ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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最後まで

 

 優勢であったBDエクストラは一転して劣勢に追いやられていた。単なる覚醒だけでは片付けられない輝きを纏ったストライクブレイザーは更に勢いを増してBDエクストラに銃撃を放ちながらも迫っていく。

 

「この……ッ!」

 

 アオバの表情に余裕が消える。100mmマシンガンの引き金を引くが弾切れになっていた事に気付かない程だ。咄嗟に100mmマシンガンをストライクブレイザーに投げつけるが、バルカンによって破壊され、そのまま近距離戦に発展する。

 

 ビームの刃が幾度となく交わる。闇夜の中にビームの光塵が舞うなか、片腕を失っているBDエクストラは対応しきれずにいた。

 

「覚醒の力が裁かれるべきものなのかは俺には分からないッ!」

 

 懐に飛び込んだストライクブレイザーはBDエクストラとビームサーベルによる鍔迫り合いに発展する。お互いの意地をぶつけ合うように両者、一歩も引かずに周囲にはスパークが走る。

 

「それでも俺はGBBBBにいたい! この力を快く思わない人だっているかもしれない! それでも俺はこの力を使う! この力も俺の一部だから!」

 

 きっとこれからも覚醒の力をよく思わない人達と出会う事もあるだろう。だがそれでも構わない。覚醒という力は今やイチノセ・ツムギを形作るピースの一つなのだから。

 

「俺はありのままGBBBBにぶつかってその上で楽しみたい! それが例え覚醒を許せないアナタとだって!」

「──ッ!」

 

 ストライクブレイザーは鍔迫り合いを制し、BDエクストラを振り払うと、そのままビームサーベルを放棄してBDエクストラの頭部を両腕で掴む。ストライクブレイザーの攻勢か、ツムギの真っ直ぐ熱の籠もった言葉だからか、アオバは目を見開く。

 

 半ば同時にEXAM-SYSTEMのスキルが解除される。毒々しかった赤色のバイザーがその色を失っていくなか、BDエクストラとストライクブレイザーは少しの時間差でそれぞれ機能を停止する。撃破されたわけではない。ミッション時間を超過してしまった為、ミッションが強制終了したのだ。

 

 ・・・

 

「ブレイザー……」

 

 ミッションが終わり、マイハンガーへ強制転移される。ストライクブレイザーのコックピットでブレイザーの名を口にするが、先程と打って変わって何も反応がない。あの現象は何だったのか、答えが出ないままツムギはストライクブレイザーのコックピットから出るとマイハンガーのデッキに降り立つ。

 

≪……≫

「君は……一体……」

 

 ロビー広場に移動しようとした矢先、視線を感じた。以前も感じた同じ感覚。視線の元を探ればやはりストライクブレイザーしかいなかった。その謎の存在に問いかけるように手を伸ばすが、相変わらず何も反応がない。暫くストライクブレイザーを見つめていたが仕方ないと首を振るとロビー広場に転移するのであった。

 

 ・・・

 

「覚醒に関しては色々見てきたつもりだけど、あんなのは初めて見たよ」

「俺にも良く分からなくて……」

 

 ロビー広場でユカと合流したツムギ。ベクルックスとのバトルの際、ユカは覚醒の使い手達と縁があるような発言をしていたが、そんなユカでもストライクブレイザーのあの現象は初めて見るようだ。

 

「──覚醒も単に1つに収まるようなものじゃないってことかな」

 

 答えの出ない疑問に沈黙が訪れるなか、割って入ったのは先程、ミッション中に聞いた声だった。ツムギとユカが顔を向ければ、そこにはアオバがゆっくり近づいてきていた。

 

「6年前のシミュレータのαテスト中のウイルス事件。その首謀者との戦いでアマミヤ・イチヤのガンダムブレイカーがいつもと違う覚醒を果たして戦っていた。その時はアマミヤ・イチヤだけじゃなく、もう1人、覚醒の使い手が同乗していたらしいけど、あれに関してもカラクリは明かされてないらしいね」

 

 いまだ謎の多い覚醒の力。かつてのアマミヤ・イチヤが極限の状況で果たした奇跡の覚醒と今回のツムギの覚醒は現象だけでも全く違うが、だからこそここにきて多岐に渡るような覚醒の力は単に1つの枠に収まるものではないように思えた。

 

「もしかしたら覚醒にもその先があるのかもしれないね。だとしても私は許せないけど」

 

 発動すれば大きな力を得る覚醒の力。それが更に進化する可能性もあるのかもしれない。その時、その覚醒を使うガンプラはどれだけのポテンシャルを発揮するのか。ただでさえ覚醒その物を疎ましく思っているアオバからしてみれば面白い話ではない。

 

「何でそこまで覚醒を毛嫌いするんですか?」

 

 確かに覚醒を使えない者からすれば覚醒の存在は面白いものではないのかもしれない。だが覚醒の使い手を裁くとまるで覚醒の使い手を狙うような言動まで飛び出したアオバにツムギは問いかける。

 

「……私の妹はね、ガンプラバトルが好きだったんだけど覚醒の使い手に負けちゃったんだ。最初は単に悔しがるだけだったんだけど、何回か覚醒の使い手と戦う機会があったみたいでだんだんとどんなに頑張っても追いつけない絶対的な差に馬鹿らしくなって冷めちゃったんだ」

 

 いまだ謎の多い覚醒だが、現象だけみれば使用者に圧倒的な力を与えてくれる。並のステータスアップ系のスキルを大幅に上回るその力は絶対的な差となって相手に襲い掛かり、なまじ謎が多い分、戦えば戦う程、やっていられなくなったのだろう。

 

「だから覚醒の使い手を倒して証明するんだ。例えそんな力を持てなくてもガンプラバトルに勝てるんだって」

 

 以前、ツムギがユカに敗北した事があったが、それは単に実力と経験の差に他ならない。トップを目指せば目指す程、覚醒の使い手達に出会い、埋められない差も出てくるだろう。だがそれで諦めたくない。まるでアオバは覚醒を使えない者達の希望になろうとしているかのようだ。

 

「でも覚醒は嫌いだけど、君の事は少し気に入ったよ」

 

 すると今までどこか鋭い雰囲気を纏っていたアオバはにこやかに笑いながら後ろに両手を組んで少し前屈みになりながらツムギのことを覗き込む。

 

「君、真っ直ぐなんだね。機会があったらまた遊ぼうよ。覚醒のこともっと知りたいし、君のことも知りたくなっちゃった」

「それは勿論。俺、ツムギって言います。改めてよろしくお願いします」

「そう言えばお互いの名前も知らなかったね」

 

 どこまでも吸い込まれるようなオッドアイがツムギを捉える。だがまたGBBBBで遊ぶ分には問題ない。ツムギは名乗ると激闘を繰り広げ、今、こうして話しているのに名前も知らなかったことにおかしそうに笑いながらアオバは距離を取る。

 

「私はアオバ。覚醒も君の一部だって言うのは否定しない。ありのままの君と真正面からぶつかるよ。ありのままの君を知って、そしてちゃんと倒すから」

 

 覚醒は嫌っていても少し気に入ったというだけあってツムギの事は嫌いではないのだろう。最初に出会った頃のような鋭い雰囲気は感じない。アオバは優しく笑いかけると満足そうに去っていくのであった。

 

「災難だったねー」

「まあ……。でもユカさんの言うように覚醒をよく思わない人はきっとこれからも出てくるとは思いますからいい勉強になりました」

 

 一連の出来事を振り返って、からかうように笑うユカに今まで考えたこともなかった覚醒を快く思わない存在達の事を改めて知って、ツムギを意を決したようにユカに向き直る。

 

「それでも俺はこれからも覚醒の力と共に前を進んでいきます。皆とGBBBBを楽しみたい……。この想いを最後まで諦めたくないから」

 

 最後まで諦めたくない、その言葉を聞いた瞬間、いつも飄々としているユカの目が見開いた気がした。何かおかしな事を言ってしまっただろうか。ツムギは思わず首を傾げていると……。

 

「そっか。じゃあアタシは応援してるよ。頑張ってね、ノセっち」

 

 何でもないよ、と加えながら話し出したユカも満足そうに笑うと、ツムギに軽く手を振って去っていく。先程の反応は何だったのか、ツムギは分からず首を傾げたままユカを見送るのであった。

 

(イッチ……)

 

 ツムギと別れたユカはガンダムルークのガンプラ立像の近くで足を止める。そのまま何気なしにガンダムルークを見上げながらいまだ出会えない兄に想いを馳せるのであった。

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