ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
クラン・ブレイカーズとベクルックスのバトルの舞台に選ばれたのは基地ステージであった。基地というだけあって格納庫などの障害物が並ぶなか、地下にも基地の区画があり、地上と地下での2層エリアになっていた。
「このステージ、配置はランダムになるんやな……。早くツムギ達と合流せんと……」
初期位置もランダムに設定されているようでタオは地下エリアの方に配置されていた。地上エリアにストライクブレイザーとフレールの反応を確認したタオはすぐにでも合流しようと動き出す。
「えぇっ!?」
「ありゃ」
だが地下エリアには同じくランダム配置されていたバルバトスルプスノームもいたようだ。思わぬ出会いにタオもユカもそれぞれらしい反応を見せるなか、戦闘が開始されるのであった。
・・・
「チッ」
一方、地上エリアでは既にソフィーのサマエルと既に合流したストライクブレイザーとフレールが交戦していた。ソフィーも自身の腕には自信があるようだが日を重ねる度に実力を上げているツムギとリンを相手にしては思うような立ち回りが出来ないのか、思わず舌打ちしてしまう程だ。
「もらった!」
致命的な損傷は受けてないもののサマエルにも損傷が目立ち始めている。ストライクブレイザーのガンバレルによるオールレンジ攻撃を何とか避けるも回避エリアを予測していたフレールが回り込んでおり、ヴェスバーを構えていた。
これはまずい。この一瞬の出来事にサマエルのベース機体であるガンダムエクシアの切り札であるトランザムの発動も間に合わず、2門のヴェスバーの攻撃が放たれた。
高速かつ高収束で放たれた貫通力の高いビームはまっすぐ吸い込まれるようにサマエルへ向かっていく。
「──舌打ちなんてお止めなさい。はしたない」
その場にいた3人が直撃を確信した瞬間だった。稲妻の如き閃光がサマエルを危機から救い出したのだ。ツムギとリンが驚きながら確認すればサマエルを抱えて舞い上がるトールギスリンクの姿が。
「……ありがと」
「礼には及びませんわ。参りますわよ」
宙に並びながらソフィーが言葉短く礼を口にするもののシオンはそれよりも目の前のストライクブレイザー達に意識を向け、サマエルと共に腕部に装備されたFファンネルを解き放つ。トールギスリンクとサマエルの計12基のFファンネルが縦横無尽に駆け巡りながらまさに獲物を求めるピラニアの如き苛烈さを持ってストライクブレイザー達を襲う。
「……流石にキツイなッ!」
ストライクブレイザーに備わった火器でFファンネルを撃ち落としていくが、それでも全てを破壊出来た訳ではない。今なお襲い掛かるFファンネルに苦々しい表情を浮かべたツムギは注意をトールギスリンク達へ向けると本体を叩くため、そちらに向かっていく。
「どれだけ強くても……覚醒の力ならッ!」
ストライクブレイザーの機体が赤色の光を放つ。覚醒を使用したストライクブレイザーは更なる加速を持って一気に距離を詰める。
「っ……!」
その一瞬の出来事に反応が遅れたのはソフィーであった。咄嗟にGNソードⅡブラスターを構えようとするもビームサーベルを引き抜いたストライクブレイザーによる一撃はGNソードⅡブラスターごと破壊してサマエルに損傷を与え、そのまま蹴り飛ばされて地面に叩きつけられる。
続けて薙ぎ払うようにトールギスリンクへビームサーベルを振るう。紙一重で避けたトールギスリンクはカウンターのようにドッズランサーを穿つように放つもストライクブレイザーによってその先端を掴まれ、そのまま握り潰される。
こうなってしまってはドッズランサーもただのデッドウェイトでしかない。すぐさまドッズランサーを放棄して距離を取るために脚部のドリルニーを使用しようとするもその前にストライクブレイザーのバックパックのガンバレルによる砲撃を受け、よろめいた瞬間、ビームサーベルの一撃を受ける。撃墜には至らなかったもののトールギスリンクはその衝撃でサマエルと同じく地面に叩きつけられた。
「……流石は覚醒といったところでしょうか」
「この力があればそう簡単には負けませんよ」
何とか起き上がって姿勢を立て直すトールギスリンクとサマエル。対峙するようにストライクブレイザーが地表に降り立つと、以前と覚醒の赤き輝きを放つストライクブレイザーにシオンは苦々しく呟くと、その声が聞こえていたのか、ツムギはどこか得意げだ。
「随分と得意げですわね。まあ、そのような力を持てばそうもなるのも理解できますが」
ツムギの驕りを感じる言葉。覚醒を使用できるようになってから、どこか覚醒を誇るような発言はあったが、やはりツムギ自身の心境の変化があったのだろうか。
「ですが、それでわたくし達が足を止める理由はありませんわ」
トールギスリンクは主武装を失っている。それでも依然としてシオンは凛とした態度を崩さない。まさに騎士のように気高く真っ直ぐにストライクブレイザーを見据えていた。
「っ……地面がっ!?」
「ツムギ、タオの反応がロストしてるッ!」
次の瞬間、ストライクブレイザーが踏みしめる地面がまるで地震のように大きく揺れ始める。驚いているツムギだが、リンからの報告に目を見開く。見てみれば確かにタオSDカスタムの反応はなく撃破されてしまったようだ。
「どれだけの閃光がわたくし達の視界を遮ったとしてもわたくし達は目指します。あの高みへ」
シオンの言葉に呼応するように揺れがどんどん大きくなっていく。しかしシオンは地震に対しても反応はしない。寧ろその口元には余裕の笑みすらあったのだ。
「そうでしょう、ユカッ!」
──轟音
シオンの一声に応えるようにストライクブレイザーとトールギスリンク達の間に激しく土砂と土煙が舞い、視界を奪う。
「──バルバトスッ!?」
土煙を抜けて現れたのは白い悪魔。
煌々と輝くツインアイがさらなが獲物を捉えたようにストライクブレイザーを見据える。その姿にまるで悪魔に魅入られたかのようにツムギの反応が遅れ、ストライクブレイザーが固まってしまうなか、バルバトスルプスノームは超大型メイスを振り下ろす。
重心を乗せた振り下ろされた暴力的な一撃にストライクブレイザーは咄嗟に左腕を構えて少しでも防ごうとするが、それも叶わず地面に叩きつけられる。
「──そうだね」
見る者全てが動けなくなるなか、シオンの言葉が聞こえていたのか、バルバトスルプスノームのコックピットでユカが静かに応える。
「行こう、アタシ達で。あの場所に」
ゆっくりと体勢を整えながらユカは微笑を漏らしていた。その言葉はシオンとソフィーの胸の内に温もりを灯し、広がるように3人は笑みを交わす。
「キミ、覚醒出来るからってちょっと調子に乗ってない?」
「えっ……」
ストライクブレイザーがガンバレルによる攻撃を仕掛ける。咄嗟にバルバトスルプスノームが後方に飛び退くなか、ユカのどこか鋭い一言にツムギは目を見開く。
「何かあれば自分には覚醒がある……。そんなとこかな。でもさ、キミ1人抜け出たお陰で周りが見えなくなっちゃったかな」
何とか起き上がるストライクブレイザー。ツムギの注意がユカに向く。だがその周りという言葉に触れた瞬間、ツムギは跳ねるようにフレールを見やる。
「そ、そんな……」
なんとフレールは背後から凶刃に貫かれているではないか。フレールが崩れ去るように倒れ、その機能を停止するなか、その背後では先程までフレールを貫いていたGNソードⅡショートを定位置にマウントしているトランザム状態のサマエルがいた。
バルバトスの出現。そこにツムギとリンの意識が向いている間に土煙を利用し、トランザムで一瞬のうちにフレールの背後を取って強襲したのだろう。
「だけどまだ勝てばっ……!?」
タオ、そしてリンの撃墜。それがツムギの動揺に繋がるなか、遂にストライクブレイザーの覚醒の持続時間が過ぎてストライクブレイザーが纏っていた赤き光は霧散してしまう。
「ッ……。上から!?」
今のツムギの動揺はかつてない程、大きかった。不意に上方からツムギのモニターに影が出来る。咄嗟に上方を警戒すればそこにはバルバトスルプスノームの超大型メイスが宙を舞っているだけだった。
「ざーんねん」
超大型メイスをブラフにバルバトスルプスノームはストライクブレイザーの懐に飛び込んで専用ショットガンの弾丸をゼロ距離で叩き込む。
咄嗟にストライクブレイザーがガンバレルを展開するがガンバレルとストライカーを繋ぐ有線はトールギスリンクのFファンネルで切断されてしまった。
「アタシさ、結構覚醒の使い手に知り合いがいるんだよね」
重々しくガンバレルが地面に落ちるなか、バルバトスルプスノームは大きく跳躍して自らを砲弾にしたかのようにストライクブレイザーに体当たりをして再び地面に叩きつける。
「アイツ等は覚醒の力を自分だけじゃなく誰かの為に使えてた。キミにもそれが出来るはずだよ」
ツムギがモニター越しにバルバトスルプスノームを見上げるなか、静かに専用ショットガンの銃口を向けたユカは手向けの言葉と共に引き金を引き、ストライクブレイザーを撃破するのであった。