ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

140 / 140
モダナイゼーション

 

「さぁてと……んじゃ今回も頑張っていきますかね」

 

 バトルトーナメント2回戦目に突入した。ロビー広場にはベクルックスの面々が集まるなか、ユカは軽く背伸びをしながら目先の試合に意識を向ける。

 

「あれ、ウィルさんは?」

「ウィルなら仕事の都合で来れないってさ。あれでもCEO様だからねー」

 

 ふとナギサはいつものメンバーの中でウィルだけがいないことに気付く。ユカが説明してくれるようにウィルはCEO。カオスや今回のリリンの件など彼なりに時間を作って手を貸してくれたが、やはりどうしても都合がつかない時もあるようだ。

 

「まあ、あのパツキンは確かにベクルックス唯一の覚醒使いではありますが、ワタクシ達はそれを頼りに戦ってきたわけではありません」

「そうだね。覚醒を勝つ為の頼りにも負けた時の言い訳にもしないよ」

 

 シオンもウィルの実力その物は認めるが、覚醒を頼りにした事など一度もない。アオバもその言葉に頷きながら自分自身の、そしてベクルックス全体の実力を信じて力強く言い放つ。

 

「んで次の相手はっ、と……」

 

 ウィルの不在に気付いたナギサも覚醒頼りにしている訳ではない。シオンとアオバに勿論と頷きつつ、その隣にいたソフィーはベクルックスの第2回戦の相手を確認しようとコンソール画面を開く。

 

「──ユカぁーっ!」

 

 ソフィーが相手のクラン名を読み上げようとした瞬間、ユカの名を呼ぶ元気が有り余る女性の声が聞こえてきた。そのまま何かの影がユカに飛び込んでくる。

 

「ユウキじゃん。おひさー」

「おひさー、じゃないよ! もぅ全く会えなかったんだからー!」

 

 その飛び込んできた存在を見てみれば、ユカとシオンの共通の友人であるユウキであった。何気なく挨拶をしてみるユカだったが、久方ぶりに会ったのか、ユウキは不満を表すように頬を膨らませてそのまま抱きついているユカの胸に顔を埋める。

 

「ユウキ、その辺になさいな。ワタクシ達とて別にユウキを蔑ろにしていた訳では……」

「2人は同棲してるから私の気持ちなんて分からないよー! どうせ知らないところであーんな事や、やーんな事してるんでしょ!」

 

 見兼ねたシオンが止めようとするも、余程、親友と会えなかったのが無二の親友と会えなかったのが寂しかったのか、不満を顕にする。

 

「分かった分かった。ごめんなー。寂しい思いさせちゃって」

 

 ユウキと絡む機会がなかったのはユカ率いるベクルックスは私生活に加え、バトルトーナメントやカオスの反乱からの現在のリリンの問題と立て続けに様々な出来事が起きていたからな訳だが、今のユウキに対して下手な弁明は意味をなさないだろう。ユカはぎゅーっとユウキの背中に手を回して抱きしめる。

 

「──ユウキ、だから走るなって」

 

 ユカがユウキをあやしていると、後からユウキを追ってきたのはロウヤであった。続くようにその後にはタカやネクスがユウキの後を追ってくる。

 

「そうだよ。正式サービスが始まってから人だって多いんだからさ」

「まあ、友達に会えて嬉しいのは分かるけどね」

 

 ロウヤに続いてユウキを注意するタカ。いまやβ版の比ではない程、人で賑わっているGBBBB。下手な行動がトラブルに繋がりかねない為、苦言を呈しているとネクスは一応、ユウキの心情を考えてフォローしてくれる。

 

「みんなお揃いでってところを見ると、アタシ等の応援って感じじゃなさそうだね」

「ええ。少しばかり殺気立った雰囲気も感じます」

 

 かつてクラン・ブレイカーズと戦ったロウヤ達。そのクランが総出でこれから試合をするユカ達の前に現れた事でユカはある可能性を考えると、表面上は普段通りに感じるロウヤ達も見知った間柄のシオンからすれば何か感じとるものがあるのか微笑混じりに同意する。

 

「ああ。ベクルックスの次の相手は俺達だ」

 

 それはロウヤが口にした通り、次なるベクルックスの対戦相手は彼等だったのだ。

 

「ふぅん、良いじゃん。面白くなってきたよ」

「ええ。当然ながら手加減は致しません。全霊をもってお相手させていただきますわ」

 

 予感は的中し、知っている者達とのバトルに胸を躍らせ、口角を吊り上げるユカの隣でシオンも戦意をその瞳に宿しながら笑みを見せる。 

 

「ああ。昔に比べて、かなり強くなっているみたいだが俺達だってそうだ」

「そうだよ! ユカが私を見逃してた分、驚かせてあげるんだから!」

 

 リアルで昔から知っているとはいえ、ここ最近のユカ達の飛躍はかなりのものだ。とはいえ置いていかれるつもりはない。力強く言い放つロウヤに頷きながらユカから離れたユウキはそう言い残すと、ロウヤ達はバトルの準備の為、この場を立ち去っていく。

 

「しょうがないねぇ。あんなにラブコールされてるんなら今回はアタシが出ようかな」

「ワタクシも参りますわ。折角、ユウキ達とバトルが出来る機会ですもの」

 

 立ち去ったロウヤ達を見送りながら、やれやれとため息をついたユカは試合への参加は名乗りあげるとシオンも続く。2人とも旧友とのバトルに胸を躍らせているのはすぐに分かった。

 

「……!」

 

 残る1人は誰にするかを考えていた所、不意に何かが視界に留まったアオバは少し驚いたような反応を見せる。

 

「……私も行かせてもらって良いですか?」

「別に良いよ。にしても何か……」

 

 アオバがバトルの参加を打診してきたのだ。それ自体は構わないが、妙に力が入っているように見えるアオバにどうしたのかと問いかけようとしたユカだったが、先程アオバが目に留めたモノに気付く。

 

「……成る程ね。そんじゃあアタシとシオンとアオちゃんで。ナギちゃん達もそれで良い?」

「もっちろん! 応援してます!」

 

 納得したように頷いたユカは出場メンバーを決め、ナギサ達にも意見を伺うと異論はないのか、ナギサは元気よく送り出そうとし、ソフィーもその隣で頷いてる。

 

「んーじゃ、行きますかねー」

 

 軽く身体をほぐしたユカはシオンを引き連れて一足先にマイハンガーへと向かっていく。アオバもその後を追おうとする前にとある方向へ向かって歩き出す。

 

「来てたんだね、アキナ」

 

 そこにいたのはアキナであった。人目につかないように人混みの隅にいたアキナに声をかけるアオバ。表向きはタツヤと同じようにウィルスに感染して操られたという扱いになったアキナはGBBBBに復帰していたようだ。

 

「……お姉があの時言ってくれたからGBBBBに来てみたんだ。その……まだ……許されると思ってないけど」

「アキナなりに一歩踏み出したんだ。頑張ってるんだね」

 

 かつての決戦で罰としてGBBBBもガンプラも辞めようと考えていたアキナ。しかしアオバはGBBBBを続ける事こそ償いになると語った。その言葉を踏まえてGBBBBに再び訪れたアキナ。だが先の一件もあってか、周囲の視線が怖くてずっと目線は下に向け、身体も震えている。そんなアキナにアオバは優しく頭を撫でる。

 

「見てて。またアキナが顔を上げられるようにお姉ちゃん、頑張ってくるから」

 

 メタバースとはいえ、アオバの純粋にアキナを案じる想いが温かさをアキナの心に伝えるなか、力強く笑ったアオバはアキナに背を向けてロウヤ達とのバトルに臨む。アキナはそんな姉の背中をただその目に焼き付けるのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(必須:10文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。