ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「えーっと、例のアイテムってボスを倒せばドロップするんだっけ」
「うん。レコがそう言ってた」
バトルトーナメントへの出場権を巡るミッションに出撃したツムギ達。改めてリンとリリンは出場権となるアイテムの獲得条件を確認する。
「よーし、誰かに取られちゃう前に兎に角、ボスのところまで急がないと!」
「じゃあ強行突破?」
「そういうこと! いっくよー!」
どの道、最深部のボスを倒すというミッションは普段と変わらない。ならばやるべき事もだ。リンとリリンの会話に頷きながらストライクブレイザー達は迫るNPC機群を蹴散らしていくのであった。
・・・
一方、ユカ、ウィル、シオンの編成でミッションにあたっているベクルックス。3人とも実力者なだけあってミッション自体はスムーズに進んでいる。
(……イッチ)
問題はミッション内容よりも出場権を獲得できるかどうかだ。ウィルが寝る間も惜しんでミッションにあたっていたのはアマミヤ・イチヤが目的だ。だが、それはユカとて同じこと。バトルトーナメントに出れば今まで出会えなかったアマミヤ・イチヤへの手掛かりになるようなそんな勘が働いているのだ。
「僕はこんなところで足踏みをしていられないんだ!」
ボスを倒すことによって確立で得られる出場権。逆を言えば最低限、ボスも倒せなければ参加する資格すらないという事だろう。ある意味、篩にかけられている訳だが、その点で言えば幾度となくミッションを周回しているウィルは心配いらないだろう。
ウィルのガンプラは彼がかつて使用していた刀を主武装にした近接特化機体であるガンダムセレネスを今のウィルに合わせてアップデートしたガンダムセレネスノーヴァという名のガンプラだ。実体剣であるシラヌイ/ウンリュウを主武装に脚部には近接格闘用のビームクロー。そしてバックパックにはプラウドディフェンダーを装備している。
「彼の背中を追うなんて僕らしくないんでね!」
かつての愛機であるセレネスに武装を増加し、アップグレードしたのはひとえにウィルにとって越えたい人物がいるから。かつて止まって見える程の存在がいつしかどんどん前へ進んで行き、気を抜けばその後ろ姿さえ見えなくなるような存在へ成長した。
ウィルにとって初めて出来た好敵手。アマミヤ・イチヤにだけは絶対に負けたくない。その一心で彼は強くなり続けたのだ。
その想いを乗せるように放たれた一撃はボスであるNPC機を打ち倒す。傍らにバルバトスルプスノームとトールギスリンクが降り立つなか、爆発したボスのいた場所から眩い光が溢れ出る。
「……僕がここまでしたんだ。失望させてくれるなよ、イチヤ」
バトルトーナメントの出場権となるキューブだ。代表してセレネスノーヴァが獲得する。バトルトーナメントでどんな相手にぶつかろうと負ける気はしない。そして最後に待つのはかつての新星だろう。安堵したようにため息を漏らしつつ、ベクルックスはバトルトーナメントへの出場を確定させるのであった。
・・・
「──残り一枠!?」
一方、クラン・ブレイカーズもボス機体である董卓プロヴィデンスガンダムと戦闘の真っ只中だった。タオから突然送られてきたメッセージを確認してみれば、バトルトーナメントへの出場枠は遂に後一枠になってしまったようだ。
「他のクラン、必死に周回し過ぎ! チートしてるんじゃないの!?」
「チートは兎も角、それだけ皆、出場したいってことだね」
MGサイズを優に超える程のサイズ感を持つ董卓プロヴィデンスを攻撃しつつ、リンはたちまち文句を言い始め、ツムギは宥めるように答える。今日開放されたミッションが、もう一枠に出場枠が限られる程になっているのだ。それこそウィルのように何度も周回しているクランはいるだろう。
「もしかして周回する前に終わりそう?」
「……ううん。チャンスはまだある! アタシ達は勝利の女神なんでしょ? だったら絶対に一回でドロップさせてみせる! いい、リリン?」」
ツムギ達もこの一回で獲得できるとは思ってはおらず、周回前提ではあった。どうにもならないのかと思ったリリンだが、リンはそれをきっぱりと否定した。現実的に考えて、出場枠を勝ち取ることは絶望的だがリンは決して諦めていなかったのだ。
「……そう言えばずっと気になってたんだけど“勝利の女神”ってなに?」
「今更!? というか真面目に聞かれても困るんだけど!」
董卓プロヴィデンスとの激しい戦闘とは裏腹にリリンの天然が炸裂する。リンも勢いで言っただけで改めて聞かれても困ってしまうのは無理もない。
「とりあえず……アタシとリリンの力で何とかなるってこと!」
フレールのヴェスパーが董卓プロヴィデンスを大きくよろめかせる。流石は勝利の女神と言うべきか。戦闘の流れを確実に掴んでいく。
「私達の、力……」
続けてクレールのヴェスパーも董卓プロヴィデンスに直撃する。ミッションの様子を見ているタオ達も手に汗握るなか、勝利まで後少しだろう。
《……》
「分かってるよ。ブレイザーもいることは」
話を聞いていたのだろうか。不意にブレイザーの気配を感じる。それはまるで自分の事を忘れるなと言わんばかりだった。思わずクスリと笑ってしまうが、次の瞬間には鋭く目を細めてストライクブレイザーは覚醒の赤き光とその左顔にブレイザーの蒼い光を纏う。
「だからこそ必ず掴み取るッ!」
ビームサーベルを引き抜いたストライクブレイザーはフレールとクレールのヴェスパーによる波状攻撃の援護を受けながら一気に董卓プロヴィデンスへ突撃する。全ての力を乗せるかのように放たれた一撃は遂に董卓プロヴィデンスを撃破した。
「やった!」
董卓プロヴィデンスを撃破したことで一先ず、リンは喜ぶ。しかし問題はここからだろう。
「お願いお願いお願いお願いお願いお願い……!」
それはリン自身も分かっているようだ。両手を強く握って懸命に祈る。しかし董卓プロヴィデンスを撃破し、爆発の煙が晴れる頃には何もなかった。
「そんな……。ダメなの……?」
やはりたった一度のミッションで出場権が獲得出来なかったか。たちまち落胆した雰囲気が流れるなか、それを振り払うようにリリンのクレールは一歩踏み出す。
「──お願い!」
それは普段のリリンからは想像のつかない程の力強い一言だった。それ程までにリリンは強く願っているのだろう。するとそんなリリンの願いに呼応するように光が集まり始め、眩く辺りを照らす。
「うわっ!?」
「何の光ぃ!?」
思わずリンとツムギが目を逸らすなか、やがて光は収束し、キューブの形を形成した。それは紛れもなくバトルトーナメントへの出場権であるアイテムであった。
「凄い……。凄いよ……! やっぱりアタシ達って勝利の女神だったんだよ!」
まさに奇跡と言っても良いだろう。たった一度のミッションで出場権を勝ち取る事が出来たことにリンは飛び跳ねんばかりに喜びを露にする。
《はーい、皆さーん! GBBBBのアイドル、レコでーす! ここで臨時ニュースをお伝えしまーす!》
するとここでツムギ達を含め、GBBBB全体にレコのGBBBBニュースが配信され始める。
《用意されてた参加枠ですが……たった今、最後の一枠が決まりましたー! 何とこのクラン、一回のチャレンジでアイテムを獲得したんですね! 凄いです、これは奇跡! 見事、チャンスを掴めた皆さん、おめでとうございまーす!》
それはバトルトーナメントへの一般参加枠を締め切る為の配信だった。とはいえ、たった一回のミッションでその枠を埋めるとは思わなかったようでレコも驚きながらも祝福してくれる。
「やったね、リリン! リリンのお陰だよー!」
「ううん。みんなのお陰だから……」
「えへへ、そうだね。みんなの力だね!」
あの瞬間、ツムギもリンも半ば諦めていた。しかしリリンだけは違った。それがまるで結果となったように出場権を獲得できたことにリンは心底嬉しそうにリリンを褒め、リリンも満更でもなさそうな様子だ。
「うん……!」
リリンにとって参加枠を勝ち取れたのは自分だけの力などではない。一歩踏み出してボスまで挑んだみんなの力だろう。リンの言葉に心からの笑みを浮かべながら、しっかりと頷くのであった……。