ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

43 / 43
エスペランサ

 

 ツムギ、ナギサ、そしてユウヒによるメンバーで始まったミッション。ストライクブレイザーとエアリアルがそれぞれステージとなった大峡谷エリアの地に足を踏みしめる。

 

「そう言えばあれから水星の魔女はどこまで観たの?」

「……」

 

 ふとエアリアルを見ながらナギサが水星の魔女を視聴中だった事を思い出して何気なく聞いてみる。しかし普段、あれ程快活なナギサの表情がスンッと無表情なものになる。

 

「えっ……と……何かあった?」

「私さ、ボブが出てきた時は笑ってたんだよ。可愛いなって。だからそのままボブ目当てに一気に見たんだよね。そしたらボブはあんな事になるし、挙句の果てには止めなさいって……」

「あっ」

「止めなさい、って。いや、止めなさいって言いたいのはこっちだよ。もうその後は受け入れるまであーだーこーだ言ってたね。そしたら私の声で起きたお父さんが止めないか! って怒られて……」

 

 あまりの様子におずおずと聞いてみれば、順調に水星の魔女自体にハマっていたナギサではあったが、怒涛の展開にショックを受けてしまっているらしい。父親からのビンタは受けていないらしい。

 

「あぁもう、グエル先輩に幸せになってほしいよぉぉお!」

「分かった! 分かったから! その後も見逃せない展開ばかりだからそのまま観よう! ね?」

 

 出現した敵NPC機群に己の荒ぶる感情をぶつけるようにビームライフルを乱射するナギサのエアリアル。攻撃は当たっているものの隙だらけであるため、何とか宥めようとする。

 

「──仲が良いね」

 

 するとストライクブレイザー達に襲いかかろうとしていた敵NPC機群は全て極太の高出力ビームによって飲み込まれる。ツムギとナギサが射撃元を確認してみれば、鮮やかなGN粒子を放ちながらユウヒのガンプラが降り立つ。

 

 ガンダムエスペランサ。ガンダムヴァーチェをベースにカスタマイズされたユウヒのガンプラだ。ヴァーチェの特徴を残しつつもバックパックに二門の大型レールキャノンが垂れ下がるように増設されており、より火力を高めたような印象を受ける。エスペランサ自体の完成度は素晴らしく、各部のディテールアップに留まらず、塗装面においてもユウヒの拘りで調色されており、重武装ながら美しさすら感じる。

 

「ユウヒさんのガンプラの名前ってガンダムブレイカーじゃないの?」

「作ったガンプラ全てにガンダムブレイカーって名付けてる訳じゃないよ」

 

 だがショウのガンダムブレイカーMk-IIと違って、ユウヒのエスペランサはガンダムブレイカーの名を冠していない。ナギサが何気なくガンダムブレイカーであるユウヒがその名前を付けてない事に触れると、ユウヒは苦笑交じりに返す。ガンダムブレイカーであってもガンダムブレイカーの名を冠するガンプラを作り、使い続ける義務などどこにもないのだ。

 

「ツムギ君と一緒にガンプラバトルをするのも久しぶりだね」

「はいっ! 昔はよく一緒にガンプラを作って、バトルをして……。楽しかったなぁ……。だからまた一緒にバトルが出来て嬉しいです!」

「学生時代に比べたら自由な時間は減っちゃったからね。限られた時間だからこそ嬉しさも一入だね」

 

 GBBBBでツムギとユウヒが同じミッションに臨むのは今回が初めてだ。かつては1人で泣いていたツムギが気になって都合が合えばよく一緒に遊んでいた。それからユウヒも社会人となり、ツムギと予定を合わせる事が難しくなっていってしまったが、だからこそ予定があった時の喜びもあるのだろう。昔を懐かしみながらもツムギとユウヒの口元には笑みが自然と漏れる。

 

「見ててください。俺、あの頃よりも強くなってますから!」

 

 そう言ってストライクブレイザーは飛び出していき、ガンバレルを展開しながら射撃兵装を用いて新たに出現した敵NPC機群を撃破していく。

 

「ノセ、張り切ってるなぁ」

「ふふっ、やっぱりツムギ君の本質はあの子供っぽい無邪気さだね」

 

 水を得た魚とでも言うべきだろうか。ストライクブレイザーはどんどん敵NPC機群を撃破しては次の標的を探す。その姿は傍から見ていても張り切っているように感じるのだろう。前へ飛び出していくストライクブレイザーの姿を後方から見ながら、ナギサとユウヒは微笑ましそうに笑う。

 

 そうこうしていると遂にミッションエリアの最深部へと到着し、待ち構えていたボスMAに遭遇する。ザクの頭部が目を引く巨大MA・アプサラスⅡだ。早速、ストライクブレイザーを先頭にアプサラスⅡとの戦闘を開始していく。火力自慢が多い組み合わせだが、それでもアプサラスⅡはそう簡単に堕とせるものではなく、長期戦が予想される。

 

「トオノ、大丈夫?」

「う、うん! 何とか!」

 

 この中で一番、実力が劣るのはナギサだろう。それはビルダーとしての能力に留まらず、ファイターとしての実力であってもそうだ。今も一度、直撃すればただではすまないだろうアプサラスⅡの猛攻に翻弄されてしまっている。それに気付いたツムギはナギサに注意を払うが……。

 

「ノセ!」

 

 ナギサの緊迫した声が響いたのと同時にアラートがけたましく鳴り響く。咄嗟に確認するのも間に合わずストライクブレイザーはアプサラスⅡの体当たりを受けたのだ。超重力級の質量攻撃によってストライクブレイザーは大きく吹きんでしまう。

 

「っ……」

 

 ガンプラの制御が利かない。このままでは地面に叩きつけられるだろう。それを予感したツムギだったが、その瞬間はいつまでも訪れなかった。何故ならばユウヒのエスペランサがストライクブレイザーの手をしっかりと掴んでいたのだ。

 

「ユウヒさん……」

「大丈夫だよ」

 

 手を差し伸べ、ストライクブレイザーの手を握るエスペランサの姿にかつてのユウヒとの出会いがフラッシュバックする。あの時、自分の中に巣食う孤独感に手を差し伸べ、光を差し込めてくれたのは目の前にいるユウヒに他ならなかった。

 

「さて。僕も良いところ見せないとね」

 

 ゆっくりとストライクブレイザーと着地しながらアプサラスⅡへ向き直る。アプサラスⅡは既に高出力メガ粒子砲の準備をしており、あんなのに飲み込まれたら一溜まりもないだろう。だが対してユウヒに焦りはない。ストライクブレイザーの前に立つと、トランザムを発動させる。

 

「エスペランサ、目標を破砕するよ」

 

 それだけではない。トランザムに上乗せするように更に覚醒を果たしたのだ。エスペランサはGNバズーカを胸部GNコンデンサーと直結させると最大出力で解き放つ。高出力メガ粒子砲とぶつかり合い、拮抗するもユウヒの表情はいまだ余裕の色がある。自身が手掛けたエスペランサに自信があるのだ。やがて拮抗していたビームは一気にGNバズーカの砲撃が圧していき、アプサラスⅡを貫き、撃破する。

 

「すっごー……」

「ああ……」

 

 アプサラスⅡが轟音を立てて消滅する。後にはGNバズーカの砲撃によってあまりに大きな溝だけが残っていた。その光景にナギサもツムギも感嘆の声を漏らす。

 

(……やっぱり今でも言える。アナタは素晴らしいって)

 

 エスペランサはゆっくりとストライクブレイザーとエアリアルに向き直る。その堂々たる姿を目に焼き付けながら、ツムギは胸に宿るユウヒへの憧れを想う。

 

(……少しは良いところを見せたかったなんて子供の発想かな)

 

 自分でもユウヒとのミッションで浮足立っていた自覚はある。それも全て憧れであるユウヒに成長した自分を見てほしかったことに他ならない。改めて幼稚にも思える考えに自嘲しながらもミッションを終えるのであった……。

 




ガンプラ名 ガンダムエスペランサ
元にしたガンプラ ガンダムヴァーチェ

RIGHT LONG RANGE WEAPON GNバズーカ
CLOSE RANGE WEAPON ビームサーベル
  
HEAD ガンダムサバーニャ
BODY ガンダムヴァーチェ
RIGHT ARM ペイルライダー
LEFT ARM ペイルライダー
LEGS ガンダムヴァーチェ
BACKPACK ガンダムヴァーチェ
BUILDERS PARTS 大型レールキャノンx2(F91のヴェスパーのようにバックパック左右に垂れ下がるように)

カラーリングはプリセットのガンダムサンドロック EW版
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:10文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。