ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
バトルトーナメントから数日。GBBBBのロビー広場、そこにはツムギとナギサ、ソフィーの姿があった。彼らの視線の先にあるのは長らくGBBBBの頂点として象徴的な存在であったガンダムルークの立像がブレイズガンダムブレイカーの立像に変更されていたのだ。
「こうして見ると、改めてマイスターに勝ったんだなって思えるよ」
バトルトーナメントはクラン・ブレイカーズの優勝となり、リーダーであるツムギのガンプラであるブレイズブレイカーが代表して立像としてロビー広場に置かれるようになった。データ状の存在でしかないが、堂々とロビー広場に立つブレイズブレイカーを見上げながらツムギは感慨深そうに呟く。
「ねねっ、折角だしさ。みんなで写真撮ろうよ!」
「いいね」
そんなツムギの腕を引くと、ナギサはソフィーと彼を挟み込んでブレイズブレイカーをバックに写真を撮る。今はただツムギが、クラン・ブレイカーズがGBBBBの頂点に立ったことが誇らしかった。
「チャンピオン~! 凄いバトルだったねぇ~!」
その後、雑談をしているとふと声をかけられる。見てみれば、そこにはシバをはじめ、ツムギの知るプレイヤー達が続々とツムギ達の元へ訪れていた。
「おめでとうは言わないよ。次は私達がアンタを倒すから、その日まで首を洗って待ってなさい」
「ああ。俺達も慢心するつもりはないし、この座はそう簡単には渡さないよ」
同じ覚醒の使い手としてツムギをライバル視しているサーヤは好戦的な笑みを見せると、そんなサーヤに臨むところだとばかりにツムギは余裕の笑みを見せる。
「もしもマイスターの連勝を止めるとしたら、お前達だと思ってたよ」
「世代交代かぁ……。そりゃお兄ちゃんもジジ臭くなるよねー」
「誰がジジ臭いってぇ?」
元々、バトルをしただけあって早い段階でツムギ達の実力を認めていたロウヤも誇らしそうに話すも隣で何やらうんうんと頷いているユウキにすぐさまツッコミを入れる。
「君達だったら、このGBBBBをもっと輝かしいものにしてくれる。楽しみにしてるよ」
「……はい。色んな先輩達の背中を見てきたからこそ俺が出来る事をしてみせます」
新チャンピオンの誕生だけあってロビー広場にいれば、ひっきりなしに声をかけられる。そんな中、ふとリュウセイが声をかけてくる。かつて激戦を繰り広げただけあって、ツムギもリュウセイの存在は色濃く記憶に残っているのだろう。リュウセイから差し出された手を取り、固く握手を交わす。
「……っと、そろそろ行かないと。皆、またいずれ」
ふとツムギはメッセンジャーに連絡が入っている事に気付く。同じくナギサやソフィーにも連絡が入ってきたようだ。全員、同じ内容らしく頷き合うと、ツムギは周囲のプレイヤーに声をかけながらナギサとソフィーと共に移動するのであった。
・・・
ツムギ達が移動した先はアルティメイトフォースゼロのクランルーム。そこには既にクラン・ブレイカーズ、アルティメイトフォースゼロやベクルックスのメンバー、そしてユウヒとショウの姿もあった。バトルトーナメントも無事に終了し、作戦に必要なデータが揃い、いよいよリリンを助ける日が来たのだ。
「あのバトルトーナメントは大成功だったな。みんなの盛り上がりも相当なもんだったぜ!」
「特に決勝は、かなり注目を集めていたな。GBBBBを救ったクラン同士の対決だ。当然といえば当然だが」
今でもバトルトーナメント優勝の熱が残っているのか、どこか興奮気味に話すマシマにライムは負けはしたものの満足はしているのだろう。笑みを見せながら頷く。
「あの……私達がカオスと戦ったという情報は公表されていない筈ですが……」
「そもそもあの事件の詳細自体、公式の発表じゃ触れてないもんね。会社として認める訳にはいかないし、かといって変に否定しても藪蛇になるから“なかったこと”にするしかないって感じかな」
ライムの言葉に首を傾げたシーナは疑問を口にする。この場にいる者達は当事者である為、GBBBBを救った事実は知っているが、他のプレイヤーはそうではない筈だ。カオス達の一連の事件はミサの言うように事件の詳細は公表されていないのだ。
「それでもカオスの宣戦布告は多くのユーザーが見ている訳だしな。何かのイベントと勘違いしている奴もいるみたいだが、βからやっているプレイヤーの間じゃもう事実として話は広まってるぜ。GBBBBをぶっ壊そうとしたヤバい奴をマイスターと俺達がぶっ倒した、ってな」
「公然の秘密って奴やな。0083のGPシリーズみたいなもんや」
マシマの言うように噂は広まっているのだろう。以前、ツムギはそれこそシバやダイン、クロなどにそんな話をした記憶がある。とはいえ、多くのプレイヤーがまことしやかに語るのみの話となっており、タオはとあるガンダム作品を例に出す。
「そのお陰もあってトーナメントにおいて集められた想いは予想をはるかに超える熱量だったようだ。後はその想いをリリンに伝えれば良い」
「カドマツさんも作業を進めてくれてるって話だし、そろそろ報告が来るはずだよ」
奇しくもカオスとの戦いがリリンを目覚めさせるに足る一因となってしまった。とはいえ今更言っても仕方ない。ショウとユウヒが説明していると、ふとモニターが点灯し、カドマツの姿が映し出される。
《待たせたな。リリンに反応があった》
「ホントに!?」
《固く閉ざされたセキュリティが緩んで外部からの干渉を受け付けるようになった。今ならリリンに声が届けられる筈だ。もう一度、リリンの心の中に入って語り掛けてみてくれ》
カドマツからの報告にいの一番にリンが反応する。今まで何の反応もなかったリリンに反応があったと言われればそうもなるだろう。だが続くカドマツの説明に段々と表情を暗くさせる。
「……本当に、大丈夫かな? 前みたいに心を閉ざしたままだったら……」
「それで不安を感じているのか。大丈夫だ、今回はきっと上手くいく。リリンに反応が見られたのは、リリン自身が外からの接触……つまり助けを待っているということだ」
既に何度もリリンの元へ向かい、失敗しているのもあって流石のリンも不安を感じているようだ。そんなリンに他ならぬリリンと同じAIであるアータルが答える。
「だったら後はリリンの手を繋ぐだけだよ。今度こそ俺達の手はリリンに届く」
「……そうだね。ちょっと弱気になっちゃった。よーし、今度こそリリンを助けなきゃ!」
決意を示すように拳を握り、リンを元気づけるツムギ。そんなツムギの言葉に頷き、いつものリンらしく明るく元気な姿を取り戻す。
《とはいえ、今回はリリン君の心により踏み入れることになる。セキュリティレベルも上がり、敵も強くなっている可能性がある。分析チーム以外のメンバーは全員出撃する事になるだろうな》
「望むところって奴だね。これで最後にしてやろうじゃん」
カドマツから今回の作戦についての難易度について説明される。分析チームはマイスター、アータル、ライム、ショウが担当していたが、それ以外のメンバーの出撃が求められるとなればそれだけの難易度なのだろう。しかしユカは余裕のある笑みで見せながら答える。他のメンバーも似たような反応だ。
「……私も行かせてもらいたい。最後の大仕事だ。私も直接この目で見届けたい」
すると本来、分析チームである筈のマイスターが一歩踏み出して名乗りを上げる。既にミサには己の正体を明かしたわけだが、このリリンの救出を持って引退する予定だ。だからこそマイスター・アインの最後の戦いとして出撃する事を望んだのだろう。
「ですが、その分のサポートチームは1人減ってしまいますね。それは問題ないのでしょうか?」
《その点は問題ない。今回の作戦では俺以外に優秀なバックアップがいるから心配するな》
何が起こるか分からない以上、マイスターの存在は心強い。他のメンバーも頷くなか、シーナをはじめ一部のメンバーはサポートチームの穴埋めはどうなるのかという疑問にカドマツが答える。
「バックアップ……ですか。カドマツさんの認める程の……もしや」
「まぁ浮かぶなら1人だよね」
ふとバックアップと言われ、それだけの人材がいるのか思考を巡らすシオンだが、ユカはカドマツとよく絡む低身長のエンジニアの姿が脳裏を過る。
「最後の大仕事と言っていたね。精々身が砕けるまで働いてもらおうか」
「CEOが言っていい言葉ではないな」
いよいよリリンを助け出す為の出撃の時が来た。マイハンガーで準備を進めるなか、ふとウィルはマイスターに声をかける。冗談なのは分かっていてもウィルの立場上、その発言にマイスターは呆れてしまう。
「君が引退するというのなら僕もこの場に長ったらしく留まる気はない。僕もGBBBBを引退する事になるだろうね。君との決着は別のところでつける。ガンプラバトルその物を止める気はないだろう?」
「……何とも言えないが、まぁ、すぐには完全に止めることはないだろう」
「今はその言葉で十分だ」
ウィルもまたGBBBBを去ろうというのだ。元々、彼がここに来たのは、マイスターを……イチヤを倒す為だ。彼がGBBBBから去るのであれば、ウィルもGBBBBに拘り続ける気もないのだろう。マイスターも今後、多忙になっていく予感はするものの、ガンプラバトル自体はすぐには止めないとは言ってくれた。その言葉にウィルは微笑を見せる。
「じゃあ行こう。みんなでリリンを迎えに!」
出撃準備は整った。代表してツムギが通信越しに声をかけると、多くの返事が返ってくる。その言葉の一つ一つを確かに聞き取りながら、ツムギはブレイズブレイカーと共に出撃していくのであった。