ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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迷えるシーナ

 

 ここはとある地方。優に100坪は超えるであろう広大な敷地の中には巨大な庭園や蔵などがあり、まさに絵に描いたような大邸宅だ。その大き過ぎる程の豪邸の一室にはシーナの姿があった。

 

《じゃじゃんのじゃーん! 今日作るガンプラはこれだよー!》

 

 シーナがスマートフォンをテレビに無線接続しながら見ているのはナギサとソフィーの配信だった。配信者の類は頻繁に見ている訳ではないが、ナギサとソフィーがツムギの知り合いだという話もあってか、見始めたのがきっかけだ。

 

《フルメカニクス ガンダムエアリアル! HG以外も作ってみたいってソフィーに言ったらこれを勧めてくれたんだー》

《……フルメカはデカいHGって感じだしね。MGと違って内部フレームとかはないけど、付属のマーキングシールも使えばHG以上に外観に情報量が与えられるから完成した後の満足度はダンチだよ》

 

 ナギサはリアルで手元を映して、ソフィーはGBBBB内でワイプ越しに配信している。ナギサが取り出したのはHGサイズのパッケージながらその厚みはHG二個積み上げたような厚みがあった。ナギサが慣れているHGではなく1/100サイズのガンプラであった。それはステップアップも兼ねてソフィーが勧めたガンプラの中からナギサがチョイスしたガンプラであった。

 

《エアリアルの改修型は格好良いとは思うけど、やっぱりこっちのエアリアルの方が可愛くて好きだなー》

《そう言えばナギ子の水星の推しキャラって誰?》

《悩むよねー。スレッタちゃんを最初は応援してたんだけど、応援したくなるキャラがいっぱい出てくるんだよ。あー、でも、うーん……。今、水星も20話まで見たし、私の中じゃグエル先輩かな。ソフィーは?》

《……んー……シャディク。バカな奴とは思うけど、くすぐられるものがあんだよ》

《あー、分かるー》

 

 2人の軽妙なトークは聞いていて耳心地が良い。最初はクランメンバーの知り合いの配信者として見始めたが、普段の配信の他にも踊ってみたなど幅広く配信活動をしており、たまにユカやシオン、アオバが登場するのも密かな人気の一つになっている。所謂、バズる配信も起きており、ナギサとソフィーの活動は徐々に頭角を現していた。

 

《見て見て、クリアパーツ越しに見えるモールド入りのメッキパーツ。めっちゃ綺麗じゃない?》

《ホントだね。HGは作りやすくって良いけど、こういった情報量はデカいサイズならではだね》

 

 HG慣れしていれば特に迷うことなく組んでいけているのだろう。パーツをはめ込みながら、その情報量に感心した様子を見せるナギサにソフィーも同意しながらガンプラ組立の雑談配信は続いていく。

 

「──お嬢様、よろしいでしょうか」

「はい?」

 

 するとシーナの私室でノックの音が響く。シーナが配信の視聴を中断して応対してみれば、失礼しますとこの家の従者が扉を開く。

 

「お父様とお母様がお呼びです」

「えっ……」

 

 シーナの両親がわざわざ呼び出してきた。特に心当たりもないが、シーナは呼ばれるまま両親の元へ向かうのであった。

 

 ・・・

 

「さて、次の試合か。そろそろ俺も活躍してぇところだな」

 

 翌日、GBBBBでは第三戦目のクラン戦が行われようとしていた。クラン戦も間近に迫り、まだ出撃していないマシマがぼやくように話していると、途端にいつものように軽快に笑みを浮かべ……。

 

「ってことで俺とお嬢、リンちゃんの仲良しフォーメーションってのはどうよ?」

「ハイハイ、そーいうのはナシで」

 

 軽口のマシマを適当にあしらうリン。クラン・ブレイカーズでは最早見慣れた光景だ。しかしシーナは珍しく何のリアクションも見せない。

 

「シーナ、どうかした?」

「……え? 失礼いたしました。何でもありません。ちょっと考え事をしていたものですから」

 

 どこか思いつめたようにも見えるシーナ。リンがたまらず声をかけると我に返ったシーナはすぐにいつもの穏やかな笑顔で対応する。

 

「憂い顔はお嬢にゃ似合わないぜ。どうだい、気晴らしに俺とミッションなんて……」

「うふふ、今はクラン戦の開催中ですよ。冗談はアバターだけにしてくださいね」

「くっ、ダメか……。だが俺のお嬢に対する気持ちはマg──」

 

 さらりとシーナを口説こうとするマシマだが、やや辛辣な返答が返って来る。というか、冗談はアバターだけにという程、マシマのアバターは奇抜ではないのだが。

 

「──やあ、ツムギ君。あれから随分活躍しているようだね」

 

 マシマの言葉を遮るようにクラン・ブレイカーズ、いや、ツムギに声をかけられる。一同、視線を向けた先にはかつてバトルをした経験のあるフリーダムフリートのリーダーを務めるカオスが腕を組んで佇んでいた。

 

「前にいっぺん戦ったことがある人や。名前は……」

「私はカオス。一応、フリーダムフリートのリーダーを務めさせてもらっているが、しがないガンプラビルダーさ」

 

 かつてバトルをしたこともあってか、ツムギだけではなく、タオやリリンも記憶に残っているところだろう。タオが名前を明かす前に自己紹介を済ませる。

 

「へぇー、そのしがない人が何の用?」

「ツムギ君の勧誘だよ。一度対戦してから戦い方を気に入ってね。以前も言ったがぜひ、是非私のクランにと前から話していたんだ」

「なにそれ!? アタシの知らないところでそんな話になってたの!?」

 

 少なくとも次のクラン戦の相手はフリーダムフリートではない。ならばわざわざ声をかけてきた理由は何なのかリンが問いかけると、どうやらツムギの勧誘をまだ諦めていなかったらしい。最もそんな出来事があった事など今、初めて知ったリンは目を丸くして驚いてしまっている。

 

「……ツムギ、短い付き合いだったな。向こうのクランに行っても元気でやれよ」

「追い出そうとするなー!」

 

 さらっと物悲しく別れを惜しむマシマ。軽く泣き真似までしている。冗談とは分かってはいるが、あまりの即断即決にリンは大きくツッコミを入れる。

 

「ははははっ、仲が良いようだ。羨ましく思うよ。それでどうだね。移籍の話、考えてくれたかね?」

「ごめんなさい。前に断った時点で終わった話だと思ってたので考えてなかったです」

 

 クラン・ブレイカーズの和気藹々とした雰囲気を感じつつも本題であるツムギの勧誘に戻る。とはいえ以前、断った時点で済んだ話だと思っていた為、フリーダムフリートへの加入は眼中になかった。

 

「当然だよね! ここで抜けるなんて……! 勝ち逃げみたいな真似したら絶対に許さないからっ!」

「勝ち逃げ……?」

 

 ツムギの言葉に安堵しながらも闘志を燃やすリン。とはいえ勝ち逃げも何もリンはリンで何を言ってるんだと心当たりのないツムギは首を傾げてしまっている。

 

「そうか。本人のみならず周りまでもがそう言うとはな。だが私は諦めないよ。また来させてもらう」

 

 ツムギのみならず、冗談のマシマはあっても誰一人心からツムギをフリーダムフリートへ勧めるような真似はしない。自分が招かれざる客だと潮時を感じたのだろう。カオスはツムギへの執着を見せながら去っていく。

 

「ベーッだ! 二度と来ないでよね! 塩でも撒いといて、タオ!」

「塩を撒く!? そんな武装あったかな……」

「塩が足らん……いや、そもそもないのです」

 

 あっかんべーと舌を出しながら威嚇するリンは邪気払いも兼ねて塩を撒くようタオに指示するも、咄嗟のネタ振りに思いつかず、大真面目に塩を撒く武装を考える横でツムギがボケる。というか、そもそもGBBBBでそんなものに意味はないだろう。

 

「……」

 

 しかしシーナはカオスが来てから、そして去るまで一言も喋っていない。ずっと心ここにあらずとばかりに思いつめた表情だ。

 

「どないしたんや、シーナ。深刻な顔して。あっ、もしかして引き抜いてほしかったとか?」

「タオ、それ笑えないんだけど……。でも、シーナ。さっきからおかしくない? なんかあった?」

 

 シーナを気にかけつつ、冗談交じりに話すタオに呆れてしまうリン。とはいえあぁいった勧誘の中でシーナなら何か言っていてもおかしくなかったが、そもそも会話にすら参加していない。気になったリンはシーナを案ずる。

 

「……あの!」

「──みんな、もう時間」

 

 意を決したように何か打ち明けようとするシーナ。しかしタイミング悪くクラン戦の時間が迫っていた。それを知らせるリリンに言葉をひっこめたシーナは気になりつつも今は目先の事に集中しようとクラン戦へ意識を向ける。

 

「おっと、ホンマや。クラン戦が始まってまう。まだメンバーも決めてへんのに……」

「……あの、皆様。今回は私に行かせてもらえませんか?」

 

 メンバーの選定すら決めていない。すぐにでも決めなければ間に合わないだろう。するとここでシーナが自らバトルに名乗りをあげた。

 

「大丈夫かい、お嬢。無理するんじゃねぇぜ」

「ええ……。大丈夫です。私、今日はどうしても行きたいんです」

 

 普段はナンパ癖のあるマシマもあまりに思いつめた様子のシーナに真剣な様子で心配する。彼が嫌われないのはこういった下心のない気遣いが出来るからだろう。そんなマシマの人柄に触れつつもシーナの意思は固い。

 

「うーん……分かった。それならシーナに任せる。残りのメンバーは……」

「ツムギさん、リリンさん、お2人にお願いできませんか?」

 

 ここまでの意思を見せるシーナは珍しい。気がかりもあるが、リンは他のメンバーの選定をしようとするとシーナからの指名が入る。ツムギもリリンも異論はないのだろう。それぞれ頷く。

 

「……今回もご指名は無し、か……。仕方ねえ。お嬢のことは気になるが任せるぜ!」

 

 指名がなかったことでガックリと項垂れるマシマもすぐに切り替えて、快く送り出してくる。それに笑みを見せながら頷いたツムギ達は次のクラン戦へ臨むのであった。

 

 ・・・

 

「おっ、丁度、ノセっちのバトルが始まるみたいだねー」

 

 ベクルックスのクランルームにはユカとシオンの姿があった。背もたれに身を預けながらモニターを確認してみれば、今まさにストライクブレイザーがカタパルトを駆け抜けて出撃していた。

 

「ワタクシ達にとっては少し面白い対戦カードですわね」

「んー……? あぁ、なるほど」

 

 クラン・ブレイカーズの相手クランを確認したシオンは思わず笑みを見せる。その言葉が気になったユカはクラン・ブレイカーズの対戦カードを見て、つられるように笑う。

 

「ユウキ達のクランか。奇しくもアタシ達の知り合い同士のバトルだね。こりゃ応援し辛いねぇ」

 

 何とクラン・ブレイカーズの対戦相手はユカの知り合いであるユウキやロウヤ達のクランだった。ツムギ達は知る由もないが、ユカからすれば奇妙な巡り合わせである。言葉とは裏腹に興味深そうにバトルを観戦するのであった。

小話に水着イラストが見たい組み合わせは(6月末まで)

  • ナギサ&ソフィー
  • ナギサ&ユカ
  • ユカ&シオン
  • ソフィー&シオン
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