ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「……リリンの件、なにか進展があったんですか?」
リリンの心の中でアクセス拒否されてから数日、ツムギ達は再びアルティメイトフォースゼロのクランルームに集められていた。
「いや、直接の進展はまだない。しかし事態は今日を境に動き始めるだろう」
「例のAIの専門家と話がついた。もう間もなく通信が繋がる筈だ」
アータルとライムの説明するように以前、マイスターがコンタクトを取ると話していたAIの専門家を招集することが出来たのだろう。その人物がいればより詳しい事が分かる筈だ。
《──お前らがアインの協力者か》
当のAIの専門家はこの場にはおらず、モニターから男性の声が聞こえてくる。この声の主こそマイスターの知り合いもAIの専門家なのだろう。
「……この声、どこかで聞いた気が」
《お、流石に気付いたか》
この声に覚えがあるのだろうか、途端にミサが腕を組んで首を傾げているとその反応にどこか嬉しそうにしながらモニターが明るくなる。そこに映し出されていたのは白衣姿の眼鏡をかけた男性がいた。
《よう、ミサ。久しぶりだな》
「あーっ!? カドマツー!」
男性とミサは知り合いなのだろう。気さくに挨拶をしてくる男性の名を口にしながらミサは目を丸くして驚いていた。
「ミサちゃん達の元チームメイトの人だね」
「彩渡商店街ガンプラチームのメカニックで、いや、元々はハイムロボティクスってところにいたんだけど縁あってウチのチームに……」
置いてけぼりのツムギ達に2人の間柄を知るユウヒが説明してくれる。その説明を引き継ぎながら、ミサはてんやわんやと話すが、今はそれどこではなくモニターに映るカドマツを見やる。
「って、そんなことより! 何で急にいなくなっちゃったのよ! ロボ太もイチヤも皆いなくなっちゃって、その上でカドマツまで連絡がつかなくなって、私がどれだけ心配したか……。それをよくもまぁ呑気に私の前に顔を出せたわね……。アンタって人はーっ!」
《ま、待て待て! それは悪かったが仕方がなかったんだ!》
「何がどう仕方ないってのよ!」
元チームメイトの全員が連絡がつかない状態にミサも様々な想いを抱えていたのだろう。怒りを爆発させるミサにマイスターが人知れず気まずそうに顔を背ける中、カドマツは慌てて弁明するも、ミサの怒りは収まる気配がない。
「少し落ち着け、ミサ。まずはカドマツの現状を理解してほしい。彼は現在、GBBBB開発チームの一員として活動しているんだ。GBBBB開発の初期段階でスカウトされて、開発チームに参加したのだ」
「過去の知人とのコンタクトを絶ったのも、守秘義務の遵守と保安の為だそうだ」
ユウヒやユカのような昔からの知り合いからすればミサの怒りは最もである為、特に止める素振りは見せないが、それでは話は進まない。アータルとライムはGBBBBに身を置くカドマツのフォローの為、説明をする。
「……GBBBBのセキュリティは盤石だ。しかし開発者が相手となると話は違う。これはカオスの一件でも浮き彫りになった事実だな」
「開発者であるという情報が広まれば、不埒な連中に狙われる恐れがある。それ故、自らの所在や所属を隠し、周囲との連絡を控えていた、という事だ」
どこか言いずらそうに話すマイスターと事実のまま淡々と説明するアータル。カオスに狙われたリリンの事もあるので、カドマツの行動は理解は出来る。
「にしたって、メッセージひとつ寄越さないなんて……」
《まあ、積もる話は後にしよう。今はやる事をやろうぜ》
ミサも理解はしたが、まだ納得しきれていないのか不満そうにしているが、これではいつまでも話は進まない。カドマツの切り替えによって話はリリンに移っていく。
《大体の経緯はアインから聞いている。調査結果も共有してもらって、こっちでも色々調べてみた。……恐らくリリンの心の中では無限ループが発生している》
「ロボ太の時と同じじゃない!」
カドマツの説明にミサは過去に思い当たる出来事があったのか、驚いてしまっている。
「……ロボ太。彩渡商店街ガンプラチームの一員でしたよね」
「イッチ、ミサ義姉さん、カドマツさん……。ううん、アタシ達を含めて当時の彩渡商店街ガンプラチームと同じ時間を過ごしていた人達にとっての“ともだち”かな。ロボ太もAIだったけど」
ふと過去の記憶から彩渡商店街ガンプラチームのかつてのチームメイトにミサの口にするロボ太という存在がいた事を思い出したツムギにこの場でロボ太を知らない者の為にユカが説明してくれる。
《AIってのは、何か難しい問題にぶつかっちまうと延々と悩んじまうもんなんだよ。順々に問題と答えを繋いでいくと前に通過した筈の問題がまた提起される。で、同じ思考を繰り返す……。人間なら疲れたり飽きたりして止めちまうが、AIは疲れないから無限に考え続けて帰ってこれなくなっちまうんだ》
「ってことはリリンも何か悩んでるわけ? “おやつを食べたいけど太りたくない”とか」
「それはミサの悩みでしょうに……」
AIが無限ループに陥る理由を簡単に説明してくれるカドマツだが、ミサが例に出した内容に一同、呆れてしまい、代弁するようにシオンがツッコミを入れる。AIがおやつを取るかは別としてそんな簡単な内容ならここまで拗れていない筈だ。
《ま、何かめんどくさい問いにハマり込んじまってるんだろ。お前ら、何か心当たりがあるんじゃないか?》
「って言われても……」
何かしらの問題をずっとリリンが悩んでいるのだとして、その内容について聞かれてもツムギ達はパッと思いつくことはない。
「じゃあ解決策は前と同じだね。外から声をかけてあげれば良い訳だ」
「けど、前にリリンの心に入って行った時は扉を閉ざされちゃってたよね……」
ロボ太が無限ループに陥った時もミサが言うようにそうやって解決したのだろう。しかしリンが言うように前回固く閉ざされた門を開くには至らなかった。
《それをこじ開けるの俺の仕事だよ。こちとらGBBBBの開発に関わった専門家だ。アウラが生み出したAIのことも良く知ってる。通信でナビゲートするだけになっちまうが、それでも前よりは上手くいくはずだぜ》
「じゃ、今回も私が行かせてもらおっか。カドマツとコミュニケーションするなら慣れた私がいた方が良いでしょ?」
「アタシも行く!」
だが今回からはカドマツもいる。アータルも言っていたが今日を境に進展がある筈だ。早速出撃メンバーにはミサとリンが名乗りを上げる。
「では、最後の一人はツムギ君だな。前回と同じ編成で行こう」
「頑張ってね、ノセ!」
となれば最後の1人は前回と同じツムギで良いだろう。マイスターの指名にナギサもエールを送るなか、ツムギは頷く。
《よろしく頼むぜ。確かお前さんはブレイザーと一緒に戦ってた奴だったよな》
「ブレイザーの事もご存知でしたか。まあそうですよね。ミサさんにカドマツさん。かつての彩渡商店街ガンプラチームのチームメンバーとご一緒出来るなんて光栄です!」
カドマツも注目株であるツムギの存在は知っているのだろう。そしてブレイザーの存在も。GBBBBの開発側の人間という事もあって納得しつつ、ツムギはかつてニュースで称えられたヒーローのような彩渡商店街ガンプラチームのかつてのメンバーと共に戦える事に胸を躍らせながら、出撃していくのであった。