ミッションを無事終えたツムギ達はロビー広場でタオと合流していた。話題は勿論、先程のミッションの振り返りである。

 

「中々やるじゃない、アンタ! でも次は負けないからね!」

 

 あれだけリリンに対抗意識を燃やしていたリンではあるが、リリンの実力は自分よりも上回っていた事を自覚したのか今回は素直に負けを認めつつもその様子はどこか晴れやかだ。 

 

「次も、あるの?」

「もしかして勝ち逃げする気!?」

 

 だがリリンから返ってきた返答にすぐに目尻をつり上げて食ってかかる。

 

「そうやなくて、また一緒に遊んでくれるん? って意味やない?」

「……そういえばリリンはアタシ達のクランに入ってないもんね」

 

 リリンはどうにも言葉足らずなところがあるらしい。タオがすかさずフォローを入れるといつもの3人で遊ぶことに慣れてしまったせいか、リンはこの中でリリンだけはクラン・ブレイカーズにメンバーでないことを思い出す。

 

「ねえ、ツムギ、この子、クランに誘ったら良いんじゃない?」

「それエエな。リリンが入ってくれたら心強いで!」

 

 リンとしてもこのままリリンと会う機会が減ってしまうのは避けたいのだろう。実質的にクランのリーダーの位置に収まっているツムギにリリンのクラン入りを提案すると名案だとばかりにタオも乗る。

 

「……クランってなに?」

「仲が良かったり同じ方向性を持つ人達が組むチームのことだよ。リンもタオも。そして俺もリリンともっと遊びたいと思ってるんだけど……どうかな?」

 

 リリンもまた初心者なのだろうか。クランについて説明を求めるとツムギは代表して答えながらリリンをクランに誘う。とはいえかつてツムギ自身がフリーダムフリートの誘いを断った事もあるようにクランに入るのは個人の、この場合、リリンの自由だ。

 

「……うん、意味は分かった」

「どこにも所属してないならアタシ達のクランに入ってよ。きっと楽しいから!」

 

 ツムギの説明にクランの意味自体は理解できたのだろう。いまだクラン加入の可否がリリンの口から出ない中、更にリンが根強く誘う。対抗意識自体は燃やしていたが、リリン自体は好ましく思っているのだろう。

 

「分かった。リンがそういうなら……入る」

 

 ここで今までずっと首を傾げたり横に振ることが多かったリリンが頷いたのだ。ダメ元での誘いではあったが、その言葉にツムギ達、そして特にリンの表情は花が咲いたように明るくなり、思わずリリンに抱きついている。

 

「良かったやん、リン!」

「うん! ……でも今、アンタが話しかけてたのアタシじゃなくてリリンなんだけどー?」

 

 リンの根強い説得を間近で見ていた分、タオは安心したように笑いかけるとリンは心底嬉しそうに頷く。が、今、リンはリリンに抱き着いているため、どっちがどっちかのか分からなくなってしまったようですかさずリンから文句のような指摘が入る。

 

「ご、ごめん! どっちがどっか一瞬、分からんようなってたわ……」

「……確かにこう似てると見分けがつかないのも仕方がないね」

 

 ジトーっとした刺すような視線に慌てて謝るタオ。タオにそうは言ったものの同じ外見だと間違えてしまうのも無理はないとリン自身も改めてリリンを見ながら悩まし気に呟く。リンに比べてリリンは常に無表情に近いため、よく見れば見分けはつく。何だったら最低な物言いだが胸の大きさで見分ければ良い。が、一々胸を見て判断なんて出来ないだろう、色々な意味で。

 

「今からでもアバターの色を変えるとか出来たら良いんだけど……」

 

 それは誰が聞いても何気ない呟きだった。しかしリンのその呟きに何か考えるようにジッと見つめたリリンはやがて目をゆっくりと瞑るとその身体は青い光に包まれ、ツムギ達が思わず目を背けるなか、光が収まった先にいたのは青を基調にした色合いに染まったリリンの姿であった。

 

「これで大丈夫?」

「えっ、それどうやったん!? 一瞬で色が変わって、って……いや、そのカラーは分かりやすくてエエけど」

 

 服装だけではなく髪色も水色になったリリンは確認をとる。GBBBはプレイヤーの気分によってアバターの外見に手を加えることが出来る。それこそ髪色や瞳の色、性別の変更だって出来る筈だ。しかしそれはデータを弄る必要があり、今のリリンのように一瞬のうちで出来るものではないだろう。

 

「まあ、それなら悪くないんじゃない?」

「なんだか双子コーデみたいで良いね」

 

 リリンが出来た以上はシステムの範囲内なんだろうと深く考えず、納得しているリンの隣でツムギは改めてリンとリリンを見比べながら笑う。

 

「何が起こったんかよぉ分らんけど、これで問題解決やね」

 

 タオも考えても仕方ないと思ったのだろう。一先ずは目先のリンとリリンの外見のややこしさを解消できたことを喜ぶ。

 

「よろしくね、リリン!」

「うん」

 

 改めてクラン入りを果たしたリリンを歓迎するリン。リリンは相変わらず何を考えているのか分からない無表情のままコクリと頷くとクラン・ブレイカーズのリーダーであるツムギに向き直る。

 

「ツムギもよろしくね」

「うん。ブレイカーズへようこそ! こちらこそよろしく!」

 

 考えが読めないリリンだが少なくとも挨拶が出来る社交性はあるようだ。いまだ不思議な雰囲気を持ち、謎めいた人物であるリリンではあるが、それはこれからお互いに理解を深め合えれば良いだろう。そんな事を思いつつも今は純粋にリリンのクラン加入を歓迎するのであった。

 

 ・・・

 

「へぇ、リリンちゃんがクランに加わってくれたんだ」

 

 後日、ブレイカーズではユウヒがツムギからリリンがクランに加わった一連の話を聞いていた。

 

「順調にGBBBBライフを楽しんでるみたいだね」

「はい! 正直最初は不安もありましたが今はGBBBBにログインする事が楽しみになってるんです」

 

 こうしてキラキラとした笑顔でGBBBBの話をするツムギは見ていて眩しい位だ。それだけ今のGBBBBでの日々は充実しているのだろう。我が事のように良かったとは思うが、幼子のように喜び隠しきれないツムギの姿には思わず苦笑してしまう。

 

「ユウヒさんはまたGBBBBにログインしないんですか?」

「君、僕が曲がりなりにも社会人である事忘れてない? これでもこの店の長なんだけどなぁ」

 

 ツムギとしてもユウヒとまたGBBBBで、そして共にミッションに参加したりしたいのだろう。しかしユウヒは社会人。学生であるツムギと違って、自由にできる時間は限られてる。

 

「それはそうとこれ。うちのガンプラコンテストに応募してくれていた作品ね」

 

 そう言ってユウヒが視線を落とした先にあったのはガンプラを使ったジオラマだった。新機動戦記ガンダムWにて最終話の印象深いリーブラの残骸を破壊するシーンを再現したのだろう。地球を背にウイングガンダムゼロがツインバスターライフルを構えている内容のものだ。大気圏突入をイメージしているのだろう。ウイングガンダムゼロも大気圏突入の赤熱化を思わされるグラデーション塗装が施されていた。

 

「優勝とはいかなかったけど、お客さんからも好評だったよ」

「結構自信作だったんですけどね。優勝した人はどんな方なんですか?」

「ツムギ君と同い年位じゃないかな。うちの常連だし、そのうち会えるかもね」

 

 塗装もムラはなく、戦闘の影響を表すダメージ表現もされており、本編さながらの臨場感を与えてくれる。ツムギとしても自信があったようだが、どうやら今回はコンテストに優勝することは叶わなかったようだ。自分にとっての力作を越えた優勝者が気になるが、いつかブレイカーズでタイミングが合えばユウヒに紹介してもらえるかもしれない。

 

「ガンプラって改めて面白いよね。組むのも良し、カスタマイズするもよし、ジオラマに使うも良し、同じガンプラでも手にする人によってどんなものにでもなれるし、表現してくれる」

 

 改めてツムギが手掛けたウイングガンダムゼロのジオラマを観察しながら感慨深げに話すユウヒ。ガンプラの用途も今では多岐に渡る。同じガンプラでもユウヒとツムギがそれぞれ作成すれば違いは発生するだろう。そのガンプラを手に取った人物の世界観が鮮やかに世界に放ってくれる。ユウヒはそんなガンプラが好きだった。

 

「GBBBBもきっとプレイヤー1人1人によって色んなものを見せてくれる筈だよ。ツムギ君だけのGBBBBを見つけてね」

 

 GBBBBは単純にミッションやバトルをするだけではない。データ上のジオラマ作成などその楽しみ方は様々だ。だからこそプレイヤーによってGBBBBは何色にでも染まるのだろう。ユウヒの温かな激励を受けたツムギは「はい!」と大きく答えるのであった。

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