ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
リリンの心の中。その最深部へと近付いたブレイズブレイカー達の前に巨大な影が迫る。
「サイコ・ガンダム!?」
それは機動戦士Ζガンダムに登場する地球連邦軍が開発したNT専用巨大可変MAであるサイコ・ガンダムであった。そのブレイズブレイカー達を優に上回る巨躯を目の前にリンは圧倒される。
《そいつもリリンの自己防衛システムが生み出した機体だ。前回も門番のような強力なプログラムに遭遇した事があったんだよな?》
「うん。あれもリリンの心を守る番人って奴だね」
MAから人型のMS形態へと変形するサイコ・ガンダム。その漆黒の巨体はそれだけで威圧感がある。サイコ・ガンダム出現の理由を話すカドマツにミサはサイコ・ガンダムを見ながら答える。
《ん……? 心……Psycho……それでサイコ・ガンダムか? 随分とシャレが効いてんな。どこでそんな知識を仕入れてたのやら》
「リリン……。GBBBBでの時間の中で本当に色んなものを吸収していったんだ」
何故、サイコ・ガンダムなのか。その理由を推測したカドマツが微笑ましそうに笑うなか、ツムギもどこか感慨深そうに話す。何も知らない真っ白なノートのようなリリンがGBBBBで過ごすうちに彩っていった。そう考えると自然と嬉しくなったのだ。
だが、今は感傷に浸っている時ではない。サイコ・ガンダム攻略の為、ブレイズブレイカー達はすぐさま散開して攻撃を開始する。
「ブレイズの武装はビームだけじゃない!」
全身の各部位に高火力の射撃武装を持つブレイズブレイカー。しかしそれら全てがビーム兵器ではない。ガンランチャーと腰部、そしてバックパックのレールガンを駆使してその機動力でIフィールド・バリアを持つサイコ・ガンダムを翻弄しながら損傷を与えていく。
「っと! 流石、サイコ・ガンダム。そう簡単には攻略出来ないね!」
全身に火器を持つのはブレイズブレイカーだけではない。サイコ・ガンダムもまた全身のメガ粒子砲とビーム砲を放ち、ブレイズブレイカーは咄嗟に回避を始める。一撃でも受ければタダでは済まない。ミサは冷や汗をかきながらも反撃の糸口を探す。
「でも、リリンの為だもん! ここで足踏みしてなれない!」
だが3人とも諦めた訳ではない。リンのリリンへの強い想いを表すような言葉にツムギとミサは頷きながら、サイコ・ガンダムへ果敢に挑む。
「こんのぉっ!」
アザレアブレイジングは覚醒を果たし、天高く飛び上がると煌めくエメラルドグリーンの光を足先に纏いながら渾身のブレイジングキックがサイコ・ガンダムの右足を貫き、その巨体は大きくバランスを崩す。
その隙にチャージを進めていたブレイズブレイカーは最大出力のディスラプターを放つ。Iフィールド・バリアさえ意味をなさない防御不能の究極兵器はサイコ・ガンダムの左足を完全に崩壊させる。
「リリンの心を守ってくれてありがとう」
両足を失い、地面を這うサイコ・ガンダムはそれでも上体を起こそうとするなか、向かい合うように立ったブレイズブレイカーは覚醒を果たす。そのコックピットではサイコ・ガンダムをモニター越しに見つめながら番人としての役割を果たそうとするその姿に感謝の言葉を口にする。
「でも、ごめん。俺達もリリンのところに行きたいんだ。リリンとまた……笑い合いたいんだ」
リリンの心を守る番人であるサイコ・ガンダムを倒すのは気が引けるが、この場から引き下がるわけにはいかない。覚醒の力を全てビームサーベルの刃に込めたブレイズブレイカーは真正面から突っ込み、サイコ・ガンダムの頭部に深々と突き刺すと轟音を上げながらサイコ・ガンダムは撃沈する。
《よし、セキュリティに穴が開いた! 後はこっちに任せろ!》
サイコ・ガンダムを撃破した事が突破口となったのだろう。カドマツの尽力によってサイコ・ガンダムの背後にある以前は開かなかった門が重々しく開く。
「なんだろう、あれ……。繭みたいに見えるけど……」
急いで門の内側へ突入するブレイズブレイカー達。しかしいくら探しても中にリリンの姿どころか人影はなく、ミサはその中で毒々しく形成された繭のようなものを見つける。
《……中からリリンの反応が検知された》
「じゃあ、リリンはこの中にいるの!?」
繭に近付くブレイズブレイカー達にカドマツは繭の分析結果を報告する。まさかこんな繭の中にリリンがいるとは思わず、リンは啞然としてしまう。
「リリン! 聞こえてたら返事して────ー!!
リンは繭の中にいるリリンに向けて精一杯呼びかける。しかし返事どころか繭は何の反応もなかった。
「……聞こえてないのかな」
《どうやらあれ自体が強力な防壁になってるみたいだな。さっきのサイコ・ガンダムみたいに襲ってくるなら倒せば良いだけなんだが、これはちょっとやそっとじゃ解除できそうにない。突破にするには時間がかかりそうだ》
不安げな様子を見せるリンにカドマツは更なる繭の分析内容を教えてくれる。カドマツがくれば、リリンが戻って来ると思っていたが、問題は思っていた以上に根深いようだ。
「……じゃあ、今は引くしかないってわけね」
「そんな! 折角、目の前まで来たのに!」
再びリリンを前にして戻らざる得ない状況にミサは冷静に努めるも、リンはその言葉を受け入れられず、反発してしまう。
「って言っても強引に事を起こせばそれこそリリンがどうなるか分からない。今は引いて、確実な方法を探そう」
「……そうだね。ここにいるのは確かなんだし。待っててね、リリン。絶対、また会いに来るから!」
悔しい気持ちはあるが、強引な手段に出ればリリンがどうなるかは分からない。ツムギの説得に渋々頷いたリンは繭の中にいるであろうリリンに呼びかけながら、ツムギ達と帰還するのであった。
・・・
《……悪いな、力不足で》
「気にしないでくれ。しかし、カドマツでさえ対処が難しいとは……」
今回もリリンを助けるに至らなかった事でアルティメイトフォースゼロのクランルームの空気は重い。カドマツが己の無力さに不甲斐なさを感じていると、マイスターはすぐさまフォローをする。リアルでの年齢差はありそうな2人だが、お互いの間には年齢を越えた友情が感じられた。
「前も似たようなことがあったと言っていたな。同じような方法は取れないのか?」
《ロボ太の時は直接、アイツの思考に介入できたからな。外から刺激を与えてループを止める事が出来た。けど、今回はリリンがあの状態だ。まずはあの繭を突破できなきゃどうにもならん》
以前の経験を踏まえた対策法を打診するライムだが、ロボ太の際はあのような防壁となる繭はなかったのだろう。まずはあの繭を何とかしなければならない。
《幸い手はありそうだ。カオスが使っていたアクセスルートが残っていたんだ。それを利用すりゃいい。カオスがリリンを支配していた時にできた、セキュリティホールが残っていたんだ》
どんどん空気が重くなる室内。方法はないのかと考えていたところ、カドマツから思わぬ情報が齎され、まさかのカオスの名前が出た事でツムギ達は驚いてしまう。
「皮肉なモンだな。奴の置き土産が問題解決の突破口になるとは」
「そういう言い方は納得いきませんね。そもそもあの人が起こした事件がなければ、こんなことにはならなかったでしょう?」
何気なく発したマシマだったが、その隣にいたシーナから鋭い言葉と共に睨まれてしまう。いつものマシマを流す際の冗談交じりの毒舌ではなく、彼の言葉が本当にシーナの顰蹙を買ったのが分かる。
「今は止めましょう。言葉の綾でしょうし、マシマさんだってそんな事は分かっている筈です」
《ま、過ぎた事を言っても仕方がない。使えるモンは使うだけだ。幸い……いや、まぁその話は今はいいか。とにかく、今はこのルートを利用してリリンに刺激を与える。それでリリンの目覚めを促し、繭を内側から破壊させる。シンプルなフィードバックでリリンに刺激を与えるのが精一杯、ってとこだな》
シーナから明確な怒りを向けられた事で流石のマシマも落ち込んだ様子を見せる。室内の空気が張り詰め、息が詰まりそうになるなか、ツムギはシーナを制しようとする。リリンの事もあり、余裕がないのは分かるが、八つ当たりのように突っかかる程の事でもない筈だ。ツムギに続くように繭の破壊法をカドマツは説明してくれる。
「フィードバックで……? うーん、何か思いつきそうな気がするんやけど……」
「一度、意見を出し合ってみた方が良いだろう。皆、ここからは自由に発言してくれ」
カドマツの説明に何か閃きそうなタオは腕を組んで唸っている。今はどんなアイデアでも欲しい。マイスターの指示で一同は話し合いを始める。
・・・
「──どうした?」
それからしばらく。初心者など立場も関係なく意見を出し合うなか、ふとアータルは視線を感じて振り返る。そこにはミサの姿があった。
「アータルって、ロボ太の親戚だったんだよね。話し方が似てるって思ってたけど」
「確かに私の基幹部分はロボ太殿のものを使用している。親類と言っても過言ではないだろう。それで何か問題があるのか?」
「ううん、そうじゃなくて。ただ、懐かしいなーって思っただけ」
先程の戦闘の中でカドマツから教えられたこともあって、アータルを意識していたのだろう。ミサの言葉に首を傾げるアータルにミサはクスリと笑みを漏らす。
「懐かしい、か。私はロボ太殿本人ではないのに、か?」
「そうだね。ちょっとおかしいかも。でも、やっぱりそう感じるんだ。遠くに行っちゃった筈のロボ太がすぐ傍にいるみたい、って」
ロボ太とアータルを同一視している訳ではないがやはり重なる部分はあるのだろう。懐かしむように笑うミサにアータルはそういうものなのか、と不思議そうにしながらも頷く。
「──よし、方向性はまとまったな。その方針で行こう」
すると話し合いが済んだのか、マイスターが話を纏める。
「わわっ、お喋りしてる間に……。ごめん、結局どうするの?」
「GBBBBで生まれる楽しい気持ちや熱い想いをリリンに送ればよい。それが話し合いの結論だ」
見れば一同頷いていた。アータルとの話に意識を向けていた為、申し訳なさそうに話し合いの結論を聞こうとするミサにアータルは教えてくれる。
「アータルは私と話をしてたのに、よくちゃんと聞いてたね」
「私がAIだからな。ログの情報を確認したまでだ。しかし、方向性は決まったが、具体的にどうするかは決まっていないな」
とはいえアータルは話を聞きそびれていたミサと会話をしていた。不思議がるミサにアータルは何気なく答える。こうして会話していると、人のようだが、実際に彼の実態はAIであるのだ。
《GBBBBではプレイヤーの感情をデータ化して集めて、それを運営にフィードバックしてるって噂は出回っていたが、それは本当でな。詳しい事は言えないが、少なくともプレイヤーの感情を集めて、リリンにぶつけることは可能だ、と言っておこう》
「元気ならぬ感情玉ってこと? オラに感情を分けちくれーみたいな」
問題はその方法である。明かせない情報もある為、言葉を選びつつもリリンへの刺激の与え方を教えてくれるカドマツに天然なのかナギサは小ボケを挟み、周りは苦笑してしまう。
「リリンさんはGBBBBの体験を通じて、様々な事を学んでこられました。きっとそこで得た感情や想いが彼女の中に残っている筈です」
「そこを刺激して揺さぶるのが一番効果的だと思うけど、問題はリリンが目を覚ます程の想いって、どういうものかってことだけど……」
リリンの成長を間近で見てきたからこそ、シーナもリリンの中で育んできた想いがあると断言できる。最もそれがどれほどの想いであるべきなのかという点でリンは頭を悩ませてしまう。
「ならば、バトルトーナメントを開催してはどうだろうか? 前回はカオスの乱入によって結果は有耶無耶になってしまったからね。再びバトルトーナメントを開催し、今度こそ完全な形で決着をつける。そこで生まれる盛り上がりや熱い想いは並のガンプラバトルの比ではない。それをリリン君に伝える事が出来れば……」
リリンは目を覚ますのではないか。マイスターからの提案に一同、乗り気な姿勢を見せる。元々ここにいるのはガンプラバトルに強い想いを持つ者ばかりだ。バトルトーナメントの開催ともなれば乗り気になるだろう。
「カドマツさんの意見はどうだ? このやり方でいけそうか?」
《良い案だと思うぞ。前回の盛り上がりもかなりのものだったからな》
ライムは開発側としてのカドマツの意見を伺う。ここで効果がなければ意味がないからだ。幸いなことにカドマツからのお墨付きをもらえた。
「よし、決まりだな。私から運営に開催を打診してみよう」
後はマイスターと運営のやり取り次第になるが、こうしてバトルトーナメントの開催がほぼ確定した。運営としてGBBBBの正式サービスが始まってからの大型イベントともなれば無下にはしないだろう。
「フフン、前はやられちゃったけど今度はアタシ達ベクルックスが優勝をいただこうかな」
「そうはいきません。リリンの為の大会とはいえ、俺達クラン・ブレイカーズは今度こそ優勝してみせます!」
既にバトルトーナメントへ意識を向けているのだろう。得意げに笑うユカ。その背後にはナギサをはじめとしたベクルックスのメンバーが控えるなか、タオ達クラン・ブレイカーズのメンバーを背後にツムギは真正面からユカに啖呵を切る。
「もう盛り上がってるな。きっとこの想いはリリンに届くさ。俺が約束する」
「でも、勝つのは俺達アルティメイトフォースゼロだけどね」
「そうだよ! ツム先輩達が勢いに乗ってるからってヒマリ達は最強の兄妹だもん!」
既に熱を帯びる雰囲気を感じ取り、タツヤはツムギに笑いかける。彼もかつてはウィルスに支配されていたが、アヤトとヒマリの強い想いで克服する事が出来た。とはいえ、優勝を逃す気もなく、タツヤの肩に腕をかけながら不敵に笑うアヤトと空いているタツヤの腕を取りながらヒマリはビシっとツムギを指差しながら宣戦布告する。
「もう言葉はいりませんね。誰がどのガンプラが最強なのか証明しましょう。そしてその想いでリリンを目覚めさせる」
バチバチと見えない火花が散るなか、既にガンプラファイターとしての血が騒いでいるのだろう。好戦的な笑みを見せながら、話すツムギに各々頷きながらこの場を解散するのであった。
小話にハロウィン衣装が見たいのは(10月10日まで)
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ユウヒ
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ナギサ
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ソフィー
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ヒマリ
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ショウ
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ユカ
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アオバ