ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

45 / 46
タオの決意 ガンプラと共に

 

「ゲーム慣れしてるな……!」

 

 バトルステージに選ばれたのは地下基地内部だった。既にバトルが開始されており、ツムギは相手クランのガンプラの攻撃を避けながらその実力を測る。相手クランは確かにクラン・ブレイカーズと同じく結成して日が浅いようだが、役割分担によってお互いの隙をカバーしている。

 

「あっれ〜? お前が来たんだ。他の奴任せにして逃げるかと思ったけど。ま、雑魚が出てきてくれたのはラッキーだけど」

 

 またタオも丁度相手クランのガンプラと戦闘していた。その相手とはまさにセリトであった。ガンダムバエルを紫を基調としたカラーリングのみを施したセリトスペシャルという名のガンプラであった。恐らくGBBBB内でカラーリングを変えただけでバエルのガンプラ自体は素組なのだろう。ところどころにランナーから切り離した際の切断面などが残っていて、他のチームメンバーが丁寧なガンプラ作りとカスタマイズをしてバトルに臨んでいるのもあってか、浮いてしまっている印象さえ受ける。

 

(みんなに背中を押してもらったんや……。相手がセリトでもバシッと戦わんと……!)

 

 バトル前にシーナも語っていたが、ガンプラにおける実力ならばタオの方がはるかに上回っているはずだ。しかしやはりセリトが相手である事を意識してしまって、本来のパフォーマンスを発揮できていないのだろう。セリトとの戦闘に圧されているのが傍から見ても分かる。

 

「タオ、大丈夫?」

「う、うん! 大丈夫やで! 今の僕なら大丈夫や!」

 

 片やツムギ達は相手クランが他のオンラインゲームでゲーム慣れしているとはいえ、GBBBBでの経験は圧倒的にツムギ達の方が上だ。少しずつ巻き返してきており、リリンもタオを気に掛ける余裕さえある。しかし上ずった声で答えるタオに余裕などなく、セリトスペシャルの攻撃を避けることに終始してしまっている。

 

「おいおい、逃げんなよ! そういうとこ、ゲームでも変わんねえなぁ!」

 

 逃げに徹してしまっているタオにより調子に乗らせてしまったのだろう。小馬鹿にしてくるセリトにタオは苦虫を食い潰したように歯を食いしばる。

 

「そんなトロい動きで俺に勝てると思ってんのかぁ?」

 

 装備しているドッズライフルのビームを何発も直撃しているタオSDカスタム。それでも撃破に至らないのはタオのガンプラ制作技術が上であるのと逆にセリトの制作技術が低すぎるのがあるだろう。

 

「あーあ、だらしねぇの。そんなんだからお前はダメなんだよォッ!」

 

 ビームの直撃を受けて吹き飛んで倒れてしまうタオSDカスタム。技術の差で撃破に至れていない事にすら気付けていないセリトはそのままタオSDカスタムを蹴り飛ばした。

 

「タオ……!」

「リリン、待って!」

 

 劣勢に追いやられているタオSDカスタムにリリンが咄嗟にサポートしようとするが、ツムギが制する。

 

「タオを信じよう」

 

 見放したわけではない。タオを信じて任せようとしているのだ。だからこそ逆にタオとセリトのバトルの邪魔にならないように先程まで相手をしていたクランのガンプラをすれ違いざまにビームサーベルで両断し、撃破する。ツムギの意図を汲んだのだろう。リリンもタオSDカスタムを一瞥しつつもストライクブレイザーと共に残ったガンプラに専念する。

 

「張り合いねえなぁ……。これなら他のゲームやってた方がマシだぜ。大体、GBBBBって面倒くせぇよなぁ。わざわざ手間かけてガンプラ作るとか付き合いじゃなかったらやってねえーっうの」

 

 セリトがGBBBBをプレイしているのはあくまで付き合い。その為にガンプラをわざわざ作った事はまだ褒められるかもしれないが、それでもGBBBBどころかガンプラに愛着すらないようだ。

 

「それにお前のクランの奴らも馬鹿だよなぁ。負けるって分かってんのにお前なんか選んでさぁ。ま、どうせ大したことない奴らなんだろうけどよ!」

「……っ!」

「おっ、なんだ。言いたいことがあるなら言ってみろよ。どうせ、“い、いや別に……”とか言うんだろ? いっつもお前はそうだもんな! ハハハッ!」

 

 子供ではあるのだろう。どこまでも他者を馬鹿にする事が楽しいのか、セリトの矛先はクラン・ブレイカーズのメンバーへ向かう。これに今まで言い返せなかったタオは明らかに眉を顰め、明確に怒りを感じさせた。通信越しでそれを感じ取ったのか、それでも何も出来ないだろうと高を括っているセリトはタオを嘲笑する。

 

「──……すんなや」

「あ?」

 

 しかしタオはここで漸く口を開いた。怒気を含んだその声にセリトが不愉快そうに顔を顰めるなか、タオは自身を見下ろすセリトスペシャルをキッと睨みつける。

 

「ガンプラを……クランのみんなを……! 馬鹿にすんなやッ!」

 

 それはツムギ達でさえ初めて見たタオの怒り。体格差のあるセリトスペシャルを押しのけてタオSDカスタムは立ち上がり、真っ向から対峙する。

 

「僕の事、いくら馬鹿にしてもエエ……。けど、ガンプラと僕の友達を馬鹿にしたのは絶対に許さへんッ!」

 

 自分は馬鹿にされる事よりも自分が大好きな存在を馬鹿にされるのだけは許せない。それがタオの根底にあるものだろう。怒りを爆発させたタオはそのままその怒りをぶつけるかのようにセリトスペシャルへの攻撃を始める。

 

「ま、待てよ! ちょっとからかっただけじゃねえか! なにマジになってんだよ! そんなに必死になって恥ずかしくねぇのか!」

「誰かを馬鹿にする事しかできん奴の方が何百倍も恥ずかしいわ!」

 

 いつも歯向かうような真似をしてこなかったタオが矛を向けてきたのが動揺に繋がったのだろう。パニックになってしまっているセリトを真っ向から言い返す。時代は冷笑系ではなく熱血系である。

 

「そんなタオがいるクランなんかに……なんで俺がーッ!?」

 

 元々、ガンプラの技術力の差、そして攻勢に出たことで元々あったガンプラバトルにおける経験の差が遺憾なく発揮されたのだろう。瞬く間にセリトスペシャルは追い込まれてタオSDカスタムによって撃破される。

 

「……やった。僕ら、セリトのチームに勝ったんや」

 

 それをきっかけにバトルが終了する。セリト以外のメンバーもツムギとリリンが撃破したのだろう。見れば損傷は目立つものの勝利を分かち合うためにストライクブレイザーとクレールはこちらに向かってきていた。

 

「おめでとう、タオ。格好良かった」

「ああ。やっぱりタオは頼もしいよ」

 

 先程のタオの様子はちゃんとリリンももツムギも見ていたのだろう。2人ともタオが誇らしそうに笑みを見せている。

 

「なにを言うとるん。勝てたんはみんながおってくれたおかげや! せやからお礼を言うのはこっちやで! ツムギ、リリン、ありがとな!」

 

 今回の件が自信に繋がったのだろう。タオは心から晴れやかな笑顔を見せながらツムギ達に感謝しつつロビー広場に戻るのであった。

 

 ・・・

 

「やったね、タオ! 格好良かったじゃん!」

「ハハッ、男を見せたじゃねえか! スカッとしたぜ!」

「立派でしたよ、タオさん! 自分の想いを貫く勇気、とても感動しました」

 

 ロビー広場に戻ってくればバトルを固唾を飲んで見守っていたリン、マシマ、シーナが温かく出迎えてくれた。タオの想いに触れたのもあってか、みんな嬉しそうだ。

 

「……好き」

 

 温かな空気に自然と笑顔が溢れるなか、突然、リリンの呟きが響き、先程まで和やかだったクランのメンバーもほぼ同時に同じようなリアクションで目を丸くして驚いてしまっている。

 

「……好きって気持ちが大事。それが分かった。タオのガンプラが好きって気持ちが力になってたから」

 

 タオのガンプラへの想い、そして仲間達への想い。それが侮辱されたからセリトを打ち倒す力になったのだろう。それは傍から見ていたリリンも感じ取ったようだ。

 

「ああ、なるほどな……。めっちゃビックリしたわ」

「例えリリンちゃんがマジだったとしても俺が許さなかったけどな!」

 

 話の流れもあって、自分に向けた言葉かと思って焦りもしたがどうにも違うらしい。だがどの立場で言っているのか、マシマは鼻息を荒くしており、それを見ていたリンは「アンタはリリンの何なの……?」と呆れた様子だ。

 

「でも、リリンの言う通りだね! アタシも見習わなくっちゃ!」

「あの時は無我夢中やったんやけど、そう褒められるとこそばゆいわ」

「今日の戦いは誇っていいものですよ。タオさんだけではなく、お2人もお疲れ様でした」

 

 とはいえ好きを原動力にする事は見習うべきだろう。リンの言葉に先程までの戦闘を振り返って恥ずかしそうな顔を見せるタオにシーナはタオ共々ツムギやリリンも労う。

 

「よーし、この調子で残りのクラン戦も勝っていくで!」

「もう、すぐ調子に乗る! ……ま、今日ぐらいはいっか」

 

 調子に乗りやすい性格なのは変わらない為、リンは呆れてしまうが、今日の主役は実質、タオだったこともあって今日ばかりは大目に見るのであった。

 

 ・・・

 

「ふぅ……」

 

 GBBBBからログアウトしたツムギは一息つく。GBBBBゴーグルを外すと、凝った身体をほぐしながら自室から出る。家の中はまさに無音。なぜなら共働きの両親は仕事でおらずツムギしかいないからだ。

 

「いただきます」

 

 夕食よりもGBBBBを優先していた為、母親が作り置きしてくれていた食事をレンジで温めて食事をとる。家の中に自分だけしかいない為、自分が立てる音の一つ一つがいやに響く。幼少期はこれが嫌だったが、今では慣れたものだ。

 

《今日のクラン戦も凄かったねー! ナギサさんもあんなバトルがしたいもんだよぉ》

《調子に乗りやすいところを何とかすれば出来ると思うよ》

《調子に乗らないナギサさんはナギサさんと言えるのだろうか》

 

 テレビをつける気分にもなれず、何気なしに動画サイトを確認すれば丁度、ナギサとソフィーが配信をしていた。クラン戦を同時視聴していたのだろう。ナギサとソフィーらしいやり取りを見ながらツムギは1人だけの空間で食事をとるのであった。

小話に水着イラストが見たい組み合わせは(6月末まで)

  • ナギサ&ソフィー
  • ナギサ&ユカ
  • ユカ&シオン
  • ソフィー&シオン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。