ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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目の前の君に

 

 クラン・ブレイカーズとベクルックスのバトルの舞台となったのは、青空の下の軍事基地エリアであった。既にバトルは始まっており、激しい衝突音があちらこちらで聞こえてくる。

 

「ユカ、本当に強くなったね!」

「お陰さんでね。ミサ義姉さんこそ前より隙がないよ」

 

 近接に特化しているアザレアブレイジングとバルバトスルプスレギーナ。バルバトスルプスレギーナから振り下ろされた超大型メイスを避け、カウンターの一撃をお見舞いしようしたミサだが、それはブラフだったのだろう。靭やかに放たれたテイルブレードはアザレアブレイジングを襲う。何とか掠る程度で留めたが、改めてかつてのユカよりも強くなっていることを実感し、どこか嬉しそう話すミサに対して、ユカもミサの実力が上がっていることを認める。

 

 話もそこそこに地面を蹴って、アザレアブレイジングへ向かおうとするバルバトスルプスレギーナだが、その動きを牽制するようにスーパードラグーンによるオールレンジ攻撃が仕掛けられる。

 

 フルクロスとスカルヘッドユニットによるIフィールドによってビームを防ぐバルバトスルプスレギーナだが、ブレイズブレイカーの目的はそもそも一瞬とはいえ、ユカの注意をアザレアブレイジングが逸らすことだろう。事実、その際に発生した一瞬の隙を突いてアザレアブレイジングはバルバトスルプスレギーナに対して鋭い蹴撃を浴びせる。

 

 大きくよろめくバルバトスルプスレギーナだが、スーパードラグーンを牽制するかのようにFファンネルとCファンネルが飛来してくる。

 

「ソフィーか……!」

 

 空を舞う刃を飛ばすのはウイングゼロアンリーシュだ。すぐさまこちらに迫るFファンネルを回避しながら、センサーが知らせる方向を上空を見やれば、そこにはウイングゼロアンリーシュがツインバスターライフルを連結させてエネルギーをチャージしていた。

 

「──!」

 

 ブレイズブレイカー達を見据え、鋭く目を細めたソフィーによって引き金が引かれる。ツインバスターライフルから放たれた黄金色の高出力ビームは全てを飲み込まんばかりにブレイズブレイカー達に迫る。

 

 事前に連携していたのか、バルバトスルプスレギーナがツインバスターライフルの射程外へ逃れている中、ブレイズブレイカーとアザレアブレイジングは何とか逃れようと最大稼働させ、回避には成功する。

 

「──シュート!」

 

 しかし回避行動に専念していた為、バリアブルロッドライフルを構え、狙いを定めていたエアリアルソアーに気付くのが遅れてしまった。咄嗟にアンチビームシールドを構えが、バリアブルロッドライフルによる一撃はブレイズブレイカーといえど大きく吹き飛んでしまう。

 

「ツムギッ!」

「──よそ見は感心しないなぁ、ミサ義姉さん」

 

 被弾したブレイズブレイカーを横目に咄嗟にツムギの心配をするミサだが、センサーが警告する。すると目の前には既にバルバトスルプスレギーナが迫っていたのだ。

 

「目の前にこんなに魅力的な女がいるんだからさぁっ!」

 

 バルバトスルプスレギーナは阿頼耶識システムを発動させる。そのツインアイが赤く染まり、残光を走らせるなか、脚部のビーム刃を展開して、そのままアザレアブレイジングの左腕を蹴り上げるように切断する。

 

「……っと」

「それ以上、好きにはさせませんよ」

 

 ウイングゼロアンリーシュも本格的に戦闘に参加しようとするが、正確な射撃が迫り、すぐさま回避する。見てみればチクラミーノセカンドがウイングゼロアンリーシュを狙っていたのだ。

 

 ・・・

 

「ベクルックス、やっぱり強いな」

 

 アルティメイトフォースゼロのクランルームではメンバー全員がこの準決勝戦を観戦していた。両クランの実力は分かっていたつもりだが、その上でクラン・ブレイカーズを相手に優勢に立ち回るベクルックスにタツヤはその実力を改めて思い知る。

 

「……」

 

 1人、壁に寄りかかって腕を組んだままマイスターは観戦していた。バトルの情報を見逃さないように集中しているのだろう。その仮面の奥の瞳はアザレアブレイジングとバルバトスルプスレギーナ、ブレイズブレイカーを見据えていた。

 

 ・・・

 

「中々やるじゃん……!」

 

 ウイングゼロアンリーシュとチクラミーノセカンドのバトルは既にお互いの機体は大きく損傷しており、下手な攻撃を受ければ、その場で撃破判定になるだろう。苦戦する状況にソフィーは冷や汗を流す。

 

「でも、勝つのはアタシ達だ!」

 

 ウイングゼロアンリーシュはゼロシステムを発動させ、機体パラメーターを上昇させると、ビームサーベルを引き抜いてチクラミーノセカンドに迫る。迎撃の射撃を全て掻い潜ったウイングゼロアンリーシュはチクラミーノセカンドをすれ違いざまに両断する。

 

「……お見事です。ですが私にも意地があります!」

 

 爆発が迫るチクラミーノセカンドだが、両肩のツインドッズキャノン用粒子加速器を利用して大型ビームソードを発動させる。意表をつかれたソフィーが目を見開くなか、背後からビームソードに貫かれたウイングゼロアンリーシュは限界に達し、両機とも爆発する。

 

「──一点突破!」

 

 爆発を背に空に舞い上がったアザレアブレイジング。既にその機体もボロボロだが、対するバルバトスルプスレギーナも同じような状態だ。

 

「爆熱爆砕! ブレイジングゥキィーックッ!!」

 

 煌めくエメラルドグリーンの輝きを足先に纏いながら全身のスラスターを全稼働させ、バルバトスルプスレギーナ目掛けて渾身の飛び蹴りを放ったのだ。

 

「いくよ、バルバトス……ッ! アンタの全部、ここで使い尽くすからッ!」

 

 受けて立つようにバルバトスルプスレギーナは大地に足を踏みしめると、深く腰を落とす。ユカがはじめて作成したガンプラであるガンダムバルバトス。今日に至るまで使い続け、応え続けてくれた相棒に呼びかけると、そのツインアイが一層、輝くなか、超大型メイスを穿つようにアザレアブレイジングに放ち、真正面からぶつかり合うと周囲に衝撃波を発生させ、崩壊させる。

 

「強いね、ユカ……! でも、だからこそ負けたくないッ!」

 

 ミサもユカがガンプラをはじめた初期の頃から知っている。だからこそここまでの実力を身に着けた彼女に感慨深いものを感じてしまうが、勝ちを譲る気はない。アザレアブレイジングのツインアイが輝くと、覚醒の赤き輝きを纏い、更なる出力をあげたアザレアブレイジングは超大型メイスを粉砕しながらバルバトスルプスレギーナを貫く。

 

「えっ!?」

 

 程なくして爆発するであろうバルバトスルプスレギーナ。しかし最後の力を振り絞るかのように両腕でアザレアブレイジングの足を掴んだのだ。思わず驚いてしまうミサだが、次の瞬間、バルバトスルプスレギーナのテイルブレードがしなやかにアザレアブレイジングの頭部を刈り取ると、そのままコックピットを突き刺したのだ。

 

「アタシは往生際が悪いんだよねぇ……。地獄への道連れって奴だよ」

 

 機能を停止したアザレアブレイジングが地面に崩れ落ちるなか、冷や汗を流しながらユカはそれでも不敵な笑みを浮かべる。バルバトスルプスレギーナはそのままアザレアブレイジングに覆いかぶさるように機能停止するのであった。

 

 ・・・

 

「振り切れない……!」

「エアリアルソアーだって速いんだからっ!」

 

 機動力を活かして、バトルを優位に運ぼうとするブレイズブレイカーだが、バリアブルロッドライフルを駆使したエアリアルソアーも負けじと食らいついており、中々引き離すことが出来ない。自分もエアリアルソアーの作成に関わったとはいえ、ツムギは改めてその完成度に苦々しい表情を見せると、対してナギサは力強く答える。

 

「ならっ!」

 

 ブレイズブレイカーはスーパードラグーンを展開すると、機体を反転させて大部分の火器を解き放つ。ハイマットフルバーストによる攻撃にエアリアルソアーはすぐさまバリアブルロッドライフルのスラスターを稼働させ、回避に専念しようとするが……。

 

「そこッ!」

 

 すぐさま二挺のビームライフルを連結させたブレイズブレイカーは狙いを定めてその引き金を引く。高出力のビームはバリアブルロッドライフルのスラスター部分を貫き、爆発するとエアリアルソアーは宙に投げ出される。

 

「ナギサ、堕ちてもらうッ!」

 

 エアリアルソアーを撃墜するには絶好のチャンスだ。連結させたビームライフルをエアリアルソアーに向け、ツムギは引き金を引く。

 

「まだ……まだこんなもんじゃない」

 

 迫るビームに苦々しい表情を見せるナギサ。ツムギに今の自分のありのままをぶつける為にこのバトルに参加したのだ。ナギサ自身はまだ自分の力の全てを出し切っていない。そう思っているからこそ、諦めたくなかった。

 

「ナギサさんはぁっ……こんなもんじゃないッ!!」

 

 ナギサの強い意志に応えるようにエアリアルソアーのバックパックから光の翼が発生すると、機体を捻ることで光の翼によってビームを防いだのだ。

 

「速い……!? でもッ!」

 

 光の翼を展開したままブレイズブレイカー目掛けて飛んでいくエアリアルソアー。その機動力はこれまでの比ではなく、驚愕するツムギだが、すぐさま対応するように両肩のガンランチャーとビームライフルと腰部のレールガンを放つ。

 

「とぉどぉけえええぇぇぇっっっっ!!!!」

 

 激しい弾幕がエアリアルソアーの行く手を迫るなか、エスカッションを構えて突っ切ったエアリアルソアーはそのままブレイズブレイカーに抱き着くように体当たりを放ち、ブレイズブレイカーごと地面に落下する。

 

 反動で拘束が外れたことで何とか立ち上がるブレイズブレイカーだが、同じように目の前でエアリアルソアーは立ち上がり、ブレイズブレイカーを見据えていた。

 

「……リリンちゃんの事も大事だよ。その為のトーナメントだって分かってる」

 

 お互いに損傷が目立つなか、ナギサは静かに口を開く。このバトルトーナメントは元を辿ればリリンの為のもの。それは言われずとも重々承知の上だ。

 

「でも、今は関係ない。……君だけに勝ちたい」

 

 全力を持ってぶつかっているからこそ、負けたくないのだ。リリンの為だとか関係ない。今はただ目の前のツムギだけに自分の全てをぶつけたいのだ。

 

「俺も同じだよ。GBBBBは凄い人ばっかりで、ガンプラだってそうだ。だからこそ刃を重ねる度に思うんだ。こんな凄い人だからこそ乗り越えたい。この人に勝ちたいって。だから今は俺も……ナギサに勝ちたい」

「嬉しいなぁ……。でも、負けないよッ!」

 

 穏やかな会話を皮切りにビームサーベルを引き抜いた両機はその刃を交える。ただ目の前の相手を乗り越え、勝利を手にするために。

 

「ナギサさんのこの手がッ……真っ赤にバーニングッ!」

 

 ビームサーベルによる斬撃の中でゴッドフィンガーを発動させたエアリアルソアーはブレイズブレイカーの頭部を掴む。このまま破壊するつもりなのだろう。ツムギも表情を険しくさせるなか、ゴッドフィンガーを放っていたエアリアルソアーの左腕は崩壊する。

 

 ディスラプターだ。出力は落ちているもののそれでもエアリアルソアーの左腕を崩壊させた。しかしゴッドフィンガーをまともに受けていたのもあり、頭部は使い物にならない程、損傷し、ディスラプターはもう使用出来ないだろう。だがそんな事は関係ない。ただ目の前の誇り高きビルダーを倒すだけだ。

 

「負けない……。負けたくない……ッ! 諦めたくないッ!」

 

 だが、段々と技量の差でビームサーベルの攻防はエアリアルソアーが劣勢に追いやられていく。それが分かっているからこそナギサは悔しそうな表情を見せる。

 

「最後まで……諦めてたまるかぁあッ!」

 

 エアリアルソアーのツインアイが輝く。するとその輝きが全身に広がるように赤き輝きを纏ったのだ。

 

「覚醒……!?」

 

 かつてツムギがそうであったように何とこの土壇場でナギサが覚醒を発現させたのだ。思わぬ事態にツムギは動揺してしまう。

 

「いっけえぇえッ!」

 

 だが、ナギサ自身は気付いていないのだろう。ビームサーベルを放り投げ、右腕のゴッドフィンガーを発動させると、覚醒の輝きを纏ったままブレイズブレイカーに突撃していく。

 

「凄いよ、ナギサ。本当に凄い」

 

 我武者羅に真っ直ぐ突き進んでくるエアリアルソアーを真正面から見据えながら、ブレイズブレイカーはビームサーベルを握り直し、静かに構える。

 

「だから、俺も君の真っ直ぐさに真正面から応えるッ!」

 

 覚醒を発動させたブレイズブレイカーは地面を蹴って、エアリアルソアーへ向かっていく。距離を縮めていく両機。やがて決着の時は訪れた。

 

「負け、ちゃっ……た……」

 

 エアリアルソアーは機能を停止する。その懐に飛び込んだブレイズブレイカーのビームサーベルがエアリアルソアーを貫いたのだ。勢いに乗っていただけあってナギサは呆然と呟く。

 

「……ギリギリだったよ。ナギサがこんなに強くなってたなんて……。他の人を気にしてる余裕なんかなかった」

「そっか……。へへ……。ナギサさんに夢中になってくれたんだ。じゃあ仕方ない、かなぁ」

 

 ツムギとナギサは静かに言葉を交わす。GBBBBトッププレイヤーであるツムギがナギサだけに集中して戦ったというのだ。それならば負けた理由として自分を納得させられる。ナギサはただ力なく笑うなか、機能停止したエアリアルソアーはもたれるようにブレイズブレイカーに寄りかかる。奇しくもブレイズブレイカーが抱きしめるような態勢となるなか、クラン・ブレイカーズの勝利がアナウンスされるのであった。

小話にハロウィン衣装が見たいのは(10月10日まで)

  • ユウヒ
  • ナギサ
  • ソフィー
  • ヒマリ
  • ショウ
  • ユカ
  • アオバ
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