ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「おっ、ツムギ。遅いやんか。もうみんな揃って待ってんで」
アオバとの戦闘から後日、今日も今日とてGBBBBにログインしたツムギ。ロビー広場ではクラン・ブレイカーズのメンバーが勢揃いして出迎えており、その中にはミスターの姿もある。
「これでウチのメンバー、勢揃いだね! 確かタオとシーナは会うの初めてだよね?」
最初はツムギ、タオ、リンから始まったクラン・ブレイカーズもリリンとシーナが加わった事でよりクランらしくなってきたと言える。リンはクラン・ブレイカーズのメンバーを一望しながらもシーナとタオの接点がない事に気付いて2人に声をかける。
「はい。このクランでは一番の経験者だとお伺いしております。よろしくお願いしますね、タオさん」
「あっ、は、はい! よろしゅう頼んます!」
ツムギが最後に合流したが、集合自体、あまり時間差はなかったようだ。改めて顔合わせしたシーナは気品を漂わせながら礼儀正しく挨拶をするとタオもおずおずとした様子で慌てて挨拶を返す。
「そう言えば私、リリンさんとも初対面ですね。お話は伺っておりましたが、本当にリンさんと瓜二つ……いえ、同じデータに見えますわね……」
「よろしく、シーナ」
そのまま流れるように初対面であるリリンに声をかける。やはりリリンの外見は色こそ違えど殆どリンと同じであり、少々驚いたような反応を見せるもリリンは特に意に介した様子もなくマイペースに挨拶をしている。
「仲良きことは美しきかな! 実に良い雰囲気だね!」
「ナチュラルにミスターも混じってるし……。随分濃いメンバーが揃ったね」
クラン・ブレイカーズの和やかな雰囲気にミスターは拍手を交えながら賞賛する。とはいえ自然と溶け込んではいるもののミスターはクラン・ブレイカーズのメンバーではない。改めてクラン・ブレイカーズの個性的なメンバーにリンは苦笑気味だ。
「リンも負けず劣らずやと思うけどねー」
「ちょっと! こんな濃いオッサンと一緒にしないで!」
が、そういうリンでさえ個性的ではある。からかうタオだが、リンもミスターと一緒にされるのは不本意なのか、すぐさま文句を口にする。
「それにしても、これだけ集まると統一感ないなぁ……」
「個性があるって事でエエやん! これから絶対面白くなるで!」
クランによっては同じ衣装を着用したりと統一感を持たせるクランもいるが、クラン・ブレイカーズはその点においてもリンとリリン以外は統一性はない。何気ないリンの呟きにこれからのクラン・ブレイカーズにタオは期待感に胸を膨らませているようだ。
「まあ、折角やし今日は二手に分かれてミッションに行こか!」
「そうだね、やりたいミッションだって違うかもしれないし、みんなの希望を聞いてチーム分けしてみよっか」
クラン・ブレイカーズのメンバー全員が集まったのならミッションに行くべきだろう。早速タオがミッションを提案するとリンはそれに乗って、早速、各々の話を聞いてチーム分けをし始める。
・・・
「私がいるからには心配いらないよ! 大船に乗ったつもりで任せておきたまえ!」
ミッションを受注し、マイハンガーへ移動したツムギ達。ツムギ、リン、ミスターの振り分けとなった今回のチームでミスターは自信満々に高らかに話すが、リンは泥船にならないと良いけど……と苦笑気味だ。
「ミスターってなんか胡散臭くて信用ならないんだよね……。あっちもあっちで前途多難そうだし、タオなんてガッチガチじゃない?」
何気ないリンの一言が刺さったのか、ミスターがガックリと肩を落とすなか、リンはタオ達に視線を向ける。リリン、シーナと個性的なメンバーとなった振り分けとなったが、どうにもタオの表情は遠巻きにも強張っているのがわかる。
(女の子2人と一緒なんて、ど、どど……どうしたらエエんやろうか……)
「タオさん、本日は勉強させていただきますね」
「ま、任せとき! 僕がリードするから存分に学んでや!」
どうにも女性の中に1人、男性である自分が放り込まれているのも緊張の一因らしい。それに気付いていないシーナは無垢に話すと、頼られれば無碍にできない性分なのか、緊張しながらもベテランらしく豪語する。その横ではリリンが小さく2人に頑張ろうと声をかけていた。
「それにしてもシーナのガンプラ……。エライ仕上がりで奇麗やけど結構お金かかってるんやない?」
「いきなりお金の話なんて聞く!? タオってデリカシーないなぁ」
話題を探してなのか、マイハンガーに格納されているガンプラの中からシーナのチクラミーノに視線を向けながら話すタオ。確かにチクラミーノの処理は奇麗に仕上げられてはいるが、不躾に思えるその発言に遠巻きから様子を見ていたリンはすかさず声を割り込ませる。
「構いませんよ。“やるからには良い道具を使いなさい”と両親からも教えられておりますから仰る通り、高品質なものを使わせていただいております。パーツや工具については家の者が手配してくれておりますので値段までは分かりませんが……。あ、組立は自分の手でやってますよ」
リンの指摘にバツの悪そうな顔を見せるタオだが、すかさずフォローするようにシーナは自身のガンプラ制作環境を明かす。
「家の者、って?」
「ええと……お手伝いさん、的な方ですかね」
とはいえ、その発言内容からどうにも自分達の環境とは違うのは手に取るように分かった。タオの問いかけにシーナは当たり前のように答えるが……。
「それ……フツーじゃないでしょ」
「ドラマやアニメとかでしか見たことないかも」
お手伝いさん、と言われても少なくともこの場にいるシーナ以外のメンバーは馴染みがない。どこか引きつった様子を見せるリンに頷きながらツムギも苦笑してしまう。
「やっぱりシーナってお嬢様なの?」
「お嬢様がどういう定義なのか分かりませんけれど、金銭的な意味では恵まれていると思います。……ただ他の部分で様々な制約はありますが」
以前からシーナのお嬢様疑惑はあった。お嬢様といえば漠然と金持ちの印象はあるが、シーナからしてみればそのお嬢様はよく分からないながらも自身のおかれている家庭環境を客観的に分析しながら答える。だがその最後には珍しくどこか影を落とした様子だった。
「シーナはオジョウサマで、リンはオジョウサマじゃないの?」
「リリン、それどーいう意味で言ってんの?」
その事に触れようとしたがリリンが子供が疑問を口にするように首を傾げると、品性の問題で言われているのかと思ったリンはじとーっと文句ありげに見つめる。
「まあまあ。リリンもシーナさんと同じでお嬢様の定義が分かってないからってだけだと思うよ。それよりもミッションに行こうか」
すかさずツムギはリリンをフォローしながらミッションへの出撃を促す。いつまでもここで喋っていても仕方ないだろう。
「……ま、タオは大丈夫そうかな。上手くシーナがフォローしてくれそうだし。でも、リリンはどうかなぁ。腕は良いけど、どこか抜けてるし」
それは他のメンバーも同じなのか、再びそれぞれのチーム分けに戻って各々出撃の準備を進める。タオ達の様子を横目にリンはタオ達のチームを彼女なりに分析して、まるで妹を案じるようにリリンを心配する。
「ふーん」
「アンタ、そのふーんってやめなさいよ! 別にリリンの心配とかじゃないし! いいから行くよ、もう!」
ニコニコと腕を組んでそんなリンの様子を見つめていたが、リンは顔を赤く染めながら誤魔化すように叫ぶと、1人、フレールの元へ向かっていく。
「はっはっは、今日は楽しくなりそうだね!」
「ええ、ミスターさんもよろしくお願いします」
そんな一連のやり取りを見守っていたミスターは高らかに笑いながらツムギと笑みを交わすと、2人もそれぞれガンプラへ向かっていく。
・・・
「……ブレイザー、いるかな?」
出撃待機中、ストライクブレイザーのコックピットではツムギがブレイザーに呼びかけるが、その言葉に返答はなくコックピット内で静かに消え去る。
「……君が何なのかは俺には分からない。でも、君はあの時、俺に応えてくれた。俺にはそう思えたんだ。だから今はそれだけで十分だ」
アオバとの戦闘中で無我夢中に叫んだありのままの自分でありたいという強い想い。それに応えるようにストライクブレイザーは内から溢れるように青い炎のような光を纏った。ブレイザーに関しては何も分からない。それでもツムギにはあの時、応えてくれたブレイザーだけで今は十分だ。
≪……≫
その言葉にふとコックピット内で何者かの気配は感じる。やはりブレイザーを名乗ったあの存在はストライクブレイザーにいるようだ。
「行こう、ブレイザー!」
だが何かを答える訳ではない。だが今はそれでも構わない。ツムギはブレイザーに呼びかけながら出撃するのであった。