ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
月面基地を舞台にビグ・ザムとの戦闘が始まった。胴体を一周するように搭載されたメガ粒子砲の迎撃を避けながら戦闘していくストライクブレイザーとフレール。
Iフィールド搭載機のビグ・ザムではあるが、ビーム主体の装備であるフレールは兎も角、実弾装備が主体のガンバレルストライカーを装備しているストライクブレイザーにとってはいくらでも攻撃の選択肢はある為、手を休める事なく着実にビグ・ザムの耐久値を削っていく。
(負けてらんない……!)
ビグ・ザムの耐久値をどんどん削れているのはストライクブレイザーのお陰だろう。だからこそもどかしさを感じたリンは積極的に攻撃を加えるが中々思う結果にはならない。
ツムギもリンの態度に違和感を感じているのでちょくちょくフレールを気にかけているのが動きで分かる。だがそれで攻撃の手が緩まる事はない。ビグ・ザムに搭載されたメガ粒子砲を一つ一つ着実に破壊していく。
「……くっ!」
それがリンの焦りを助長させる。迂闊にビグ・ザムに接近し過ぎたのだろう。大質量の蹴りを何とか避けるも、目の前の月面の地をビグ・ザムの脚部が力強く踏みしめクレーターを作り、デブリと衝撃波がフレールを襲う。
「──あっ」
それが隙となってしまった。ビグ・ザムは大きく足を上げ、一気にフレールを踏み潰そうとする。モニターをどんどん影が覆っていき、最後の時が訪れようとしたその瞬間……。
「──!」
自身を砲弾にしたように突っ込んできたストライクブレイザーがビグ・ザムの足裏を両腕に装備したビームサーベルで攻撃したのだ。バランスを崩して轟音と共に倒れるビグ・ザム。すぐさまガンバレルとガンランチャーによって追撃しながら、モノアイ近くにビームサーベルを突き下ろし、撃破する。
「……べ、別に助けてとか言ってないし」
「俺が勝手にやった事だよ」
爆発するビグ・ザムから距離を取りつつストライクブレイザーはゆっくりとフレールに向き直る。その姿にリンは素直になれない性分からか、憎まれ口を叩く。とはいえ、以前も似たような状況に陥った際、似たような事を言っていたのでツムギは苦笑してしまっている。
「でも……ありがと」
だが明確にあの頃と違うのは感謝の言葉を口にしたことだ。ストライクブレイザーから視線を逸らしながら照れくさそうに礼を言うリン。以前は助けられても素直になれなかったリンだがGBBBBで過ごしているうちにツムギに心を開けているのか、それとも彼女自身の内面が成長したのか、どちらにせよ良い変化だろう。
(……また助けられた。アタシが倒せなかった敵をあんなにあっさり倒して……。アイツ……やっぱり強い……。今のアタシよりもずっと……)
ミッションクリアでマイハンガーへ戻ってきた。フレールのコックピット内では先程のミッションを振り返りながら、どこか沈んだ様子を見せるリン。
「……っ」
やはりツムギとの実力の差を気にしているのだろう。良いところを見せると張り切ったわりには結局のところ窮地に陥ったところをまた助けられた。そんな不甲斐ない自分にも思うところがあるのだろう。リンは複雑そうに顔を歪めるのであった。
・・・
「今日は……その、助けてくれてありがと」
「そんなに気にしないでいいよ。俺達は仲間でしょ」
ロビー広場に戻ってきたツムギ達。改めて礼を言うリン。あのリンが二回も感謝する事に内心では驚きつつも、リンの変化を感じられてツムギはにこやかに笑いかける。
「じゃあ、そろそろ俺はログアウトするから」
「うん、またね。いつか絶対リベンジするから!」
ミッション内容も文句なしだった為、ツムギはログアウトしようとする。リンも助けられてばかりなのは性分ではないのだろう。何れ活躍して見せると戦意を燃やしているとその姿に微笑ましそうに笑いながらツムギはログアウトする。
「──……リン」
「ひゃっ!?」
ツムギがログアウトし、残されたリンは1人、項垂れる。その頭には様々な事が過っているのだろう。どんどん思考の渦の中に陥っていき、その表情も暗くなっていくが、ふと声をかけられる。素っ頓狂な声を上げながら、そちらを見やれば、そこにはリリンの姿があった。
「ツムギとミッションに行ってきたの?」
「うん……」
「リン、疲れてるみたい……。無理してる?」
ログアウトしたツムギも見かけていたのだろう。ツムギの名前が出されたのもあってまた暗い顔を見せるリン。その様子を心配したリリンは彼女なりにリンを気遣うが……。
「……そんなこと言ってられないよ。アイツさ。アタシと同じくらいにGBBBBを始めたのに、今じゃアタシよりずっと強いんだ。負けてられないよね……。アタシも、もっと強くならないと!」
なまじ同じ時期にGBBBBを始めたのもあって、意識してしまう部分も多いのだろう。リンはツムギに差をつけられたくないと強い決意を見せる。
「……どうして? 自分に足りないものを補ってくれるのが仲間なんじゃないの?」
「まあ、そうだけど……」
しかしどうにもリリンにはリンの心情が理解しかねるらしい。クラン戦もあって助け合う事の大切さを学んだリリンからしてみれば疑問に思ってしまうのだろう。実際、言葉としてリリンの言うことは正論ではある為、先程までの決意とは打って変わって、リンは眉尻を下げてしまうが……。
「アタシは、ツムギの後ろじゃなくて隣に立っていたいの」
それはリンの心からの言葉だった。後ろではなく隣へ……。ツムギはガンプラバトルにおいて常に真っ直ぐ、前へ進み続けようとしている。だからこそ気を抜けば置いて行かれてしまう。
「……それって何が違うの?」
「えーっと……ほら、後ろにいるとアイツがアタシを守ってる感じがするじゃん? あっ、別に守られるのが嫌って訳じゃなくて。寧ろ嬉しい……?」
とはいえリリンからすると、どうにもピンと来ないようだ。律儀に説明するリンだが、言葉にしている内に頬を紅潮させ、満更でもないような様子を見せる。
「あ、でも、嬉しいってのもちょっと違うかも? アイツに負けたくないっていうか、認めてもらいたいっていうか……。なんかモヤモヤする……みたいな……。うーん……うまく言えないけどそんな感じ!」
「……そうなの?」
「うん! アタシが言うんだから、そう!」
言語化しようとしてもリンの複雑な感情は自分でも中々難しいのだろう。最後は強引に纏めたような気もするが、リンは時間を確認している。
「それじゃ、アタシもログアウトするから。またね、リリン」
時間としても良い頃合いなのか、別れを告げるとリンもログアウトしてしまう。
「……やっぱり良く分からない」
ロビー広場に残ったリリンは1人、首を傾げてしまう。リンの複雑な乙女心という感情はまだ幼子のように知らないことが多いリリンには理解が難しい話だったようだ。
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