ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「……あれ、アイツ等、ミッションに行ったっきり戻ってきてない。今、なにかイベントやってたっけ……」
GBBBBのロビー広場。何かミッションをやろうかとリストに目を通していたサーヤはいまだログイン中のツムギ達がミッションに出撃したっきり戻っていない事に気付く。先程話した後にミッションをプレイしたにせよ、GBBBBトッププレイヤーのツムギ達がこれ程長く戻ってこないというのは不思議なものだ。
「……もしかしてまた何かと戦っているのですか、マシマさん」
その事に気付いたのはサーヤだけではない。ユーキもそうだ。
「お姉……」
ユーキだけではない。物陰にいたアキナも違和感を感じ、アオバを案じる。うっすらとGBBBBで感じる物々しい雰囲気を一部のプレイヤーが気付いていたのだ。
「……」
そしてそれはツムギに酷似した青年も……。考えるように目を伏せた青年はやがて意を決したようにロビー広場から人知れず立ち去っていくのであった。
・・・
デビルガンダムとブレイズブレイカー達の戦いは熾烈を極めていた。一度は戦った相手とはいえ、GBBBBトッププレイヤーの3人を相手にしてもそう安々とは突破できるものではなかった。
「デビルガンダム自体は脅威なのは間違いない……。しかしッ!」
デビルガンダムから放たれる苛烈な攻撃を見極め、マイスターのガンダムルークはその高機動を活かしてすぐさま接近すると、一瞬のうちに幾つもの斬撃を浴びせる。
「そうだよ! こんなのに負けたりしないんだから!」
ガンダムルークを標的に攻撃を仕掛けようとするデビルガンダムをリン・カーネーションのドラグーンが牽制し、隙か生まれた瞬間、腰部の高出力ビーム砲を放ち、損傷を与える。
「カオスさん程の執念はない……! そんなんじゃ俺達は止められない!」
ブレイズブレイカーは殆どの火器を用いてフルバーストを放つ。真っ直ぐ伸びた数々のビームはデビルガンダムの巨体に全て直撃する。
「行くぞ、リン君!」
「任しといて!」
GBBBBトップクラスの火力を見せるブレイズブレイカーに流石のデビルガンダムも大きくよろめく。その瞬間にマイスターは瞬時にリンに呼びかけると、意図を察したリンはすぐさま頷き、行動を起こす。
数々の攻撃を避けながら、ガンダムルークとリン・カーネーションはデビルガンダムに急接近すると、GNソードIIロングとビームサーベルをそれぞれデビルガンダムの上半身に深々と突き刺したのだ。激しいスパークが発生し、デビルガンダムも苦痛を感じるかのように機体を大きく振るなか、ガンダムルークとリン・カーネーションはすぐにデビルガンダムから距離を取る。
「……届いてくれ」
ガンダムルークとリン・カーネーションが距離を取った先にはブレイズブレイカーがディスラプターの準備をしていたのだ。最大出力で放たれたディスラプターはデビルガンダムを遂に崩壊させる。
「カドマツ、リリン君は!?」
崩壊していくデビルガンダムを眺めながら、マイスターはすぐにカドマツの状況の説明を求める。デビルガンダムを突破した以上、進展はある筈だ。
《待て! エネルギー反応増大中……。まだ終わってないぞ、気をつけろ!》
デビルガンダムが消え去った跡にはリリンと思わしきデータ状の光球があった。青白い光を放つそのデータ球はやがて脈打つように輝いていき、カドマツの注意を聞いていたツムギ達の視線を遮るほどの強烈な輝きを放つ。
「あの機体は……」
視界が回復する頃、リリンのデータ球があった場所にいた機体にマイスターは戸惑う。何とそこにいたのは禍々しい揺れる炎のような紫色の輝きを纏ったブレイズガンダムブレイカーであった。
「成る程。あれがリリン君の中にある一番強い機体のイメージか……。となると、恐らくガンプラの性能だけではなく、ツムギ君の……」
リリンの中で最も強い存在……。そのイメージで出てきたのなら本来、ツムギからすれば光栄ではあるが、マイスターはある事を予測する。
「覚醒した!?」
「……やはりそう来たか」
何とリリンのブレイズブレイカーは赤い輝きを……覚醒の光を纏ったのだ。元々の紫色の輝きも相まって非常に毒々しく見えるその姿にリンが唖然とするなか、マイスターは厄介そうに呟く。
《そいつさえ倒せば、リリンを解放出来るはずだ。いよいよ最後だ。気合い入れていけよ!》
「大丈夫! こっちには本物だっているんだし!」
ブレイズブレイカーを知る分、厄介な相手である事はよく分かっているが、カドマツからの説明に少しは安堵する。目の前のブレイズブレイカーを突破すれば、リリンを助けられると言うのだ。リンはツムギを見やりながら力強く答える。
「ああ。負けられない理由が増えたな。俺が一番ブレイズブレイカーを上手く使えるってことを見せなきゃ」
ツムギの全てを注ぎ込んで作り上げたブレイズブレイカー。思い入れもあるし、誇りもある。同じブレイズブレイカーだとして、だからこそ負けるわけにはいかないのだ。
「──私は一体、なんなんだろう……」
リリンのブレイズブレイカー……Lブレイズブレイカーとの戦闘が始まった。その最中、ふとツムギ達の耳に聞き覚えのある声が聞こえる。
「私はマザーシステムが生み出したAI。マザーシステムへ戻り、データとなって今までの記憶をフィードバックする。私は消えてしまうけれど、それが果たすべき役割」
それは他ならぬリリンの声であった。
「でも、カオスは私をAIではなく人だと言った。人は心を持っている。泣いたり、笑ったり、色んな感情や想いを抱いている。……私も皆と別れるのは嫌。きっと……人だからそんな感情を持ってしまった。AIだったら何も感じずにいられたのに、人の心を持ってしまったから……」
カオスが最後に残した言葉。リリンを人と認めるその発言自体は裏もなく、カオスがリリンを認めてのものだった。しかし当のリリンはその発言をきっかけに思い悩んでしまったようだ。
「AIなのか、人なのか……。私は中途半端なモノ……。私は一体、何なんだろう……」
これがリリンの陥った無限ループ。心を持ってしまったからこそ、自分の在り方に疑問を抱いてしまったようだ。
「リリン……自分で言ってたじゃない! どんな人でも楽しんでいいって! 全てを肯定するのがリリンGBBBBじゃなかったの!?」
Lブレイズブレイカーの攻撃を掻い潜ってリリンに必死になって呼びかけるリン。
「私はマザーシステムが生み出したAI。マザーシステムへ戻り、データとなって今までの記憶を──」
「……残念だが、今のリリン君に言葉は届かない」
しかしリンの言葉に何か返すどころかまたループの中に入っていったのだ。その姿にマイスターはどこかやるせなさそうに話す。
「だから、想いを伝えるんだ! ガンプラに乗せて!」
「……それしかないみたいだね。リリン、感じて! 私達の想いを!」
刺激を与えることでリリンの無限ループに変化を起こし、助け出す。マイスターの指示にリリンを攻撃したくはないが、他に方法はなく止むなくリンはLブレイズブレイカーに銃口を向ける。敵対の意思ではない。リリンを助け出すその想いをでだ。
「リリン……今の君は……」
ツムギもまたLブレイズブレイカーとの戦闘を開始する中でリリンの姿を見て、ある光景が脳裏に過る。何かを伝えようとするも、今のリリンには届かないだろう。だからこそ今はLブレイズブレイカーの撃破に専念するのであった。