ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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SHINKAは止まらない

 

 新たな覚醒の能力を得たHi-ν-ブレイカーとイグノートゥスが戦闘を開始した頃、アークエンジェルにてマイハンガーの役割を果たす格納庫エリアではブレイズの姿があった。何か考えているのか、座り込んだまま動こうともしない。

 

「大丈夫?」

 

 そんなブレイズに声をかけたのは彼女を気にかけてアークエンジェルに残ったナギサであった。顔を上げてナギサを認識するブレイズの隣にそっと座る。

 

「……なに? 説教とか自分語りみたいな話は聞きたくないんだけど」

「ナギサさんもそういうのあんま好きじゃないから安心して」

 

 ツムギ以外にはあまり心を開いていないのか、どこか棘のある反応を見せるブレイズに苦笑しながらも取りつく島を探そうとする。一先ずそれ以上、邪険にしてくるような反応もないので話は出来るだろう。

 

「ブレイズのこと、知りたいんだ。ブレイザーから離れてさ。結構、GBBBBを見て回ってたんじゃない?」

 

 ナギサが今、知りたかったのはブレイズ自身にまつわる話だった。少なくともブレイザーから逃げるなかで思うところがあったからこそブレイザーとの一体化をあそこまで拒否しているのだろう。

 

「……1年程度じゃまだまだ見足りないよ。この世界は1年で知り尽くすには広すぎる」

「分かるー。ミッションもそうだけど、プレイヤーの数だけガンプラの組み方や調色のセンスも違うから新しい事だらけなんだよね」

 

 ブレイザーから離れ、自分の目で色々と見て回ったが、それでもGBBBBの全てを遊び尽くした訳でもない。そんなブレイズに初心者としてGBBBBの世界に飛び込み、色んな事を知っていったが、それでまだまだ新しい発見の多いナギサは同意する。

 

「毎日刺激的でさ。色んな人に出会って、色んなスキルを見て……その中でもさ、ノセやユウヒさん達ガンダムブレイカーの事も気になっていったんだ」

 

 GBBBBでの日々を過ごすうちに多くの人に出会い、様々な事を事を吸収していったナギサ。その中でも親交の深いツムギやユウヒ、ショウにタツヤ達といったガンダムブレイカーについても気になっていたようだ。

 

「バトルが上手かったり、ガンプラを作る技術が高かったり……でも、あの人達はそれだけじゃなくって……誰よりも真っ直ぐ前を見てる気がするんだ」

 

 ガンプラバトルの歴史に多大な影響を与えてきたガンダムブレイカー達。そんな彼らを近くで見てきたからこそ、思うところがあったようだ。

 

「ノセもガンダムブレイカーのバトンを受け取ってから、どんどん前を走って行っちゃってる……。このまま置いてかれたくないと思って、少しでも追いつきたいと思ったからガンダムブレイカーの名前をもじったバウンドレスブレイカーを作ったんだ」

 

 タツヤから受け継いだバトンと共にツムギはGBBBBの最前線を走り続けている。しかしツムギの持つスピードはナギサの想像を遥かに上回り、気が付けば遠のいていく後ろ姿を見ている気がしてしまうのだ。だがらこそ足踏みせず、飛び出す為にガンダムエアリアル バウンドレスブレイカーの作成に至ったのだろう。

 

「それでも追いつけないんだけどね。もっともーっと深く知りたいんだ、ガンダムブレイカーを」

 

 エアリアルBBはナギサの中では渾身の出来だが、それでもガンダムブレイカー達には追いつけていない。どうすれば追いつけるのか、どうすれば彼等と同じ境地に達せるのか、ついつい考えてしまうのだ。

 

「……分かるよ」

 

 そんなナギサの横顔を見ていたブレイズはポツリとこぼす。ナギサが視線を向ければ、両膝を両腕で抱え込んで座り直すブレイズの姿が。

 

「ブレイザーとして眠っていた時にさ。その間、ずーっと過去のガンプラバトルの映像や歴史を観てたんだ。その中にはガンダムブレイカー達がいてさ。ガンプラバトルは戦いに満ちた世界。積み上がるパーツの山。繰り返す破壊と創造の歴史。その中でも一際輝くガンダムブレイカー達。もっと知りたいって思った。彼等は何故、あれ程の強さを手に入れたのか。彼等の破壊と創造が行きつく先は何なのか……。探究心っていうのかな。どんどん知りたいって気持ちが大きくなるうちにあーしはブレイザーから抜け落ちたんだ」

 

 ブレイザーからブレイズという存在が抜け落ちたのは偶然なのだろう。だが、例え偶然でも彼女は意志を持つ者としてGBBBBの世界へ戻っていた。

 

「最初はガンダムブレイカーへの興味だったのが、GBBBBで色んなものを触れる度に今のあーしになれた。だからもっと知りたいんだ。あーしの知らないものを」

 

 当初、ブレイザーから分離した際は新品のノートのような存在だったのだろう。それがいつしかGBBBBで過ごすうちにページがどんどん埋まっていったのだろう。

 

「……だから、あーしのままでいたい」

 

 真っ白な新品のノートの状態だったら、まだ手放すのは惜しくなかった。しかし今は大切なモノを書き綴ったこの世に1つしかないノートなのだ。それがなくなってしまうのは耐えられなかった。

 

「じゃあ、ナギサさんともっともっとこの世界を知っていこうよ」

 

 そんなブレイズを察してか、ナギサは彼女に手を差し伸べたのだ。

 

「……でも、ブレイザーはあーしを追ってくる」

「……多分だけどさ。ブレイザーはブレイズを取り込もうとはしてないと思うよ」

 

 ブレイズとしてもナギサの提案は魅力的ではあるのだろう。しかし懸念があるとすればブレイザーの存在だ。自分を取り込もうとしているであろうブレイザーがいる限り、純粋にこの世界を楽しむ事など出来ない。そんな懸念を見せるブレイズだが、ナギサはやんわりとそれを否定する。

 

「私はブレイザーに助けられた事はあるし、それなりにブレイザーと付き合ってきたつもりだけど、少なくともブレイズに対して無理にどうにかしようって風には見えなかったな」

「……じゃあどうして」

 

 ブレイズとの戦闘中もナギサの言葉を聞き入れてブレイザーは銃口を下ろしていた。少なくとも強引さは感じなかったのだ。だとしてもブレイズからしてみれば、己は懸念が消えるものではなかった。

 

「それをさ。一緒に確かめにいこうよ。人間もAIも誰だって考えを明かさなきゃ何も分からないよ」

 

 おもむろに立ち上がったナギサはブレイズに手を伸ばす。どこまでも屈託のない笑顔がブレイズに向けられた。

 

「……うん」

 

 そんなナギサに遂にブレイズも心を動かされたのだろう。ナギサの手を掴み、立ち上がると2人は笑みを交わすのであった。

 

 ・・・

 

 一方、イグノートゥスとの戦いはHi-ν-ブレイカーを中心にどんどん圧していった。というのもやはりHi-ν-ブレイカーとアラタの存在が大きかったのだ。

 

「勝因となるパーツは全て揃った」

 

 するとアラタの脳内にプラモデルの組み立て説明書のようなイメージが広がっていく。彼が今、組み上げて完成させようとしているのはただ1つ。

 

「さあ、勝利を組み立てようか」

 

 そう語るその表情は誰よりも自信に満ちていた。その言葉とともにHi-ν-ブレイカーは飛び出していく。

 

「リョウコちゃんの力、お借りします、ってな!」

 

 アラタの呼び声と共にHi-ν-ブレイカーのツインアイが輝くと、前後にガンプラのランナーのようなデータが現れ、Hi-ν-ブレイカーを挟み込み、新たな姿に変わる。

 

 それはガンブレ学園旧生徒会に所属していたオオトリ・リョウコという女子生徒が駆るガンダム・パルフェノワールというガンプラであった。Sガンダムをベースにジオングの要素を取り入れたガンプラはアラタも苦戦したものだ。

 

《何なのだ、貴様は!》

「ただの天っっっ才さ!」

 

 両腕の腕部有線式5連装メガ粒子砲を展開し、的確にイグノートゥスに損傷を与える。次々に見た目と戦い方を変えるアラタのガンプラにイグノートゥスは戸惑うが、一気に接近したアラタは再びガンプラの姿を変える。

 

 それは旧生徒会に立ち向かっていたアラタ達に協力してくれたカミサカ・チナツという女子生徒が使用していたマックスキュート・ガンダムであった。重厚感のあったパルフェノワールに対してガンダムAGE-2をベースにデコ塗装をあしらったそのガンプラは真逆の印象を受ける。

 

「見様見真似のォッ……チナチースペシャルアタックッ!」

 

 マックスキュートは両腕のハイパースターバーニングナックルを発動させると、そのままイグノートゥスのバインダーを粉砕する。

 

「リュウマ!」

「しゃーねぇなぁ!」

 

 イグノートゥスを大きく後退する中、Hi-ν-ブレイカーに戻ると、すぐさまリュウマに声をかける。Hi-ν-ブレイカーとレイジングクローズが並び立つなか、同時に飛び出した2機は高トルクパンチとシャイニングフィンガーを放ち、イグノートゥスに致命打を与えた。

 

「……凄い。あれが……アラタさん」

 

 一連の戦闘を見ていたツムギは呆気にとられる。GBBBBの王者として君臨するツムギから見てもアラタは凄まじかった。それは彼が発現させたリアルタイムカスタマイズバトルの能力だけではない。元々の戦闘センスが抜きん出て高いのだ。

 

「ふふっ、やっぱり私達のヒーローはいつでも格好良いわね」

「うんっ! アラタ君は世界を変えられる人だもの!」

 

 そんなアラタの活躍を我が事のように誇らしくしているのはレイナとユイであった。口には出さないもののシイナやイオリ、マリカも似たような反応だ。

 

「さぁーて、勝負あり、ってとこだけど観念してくんない?」

 

 そんなアラタは膝をつく大破状態のイグノートゥスを見やり、投降を促す。これ以上はもうどうすることも出来ないはずだ。

 

《……嫌だ》

 

 だが、そんなイグノートゥスから聞こえてきたのは拒否の言葉であった。

 

《嫌だ嫌だ嫌だ嫌だァアッ!!》

 

 まるで子供のように癇癪を起こすイグノートゥスは無理にでも立ち上がる。

 

《誰にも邪魔はさせない! 誰にも私の存在を奪わせやしない!》 

 

 するとイグノートゥスはヒマリやブレイザーを攫った時と同じ暗色のビームを放つ。だが一発だけではない。まるで壊れたスプリンクラーのように無差別かつ無数に放ったのだ。

 

「アラタ君!」

 

 すかさずアルプトラオムはHi-ν-ブレイカーの前に躍り出ると暗色のビームから守ろうとするが、直撃を受けてしまい、ブレイザー達同様に形を変えたビームに包まれ、姿を消してしまう。

 

「チッ……妙なことを」

「リン! リリン!」

 

 アルプトラオムだけではない。舌打ちをしながらもイチカのゲネシスシュトルツはすかさずサファイア達を、ミサもすぐさまリン・カーネーションとリリン・カーネーションを庇い、暗色のビームによって姿を消してしまう。

 

「イチカさん!」

「お姉ちゃん!」

 

 他ならぬ自分達を守った事でフィールドから消え去ってしまったイチカとミサにイオリとリンは悲痛な叫びを上げる。

 

「このッ……癇癪起こすなってぇの!」

 

 この状況を何とかしなくてはまずい。そう判断したユカはバルバトスルプスレギーナを動かし、イグノートゥスへ向かっていこうとするが……。

 

「っ!?」

 

 急に動けなくなってしまった。確認すればいつの間に展開されたサイコジャマーによって動きを制限され、ウイングゼロアンリーシュ同様に何かを吸い取られる。

 

「このままでは……!」

「うがーっ!?」

 

 実力者揃いのプレイヤー達だが、限界はあるのだろう。頑駄無六丸やブレイビアも直撃を受けて、消えてしまう。

 

「ユウヒさん!」

「任せて!」

 

 すかさずブレイズブレイカーはビームライフルを連結させながらブレイカートランセンドと並び立つと、ツムギの意図に気付いたユウヒはイグノートゥスをロックすると両腕のシグマシスライフルを構え、同時に放つ。

 

 唸るように放たれた高出力ビームはイグノートゥスに直撃し、轟音を上げる。

 

「みんな、撤退だ! このフィールドはもう持たない!」

 

 しかし大破状態だったにも関わらず、イグノートゥスは健在だった。よく見てみれば不気味な光が装甲の隙間から漏れているのが見える。相変わらず絶えず放たれる暗色のビームはガンプラだけではなく、フィールドのオブジェクトも対象に飲み込み始める。これ以上は危険だと判断したツムギはバルバトスルプスレギーナを拘束するサイコジャマーを破壊すると、周囲に声をかけ、アークエンジェルへ帰還し、フィールドからの離脱を図るのであった。

10000UA突破感謝致します!記念イラストで見たいのは……(11/14まで)

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