ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
《まず、決める。そして、やり通す!》
それが何かを成す時の唯一の方法である。GBBBBのロビー広場では今日もレコがGBBBBのニュースを伝えていた。
《本日はGBBBBのアイドル、レコとぉ〜……皆さんご存知、ガンプラファイターのレジェンド!》
《モニター前のみんな、ごきげんよう! ミスター・ガンプラです! よろしくぅ!》
今回のGBBBBニュースはレコだけではないようだ。レコの前振りと共に画面に現れたのは特徴的なアフロと赤色を基調にした派手なアロハシャツを着用したミスター・ガンプラであった。普段からメディアに出演して活躍しているのもあって溌剌と視聴者に呼びかけている。今日のGBBBBニュースはこの2人で届けるようだ。
《今日のトピックスはこちら! 「マイスター、またも新記録を樹立」!! なんと前回のクラン戦に続き、個人戦でも99連勝を記録! マイスターの強さは常識では測れません!》
《まさに向かうところ敵無し、といったところだね! 私も昔から彼には一目置いているよ。ガンプラの操作技術とセンス、操作スキル、全てに隙がなく、まさにパーフェクト! 素晴らしいプレイヤーだ》
やはりマイスター・アインの存在はGBBBBでも絶対的な存在であるのか、GBBBBニュースを眺めるプレイヤー達も感嘆の声を漏らす。レジェンド的存在であるミスター・ガンプラから見ても特別な存在であることは間違いないようだ。
《なるほどー。かつての世界王者、ミスターのお墨付きってことですね! 名実ともにGBBBBトップのマイスター、その牙城を脅かすものは現れるのか!》
《みんなも上を目指して切磋琢磨していってくれたまえ。ニューフェイスの活躍にも期待しているよ!》
ニュースに小窓が表示され、そこにはマイスター・アインが駆るガンダムルークがその圧倒的な機動力を持って瞬時に相手のガンプラを撃破している映像が映し出される。その映像を見て萎縮する者、戦意を燃やす者、反応は様々だ。
《おっと、そろそろお時間となりました! 本日のGBBBBニュースはここまで! また次回、お会いしましょう!》
「──マイスターってやっぱり凄いね。アタシ達もマイスターレベルを目指すなら今のままじゃダメだよね!」
GBBBBニュースも終わり、画面が暗転するとまた別の映像に切り替わる。ニュースを見ていたリンは一緒にいたツムギとタオに決意を表すように力強く話す。
「ここはひとつ、自分達の殻を破るために新しいことに挑戦しなきゃ!」
「そんなやる気満々のリンの為に高難度のミッションを見つけてきたで!」
マイスターのニュースが良い刺激になったのだろう。やる気に満ちたリンに反応にタオは待ってましたとばかりにコンソール画面を開き、ミッション内容を表示させる。
「高難度のミッション?」
「──私から説明させてもらおう!」
ミッションの内容的には普段と変わらないように思える。思わず首を傾げるリンに対して3人の輪に入るように声をかけられる。
「そのミッションとは……」
ミスターだ。意気揚々とミッションの説明を行おうとするミスターだったが、クラン・ブレイカーズの何とも言えない視線が突き刺さり、思わず首を傾げてしまう。
「……タイミングが悪いというか」
「さっきまで本物を見てたから、なんか変な感じというか……」
「何とも言えないパチモン感が……」
決してミスターを悪く思っている訳ではないがGBBBBニュースでミスター・ガンプラを見たばかりだったのも相まってツムギ、リン、タオは言葉を選びながらでも微妙な気持ちを口にしてしまう。
「だっ、誰がパチモン……。コホン、確かに本物のミスターには敵わないが熱意と愛情なら負けないよ。さて高難度ミッションの話だったね」
パチモン呼ばわりだが、少なくともなりきりである以上、そう言われても仕方ないだろう。気を取り直したように咳払いしたミスターは話を高難度ミッションの説明に戻す。
「タオ君が選んだそのミッションはこれまで君達がプレイしてきたミッションよりも、敵のレベルや耐久力が格段に上がっているんだ。その分、獲得報酬なども良いものが揃っているから、やりがいのあるミッションだね」
「成る程……。今のアタシ達にはもってこいって訳か!」
やはり高難度だけあってそう簡単にはクリアできないようだが、今のリンにとってはその説明だけでも刺激になっているのだろう。
「よーし高難易度ミッション、やってやろうじゃない!」
リンの言葉を借りるのなら自らの殻を破る良い機会だろう。早速、ミスターに見送られながらマイハンガーへ向かおうとする。
「……っと。ここがGBBBBかぁ」
一方、ナギサも丁度、GBBBBに到着していた。ロビー広場に入って周りを見渡す。ガンダムルークのガンダム立像などナギサにとって新鮮なものが情報となってどんどんナギサの目に飛び込んでくる。
「ふふん、急いで作ったアバターにしては結構可愛く出来てるんじゃない? インナーカラーも学校じゃ怒られちゃうし、こういう世界なら堂々と出来ていいよねー」
そう言ってナギサはロビー広場の暗転しているモニターの反射で自身のアバターを確認する。現実世界のナギサの体をベースに髪型は赤黒色のインナーカラーに染まった髪をワンサイドアップにまとめており、服装もアバター制作時のプリセットに登録されている機動戦士Zガンダムに登場する主人公陣営が敵対組織であるティターンズの制服をベースにショートパンツや丈の短いジャケットなど露出度の高いアレンジが施された衣装を身に纏っていた。
「ノセ、驚くだろうなぁ。ここにいるのかなぁ」
ツムギもナギサにGBBBBについて話したことはあっても、まさかガンプラもガンダムシリーズにも触れたことのないナギサがGBBBBにやって来るとは思ってないだろう。いたずらっ子のように笑みを漏らしながらロビー広場でツムギらしき人物を探す。
「あっ──!」
ナギサがそうであるようにツムギもまた現実世界における自分をベースにアバターを作成している為、すぐにそれらしい人物を見つけることが出来た。ナギサの表情もたちまち花が咲いたように明るくなり、一直線にツムギへ向かって駈け出そうとする。
「いたっ!」
「──っと」
だがそれも叶わなかった。いきなり走り出したのもあってナギサの存在に気付いていない通りすがりの人物にぶつかってしまう。メタバースの為、痛覚の類はないが思わず反射的に口にしてしまうなか、ナギサはバランスを崩してそのまま尻餅をつきそうになってしまう。
「ごめんよー。怪我は……まあアバターだから関係ないか」
だがその前にぶつかった人物はナギサの腕を取って手繰り寄せた。ナギサが恐る恐る目を開けば特徴的な真紅の瞳と視線が重なる。どうやら相手は女性のようだ。機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズに登場する鉄華団のオーバーサイズのジャケットを着崩し、その人を惑わすような美貌に目を惹かれるなか女性は非礼を詫びる。
「わ、私こそごめんなさい……。知り合いがいたから思わず……。あっ」
そもそもいきなり走り出した方に問題があると思ったのだろう。ナギサもペコリと頭を下げつつ、言い訳をしてしまうが、その途中で視界の端に捉えたツムギ達はミッションへの出撃の為にマイハンガーへ転移してしまう。
「ありゃ……ミッションに行っちゃったかな」
「ミッション……? それって何かで見れたりしないですか? 私、ここ初めてで……」
ナギサの視線を追った先にいたツムギ達が転移してしまった事でその行動を推察していると、ナギサは女性に尋ねる。ミッションはガンプラがなければ参加できないことは聞いているがそれでも観戦できたりはしないかと思ったのだろう。
「出来るよ。さっきの子達だよね。しょうがない、ちょい着いてきて」
ナギサが初心者であることを知り、何もしないというのも気が引けると思ったのか、女性はナギサを連れてミッションカウンターへ向かう。そこには様々なミッションが表示されるなか、現在そのミッションを受注しているプレイヤーの状況も見れる。
ツムギ達はフリーダムフリートを破った覚醒の使い手として知名度が上がっているのだろう。女性はすぐにツムギ達を見つけ出すとコンソール画面に情報を映して、そのままナギサのコンソール画面で見れるように操作する。
「これで見れるはずだよ。んじゃ楽しんでね」
手頃な休憩スペースに案内した女性はナギサの画面にミッションの様子が映し出されたのを確認する。どうやら今まさにミッションが始まったようだ。もう案内は必要ないだろう。女性はそのまま立ち去ろうとする。
「あのっ、ありがとうございました! 私、ナギサって言います! 貴女は……」
飄々とした態度でどこかに去ってしまおうとする女性に慌ててナギサは引き止める。とはいえ今、親切にしてもらっただけでナギサは彼女のプレイヤー名も知らなかった。
「アタシはユカ。ま、縁があったらまた会おうよ」
女性も名乗られた以上は無碍にするのも気が引けたのか。改めてナギサに向き直りながらその真紅の瞳を向ける。出会いは偶然だがGBBBBにいるならもしかしたらまた会うこともあるだろう。軽く手を振るとユカは今度こそ立ち去るのであった。
筆者のガンブレ3小説でのオリジナルヒロインである雨宮夕香ことユカの登場です。