ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「わざわざ集まってもらってすまない。機密情報にあたる内容なのでロビーで話すわけにはいかなくてね」
アルティメイトフォースゼロのクランルームには同チームのメンバーの他にクラン・ブレイカーズと配信を終えたナギサとソフィーを含めたベクルックスのメンバー、そしてショウとユウヒが集まっていた。かつてのカオス攻略のメンバーが集まったのを確認したマイスターは口火を切る。
「それで、マイスター……。リリンに何かあったの?」
「……リリン君が眠ったままなんだ。開発スタッフの見立てでは、もっと早い時期に目を覚ましてもおかしくないとのことなんだが……」
ここに集まったのはリリンについての話があるという誘いがあったからだ。早速、リンが内容を尋ねるとマイスターは慎重な面持ちで答える。
「それだけ、先の一件のダメージが深刻だったということですか?」
「いや、損傷は完全に修復している。データで見る限りでは何も問題ない」
本来なら目覚めていてもおかしくはない、にも関わらずリリンは目覚めない。考えられるとすればカオスに利用された際の負荷だろうかと考えたシーナであったが、それに答えるライムの発言を聞く限りでは、問題は別のところにあるようだ。
「となれば、これはリリン自身の問題だ。我々の預かり知らぬところ……リリンの中で、我々の想像を越えた未知の現象が起こっているのかもしれない」
「じゃあ、もしかしてそれを解決するために、リリンの心の中へガンプラでダイブしよう……とか?」
アータルが語るようにリリンの中で何かが起こっている。とすればその解決案を口にするミサにマイスター達以外は驚いた反応を見せる。
「……概ね正解だ」
「え、なになに!? どういうこと!?」
しかもマイスターはミサの言葉に頷いたのだ。突飛に思える内容だった為にリンは説明を求めるようにミサを見やる。
「というかミサさん、めっちゃ先々言ってますけど、なんでそんな理解力高いんです!?」
「……実は昔、似たようなことがあったんだよね。シミュレータを使って、ガンプラでAIの中に入って行って、コンピューターウイルスをやっつけたりとか」
タオの言うようにあまりにも状況に対する理解力が高いミサ。だがミサも過去には似た事例があったらしく、改めて彼女の経験の豊富さに驚かされる。
「順を追って説明させてもらうが……。既に承知のようにリリンはGBBBB内で活動するAIである。GBBBBのシステムに手を加える事で、このバトルシミュレータからAIであるリリンに接続できるようになった。このシステムを用いてリリンの深層世界に侵入し、異変の原因を調査しようというのがこれから行おうとしているミッションの目的だ」
アータルはこれから行われるミッションの概要について説明する。
「成る程。リリンちゃんはAIだからデジタルデータで構成されている。シミュレータのシステムを流用すれば、ガンプラで心の中に入ることも出来るってわけか」
「そんな便利なことができるのですね……」
アータルの説明に合点がいったマシマの説明にシーナは驚く。ただ遊ぶ為のシミュレータがAIとはいえ、心の中に入るというのだから仕方のないことだろう。
「我々は今回出撃せず、データの分析とナビを担当させてもらう」
「そうだね。心の中とはいえ、何が起こるかは分からないもんね」
マイスター、ライム、アータル、ショウは出撃メンバーが外れ、裏方作業に徹するようだ。その判断は適切だろうとユウヒは同意するように頷く。
「探索担当とナビ担当の二班で協力した方が、あらゆる事態に対応しやすいからな」
「となれば、後は出撃してリリンの深層世界を調査する探索チームの選出がアタシ達ってわけだね」
ショウの説明に頷いたユカはツムギやナギサ達を見やる。ガンプラを用いての探索ならば自分達でもやれる事だろう。
「ああ。特にミサ君。君は過去に似た経験をしたと言っていたね。経験者が出撃してくれると心強い。まず君にお願いしたいのだが問題はないだろうか?」
「勿論、任せといて!」
ユカの言葉に頷きながら、まず最初にマイスターはミサを指名する。理由としても最もな為、ミサは二つ返事で了承する。
「アタシも行く! リリンの事ならほっとけないもん!」
「ああ、こちらからもお願いしたい。リリン君に一番近しいのはリン君だからな。心の中にはいるのであれば、近しい人でないと気付けないことがあるかもしれない」
次に手を挙げたのはリンであった。元よりマイスターとしてもリンの選出は考えていたようで、勿論とばかりに頷く。
「同じ理由で残る1人はツムギ君にお願いしたい」
「任せてください。リリンに何が起こってるのかは気になりますし、困っているのなら助けたい」
マイスターが最後に指名したのはツムギだった。ガンプラを扱う以上、覚醒の使い手であり、リリンとも繋がりがあるツムギを向かわせるのは間違いではないだろう。ツムギも問題ないのか、頷く。
「……その、ブレイザーについてはなにか分かりませんか?」
出撃メンバーも決まった事で話も一区切りしたタイミングでツムギはブレイザーについて尋ねる。ブレイザーもまたリリンと同じタイミングで眠りについたが、いまだに戻ってはいないのだ。
「……その件についてだが、ブレイザーは既に目覚めてGBBBBに戻っている」
「えっ!? でも、ノセのところには帰ってきてないですよね……?」
マイスターも話す必要があるとは思っていたようで慎重な面持ちで答えると、ナギサはその返答に驚きながらツムギを見る。ツムギはナギサに頷きながらもブレイザーが帰ってこないことに困惑した様子を見せる。
「ブレイザーにもまた何か起こってるってことかい?」
「そうだな。本来ならこちらでアウラを通じてブレイザーと繋がる事は出来るはずだが、どういう訳かブレイザーの反応を捉える事が出来ないんだ」
ツムギとブレイザーの繋がりを考えれば、何故持ってこないのか疑問に思ってしまう。考えられるとすればブレイザーにも何か問題が起きているということ。ウィルの問いにマイスターは頷く。
「ブレイザーは何が理由があってGBBBBを彷徨ってるってことですか」
「そう考えるの自然でしょうね。でなければ説明ができませんわ」
アオバも頭を悩ませながらブレイザーの現状を考える。ブレイザーもツムギ達の大切な仲間。そんなブレイザーが何も言わずにGBBBBを彷徨っているのだとしたらなにか理由がある筈だ。アオバの言葉にシオンは頷く。
「……でも、少なくてもさ。目覚めてこの世界の何処かにいるってんならまだ会える可能性はあるって訳だよね」
「そうだね。今は……リリンの事を先決しようか」
とはいえリリンのように目覚めていない訳ではないのだとしたらGBBBBで過ごす内に会えることもあるだろう。ブレイザーの事は気になってしまうが今はリリンを何とかしようとソフィーの言葉に無理やり自分を納得させたツムギはリンとミサと共に出撃していくのであった。