ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「じぃ〜……」
「な、何……?」
GBBBBのロビー広場。つま先から頭までまさにじぃーとリンを見るミサにリンは堪らず、顔を背けながらその真意を問う。
「じぃ〜〜〜……」
「だ、だから何なの!?」
が、ミサは依然とリンを凝視している。流石にリンも問い質すように尋ねると……。
「いや、リンってGBBBBを始めてから変わったなー、って思って」
「えっ……?」
「すっごく明るくなったよ。学校に行く時なんて、前は結構暗かったもん」
しかしミサから返ってきた返答に間の抜けた声を漏らすリン。特に意識はしていなかったのだろう。だが、リンを心配してよく彼女の様子を見ていたミサはリンの変化を確かに感じ取っていたようだ。
「あー、バレちゃってたか……。最近、友達も増えてきてね。行くのが楽しくなってきたんだ。今は夏休み中だけど連絡もちょくちょく取ってるんだ」
「それは何より。明るくなれば友達だって増えるよね! GBBBBで友達を作れるんだから、学校で作れない道理はないよ」
隠していたつもりもないが、浮足立っていのが気づかれていたのもあってリンは気恥ずかしそうにしながらも学校生活を明かす。GBBBBでの時間がリンを前に向かせるだけの力を与えたのだろう。これにはミスターに扮してでもリンを気遣っていたミサも心底安心した様子だ。
「ああ、でもツムギはただの友達じゃない……かな?」
「えっ、どういう意味?」
「家でGBBBBの話をする時、彼の話ばっかりでしょ。気になってるんじゃないのかなーとか思ったりして」
ふとニヤニヤと笑みを見せるミサにその言葉の意味がわからず、リンは首を傾げていると、ミサからの言葉に途端に見る見るうちに顔を真っ赤に染める。
「そ、そんなことないし! みんなの話をしてるって!」
「何故なのかな〜? 正直に言ってみなよー」
「だーかーらー! そんなんじゃなくて……」
慌てふためきながら否定するリン。自覚はなかったのだろう。そんなリンが可愛かったのか、スイッチが入ったようにからかい始めるミサにリンはムキになり始めると……。
「──どうしたの? なにかあった?」
「うわぁーッ!?」
聞き馴染みのある声が横から聞こえてくる。素っ頓狂な声を上げるリンが向けた視線の先には声をかけてきたツムギをはじめ、他のクラン・ブレイカーズの面々の姿があった。
「ええっ……!? そんなに驚く? 変な話でもしてたの?」
「ヘンじゃない! いや、えっと……なんていうか……」
声をかけたツムギのあまりの反応に戸惑っていると、先程の話を何よりツムギに聞かせるわけにもいかず、リンは何とか頭を振り絞って誤魔化しの言い訳を考えると……。
「あっ、そうそう! GBBBBを始めて、何が変わったかって話! だよね! お姉ちゃん!?」
「ふふっ……まあ、そうだね。家でのこととか、学校生活とか」
何とか誤魔化すリン。嘘はついていない。そんなリンの様子を可笑しそうにしながらもミサは引き際を考えて同意する。
「というわけで! タオはなにか話題ないの!? 身の回りのこととか! 変化とか、成長とか!」
「えぇっ!? なんか強引な話の振り方やけど……」
話を少しでも逸らすために突然、タオに近況を聞くリン。流石に強引過ぎるようにも感じられ、タオは戸惑うも答え始める。
「でも、僕も学校生活が変わったなあ。セリト君に絡まれても、前みたいにやられっぱなしやなくなったわ! そもそも、あんまりちょっかい出されんくなったしなぁ」
「セリト……あぁ、あの嫌味な奴か。そんなのもいたっけ」
タオもリアルでの生活に変化があったようだ。以前はビクビクしていたセリトにも物怖じしなくなったのだろう。最もセリトに関してはリンには印象が薄かったようで今、思い出したようだ。
「自分に自信を持っていれば、つまんねぇ奴は寄って来なくなるモンだ。それだけ立派になったってことだな、タオ」
「そ、そうかなぁ……。そうかも。えへへ、それもやっぱりGBBBBをやってたお陰やね」
珍しく同性であるタオを褒めちぎるマシマ。そんなマシマに褒められたからこそ気恥ずかしそうにしながらも笑みを見せる。GBBBBでの日々は確かな糧になっているようだ。
「それは素晴らしいことですね。私もGBBBBのお陰でプラベートの問題を前向きに解決する事が出来ました。あの時は皆さんにご心配とご迷惑をおかけしてしまいましたが……」
「それってGBBBBを辞めるとか言ってた時の事?」
「はい。でも今はすっかり状況が一変しました。問題が解決したお陰で今ではとても楽しく大学生活。過ごせています」
リアルでの変化はシーナにも。重く悩んでいたシーナだが、彼女もまた言われるだけの存在ではなく己の意志を示し、プラベートで変化が生じたのだろう。リンの問いに頷くシーナ。今では昔の話だが、当時は本当にシーナがGBBBBを去るのではないかとヒヤヒヤしたものだ。
「大学……!? じゃあ女子大生って訳か! 3人は兎も角、お嬢も学生だったとは」
「マシマは学生やないんやな。まあ、元プロって言うてたし……。あっ、でもプロを辞めたってことは……。もしかして、聞かん方がええ話題やった?」
「ハハッ、確かにニシワキを辞めた直後はフラフラしていたが、今となっては色んなプロチームからオファーがよりどりみどりって感じだぜ。ニシワキに勝ったり、カオス達と戦ったりして注目を集めたお陰だな」
シーナの落ち着いた佇まいから既に社会人かと思っていたマシマは驚いた反応を見せる。そんなマシマに学生でない事と元プロという肩書から察するものがあったタオは気まずそうな顔をするが、気にするなとばかりに笑いながらマシマは自身の近況を明かす。
「実際、実力はあるんだし、あの活躍を見たらプロチームとしても放っておかないかもね。……まあ、性格までリサーチしてるかどうかは知らないけど」
「この性格だからこそのオファーじゃねぇか? 知れば知るほど魅力が溢れるナイスガイだぜ?」
クラン・ブレイカーズの中でもマシマは多くの経験と高い実力を持つ。ミサの言うようにプロチームとしたら欲しい人材だろう。最も軟派な性格まで相手が知っているかは分からないが……。そんなミサの言葉にも持ち前の明るさで笑顔で応える。
「リサーチ、されてなさそう」
「このくらいのメンタルの方がプロ向きなのかもしれないけどね。それでどのプロチームに入るか決めたの?」
呆れるリンの隣で同じく呆れつつも寧ろマシマのこういった性格がプロとしてやっているのではないかと語るミサはそのままマシマを勧誘するプロチームへ話を移す。
「そこが考えどころなんだよな。オファーが来るのはありがたいんだが……。俺にはお嬢を残してこのチームを去る事なんて出来ねぇ! だから少なくとも当面はこのクランにいるつもりだぜ」
「ふふっ、そうまで言っていただけるのはありがたいことですね。では、マシマさん、ミッションご一緒していただけませんか?」
勧誘があるからと言って何も考えずに入るようなものでもない。もう一度、プロの道に進もうとする以上、流石のマシマも慎重になるだろう。最もシーナを引き合いに出しつつも暫くはクラン・ブレイカーズにいてくれるようだ。そんなマシマにシーナがミッションを持ち掛ける。
「お嬢が……俺をご指名……!? やった……やったぞ……! お嬢、遂に俺の想いを認めてくれたんだな!」
「いえ、思い残すことなく辞められるように思い出作りの機会があった方がよいかと思いまして」
「……まあ、そんなところだとは思ったぜ。だが、どんな理由であれ、お嬢からのお誘いに変わりはねぇ! こんなに嬉しい事はない……!」
マシマだけではなく、まさかのシーナからの誘いに他の面々も驚くが、噓か本当かにこやかに話すシーナにマシマはガックリと肩を落とす。しかし持ち前の性格からかすぐに立ち直り、シーナからの誘いを噛み締める。
「後は……ツムギさん、すみませんがご一緒していただけますか?」
「勿論。お2人とのミッションも久しぶりですしね」
残るメンバーを誰にするかシーナは周囲を見渡し、ツムギを目に留めると彼を誘う。ツムギも断る理由はなく、ミッションに同行する。
「リンちゃんかミサなら両手に花だったんだが……。あぁ、いや、お嬢の気が変わっちゃ大変だ! とっとと行くぞ、ツムギ!」
「マシマさんは思った事を口にするのは止めた方が良いと思いますよ」
どうせなら同行メンバーは女性陣で固めたかったようだが、威圧感のある笑みを見せるシーナにすぐさまツムギの肩に腕を回すと、そのままツムギの指摘を無視して引きずるように連れていく。その後をリン達に一礼したシーナもついていくのであった。
「人は変わっていくものやけど……」
「変わらないものもあるよね……」
そんなマシマ達を見送りながら残ったタオとリンは一連のやり取りを見ながら呆れ交じりに苦笑するのであった。