ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「それでは水星の魔女、最終話まで見て参りましたー」
動画配信サイトではナギサが今日も配信活動をしていた。見ていたのは機動戦士ガンダム 水星の魔女。同時視聴回としてちょくちょく見ていたが、ついに最終回まで視聴したようだ。
「いやぁ、すっごい面白かった! たまたま買ったエアリアルのガンプラから観始めた訳だけど全体的に見やすかったし、お辛い展開も多かったけど最後まで楽しめた。初ガンダムが水星の魔女で良かったよー!」
何気なしに興味を引かれて見始めた作品ではあったが、ガンダム初心者のナギサでも取っ付きやすい作品だったのだろう。作品を見て感じた熱を吐き出すよう饒舌にその後もあの展開がこうでとナギサの感想が出てくる。
「みんな。今日もありがとー! バイバイのバーイ」
感想だけで数十分使ってしまった。そこまで語る気もなかったが、それだけの魅力があの作品にはあったのだろう。キリが良いところでナギサは配信活動を終えると、GBBBBゴーグルを外す。
ふぅ、と一息零してベッドに倒れこむナギサ。楽しそうで始めた配信活動。それを生業としている訳ではなく趣味の範疇で始めたことだが、殊の外、反響があって充実した時間を過ごせてる。
《配信お疲れ様。トオノが水星の魔女を見れてくれて本当に嬉しいよ》
ふとメッセンジャーに着信が響く。確認してみればツムギであり、すぐに身を起こして内容を確認する。短い内容ではあったが、ツムギが配信をリアタイしてくれていたのが伝わってきた。
「ノセ……」
思わず頬が緩むのを感じながら枕に顔を突っ伏す。
──ナギサはツムギが元々気に食わなかった。
『はじめまして、イチノセ・ツムギです』
ツムギはナギサが幼い頃に引っ越してきた。イチノセ一家が近所に挨拶している中で出会ったのが初めてだった。その時はまだ何も思わなかったが、だんだんと違和感を感じ始めた。
幼い頃からツムギは周りに常にニコニコと手伝いも率先してやる子供だった。お陰で近所でも良い子と評判だったが、ナギサはそうでもなかった。
ナギサは昔から快活で良く笑う子供だった。だからこそツムギの笑顔が表面で取り繕った愛想笑いであったのを幼いながらに感じて薄っぺらに思えてしまったのだ。
それが多忙な両親に心配をかけまいというツムギなりの処世術のようなものだったのは今にして理解できるが、その当時はこの薄っぺらな子が自身の親を含めて良い子と持て囃すのがどうにも気に食わなかった。
『ねえ、ナギサちゃんと遊ぼうよ』
気に食わないからといって意地悪したりする訳でない。ナギサが気に食わないツムギに行なったのは一緒に遊ぶという行動だった。
──アンタの本当の笑顔を見てやる。
それがナギサがツムギへ接するなかで根底にあった感情であった。ナギサは薄っぺらな笑顔ではなく心からのツムギの笑顔が見たくなったのだ。
『ナギちゃんと遊ぶの楽しいね』
元々素直な子供だったのもあってツムギがナギサに心を開くのも時間がかからなかった。そうして同じ時間を過ごしているうちに……
『ふふっ』
ツムギが笑ったのだ。何気ないやり取りの中で不意に見せた笑顔。屈託のないほころんだ顔。ただそれだけなのに、その笑顔を見た瞬間、ナギサの心が温かくなった気がした。
──もっと笑ってほしい。
いつしか気に食わない相手への反抗心ではなく、純粋にツムギの笑顔が見たくなった。
──もっと“私と”笑ってほしい
ツムギの取り繕った笑顔もナギサといる時は心からの笑顔でいる事が多くなった。それが何だか嬉しくて、自分だからツムギを笑顔に出来るんだと驕ったりもした時だってあった。
だがいつからか、気付いてしまった。自分にはツムギの心の全ては満たせないんだと。元々引っ越してきて知り合いの少ない土地、多忙な両親、ナギサともいつでも一緒にいる訳ではない。ツムギの心に巣食っていた孤独感まではナギサの存在では拭えなかった。
──ナグモ・ユウヒ
最近、知り合った女性に見違えるほど美しい男性。彼の存在がツムギの世界を変えた。元々趣味が合ったのもあるがその優しい陽だまりのような人柄は自分の知らないところでどんどんツムギを孤独から救い出してくれた存在。
率直に言えば悔しかった。自分の知らないところでツムギを救っただけではない。ツムギもまたユウヒを心から信頼し慕っているのが伝わって来るのだ。
「……何で私より」
再びメッセンジャーを確認する。昔は名前で呼んでいた呼称もいつの間にか苗字で呼んでくるようになった。特になにかあった訳ではない。大体の人間が相手を苗字で呼ぶことが多いだろう。ツムギもナギサをはじめ、GBBBB以外で知り合った人物達に関しては苗字で呼んでいる。唯一、ユウヒを除いて。それだけでツムギにとって自分よりもユウヒの方が特別なんだと思わずにはいられなかった。
またツムギ自身も言っていたがGBBBBをはじめて充実している。それはクラン・ブレイカーズをはじめ多くの出会いを重ねたからだ。だからこそかつて自分だけが生み出せるんだと思っていたツムギの心からの笑顔を当たり前のように向けられる存在達へ歯痒い想いもあった。
「……なーんか今日のナギサさん、ヘラってない?」
どんどん暗い感情が沸き上がって来る。こんなのは自分らしくない。ツムギは自分のものではない。彼には、彼の交友関係があって然るべきだし、そもそもナギサとツムギは恋愛関係に発展している訳ではない。それなのに、こんな独占欲を抱いてしまうなんて重過ぎて頭が痛くなってくる。
思春期の少女の難解な心はそう簡単に解決できるものではない。ツムギには一先ずメッセンジャーで返信しつつナギサは眠りにつくのであった。
・・・
「ノセの奴、遅いなぁ」
翌日、GBBBBにはナギサとソフィーの姿があった。今日はこの2人に加えてツムギの3人でミッションへ向かう予定だったが、ツムギはまだログインすらしてない。待ちぼうけを食らっているナギサは唇を尖らせて不満そうな表情を隠さない。
そうしているとメッセンジャーが反応する。確認してみれば、相手はツムギだ。家の事情で少々遅れてしまうらしい。同様の内容がソフィーにも送られた来たのだろう。メッセンジャーを見た2人は肩を竦める。
「……しゃーない。途中参加型のミッションでも行く? それなら途中でノセが来ても合流できるっしょ」
「いいねー。じゃあ早速……」
家の事情ともなれば文句も言いづらい。ツムギの事も考えて途中参加可能なミッションを提案するソフィーに頷きながらミッション内容を確認しようとすると……。
「あれ、ヒマリちゃん……だっけ」
「──ん? あれ、もしかしてあの時の!」
ふとミッションカウンター近くで知った顔を見かける。ブレイカーズ本店で出会ったマトイ・ヒマリだ。お互いアバターはリアルでの外見をベースにしているのもあってか、すぐに気付いたようだ。
「知り合い?」
「んー……まあ、実際は名前しか知らないようなもんだけど」
唯一、面識のないソフィーがヒマリを見ながら聞いてくると、出会ったは良いがそもそもブレイカーズで出会った頃もまともな会話はしていない。
「じゃあミッションに一緒に行ってお互いを知るってのはどうかな!」
まさかの提案がヒマリからなされる。どうやら彼女の兄2人の姿はなく、アルティメイトフォースゼロのメンバーもいない事から彼女1人しかいないようだ。
「良いんじゃない? 当たり障りのない会話するより、よっぽど相手の事が分かりやすいよ」
ポケットに手を突っ込みながらヒマリの提案に頷くソフィー。ナギサとしてもソフィーと同意見の為、早速3人でミッションへ向かうのであった。
書いてて危うくナギサがヤンデレ化するところだった
小話に水着イラストが見たい組み合わせは(6月末まで)
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ナギサ&ソフィー
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ナギサ&ユカ
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ユカ&シオン
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ソフィー&シオン