ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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最終章 紡がれる破壊と創造の軌跡
破壊者達の軌跡


 

 

 ──争いの連鎖を断ち切る英雄

 

 

 ──輝ける未来をその手に掴む覇王

 

 

 ──想いを継ぎ、輝きを放つ流星

 

 

 ──希望の守り手 

 

 

 ──真理を纏いし、不屈の絆

 

 

 ガンダムブレイカー……。その存在は破壊と創造を齎し、輝ける可能性を示してきた。見上げた空に輝く星々のようにその胸に抱く輝きは異なり、だからこそ多くの者に影響を与えてきた。

 

 

 ──奇跡を齎す聖炎の王者

 

 

 そして今、ガンダムブレイカー達の魂の絆は新しいガンダムブレイカーに受け継がれているのだ。

 

 ・・・

 

『今のレーアだからこそレーアなんだッ! 今は分からなくたっていつか見つけだすんだ、自分の願いを……可能性をッ!!』

 

 かつて1人の青年が異世界に誘われ、争いの連鎖を断ち切った。心身を削りながらも戦いを終わらせた青年は英雄としてその名を残し、そこに生きる者達に後を託して己の世界であるこの世界へと帰還した。

 

『バトンタッチさ。俺達が残したものをお前達の未来に繋げてくれ』

 

 英雄を追うようにして異世界から覇王をはじめとした来訪者達がこの世界に訪れ、流星のような青年達と多くの輝かしい青春とも言える日々を送り、自分達の世界へ戻っていった。

 

『俺達が希(のぞ)む空にアンタはいない。これがアンタが持てなかった力だッ!!』

 

 英雄と覇王。2人の背中を追い続けた流星はやがてアザレアのような可憐な少女と共に未来を切り拓いた。

 

『絶望を破壊し、新たな希望を創造する……。それが僕のガンダムブレイカーだッ!』

 

 そしてその流星の放つ輝きに魅せられた者の中には、輝きの中に見出した希望を守る為に立ち上がった。

 

『……うんっ! 決して絆を、GBBBBの明日を、ううん、全てを諦めないもん!』

『こうやって3人でいられるのは当たり前の事じゃないんだ。だからこそ、この奇跡はきっと嘘じゃない!』

『ああ、俺達兄妹なら何でもできる。俺達が描ける可能性は無限なんだ!』

 

 ガンダムブレイカー達は1人で全てを成し遂げてきたわけではない。1人では成し遂げられない事も共に歩む者達と不屈の絆を纏う事で成し遂げてきたのだ。 

 

『だから今度は俺が君に手を伸ばす。君の心に届けて見せるッ!』

 

 月日が流れようとも彼らが紡ぎ続けてきた輝きは轟々と燃え上がる炎のように今なお消える事なく光を放ち続けている。いずれ、それは次の破壊者へと繋いでいくことだろう。

 

 ・・・

 

《宇宙エレベーターや宇宙時代の発電システムであるSSPGと宇宙開発計画は順調に進み、遂に月で進行していたムーンベース計画が達成されました!》

 

 ツムギがGBBBBの頂点に立って一年近くの月日が流れた。眩しい日差しが差し込む朝の時間帯。ショウは一人歩きできるようになったラグナの様子を見つつ、チラリとテレビを見れば、ワイドショーが宇宙開発計画の進捗を取り扱っていた。

 

《これによりこの月面基地で人類の長期間滞在が可能となった事でいよいよスペースコロニー計画が進められる予定です。地球と月の重力が釣り合うラグランジュポイントの第4・第5ラグランジュ点に建設予定のこのスペースコロニーは人類の第二の故郷として人類の更なる宇宙進出が期待されおります!》

 

 人類の叡智が生み出した宇宙エレベーターから始まった宇宙開発計画は既に月面基地の完成に至り、いよいよスペースコロニーの建設も見えてきた。宇宙時代への歩みは確実に進められていたのだ。

 

「ムーンベース……。スペースコロニー……か」

 

 そんなニュースの内容を見たショウはどこか懐かしむように目を細める。

 

『誰だ? まだ機体が残っていたのか?』

『貴方、逃げ遅れ? 敵ではないわよね?』

 

 彼の脳裏にかつての出来事が蘇る。まるでシリンダーのような空間で作られた街の中、爆発と轟音が響くなか、目の前に現れた二機のガンダム。ウイングガンダムとガンダムエクシア。今でも忘れることのないかけがえのない存在達。

 

「……俺達の世界も遂にそこまで進んだか」

 

 キサラギ・ショウはかつて異世界に誘われた。そこで出会った仲間達と共に戦い、遂には悪魔のようなガンダムを打ち倒し、この世界に戻って来た。異世界では当たり前のようにスペースコロニーがいくつも存在していたが、自分達の世界では漸く初のスペースコロニーの建設が目前にまで迫っていた。その事に感慨深い感覚を味わってしまう。

 

「……地球の重力に慣れ切ってしまうと、あの無重力帯の感覚は怖くなってしまうな」

 

 異世界から帰還して既に10年が経った。あの頃は当たり前のように無重力空間での生活に慣れ切ってしまっていたが、今はそうではない。結局、ショウも1人の人間だ。母なる地球からは中々抜け出そうという気にはなれなかった。

 

「……ん?」

 

 そんなショウだが、ふとベランダの方で小さくキラリと輝くモノを見つける。ラグナと生活するようになってから、ガンプラをはじめ、誤飲を恐れて細かい類のものは置かなくなった。だからこそ何なのだろうと見に行ってみれば小さな宝石のようなものを見つけた。

 

「これは……アリスタか」

 

 それはショウが実際に異世界に訪れる事が出来た一因となった不思議な宝石であった。異世界からの帰還後、自分に会いに来た異世界の住人達もこの宝石から発展させた技術でこちらの世界に訪れることが出来た。もしかしたらその時の一部がこの部屋に残っていたのかもしれない。

 

「──ッ!」

 

 その瞬間、ショウの脳に電流が走るような感覚を味わう。異世界での戦いの際、頻繁に感じていた感覚を今、この世界で久方ぶりに味わったのだ。

 

「この感覚はなんだ……。世界が……揺らいでいるような……」

 

 それだけではない。まるで本能に訴えるような感覚がショウを襲っているのだ。ふらつくのを何とか踏ん張り、ショウは窓から見える空を見上げる。確証はないが、何かが起きる前兆のようなものをショウは感じ取っていた。

 

 ・・・

 

 一方、とあるマンションの一室。そのベッドに男女の姿があった、1人はイチヤであり、もう1人はミサだ。抱き合うようにして眠っていた2人だが、やがてイチヤが目を覚ます。重たい瞼を何とか開いて、胸元にいるミサを見やる。愛しい存在の寝顔を見ながら、人知れず微笑んだイチヤはベッドから出ようとするが……。

 

「……だーめ」

 

 胸元でイチヤを抱きしめて眠っていたミサがおもむろに目を開いたのだ。まさか起きているとは思っていなかったイチヤに悪戯が成功したかのように笑ったミサはそのまま更にイチヤに身を寄せる。

 

「イチヤが帰って来たんだもん。もーっとこうさせて」

「……そう言われると断れないだろ」

 

 イチヤの存在を確かめるように抱きしめる力を強めてはイチヤの匂いを嗅いでいるミサの姿に愛おしさを感じながらイチヤはベッドから出るのを止めて、ミサを抱きしめる。

 

「リン君はいいのか?」

「寧ろリンに気を遣われちゃってね。“アタシの事は気にしないで良いから自分の事を優先して”って。でもリンも心配だから一週間に一回だけ約束にさせてもらったけど」

 

 リンの保護者代わりでもあるミサ。リンの事を気にしてみれば、ミサの恋人が戻って来た事をリンに気遣われてしまったようだ。その話を聞いて、イチヤはミサと苦笑する。

 

「そう言えばツムギから連絡あったけど近々、GBBBB史上最大の大型イベントの告知があるらしいよ。詳しく聞いてないけど」

「史上最大か……。それは気になるな。まあ彼等なら上手くやるだろう。ミサもアシストしてやってくれ」

 

 ふとミサはメッセンジャーにあったツムギからの連絡を思い出して話題にする。イチヤもかつてはマイスター・アインとして活動していただけあってその内容は気になってしまうが、今は退いた身。ツムギ達へ期待を寄せつつ、今はミサとの時間を噛み締めるのであった。

 

 ・・・

 

 数時間後、ブレイカーズ3号店。その作業ブースではナギサの姿があった。鼻歌交じりにエアブラシを用いてパーツに塗装を施していた。一年近く前の頃はそれまでプラモデルに触れたことがない彼女だったが、周囲に恵まれたお陰か、どんどん技術を身に着けていった。

 

「ナギサちゃん、どんどん上達していってるね。発想力も良いし、もう立派なガンプラビルダーだよ」

 

 作業が一段落したのを見計らってユウヒが声をかける。ナギサのGBBBBデビューからガンプラ作りの助言を与えたユウヒ。ツムギを気にかけてこの店に訪れたナギサの姿は今も強く覚えている。そんな彼女は今やGBBBBを代表するプレイヤーの1人だ。

 

「フフンのフ~ン♪ これでもベクルックスの一員だからね〜。でも、まだまだこれで満足しませんよー」

「ふふっ、ガンプラビルダーに限界はないよ。そう思えているのならナギサちゃんはもっと強くなるね」

 

 感受性豊かなナギサは今やGBBBBでも上澄みにいるベクルックスに身を置く事で刺激を受ける日々なのだろう。だからこそ常に成長しているようだ。そんなナギサに微笑ましそうに笑いながら彼女の更なる飛躍を期待する。

 

《おおっと、チャンプがまたしてもバトルトーナメントを制しました! かつてのマイスター・アインを彷彿とさせる快進撃! チャンプを止められる者は現れるのか!》

 

 すると作業ブースに設置されているモニターからレコのGBBBBニュースが聞こえてくる。普段はGBBBBニュースの他にGBBBBでのバトルや過去の大規模な大会で行われたガンプラバトルを映しているモニターだ。そして今、流れてきたGBBBBニュースの内容はツムギの華々しい活躍を知らせるものであった。

 

「ノセ……どんどん遠くに行っちゃうなぁ」

「クラン戦だけじゃなく個人戦でも優勝だからね。そして今回は個人戦2連覇だ。チャンプとして企画を考えたり、配信活動も始めてるらしいし、忙しそうだよね」

 

 GBBBBニュースに映るツムギの姿をどこか眩しそうに見つめるナギサ。ツムギがチャンピオンになった事で以前ほど交流する時間も減ったのだろう。どこか寂しそうに肩を落とすナギサにユウヒは以前より多忙になったツムギを案じる。

 

「ノセが色んな人と知り合うのは嬉しいけど……でも……」

「大丈夫だよ。確かに今は忙しいかもしれないし、色んな人と交流しているかもしれないけど、ナギサちゃんの存在がツムギ君の中から消える訳じゃないから」

 

 ツムギがかつて抱えていた孤独感を知っている分、今のツムギの環境は喜ばしいが、それでも寂しさを覚えてしまう。そんなナギサを気遣ってユウヒはフォローする。

 

「そ、そうですよね! よーし、次にノセに会った時、このガンプラで驚かせないと!」

 

 ユウヒのフォローに少しは元気を取り戻したようで作業に戻るナギサ。その姿を微笑ましそうにしながらもユウヒは自身が作った新作ガンプラを見やる。それは以前、ショウと話した際に触れていたユウヒの新たなガンダムブレイカーだ。既に完成しているそのガンプラは何れ訪れる戦いの時をただ静かに待っていた。

 

 ・・・

 

「どうしたの、タツ兄」

 

 セレクトMではマトイ三兄妹が両親の手伝いをしていた。洗ったコップを拭いていたタツヤだが、どこな物憂げだ。その様子にいち早く気付いたアヤトが声をかける。

 

「大した話じゃないんだけどな。前にシキの奴が言ってた覚醒のその先の事を考える事があって」

「研究は進んでるらしいけど、まだ全貌も分かってないのにその先なんて想像つかないなぁ」

 

 シキの事は今でもタツヤの心に残っているのだろう。彼が求めていた覚醒の全貌。そして覚醒のその先……。しかしいくら考えようとも後から会話に入ってきたヒマリの言うように分からないことだらけだ。

 

「そうだな。でも、いつかは解き明かしたいんだ。アイツがあそこまで追い求めたものを」

 

 大切な親友であるシキも加担したカオスの凶行。親友がそこまでしてでも追い求めた答えをタツヤもまたタツヤなりに考え、その答えを探していた。

 

 ・・・

 

「いよいよか……」

 

 クラン・ブレイカーズのクランルーム。それは一クランの簡素なものではなく、上位クランの豪華な内装のものへと変わっていた。その室内でコンソール画面を開いていたツムギは気を引き締めるように静かに顔をあげる。

 

《ムーンベースの完成を記念したガンプラバトルイベント。GBBBBとリアル、双方を絡めての合同イベントともなりゃ、とんでもない話題になるぞ。その為に今までかなりの会議を重ねてきたからな》

「そうですね。きっと……GBBBBは……いや、ガンプラバトルはもっと盛り上がる」

 

 クランルームではカドマツとの通信が入っていた。ミサがツムギから知らされた史上最大の大型イベントとはこのことなのだろう。ツムギは公式発表を目前に盛り上がりに確信を持った様子だ。

 

《とはいえ、月も月でまだ未知の部分もあるからな。究極のクリーンエネルギーなんて言われるヘリウム3もそうだが、最近、他にも未知のエネルギーの存在を感知したそうだぞ》

「詳しいんですね」

《宇宙関連には知り合いがいてな。下手すりゃ次元を揺るがしかねないようなエネルギーなんて冗談交じりに言ってたぜ》

 

 ふとカドマツから月の開拓の中での情報を教えられる。ニュースで報じられている程度の情報しか知らないツムギにカドマツはモニター越しに肩を竦めながら話す。

 

「次元を揺るがしかねない……。そう言われてもピンと来ないですけど、もしかしたら異世界と繋がるとかですかね」

 

 そんなカドマツにツムギも冗談交じりに話す。

 

 

 ただこの時、その言葉が現実になるとは誰もが想像もしていなかった。

 

 

 本来、交わる筈のない点と点が一つになろうとしていたのだ。

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