ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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一緒に遊びたい

 

「よーし、ここまでは順調だね。何だかいつもより戦いやすい気がするし」

 

 ツムギ、リン、シーナのミッションは順調に進んでいた。遠距離を得意とすると話していただけあり、前衛を務めるツムギやリンを狙う敵NPC機を先んじてシーナが撃破してくれたりと動きが制限される事が少なく、リンはその快適さに上機嫌だ。

 

「ええ、初めてにしては連携を取れていると思います! 私達、相性がいいのかもしれませんね」

「……ひ、否定はしないけど」

 

 ミッションも終盤に差し掛かるがその間もシーナも手応えを感じているのか、通信越しにニコニコと笑いかけると、シーナに疑念を持ってしまったのがスタートだった為、素直になれずに僅かに照れてしまっている。

 

「あっ!?」

 

 だがその一瞬の隙が仇になったのだろう。敵NPC機が放ったミサイルがフレールに迫っていた。リン自身が気付いた頃にはも遅く、このままでは直撃してしまうだろう。しかしそんなミサイルを後方から一筋のビームが的確に貫く。チクラミーノの援護射撃だ。ミサイルが爆発するもシーナの瞬時の射撃によって爆風はフレールまで届くことすらなかった。

 

「これでッ!」

 

 リンが唖然としているのと同時に爆風を抜け出て舞い上がったストライクブレイザーはガンバレルを解き放ち、350mmガンランチャーと94mm高エネルギー収束火線ライフル、手持ちの二挺のビームライフルによるフルバーストを放ち、瞬く間に敵NPC機を全て撃破する。

 

「お疲れ様でした。良い戦いでしたね」

「シーナさんの援護射撃、とても助かりましたよ!」

 

 今のが最後の敵NPC機群だったのだろう。ミッションコンプリートの文字が表示されるなか、シーナとツムギは健闘を称え合う。

 

「ごめん!」

 

 が、ここでリンからまさかの謝罪が入る。シーナからの援護があったとはいえ全体で見れば特に大きな文句もない内容だった筈だが、どうやら謝罪を向けているのはシーナへだったようだ。

 

「実は最初、ちょっとシーナのこと疑ってて……。でも一緒に戦ってみて、とっても良い人だって分かったから……。だからホントにごめん!」

 

 自身に向けられた謝罪に戸惑いを見せるシーナだったが、リンは真っ直ぐ謝罪の言葉を口にする。言ってしまえば例え疑っていたとしても特に口にする必要はなかった筈だ。だがそれを謝罪にして伝えるのはリンはどこまでも真っ直ぐな性格の持ち主だからなのだろう。

 

「いえ、気にしていませんよ。私も楽しませていただきましたから……。今日は本当にありがとうございました」

 

 それはシーナにも伝わったのだろう。朗らかに笑みを見せるシーナは改めて礼を口にすると3人の間で和やかな空気が流れる。

 

「ふーん」

「な、なによぅ」

 

 ミッションを終えてマイハンガーへ戻る僅かな時間。いつの間にフレールの隣に立っていたストライクブレイザーのコックピットの中でそのやり取りを見ていたツムギはまたしても腕を組んで通信越しにリンを見つめる。

 

「いや、やっぱりリンは良い子なんだなーって」

 

 茶化す意図はなかったが、ニコニコとしているツムギを見て腹が立ったのだろう。その言葉と同時に反射的に出たフレールの肘鉄によってモニターが揺らぐなか、マイハンガーへ転送されていくのであった。

 

 ・・・

 

「やりぃ。ナギサさんのお手柄ー!」

 

 一方、同じミッションに出撃していったナギサとソフィーも順調に進行していた。ナギサも元々、バトルの才能自体はあったのか初心者用のステージとはいえ、スムーズな操作で戦果を上げていく。

 

「……やるもんだね。やり込んでいけば化けるかも」

「マ? ナギサさんは褒めれば伸びる子なんでもっと褒めてくれたまえー?」

「調子に乗んな」

 

 市街地ステージの障害物を利用して戦闘を有利に運んでいるナギサ。バトルの操作技術だけで言えば期待できるだろう。とはいえ調子に乗りやすい性格のようで憎たらしい笑みを見せるナギサにすかさず突っ込む。まだナギサとソフィーがちゃんと知り合ってまだ1時間も経ってないが、お互いに波長が合うのを感じたのだろう。慣れ親しんだ友人のような空気感だ。

 

「でもさ、私ので攻撃するよりもソフィーの方がめっちゃ強いよね」

「そりゃそうでしよ。そのガンプラ、めっちゃゲート跡残ってんじゃん」

「げぇとあと?」

「マジモンの素人か……」

 

 とはいえバトルの資質はあってもガンプラの出来はイコールではなかった。表面処理のみならず塗装まで施されたソフィーのサマエルと違い、ナギサのエアリアルは説明書通りに組み立てているだけだ。パーツもただランナーから切り離しただけで特にヤスリがけをしている訳ではないのでプラスチックの突起や白化した切断痕が目立っている。ガンプラの細部まで精密にスキャニングされる為、データ上でもそういった部分は反映されてしまうのだ。とはいえただ説明書通りにガンプラを初めて組んだナギサはソフィーの指摘が理解できず、その間の抜けた反応にソフィーは頭痛を感じてしまう。

 

「……この辺の敵は全部、倒せたかな」

 

 索敵をかけながら周囲を警戒するソフィー。粗方、敵NPC機は撃破出来たようだ。初心者用ステージである為、まずソフィーが撃墜される心配はないが、ナギサは別だ。どうせなら初ミッションを気持ち良く終わらせてほしい。そんな事を思っていたらふと視界の端でエアリアルが跪いたかと思えば、コックピットからナギサがフィールドに降り立ったではないか。

 

「……なにやってんの?」

「んー? いやコックピットを開けられるってあったから試しに」

 

 改めて周囲を警戒しながら敵影の存在を感知しない事を確認するとソフィーもサマエルのコックピットから出て、地表に足をつける。そのままポケットに手を突っ込みながらナギサの不可解な行動に顔を顰めながら尋ねるも出来たからやったという特に理由のない行動だったようだ。

 

「すっごー。何かビルの質感とかも本物っぽいよね」

「プロモデラーにジオラマを作ってもらってそれをスキャニングした奴に手を加えてるらしいよ」

 

 建造物の窓に反射する自分を見ながらナギサは心底感心した様子を見せるとソフィーもGBBBBのインタビュー記事で見た断片的な記憶の情報を引き出しながら答える。

 

(……バトルをしてると当たり前のように流してたけど、凄いな)

 

 ビル一つとっても単に外観だけを再現しているだけではなくその内部まで作りこまれている。本来バトルのステージのオブジェクトの一つでしかないのでそこまで作りこむ必要はない筈だが、それでもここまで細部まで行き届いているとGBBBBの開発者達の拘りを感じざるえない。初心者であるナギサが気にしなければソフィーもこのような事を思うことはなかったろう。

 

「……そろそろ行こ。時間をかければかける程、スコアに影響するよ」

「りょー」

 

 とはいえ今は観光しに来たわけではない。ナギサに声をかけながらサマエルへ向かっていくとナギサもすぐに後を追ってエアリアルに乗り込む。その胸にある種の想いを抱えたソフィーはそのままナギサをサポートしながらミッションを終わらせるのであった。

 

 ・・・

 

「本日はありがとうございました。とても楽しいひと時でした」

「アタシも楽しかった!」

 

 ロビー広場に戻ってきたツムギ達は和やかに談笑していた。丁寧に頭を下げるシーナの言葉に力強くリンは頷く。

 

「シーナ、すっごく強いんだね。ひょっとして前のシリーズからやりこんでたとか?」

「いえ、ガンプラバトルはGBBBBが初めてです」

「えっ、初心者だったの!? とてもそうは思えなかったけど……」

 

 疑念が晴れて以降はすっかり打ち解けたのだろう。シーナの実力を素直に認めるリン。あの周囲の状況把握能力は目を見張るものがあるが、どうやらシーナのガンプラバトルはGBBBBが初らしい。

 

「βテストの初期からプレイさせていただいていましたし、お稽古事には常に全力で臨むように躾けられてきましたから」

(お稽古事……。躾け……。それにこの言葉遣い……。もしかしてシーナってすっごいお嬢様……?)

 

 単に丁寧な言葉遣いというだけではなく、シーナの一挙手一投足の全てに品がある。最初こそ丁寧な言葉に疑いを持っていたリンだったが、育ちの環境を察し始める。

 

「シーナ、良かったらウチのクランに入らない? アナタみたいな人がいると頼もしいし!」

「……お誘いは大変ありがたく思います」

 

 シーナはソロプレイヤーと言っていたがこのままシーナと別れてしまうのは惜しいと思ったのだろう。リンはクランへ誘うと今までクランの誘いを受けたのはこれが初めてではないのだろう。少し間を置いた後、難色を示す。

 

「ですが、皆さんにご迷惑をおかけしてしまうかもしれません……。事情があって、あまり頻繁に顔を出せないと思いますし」

「気にすることないって! みんな自由にやってるし、一緒に戦う仲間を迷惑に思ったりしないよ!」

 

 現実世界での事情は無視できないだろう。クランを組む以上はログインするのは望ましいが、現に今日はリリンもタオもいない。好きなタイミングで好きにプレイするのが一番だろう。

 

「ガンプラバトルは所詮遊びです。でも遊びだからこそこの人ならと思えた人達と全力でぶつかりたい。俺もリンもシーナさんはそういう人に思えたんです」

 

 リンに続くようにツムギもシーナを勧誘する。そもそもツムギはリンのように疑ってはいなかったが、シーナをクランに勧誘すること自体、望ましいのだろう。

 

「ありがとうございます。そこまで仰っていただけるのなら……。どこまでやれるか分かりませんが、今後ともよろしくお願いいたします!」

「どこまでだって大丈夫! こっちこそよろしくね、シーナ!」

 

 リン、そしてツムギの真っ直ぐな言葉にシーナも決心がついたのだろう。シーナのクラン入りが決まると、リンもツムギも手放しに喜ぶのであった。

 

 ・・・

 

「──ナギちゃんをウチのクランに?」

 

 そしてベクルックスでもクランの勧誘が行われていた。ユウキ達と別れたユカはミッションを終えたソフィーからの打診に少々驚いた反応を見せる。

 

「え、えーっ!? いや私、初心者だけど……」

「気にしない」

 

 しかしナギサも初耳だったようで目を丸くして驚いている。クラン・ブレイカーズとのバトルを見たが、ベクルックスのクランのレベルは高い。そんなクランにGBBBBもガンプラも初心者であるナギサが入っていいものかというのはナギサ自身に抵抗があるのだろう。しかしそんな言葉もソフィーは一蹴する。

 

「珍しいね。理由は聞くよ?」

「……この子、アタシが見落としてた事に気付いてた。そういう事に気付ける子がいてくれると嬉しいから」

 

 ソフィーが誰かをクランに誘ったのはユカが知る限り初めてだがナギサが勧誘の理由を知っているのなら兎も角、そうでないのなら話は別だと理由を聞くとソフィーは先程のフィールドでの一件を思い出しながら話す。ソフィーにとっては技術は二の次でその視点が気に入ったらしい。

 

「ナギちゃんが良いならアタシは構わないよ」

 

 ソフィーの勧誘理由自体は問題なかったのか、後はナギサ次第だとばかりにユカはナギサに視線を移す。

 

「ノセ……じゃなくて他の人と遊んだりしても良いんですか?」

「勿論。ウチはそんなかたっ苦しいクランじゃないしねー」

 

 ナギサから見ても勧誘自体は魅力的なのだろう。しかしGBBBBに来たのも半ばツムギがきっかけでありユウヒの願いもある。思わずツムギのあだ名を口にしてしまいながら問いかけるとその様子にクスリと笑みを見せながら安心させるように頷く。

 

「じゃあ、ナギサさん入っちゃおうかなー。えへへ、ソフィーさんがそこまで言うならねぇー?」

「調子に乗んな」

 

 ナギサのベクルックス入りが決まった瞬間である。ニヤニヤしながらソフィーの後ろに回り込んでその両肩に触れながらその身体を揺らしながらからかうと、ソフィーはポケットに手を突っ込んだままナギサの好きにさせながらもそっぽを向く。

 

「良かったね、ソフィー」

「ん……」

 

 そんな2人を微笑ましく見守りながらユカは優しく笑みを浮かべる。ベクルックスのメンバーは殆どユカを中心にした人間関係によって構築されている。そこに他人にそこまでの興味がないソフィーが自分から誘ったのは良い兆候だろう。妹を見るようなそんな慈しむようなユカの言葉にナギサからそっぽを向きながらも満足そうに小さく笑みを漏らすのであった。

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