ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「……皆様に感謝しなくてはいけませんね。私の最後のワガママを聞いてくださったのですから」
「……最後? どういうこと?」
「……実は家の事情がありまして。皆様と一緒にいられる期限が迫っているのです。もしかしたらこの戦いを終えると、二度と会えなくなるかもしれません」
バトルステージである砂漠の地に降り立ったストライクブレイザー達。すると通信越しにシーナの声が聞こえてくる。最後の我が儘というのはどういうことだろうか。リリンの問いかけに思い詰めていた理由を明かす。だからこそあれ程、今回のバトルに参加したいと望んだのだろう。
「……シーナがいなくなったら寂しい」
「リリンさん……。私も同じ気持ちです。ですが、どうしようもないことですから……。私は自分で道を選ぶことが出来ないんです」
悲しみを帯びたリリンとシーナの会話を聞きながら同時にツムギはかつてシーナから持ち掛けられた相談を思い出す。出来ることなら何でもしてあげたい気持ちはあるが、それが家庭の事情ともあればどこまで踏み込むべきか考えてしまう。言葉が少なくなり、沈黙による静寂が包む中、アラートが聞こえる。相手クランが接近してきているようだ。
「……今は戦闘に集中しましょう!」
シーナは大事なクラン戦を前に余計な事を言って士気を響かせてしまったと負い目を感じてしまったようだ。少しでも切り替えるように相手クランとのバトルを始める。
「いっくよー!」
ユウキが駆るのは改造が施されていない純正のバスターガンダムだ。しかしガンプラバトルは何もカスタマイズすれば強いわけではない。ユウキのバスターはカスタマイズこそされていないが細部まで作りこまれており、クラン戦においても十分活躍を期待できるガンプラだろう。それを証明するように放たれた6連装ミサイルポッドが発射され、すぐさまクラン・ブレイカーズは回避行動に入る。
「逃がさないよっ!」
相手クランの1人であるネクスのアバター名を持つ青年のガンキャノンをカスタマイズしたガンプラであるガンキャノン・ジュネスのバックパックに装備されているI.W.S.Pによる攻撃が回避行動に入ったクラン・ブレイカーズの動きを予測して襲いかかってきた。
「──ッ!」
弾幕を掻い潜り、攻撃に転じようとするもストライクブレイザー目掛けて試製双刀型ビームサーベルの刃を走らせてきたガンプラがいた。咄嗟にビームサーベルを引き抜いて鍔迫り合いとなって受け止めるツムギは相手を確認してみれば、それはストライクブレイザーと同じくストライクガンダムをベースにカスタマイズしたロウヤのストライクリバースであった。
「俺のストライクにも想いはかなり込めてる。どっちの"攻撃"が上か、ストライク使いとして負けられないな」
奇しくもストライクガンダムをカスタマイズしたガンプラ同士のバトルとなった。カスタマイズ元が被るのは珍しい話ではないが、やはり意識してしまう事だろう。ロウヤはストライクブレイザーを相手取りながらも試製双刀型ビームサーベルによってどちらの刃で攻撃するか翻弄するように巧みに振り回し、動きをけん制する。
「ツムギ……ッ!」
ペースをロウヤに握られ、何とか反撃に転じようとするも上手くいかないツムギ。しかしそれを見たクレールのヴェスパーがストライクブレイザーとストライクリバースの間を駆け抜け、強制的に距離を開ける。
「助かったよ、リリン」
「……うん。でも同じガンプラが元でもツムギなら負けないって信じてるから」
すぐさまクレールと合流しながら体勢を立て直すツムギはリリンに感謝すると同時にリリンからの信頼を感じた。確かにあの僅かな戦闘でロウヤは経験を積んだ実力者だという事はすぐに分かった。だがそれでも、とリリンはツムギを信じてくれたのだ。
「負けられない……か。そうだな、負けられないよな!」
再びストライクリバースと刃を交えながらツムギは先程、通信越しに聞こえたロウヤの言葉を思い出す。それはまさに自分のガンプラが誰よりも強いんだと信じるツムギにとって同じ想いであった。
ストライクブレイザーのツインアイが煌々と輝き、覚醒を果たす。覚醒を果たしたことにより、一瞬、ストライクリバースに動きの乱れを感じ、すぐさま攻勢に転じ、少しずつだがツムギもペースを握っていき、互角に渡り合っていく。
「ツムギさん……。リリンさん……」
果敢に挑んでいくツムギとリリンの姿を後方から援護しながらシーナの表情はどんどん曇っていく。それはまるでツムギ達が眩しくて直視できないとばかりに。
(私は今まで親の言う事に従ってきました。家の為……と納得もしていました。ですがGBBBBをはじめて、私にも仲間が出来て……皆様を見ていると本当にこのままでいいのかと考えてしまいます)
シーナは今まで親の言う事に従い、レールを敷かれた上を歩いてきた。それは決して理不尽なものではないと思えたから今日まで過ごしてこれた。だがGBBBBをはじめて、シーナの心にも変化が訪れていた。例えゲームの世界であってもプレイヤー達は本気でバトルをして、時には助け合い、切磋琢磨している。その姿は現実世界において周囲に流されるまま生きてきたシーナからすれば仮想世界であるGBBBBのプレイヤー達1人一人の方がしっかりしていると思えるほどに。
(ならば私も皆様のように──!)
だからこそ憧れにも似た感情が宿る。流されるのではない。自分は今、しっかりとここにいるんだと誇示するように大地に立ちたいのだ。
「もーらい!」
チクラミーノのコックピットにアラートが響く。確認すれば、既に背後を取っていたバスターが350mmガンランチャーと94mm高エネルギー収束火線ライフルを構えていたのだ。
「シーナ?」
「……大丈夫です! 後ろは私に任せて皆様は前の敵を!」
何とかビームキャリーシールドを構えて攻撃を防ぐチクラミーノだが、全てを防ぎきれた訳ではなく損傷を受けてしまう。すぐにリリンが援護に向かおうとするが、それを制し、シーナはユウキとの射撃戦に臨む。
「ここまで接近を許すなんて……!」
バトルに集中するように言ったはずが誰よりも集中しきれていないのはシーナだった。己の不甲斐なさに苛立ちながらも何とかバスターを対処しようとするも段々とバスターの手数に圧されていき、ミサイルの直撃を受ける。
「……ダメなのですか。やはり私の力では……」
よろめいたのも束の間、既にバスターは収束火線ライフルを前にガンランチャーを後ろに連結させ、超高インパルス長射程狙撃ライフルとして構え、高威力ビームを放とうとしていた。その姿に最早為す術無しと己の非力さを嘆きながらシーナは諦めようとする。
「──1人で耐える必要はない」
その瞬間、ビームの一閃が今まさに放たれようとしていた超高インパルス長射程狙撃ライフルを撃ち抜き、爆発させる。バスターが損傷を受け、吹き飛ぶなか、クレールが一気にバスターへ接近していく。
「シーナに何があったか分からないけれど、私達はチームで、仲間だから何でも1人で耐える必要はない」
「チームで……仲間……」
ユウキ自身、思わぬ状況に慌てているのだろう。咄嗟に6連装ミサイルポッドを展開しようとするが、それも発射直前にクレールによってビームで撃ち抜かれ、爆発する。大きくよろめいたところクレールが引き抜いたビームサーベルによって一刀両断される。バスターが撃沈し、その炎の照り返しを受けながらこちらを見据えるクレールの姿にシーナは静かにリリンの言葉を零す。
「見す見す堕とされるのを見てるだけだったなんて……!」
バスターの撃沈を目の前にネクスは悔しそうに歯を食いしばりながらビームマグナムを構えようとするもストライクブレイザーのガンバレルがガンキャノン・ジュネスの動きを制し、その隙に一気に接近してきていたストライクブレイザーの収束火線ライフルとガンランチャーによる直撃を受ける。
「シーナさん、前に言ってましたよね。今はこの時間を楽しませていただこうって。俺にはシーナさんの抱えている重荷は分からないけど、だったら少しでもそう出来るようにします! 俺もシーナさんや皆と楽しみたいから!」
覚醒を果たした状態でストライクリバースとガンキャノン・ジュネスを何とか相手取りながらツムギは純粋な想いを叫ぶ。この二機を相手に余裕なんてない。だからこそそれが紛れもない本心なのはすぐに分かった。
「タオも前に勝てたのはみんながいてくれたからって言ってた。シーナはそうじゃないの?」
ストライクブレイザーの姿を見つめながらかつてのタオを引き合いに出してリリンは問いかける。その言葉に何かを気付いたようにシーナは息を呑んだ。
「……1人で耐える必要はない。皆と楽しみたい……ですか。ふふっ、お2人には感謝しないといけませんね。大事なことに気付けました。今まで周りが決めたことに流されてばかりで誰にも相談できず、1人で耐えていました。でもそうですね……。ここでは……GBBBBではそうではないんですね!」
まるで光が差し込んだようにシーナの表情は見る見るうちに明るくなっていき活気が宿っていく。それはまるで過去の自分に別れを告げるかのように。
「お2人とも、ご迷惑、ご心配をおかけしました。私は大丈夫です! このまま一気に勝利しましょう!」
チクラミーノのビームカノンとクレールのヴェスパーが同時に放たれる。ストライクブレイザーを撃破しようと怒涛の攻勢を見せるストライクリバースとガンキャノン・ジュネスだったが、その援護射撃によりガンキャノン・ジュネスは直撃を受けてしまう。
「これが、キミたちの絆の力……。いい。すごくいい」
その隙を逃さないとストライクブレイザーは覚醒によるビームサーベルの一撃を持ってガンキャノン・ジュネスを撃破する。撃破されたネクスであったが、クラン・ブレイカーズに感じるものがあったのだろう。どこか晴れやかな言葉を残してロストする。
《……》
「ブレイザー?」
残るはストライクリバースのみ。だが油断はできない。するとツムギはストライクブレイザーのコックピット内でブレイザーの気配を感じる。
《──!》
「……そうか。お前もシーナさんに応えたいんだな」
かつてショウはブレイザーは純粋な強い想いに応えていると言っていた。それはきっとツムギだけではないのだろう。シーナやそれを案ずるリリンやツムギの想いに触れてブレイザーは呼応したようだ。
「行こう、ブレイザー!」
ツムギの呼びかけに応えるようにストライクブレイザーの左目は強く輝き、左顔に青い炎のような光を纏い、限界に近いストライクブレイザーは全力を出し切らんばかりに駆動音を響き渡らせる。
「ストライクブレイザー……。まるで尽きぬ炎だな」
チクラミーノとクレールの援護を受けながらブレイザーと共に着実にストライクリバースを追い詰めるストライクブレイザー。そのブレイザーの炎のような光を間近で見ながらロウヤはその印象をポツリとこぼす。
「何だかイチヤを思い出す奴だ」
仲間達と共に果敢に進んで行くストライクブレイザーの姿にロウヤはアマミヤ・イチヤを重ねる。同時にガンバレルの有線がストライクリバースの四肢を絡め取り、ストライクリバースは全てを乗せるかのように覚醒とブレイザーの赤と青の光を稲妻のように纏ったビームサーベルを投擲し、ストライクリバースを貫き、撃破するのであった。
・・・
「これが最後ってどういうことだよ、お嬢!」
バトルを終え、ロビー広場に戻ってきたツムギ達。しかし会話の内容の一部を聞かれていたのだろう。血相変えた様子で慌ただしく走ってきたマシマがシーナを問い詰める。
「お別れなんて嫌だよ!」
「悩みがあるなら何でも相談してや! ……って言うてもリアルの悩みじゃ僕らには何も出来んかもしれんけど……」
続いてリンもタオもシーナを案じて心からの言葉を話す。とはいえ現実の問題では手を尽くせない可能性はタオも理解しているのかその言葉は尻すぼみになってしまっている。
「いえ、そのお気遣いだけでも十分です。皆様が私の近くにいてくださっているだけで、とても力になっていますから……。お陰で自分の悩みにも立ち向かっていく勇気と覚悟が出来ました。その為にもまだこのクランにいたいのです!」
だがもうシーナの中でGBBBBを去るという選択肢は少なくとも彼女の意思の中にはないのだろう。力強く、そして晴れやかに答える。
「また皆様にご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが……」
「仲間なんだから迷惑だなんて思わないよ!」
「仲間……。ありがとうございます!」
とはいえそう簡単に済む話ではないというのは他ならぬシーナ自身が理解しているのだろう。再びその表情に陰りが見えるが、すぐにリンが力強く否定する。その言葉に励まされたのだろう。シーナは自然と笑顔を見せていく。
「お嬢にはやっぱり笑顔が似合うぜ!」
「ホントにぶれないね……」
「ふふ、そうですね……」
ナンパ癖のマシマに呆れるリン。見慣れた光景だ。だからこそ温かさも感じて、ついつい笑顔が漏れてしまう。
「……シーナ。また一緒にバトルしよう」
「ええ、勿論です!」
いつもの調子に戻ったのを感じて、マシマ達も安心した様子だ。再びにぎやかになっていくクラン・ブレイカーズの中でリリンはシーナをミッションに誘い、シーナも喜んでとばかりに頷く。
「ツムギさん。私、逃げずに向き合ってみます。戦わずに負けを認めるなんてGBBBBでは考えられないですものね。挫けそうになったら、また今日のバトルのように協力してくださいね!」
「勿論。何度転んだって良いんですよ。その度に立ち上がれるのなら……。俺達はきっと誰が転んでも手を伸ばせる筈です」
ふとそのままツムギにも声をかける。GBBBBで過ごす中でシーナは大きく成長したのだろう。ツムギも頷きながら、シーナに手を差し伸べ、その姿を見たシーナはその手を取り、2人は笑顔を交わすのであった。
・・・
「負ーけーちゃっーたー!」
一方、こちらはロウヤ達のクラン。敗北を喫した為にユウキは露骨に悔しがってロウヤの腰を執拗にポカポカ叩く。たまにガンプラバトルの変化に感慨深そうにしているロウヤを老人扱いしているからだろうか?
「よーす」
そんなクランに声をかけたのはユカだった。その傍らにはシオンもおり、バトルを終えたユウキ達を労いに来たようだ。
「ユ~カ~ぁ!」
「おー、よしよし。結構いい線行ってたと思うぞー」
ユウキはすぐにユカに飛びつくように抱き着きながら悔しさを発散するユウキをポンポンと背中を撫でながらあやす。
「お疲れ様でした。ユカの言うよう良いバトルでしたわ」
「アイツらは強かった。きっと伸びると思うぞ」
ユウキとユカを横目に改めてロウヤ達を労うシオン。その言葉を受けながら改めてクラン・ブレイカーズのバトルを振り返り、ロウヤは更なる飛躍を感じて期待感を見せていた。
「そりゃそうでしょ。なんせこのアタシが期待してる子がいるんだから」
「知り合いなのかい」
「あの覚醒使いのツムギって子。あの子はきっとこのGBBBBを代表するプレイヤーになるよ。このアタシだけじゃない。ユウヒもよく世話焼いてるっぽいし、ショウさんやマイスター・アインもあの子を気にかけてるって噂だしね」
ユウキを撫でながらユカも話に参加する。だがその言葉に驚いたネクスは聞いてみれば、ユカは何気なく頷く。ユカが出した錚々たるメンバーにネクスのみならずロウヤ達全員が驚いていた。
「ガンダムブレイカーはガンプラバトルの歴史の節目に現れる……。もしかしたら、なんて思っちゃうんだ」
ガンダムグレートフロントやガンプラバトルの世界大会、それに伴うウイルス事件。その中でガンダムブレイカー達は産声を上げた。GBBBBはガンプラバトルの変化を齎す転換点だろう。ユカはガンダムルークの立像を眺めながらツムギへの大きな期待感を見せるのであった。
トライデントさんからいただきました。
キャラクター名 姫矢一輝
アバター名はネクス。格好はカラバのジャケット(Zガンダム時のアムロの格好)
茶色混じりの黒髪に、目は黒。
ロウヤたちとは古い付き合いで、6年前から変わらず、心優しい青年。
レスキュー隊へ入隊するため、勉強などで一時期ガンプラバトルから離れていたが、入隊が決まったことと、GBBBBへのとんでもねえ進化っぷりに心が再燃。
復帰勢ってとこだけ見たら、格好も相まって確かにZのアムロ。本人はカイの方が好きなのだが。
ガンプラ名 ガンキャノン・ジュネス
元となったガンプラ ガンキャノン
RIGHT LONG RANGE WEAPON ビーム・マグナム(ユニコーン)
LEFT LONG RANGE WEAPON ビーム・ガトリングガン
RIGHT CLOSE RANGE WEAPON ビーム・サーベル
LEFT CLOSE RANGE WEAPON ビーム・サーベル
HEAD ガンキャノン
BODY 陸戦型ガンダム
RIGHT ARM バスターガンダム
LEFT ARM バスターガンダム
LEGS グスタフ・カール
BACKPACK ストライクルージュ(I.W.S.P)
SHIELD シールド(ジェガン)
BUILDERS PARTS なし
カラーリングはプリセットのガンキャノンをベースに、両腕のミサイルポッド部分は黄色、バックパックのI.W.S.Pを翼の白部分を赤にしてエールストライカー風に。
復帰勢なりにそれとなくパーツを組んでみたら、わりとしっくりと纏った感じの機体。
元から高火力支援機を好んで使っていたが、この組み合わせだとビルダーパーツ無しでオプション欄が全部埋まるほどにサブ兵装が豊富で、ビーム・マグナムとガトリングと合わせた一斉射はシンプルながらに脅威。
グスタフ・カールのパーツとI.W.S.Pを使用してることから機動性も確保されていて、サーベル、あるいはI.W.S.Pに着いてる対艦刀での二刀流戦闘も熟せる。
素敵なキャラとガンプラ、ありがとうございます!
小話に水着イラストが見たい組み合わせは(6月末まで)
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ナギサ&ソフィー
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ナギサ&ユカ
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ユカ&シオン
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ソフィー&シオン