ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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タオの不安

 

 

《はーい、皆さん。クラン戦は楽しんでいますかー? 戦いとは常にニ手三手先を読んで行うもの……。AIのワタシなら数百手先まで読めちゃいます! GBBBBのアイドル、レコでーす!》

 

 ツムギとナギサ、ユウヒによるミッションから数日、GBBBBではクラン戦にまつわるGBBBBニュースを今日もレコとミスター・ガンプラのコンビが伝えていた。

 

《ミスター、よろしくお願いしますね!》

《はっはっはっ! よろしくぅ! 今日はその可愛さの秘訣でも教えてくれるのかな?》

《はーい、ワタシの可愛さは〜〜……AIプログラムとモデリングの結晶でーすっ!》

《まさに現代の叡智が結集したって訳だね! これは誰にも真似できない!》

 

 レコとミスター・ガンプラの軽快なやり取りは最早、GBBBBの名物と言っても過言ではないだろう。ミスター・ガンプラの絶妙なトーク力は勿論、それに追従して巧みな受け答えをするレコはとてもAIには思えない程だ。

 

《それでは早速、クラン戦にまつわるニュースをお伝えしたい思います! さて、ミスター。新たな対戦カードが発表になりましたがミスターの注目ポイントを教えてください!》

《うーん、そうだね。優勝候補ではないけれど、私としてはこの対戦には注目したいね》

 

 いよいよクラン戦にまつわる情報が明かされる。レコとミスター・ガンプラの間に次に行われるクラン戦の中から一部の対戦カードの情報が表示されるなか、ミスター・ガンプラが注目したのは何とクラン・ブレイカーズの対戦カードだった。

 

《これは……どちらも結成されてから実績の少ない初心者クラン同士のカードですねー。どの辺りが注目ポイントなんですか?》

《意外性を見せてくれそうってところかな。このクラン・ブレイカーズは話題になっていたしね。先日開催されたマイスター・アインのチャレンジイベントミッションを面白い技を持ってクリアした、ってね!》

《あ、ワタシもその情報は聞いたことあります! 見たことのない技を使ったとかなんとか! ……ネットの書き込みなんでホントかどうかは分かりませんけど》

 

 クラン・ブレイカーズの対戦相手もまた初心者クランのようだ。一見すれば左程、注目度は高くないように思えるが、覚醒、そしてブレイザーの力は話題性を呼んでいるのだろう。詳細はミスター・ガンプラやレコは把握していないようだが、それでも注目出来るカードのようだ。

 

《オンラインゲームだから、そういったところも含めて楽しめばいいと思うけどね! もう一方のチームも派手な実績こそないが、しっかりとした役割分担でポイントを稼いでいる。基本に忠実な良いチームだと思うよ。多分、他のオンラインゲームでも経験を積んでいるんだろうね!》

《なるほどー。初心者クラン同士の戦いでも見どころはしっかりあるということですねー!》

《どちらも結成して日は浅いが、きっと熱い戦いを見せてくれることだろう! 我々が求める新しい芽になるかもしれないしね!》

《クラン戦や大会になるとマイスターの話題ばかりになりがちですが、新勢力の戦いにも大注目ですね!》

 

 GBBBBにいればマイスターの話題は嫌でも耳に入って来る。それだけの実力と存在感のあるマイスターを脅かす存在は初心者の中に紛れ込んでいるのかもしれない。ミスター・ガンプラとレコはそんな期待をしつつGBBBBニュースを締めくくるのであった。

 

 ・・・

 

「今のアタシ達のことだよね! なんかちょっと有名人になった感じ?」

「私達って言うより……」

 

 先程のGBBBBニュースをクラン・ブレイカーズ全員がロビー広場で見ていた。次のクラン戦ももう間近に迫っているのもあったからだ。先程のGBBBBニュース内でクラン・ブレイカーズに触れられたことでリンが手放しにはしゃいでいると、リリンもチラリとツムギを見やる。

 

「ツムギのこと?」

「むぅ……分かってたけど、ちょっとぐらい乗っかっても良いじゃない」

「そうだよな……。こんだけ女性陣が粒揃いなんだから、そこに注目してくれたって良いのによ」

 

 クラン・ブレイカーズがピックアップされたというより、覚醒の使い手、そしてブレイザーを宿すツムギとストライクブレイザーが注目されている気がする。それははしゃいでいたリンも分かっていた事なのか、途端に膨れっ面を作るも、フォローにもならないマシマの一言に「マシマはほっとこ……」と肩を落としていた。

 

「にしても向こうのクランも中々やるって言ってたよね?」

「どんな相手でもドンとこいやで! このミッションも勝って連勝といこうや!」

 

 相手クランの詳細は分かってはいないが、それでもGBBBBニュースを見る限り、油断は出来ないだろう。しかしそんな事で臆する気はなく、公式クラン戦初勝利の勢いに乗っているのか、タオは勇ましさを見せる。

 

「タオってば、すぐに調子に乗るんだから」

「ふふ、良いんじゃないですか。勢いが大事なのは事実ですし」

 

 調子に乗りやすいタオに呆れてしまうリン。だがそんなタオをシーナはさり気なくフォローする。確かに下手に足踏みをしていたら勝てるものも勝てないだろう。

 

「シーナの言う通りや! ここから更に勝って名を上げるで!」

 

 調子に乗りやすいとはいえ、タオの場合、左程目につくわけでもなく不快感がある訳でもない。あえて言うなら微笑ましい位だ。タオの勢いに乗ろうと他のメンバーが頷いていると……。

 

「──その声にそのプレイヤー名……。お前もしかしてウチのクラスのタオか?」

 

 そんなクラン・ブレイカーズの輪に水を差すように声をかけてきた人物がいた。声の主に視線を向ければ、金髪のタオと同じ位の外見年齢のアバターを持つ少年がこちらにやってきていた。

 

「その声にその名前……。セリト、くん?」

「やっぱりか! へぇー。お前もこのゲームやってたんだな」

「う、うん……。セリト君もGBBBBのプレイヤーやったんやね……」

「バーカ! 俺は付き合いだよ。他ゲーのフレンドがやるって言うから仕方なくな」

 

 先程まで調子に乗っていたタオもその声の主……セリトを認識してから冷や水を浴びせられたかのようにオドオドとした態度になってしまった。一見すればリアルでの知人同士の邂逅だが、どうにもこの2人の場合、微笑ましいものではないように見受けられる。

 

「……誰、この人? タオの友達?」

「ま、まあそんな感じかな……」

 

 GBBBBをプレイする理由は人それぞれなので構わないが明らかにタオの様子がおかしい。リンはセリトをあまりいけ好かないようではあるが、タオの手前、一先ず取り繕いながら聞いてみるとか細く震える声で答えられた。

 

「友達っていうか、ヘタレなこいつを俺が助けてやってるって感じ? タオってクラスじゃ地味でしかもビビりでさー! “ぼ、僕……そんなの出来ないよ~”……って、いっつもこんな感じな訳! ははは、笑えるだろ!」

 

 大っぴらにタオのリアルでの話を面白おかしく嗤うセリト。しかしセリトとは対照的にクラン・ブレイカーズの面々はどんどん眉を顰めていく。

 

「そんなんだからダメなんだよ。なあ、タオ?」

「う、う、うん……」

「あー、そういえば他にもあるよなぁ。こないだ体育の授業で一緒のチームになった時もタオの奴がガチガチで……」

 

 どんどん場の空気が冷え込んでいくのを気付いていないのか、お構いなしに心底楽しそうに話を続けていくセリト。次から次にタオのプライベートな話を続けていこうとする。

 

「……あなた、この場でプライベートな話を持ち出すなんてマナー違反ではありませんか?」

「おっと、悪ィ悪ィ……。ハハッ、仲間に庇われちゃって、ここでもヘタレみたいだな、タオ」

「ちょっと! 急に突っかかってきてどういうつもり!」

 

 流石に目に余ったシーナがいつもの嫋やかさを潜めて鋭く釘を刺す。しかし言葉とは裏腹にセリトは悪びれる様子もなく更にタオにちょっかいをかける始末だ。ここでタオの知り合いだと思って、我慢していたが限度を越えたのか、リンも怒りを見せる。

 

「そんな怒んなって! たかがゲームだろ? どんな相手か気になったから偵察がてら見に来ただけだよ。そしたら偶然、コイツがいたって訳。ま、タオが相手なら楽勝かなぁ。いや、ビビりのお前は出てこないか? どっちにしたって勝つのは俺達のチームだけどな!」

 

 流石に剣吞とした空気になり、自身が歓迎されていないのを察したのか、しかしそれでもお構いなしに最後までタオを小馬鹿にしながらセリトは去っていくのであった。

 

「あー、ムーカーつーくーッ! なんなの、アイツ!」

「ごめんな、リン。僕の知り合いが迷惑かけて……」

「タオもタオじゃない! 言われっぱなしで、黙ったままで!」

 

 セリトは去っていったが、それでも怒りが収まらないリンに謝る必要がないように思えるが、タオは律儀に謝罪する。とはいえタオにも言いたいことがあるのか、リンの矛先はタオにも向かう。

 

「……僕、アイツ苦手やねん。あんな風に上から来られると怖くて動けんくなってまうんや。次の試合、アイツが出てくるんやったら僕、出ん方がええよなぁ……」

「いや、なおさらタオが出るべきだと思うぜ」

 

 人には誰だって苦手な存在はいるだろう。そんな相手への態度など人それぞれだ。次のバトルへの意気込みも消え、参加を見送ろうとするタオにマシマが待ったをかけた。

 

「あんだけ言いたい放題言われて一泡吹かせてやろうって気にはならないのか? あのムカつく野郎の鼻っ柱をお前の手でへし折ってやんだよ!」

「そうそう、今までの分、やり返しちゃえ!」

「あの方のことは存じませんが、ガンプラにおいてはタオさんの方が上だと信じています。やるなら徹底的にやりましょう。私も全力で応援いたします!」

 

 マシマ、リン、シーナがそれぞれの言葉でタオの背中を押す。セリトへの不快感もあるがそれ以上にタオへの気持ちの方が大きかったのだ。

 

「ああ。何かあれば俺がフォローするよ。タオは俺に声をかけてくれたんだ。そんなタオはヘタレなんかじゃないよ」

「……私もそう思う。だから私も行きたい」

 

 ツムギにとってGBBBBに初めて訪れた時、タオに声をかけてもらった感謝はずっと胸にあるのだろう。共に出撃する意思を見せるとリリンも同じように頷く。

 

「みんな……」

 

 クラン・ブレイカーズの温かさに触れて感極まるタオ。やがてタオも決心がついたのか、出撃する意思を見せ、タオ、ツムギ、リリンの3人で出撃するのであった……。

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