ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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道しるべ

 

 ベクルックスとのバトルを終えたツムギ達。マイハンガーに戻り、ストライクブレイザーが格納されているなか、暗転したコックピット内でツムギは1人、シートに身を預けていた。

 

「……周り……見えてなかったな」

 

 リンとタオは既にロビー広場に向かっているようだがツムギはどうにもその気になれなかった。それはやはり先程のユカの言葉があったからだろう。その上、バトル自体も敗北したこともあってどうしようもない無力感と悔しさがあった。

 

 しかしそれ以上に自分自身の不甲斐なさがツムギを襲う。何かあれば自分には覚醒がある。そう思っていたのは事実だ。逆に言えば覚醒があるという自負が仲間の存在を蔑ろにしていた部分もある。

 

「……行かないと」

 

 いつまでもマイハンガーにいるわけにはいかない。そう思いながら重々しく身体を起こし、ツムギはストライクブレイザーのコックピットから出て、そのままリフトを使って地面に降り立ち、ロビー広場に転移しようとする。

 

≪……≫

「──えっ」

 

 だがその直前に何者かの視線を感じた気がした。ここにはもう自分とストライクブレイザーをはじめとしたクラン・ブレイカーズのガンプラしかない。視線を感じるまま振り向けばそこにはストライクブレイザーしかいない。しかし格納されている筈のストライクブレイザーは何だかツムギを見つめている気がしたのだ。流石にそんな事はないだろうと思い、ツムギは今度こそロビー広場へ向かうのであった。

 

 ・・・

 

「うぅっ……次は勝つんだからっ!」

「受けて立つよー」

 

 ロビー広場では既にリン達がベクルックスの面々と合流していた。悔しさを滲ませながら再戦を望むリンにユカは相も変わらず飄々とした態度で答える。

 

「おっ、ツムギ。遅かったやん。なにかあった?」

「いや……そういう訳じゃ」

 

 遅れて合流したツムギを迎えるタオ。とはいえ先程、自身を苛んだ想いを口にするのは憚れたのか、ツムギは視線を泳がせる。

 

「──覚醒絡みだろう?」

 

 その場にいた一部はツムギの憂いのある表情を見て察したようだが、それを指摘したのは第三者であった。その声にシオンとソフィーが顔を顰めるなか、一同視線を向けてみればそこにはシオン達とはまた違う金髪の男性の姿があった。

 

「ウィル。アンタ来てたの」

「顔だけ出しに来たんだ。メッセンジャーで新しい覚醒の使い手と戦う事になった事は君から教えてもらったしね」

 

 金髪の男性の名を口にするユカ。他ならぬユカ自身がメッセンジャーを通じてウィルに教えたようだが、この場に来ることまでは予想していなかったのか驚いた様子だ。

 

「紹介するよ。コイツはウィル。うちのエースだよ」 

 

 ユカ達とウィルは知人の間柄のようだが、ツムギ達は置いてけぼりだ。その事を察してかユカはウィルを紹介する。その言葉からウィルもユカ達ベクルックスの一員である事が伺える。

 

「んで、キミと同じ覚醒の使い手」

 

 そのままツムギを指差しながら話すユカ。覚醒の使い手がツムギだけではないのは分かっていたがユカの言葉にツムギ達は驚いてしまう。

 

「わたくしはこのパツキンがエースだなんて認めておりませんがね」

「……どーかん。どうせクラン入りもユカ姉目当てだろ。近寄るなよな」

 

 がユカは兎も角、ウィルはシオンとソフィーとは折り合いが悪いのか、シオンは不服そうに腕を組んでウィルから顔を逸らし、ソフィーは寧ろゲシゲシとポケットに手を突っ込んだままウィルの足を蹴ってる。 

 

「確かにユカがいるクランなら僕がいるのも当然だが、今回はイチヤが目的だよ」

 

 いくら蹴られようと仮想空間なので痛みはない為、ソフィーの好きにさせつつもウィルはその目的を明かす。

 

「……アマミヤ・イチヤ君のことだね」

 

 イチヤという言葉に反応したのはミスターであった。普段の快活さも鳴りを潜め、慎重な面持ちでフルネームで答える。

 

「なりきりだと分かってはいるが、どうにも変な感じだね」

 

 最もウィルは本物のミスター・ガンプラと縁があるのか、ミスターを見て微妙そうな表情を見せる。

 

「誰?」

「3人目のガンダムブレイカーだよ。ガンプラバトルの大会での活躍は勿論、前にも言ったけど宇宙エレベーターをはじめとしたウィルス感染事件をガンプラバトルで解決したりと経歴でいえばヒーローみたいな人だね」

 

 ミスターとウィルのやりとりを横目にリンはそれとなくイチヤという人物についてツムギに尋ねると、ツムギは簡潔にアマミヤ・イチヤの経歴を答える。

 

「イッチがヒーローねぇ……。確かに話だけ聞けば間違っちゃいないけど」

「知り合いなんです?」

 

 しかしイチヤの名をもじったあだ名を口にしながらツムギが話すアマミヤ・イチヤの経歴に心底おかしそうに笑うユカにその呼称をあってか、タオは知人の間柄なのかと問いかけた。 

 

「イッチ……。アマミヤ・イチヤはアタシの双子の兄貴だよ」

 

 何とユカは3人目のガンダムブレイカーであるアマミヤ・イチヤの双子の妹だったのだ。まさかの回答にミスターを除くクラン・ブレイカーズ側は目に見えて驚いてしまっている。

 

「ところでアマミヤ・イチヤ君が目的とはどういうことかな?」

 

 話がどんどん脱線していきそうなのを察してか、それともアマミヤ・イチヤの名が出たからかミスターはウィルの目的に話題を戻す。

 

「ユカがイチヤがここにいるんじゃないかって言っていてね。ならバトルで必ず倒す。ガンプラバトルで彼に差をつけられる訳にはいかないんだよ。今、僕がここにいるのはそれだけだ」

「アンタってイッチにも重くない?」

 

 アマミヤ・イチヤとウィルの関係はまさにライバルと言っても過言ではないだろう。GBBBBへの目的はイチヤがいるからと断言するウィルにユカは思わず嘆息する。

 

「アマミヤさんがGBBBBにいるなんて話は聞きませんが……」

「あくまで勘だよ。でもね、アタシのイッチ絡みの勘はよく当たるんだ」

 

 とはいえガンプラバトルに影響を与える存在ともいえるガンダムブレイカー達、そしてその経歴もあってアマミヤ・イチヤがGBBBBに参加しているのならば噂位は聞くはずだ。ツムギが思わず首を傾げるなか、ユカはアマミヤ・イチヤを想ってか、どこか遠くを見つめるようにガンダムルークのガンプラ立像を見ながら答える。

 

「そんな事よりも、だ。ユカ達との戦闘はモニターさせてもらっていたよ。覚醒が使えるのに無様なものだね」

「なっ、どういうつもりや! いきなり!」

「そうだよ! コイツは無様なんかじゃないしっ!」

 

 ウィルはスッとその表情を冷たいものに切り替えてその鋭い視線をツムギに向ける。その言葉の内容にタオとリンがすぐに食って掛かる。

 

「どうだか。プロフィールを見る限り、君はリーダーでもある。にも関わらず、君はあの戦闘を見る限りでも他のチームメンバーを気にしている素振りは見えなかった。他がやられても覚醒が使える自分が勝てば問題ないとでも思っていたんじゃないのか?」

「……仰る通りです。何かあれば俺には覚醒がある。そうどこかで思っていました」

 

 淡々と指摘するウィルの冷たい言葉にツムギはどんどん目を見開いていく。そんな事はない、そう言い切れない自覚がツムギの中にあったのだ。だからこそウィルの言葉を肯定してしまった。

 

「まあでも、チームメンバーがすぐにキミを庇う辺り、愛されてるね。ちょっと自分を見失ってただけって話だよね」

「俺は……どうすれば」

 

 場の空気がどんどん冷たいものになっていくなか、見かねたユカはフォローするもツムギの顔は暗いままだ。

 

「簡単な話だ。忘れたものを取り戻すだけで良い」

 

 その言葉に咄嗟にツムギは顔をあげる。見上げた先にはウィルが纏っていた冷たい雰囲気が和らぎ、微笑をもらしていた。

 

「さて、生憎だが僕も多忙の身でね。ここで帰らせてもらう」

 

 きっとウィルも冷たい人物ではないのだろう。顔出しのつもりだったのだろうか、どこか期待するような微かな笑みを残しながら1人、GBBBBからログアウトしてしまうのであった。

 

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