ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
崩壊するビルからツムギ達を助けたストライクブレイザーは左顔に青い炎のような光を纏いながら敵NPC機群との戦闘を始めていく。
「ノセ、あれって……」
「……ブレイザー」
ガンバレルが有線式で動くことから障害物の多い市街地戦ではその真価は発揮できないと判断したのか、ガンバレルを固定砲として使用しながら敵NPC機群を撃破していくストライクブレイザー。その姿を眺めながらナギサは無人であろうストライクブレイザーについてその持ち主であるツムギに問うと、ツムギはポツリと零す。
「ストライクブレイザーには何かが宿ってるんだ。運営に聞いても問題ないって言ってるけど……。でも俺達を助けてくれたのは間違いない」
聞かれても今、ツムギが言葉にした以上の情報を彼は知らない。だが1つ確かな事があるとすればストライクブレイザーは間違いなくツムギ達を助けたという事実だろう。
「綺麗……」
ソフィーはストライクブレイザーを見つめながらポツリと呟く。ストライクブレイザーの左顔に纏う青い光。それはまるで尽きぬ炎の如く力強く、そして美しく輝いていたからだ。
《──!》
そしてストライクブレイザーの活躍によって殆どの敵NPC機群を撃破した。最後に残った敵NPC機と真正面から対峙すると右腰にマウントされているビームサーベルを装備する。
斬りかかるのか? 否、違った。ストライクブレイザーはそのまま大振りにビームサーベルを投擲したのだ。
空を切る轟音ともに光の刃は稲妻の如き勢いで敵を穿つ。ビームサーベルが刺さるどころか貫かれて風穴の空いた敵NPC機は力なく倒れて爆散する。
ツムギ達が圧倒されるなか、爆炎を背にストライクブレイザーはゆっくり振り返り、ミッションをクリアするのだった。
・・・
「ありがとう、ブレイザー」
マイハンガーへ戻ってきたツムギ達。ストライクブレイザーのコックピットでは自分達を助けてくれたブレイザーに感謝の言葉を口にするが、相変わらず反応はない。ツムギの言葉がコックピットの静寂に消え去るなか、ふと笑みを漏らしたツムギはコックピットから出て、外にいるナギサ達と合流するのであった。
・・・
「ブレイザーだっけ? 凄かったねー。エアリアルの中にも誰かいないかなぁ」
先程の怒涛の勢いを見せたブレイザーに感嘆とした様子のナギサの何気ない言葉。同時視聴会を控えてる手前、それとなくツムギとソフィーはアイコンタクトを交わして、その言葉に答えることなく誤魔化すような笑みを浮かべて流す。
「この後はどうする? まだやるなら付き合えるけど」
「ん……」
ツムギもまだ時間に余裕はあるようだ。ミッションをこのまま続けるも良し、他のことで遊ぶも良し、何でもできる。ナギサがノープランだった事もあり、ソフィーはポケットに手を突っ込み、考えるようにつま先で地面を蹴ると……。
「ジオラマでも作る?」
ミッションだけがGBBBBの楽しみ方ではない。ソフィーの提案に顔を見合わせるツムギとナギサは顔を見合わせると笑顔で頷き、3人はベクルックスのクランルームへ移動する。
・・・
「GBBBBのジオラマって手軽に出来ていいよねー」
ベクルックスのクランルームではジオラマ作りが行われており、ナギサは楽しそうにエアリアルをジオラマに配置しながら話す。現実でのジオラマ作りは中々手軽に出来ない印象がナギサにはあったが、GBBBBでのジオラマ作りはデータ上で行わる為、ベースやエフェクトなどのプリセットが用意されており、初心者でも取っつきやすい。ここで更にイメージを膨らまして現実で簡単なものから始めていくのも良いだろう。
「……ノセはなに作ってるの?」
「大型MAを使ったジオラマだよ。これも現実だと中々手を出しやすいものじゃないからね」
ソフィーはエールストライクガンダムとイージスガンダムを使用しての戦闘シーンを再現していた。空は曇り、エフェクトとライトによって稲妻を再現し、その中心で激突するエールストライクとイージスの姿は中々に臨場感がある。インスピレーションが冴えているのだろう。スムーズにジオラマ作りを進めるソフィーは対面するツムギを見れば、大型MAを複数用いたジオラマを作成していた。
「なんか大怪獣バトルって感じで男の子らしいじゃん。こんなのもガンダムに出てるんだねー」
「そうだよ。MSだけがガンダムに出てくる兵器じゃないからね」
ツムギのジオラマが気になったのだろう。自身のジオラマ作りを一旦区切って背後からツムギの肩に顔を乗せながら迫力ある大型MA同士の激闘を見やる。どのMAもまだナギサには馴染みはないが、だからこそその一つ一つを興味深そうに眺める。雑談を交えながら時間が許す限り、3人はジオラマ作りを進めるのであった……。
・・・
≪──こいつが報告にあったブレイザーって奴だ≫
一方、GBBBBのとあるクランルーム。上位クランのみに与えられる豪華さのある一室のモニターには研究衣に身を包み、メガネをかけた中年の男性がクランルームにいる1人の男性にブレイザーに関して報告していた。
「……」
その人物の“真紅の瞳”はサブモニターに表示された左顔に炎のような青い光を纏うストライクブレイザーやその戦闘の様子を静かに、だが興味深そうに見つめていた。
≪こんなのは初めてだな。お前さん、何か感じるもんでもあるか?≫
「……そうだな」
モニターの男性は中年、片やもう一方の男性はアバターとはいえその外見はまだ青年だ。一見すれば年の差は感じるが、それ以上にこの2人の間には友情があるのだろう。お互いに砕けた口調で話しながら真紅の瞳を持つ青年はストライクブレイザーを見やる。
「……覚醒の派生形か? だがそれ以上に強い意志を感じる」
青年からしてもハッキリとはブレイザーの力の正体は分からないが、モニター越しに見ても意志のようなものは感じたようだ。
≪こっちでも引き続き調査してみる。お前さんはどうする?≫
「……こちらでミッションでも考えて少し試してみるか」
ブレイザーについては謎が多い。調査を進めれば何か分かることもあるだろう。男性は青年がブレイザーについての行動を尋ねると、青年はポリポリと髪をかきながら意を決したように話す。
「クラン・ブレイカーズ……。まだ派手に名前が売れている訳じゃない。けどきっと俺達のところにまで昇って来る。遅かれ早かれ、会う事にもなるだろう」
コンソール画面でクラン・ブレイカーズの情報を確認する。まだ大会に出て成果を出したなどの話は聞かないが、上位クランであるフリーダムフリートの撃破や覚醒など興味を引く事は多く。何より今後の成長を感じたのだろう。上位クランに身を置く青年は断言する。
「──主殿」
クランルームの扉が開き、騎士甲冑のような衣装を纏った金髪のポニーテールの男性が青年に声をかけてきた。その背後には大柄の男性もおり、青年を待っているようだ。
≪お前さんも忙しいな。無理するなよ≫
通話を切り上げるには丁度良いタイミングだろう。最後に男性は青年を気遣った言葉を贈ると青年はふっと小さく笑みをこぼす。
「やってみるさ」
懐からバイザー型のアイテムを取り出すとその特徴的に真紅の瞳を隠すように装着すると青年の姿は光に包まれて、シックな衣装に切り替わるとその上に高級感のある青色のマントが羽織られる。その特徴的なバイザーは顔に装着されたままであり、まるで素顔を隠しているかのようだ。通話を終えるとマントを払いながら青年は自分を待つ存在達のもとへ向かうのであった……。
・・・
「おはよー」
翌日、最正学園への通学路の中でツムギはいつも一緒に登校しているナギサと合流する。が、ナギサの顔があまりにも暗い。暗すぎる。
「はっぴーばーすでーとぅゆー……。はっぴーばーすでーとぅゆー……」
うわ言のように呟くナギサ。あまりの様子にツムギは引きつった顔を浮かべ、その言葉の意味を探る。
『そうそう、今日から1人でエアリアルが出るっていうアニメの同時視聴会もするんだよー』
「あっ」
少なくとも自分が知る範囲で誕生日を迎えた人物はいないが、やがて昨日、GBBBBで話していたナギサとの会話を思い出す。恐らく昨日、ログアウトした後、エアリアルが登場する機動戦士ガンダム 水星の魔女を視聴し始めたのだろう。そしてうわ言のように呟くバースデーソングに原因を察したようだ。
「はっぴーばーすでーとぅゆー……。はっぴーばーすでーとぅゆー……」
相も変わらずナギサの顔は暗い。フラフラとおぼつかない足取りでバースデーソングを呟く怪異ハッピーバースデートゥユーの後を追いながらツムギは今日も登校するのであった……。