ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
ミッションステージとなったのはコロニー内の市街地であった。ストライクブレイザーとタオSDカスタムがステージ内に投影され、二機のコックピット内の前面モニターにミッションスタートを知らせるアラートが鳴り響く。
「さあ、ミッションスタートやで。基本的には出てくる敵を倒せばエエだけやから落ち着いてプレイしてこ! 大丈夫、分からんことがあったら何でも聞いてや!」
早速、前方に敵NPC機の出現を知らせるアラートが鳴り響くなか、落ち着いた様子でタオからの通信が入る。
経験者を語るだけあって心強い限りだ。そんなことを思いながらスティックと動かし、足元のペダルを踏みこむとストライクブレイザーのガンバレルストライカーのバーニアをメインに各部のスラスターを噴射させて風を切って飛び出していく。
「行け、ガンバレル!」
市街地ステージだけあって建造物などの障害物が多い。だがそれでも今の高揚感に駆られるツムギにとっては些細な問題だろう。弾むような声と共にストライクブレイザーから4基のガンバレルが飛び出していき、オート機能によって自由に飛び出したガンバレルが瞬く間に内部に格納された実体弾が敵NPC機に風穴を開けていく。
「エエ動きやったなぁ! 君、センスあるで」
ガンバレル任せにする気はない。素早くオプションスキルからガンバレルストライカー下部に懸架されている350mmガンランチャー&94mm高エネルギー収束火線ライフルを選択すると、ストライクブレイザーからも射撃が繰り出され、周囲一帯の敵NPC機は瞬く間に殲滅される。敵NPC機群の撃破を確認するとストライクブレイザーの様子を伺っていたタオから興奮気味な通信が入る。
「このまま進んでいけばこの先に待ち受けるはボス戦! 迫力あるバトルができるから楽しみやね!」
「ボスかぁ……。今ならいける気がする!」
「その意気や!」
まっすぐな賞賛の言葉に照れくささを感じつつもこの先のボス戦の存在を知らされる。一体、何が待ち受けるのか。今は初めてのGBBBBにおけるガンプラバトルに胸が躍っているのだろう。年頃の少年らしく2人は盛り上がりながらも滞りなく出現する敵NPC機を撃破していく。
「タオ、ちょっと待って!」
順調にミッションを進めていく二人だが、不意に慌てた様子でツムギがタオに通信を入れる。
何か不具合やバトルでトラブルでもあったのだろうか? タオがストライクブレイザーを確認するが、特に目立った問題は見受けられない。何だろうかと思った矢先、すぐにツムギの通信の意図が理解できた。
「僕ら以外の誰かが戦ってる……? これ途中参加できるモードだったんか」
センサーも近くにストライクブレイザーとタオSDカスタム以外のプレイヤー機の存在を捉えていた。このミッションは2人だけで受注した為、てっきり2人だけのミッションだと思っていたが、GBBBBのミッションはどうやら途中参加できるミッションもあるらしい。
「あわわわわわ、めっちゃやらてるやんか! ど、どないしようツムギ!」
遠巻きから様子を伺ってみればピンク色のガンプラの姿が見えてきた。
劣勢に追いやられているのだろう。各部に損傷が目立つなか、何とか反撃の糸口を見つけようとしているようだが思うようにいかないようだ。このままでは下手すれば撃墜されるだろう。それに気づいたタオはよりにもよってGBBBB初心者のツムギに慌てふためきながら意見を伺う。
「ビルダーは助け合いでしょ。ね、タオ!」
「えっ、ホンマに……?」
「タオだってロビーでキョロキョロしてた俺に声をかけてくれたじゃん」
目の前で困っている人物は放っておけない。ましてや今、このGBBBBでの時間を楽しんでいる自分と同じガンプラビルダーなら尚のこと。しかしどこか及び腰なタオはツムギの言葉に戸惑いを見せている。だがそんなタオにツムギは思いのままに言葉を紡ぐ。
「俺、嬉しかったんだ。だから今度は俺がそうしたい! タオみたいに……誰かのために!」
そのあまりに真っ直ぐな言葉にタオは目を見開く。ツムギとはまだ知り合って大した時間は経っていない。だがツムギはきっと優しい性格の持ち主なのだろう。そしてそんな性格のツムギの熱のある言葉だからこそタオの心にも火が付いた。
「わ、わかった! そういうことなら僕も行くわ!」
ツムギの言葉に感化されたタオは覚悟を決めたようにツムギの想いに応えるとストライクブレイザーとタオSDカスタムは同時に飛び上がり、それぞれの射撃兵装を用いて窮地に追いやられているガンプラに襲い掛かる敵NPC機を撃破していった。
・・・
「あちゃ~。こりゃあ派手にやられとるね」
それから数分。ツムギとタオの活躍によって周囲の敵NPC機は完全に撃破したようだ。
改めてタオは襲われていたガンプラ・ガンダムフレールに目をやればやはり損傷は激しく、各部から痛々しく火花とスパークが走っている。撃破される前に助け出せたのはまだ救いだろうか。
「──あちゃ~って心配とかないの!?」
「えっ、お、女の子!?」
タオの発言に怒ったような少女の声が通信越しに聞こえてきた。まさか自分とあまり変わらない年頃のような少女の声が返ってくるとは思わなかったのだろう。操作を誤ったのかタオの感情を表すかのようにタオSDカスタムは機体を飛び跳ねる
「助けにくるのが遅いよ! 折角の初プレイだったのにぃっ!」
「えぇ……。助けてもらっといてその言い方はないんとちゃうかなぁ……」
タオからすればお礼を言われるのならまだしも文句を言われるのは予想外だったのだろう。思わず額に青筋が浮かぶなか、理不尽だと言わんばかりに諫めようとする。
「なに言ってんの! アンタ、助けに来る前に迷ってたよね?」
「うっ……見えてたんか」
「凄いね、あの状況でも周りが見えてたんだ」
通信越しの会話までは聞こえていなかったようだが、それでもガンプラの動きから読み取れる感情までは誤魔化せなかったのだろう。中々痛い指摘に苦虫を嚙み潰したようにタオが顔を顰めているとツムギはあんな窮地に追いやられていて他プレイヤー機の存在のみならずその動きの感情まで読み取った少女に関心してしまう。
「でも助けてもらった事には変わりないし、お礼は言うよ。……あ、ありがと」
とはいえ少女も助けられた自覚自体はあり、感謝は伝えるべきだという気持ちもあるのだろう。性分からか照れくさそうにしながらもツムギとタオに感謝の言葉を伝える。
「アタシはリン。あんた達は……ツムギとタオ? 結構やるじゃない」
お礼もそこそこに改めて己の名を明かす少女ことリン。通信モニターを繋いでみればZAFTの赤服をカスタマイズした衣装を着用したピンク髪が目を引く可愛らしい顔立ちの少女だった。リンも同じ通信モニター越しでツムギとタオ、そしてプレイヤー名を確認しながら先程の戦闘での手並みを賞賛する。
「改めてなんだけど初プレイでまだ慣れてないからエスコートしてくれると……」
「丁度良いんじゃない? 俺も今日初めてGBBBBに来て、経験者のタオに色々教わってる最中だし、そこに一人増えてもさ」
先程、リン自身が口にしていたが初めてのプレイに心細そいものがあるのだろう。遠慮がちに頼むリンに助け舟を出すようにツムギは通信越しにタオを見やる。
「じゃあ経験者の僕が先導するからしっかり付いてきてな! 次はお待ちかねのボス戦。めっちゃデカいのが出てくるからビビらんようにな! ほな行くで!」
ツムギが経験者であるタオを頼りにしているのが伝わったのだろう。気を良くしたのかタオは上機嫌でツムギとリンに伝えると、返事を待たずに我先にと土煙をあげながらタオSDカスタムはどたどたと走って行ってしまう。
「なぁんかエラそうだなー……」
「面倒見が良いから余計に張り切ってるんだよ」
どこか癪に障るものもあったのか、唇を尖らせながらタオへの文句を口にするリン。ツムギからすれば助けられたのにも関わらず第一声が文句だったリンも大概なのだが、それをわざわざ口に出すような真似はせずタオのフォローも程々に2人はタオの後を追うのであった。