ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「まさか一発ゲットでバトルトーナメントに出場出来るなんて……。これも全部、勝利の女神パワーのお陰やで!」
ミッションを終えてタオ達と合流したツムギ達。タオ達もまさか一度目のミッションで参加枠を勝ち取る事が出来るとは思っていなかったのもあり、手放しに喜んでいる。
「……うん。これからもがんばる」
「ああ。頼りにしてるぜ! 因みに俺と一緒に出撃したら、勝利の女神パワーは更に上がって──」
どこまでも天然なリリンにさり気なくナンパを始めるマシマ。見慣れた光景だ。
「マシマさん、嘘を教えるのはいけませんよ」
「ハハハ……。まあ、それは冗談として……」
鋭い刃の如きツッコミを入れるシーナ。マシマも思わず乾いた笑みを見せるながらも話をバトルトーナメントに移す。
「それにしても、思ったより早く枠が埋まったよな。それだけ参加チームが多かったってことか?」
「理由は色々あるやろうけど、バトルトーナメントに出たらマイスターと戦えるかもしれへんしね」
今日開放されたミッションで一日も経たず、参加枠が埋まってしまった。これは流石に予想外だったが、理由があるとすればタオの言うようにマイスターと戦える可能性があるのも理由の一つだろう。
「マイスターさん以外にも有名な方々が参加されるでしょうし、参加意欲が増すのでしょうね」
「あっ……今思い出したが、ニシワキエンジニアリングもエントリーするとか言ってたな」
ガンプラバトルにおける著名人とバトルが出来るともなれば、自分のガンプラに誇りを持つ者ほど参加したくなるだろう。シーナの言葉に続くようにマシマがニシワキエンジニアリングに触れる。かつての古巣である事に違いないが、紆余曲折あり、今は親交があるようだ。
「せやね。プロチームも出ると思うし、後は有名な動画配信者とかも参加するやろうしな」
「動画配信者……?」
「GBBBBでのプレイ動画とかを配信してる人らや。リリンは観たことない?」
バトルトーナメントに出場するのは絶対王者であるマイスターやニシワキエンジニアリングのようなプロチームだけではない。それこそ話題を集める動画配信者達も参加する事だろう。とはいえその辺に関しては疎いのか、リリンは首を傾げてしまい、タオからの説明を受ける。
「それこそツムギさんの知り合いのナギサさんやソフィーさんは動画配信者ですよね。少し前にチャンネル登録者数1万人を越えていましたが、今はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでうなぎ登りにチャンネル登録者が増えておりましたし、まさに期待のホープですね」
「2人ともやりたい事をただやってるって感じですけどね。ガンプラ組んだりバトルしたりアニメ見たり……。まあ、あの2人の絶妙なやり取りがウケてるんでしょうね」
動画配信者でいえば、それこそシーナも一リスナーとして視聴しているナギサとソフィーのチャンネルがある。活発なナギサとダウナーなソフィーの絶妙なやり取りが反響を呼び、たまに出演するユカやシオン、アオバにもファンが付き、もっと出番を増やしてほしいなどというコメントもあるほどだ。
「そう言えば、ベクルックスもバトルトーナメントに出るらしいよ」
「丁度良いじゃない! もしもバトルトーナメントでぶつかれば、リベンジだって出来るしね!」
ふと先程、メッセンジャーでナギサからベクルックスのバトルトーナメント参加を伝えられたことを思い出したツムギ。クラン・ブレイカーズを結成した初期の苦い思い出があるが、今はあの頃よりも段違いに強くなった自負がある。リンは戦意を燃やしていた。
「そりゃあ大歓迎だな! 画面越しじゃなくて生のナギサちゃん達に会えるってことだろ?」
「犯罪ですよ」
「何もしてないだろ!?」
マシマもツムギの知り合いという話は聞いていたからか、ナギサ達の動画のチェックはしていたのだろう。鼻の下を長くするマシマだがリアルでも親交があるだけに珍しくツムギが鋭く言い放ち、慌てて弁明する。
「兎に角、色んな有名人にも会えるチャンスって訳やな!」
「なんかますますバトルトーナメントが楽しみになってきちゃった! 頑張ろ、みんな!」
GBBBB史上、規模の大きいイベントだけあって色んな出会いが待っている事だろう。期待感に胸を膨らませるリンはクラン・ブレイカーズのメンバー全員に呼びかけると、「おー!」と全員がバトルトーナメントへの意欲を拳に乗せて高らかに突き上げるのであった。
「──こっちも後少しでドロップする気がしてたんだけどなぁ」
そんなクラン・ブレイカーズを遠巻きに見ながら、GBBBBのプレイヤーの1人がボヤく。バトルトーナメントへの参加を目指していたようだが運悪くその機会を逃してしまったようだ。
「良いよなぁ、アイツら。一発で落ちるなんて強運にも程があるぜ」
GBBBB臨時ニュースの際にクラン・ブレイカーズの様子が映し出されていたのもあって、奇跡のような強運に嫉妬混じりの羨ましそうな視線を向けられる。とはいえ、ここでいつまでもボヤいても仕方なく、そんな会話はGBBBBの賑わいの中に消えていく。
「ほぅ、あの坊やのクランが……」
そんな会話を聞きながらクラン・ブレイカーズを見ていたのはカオスだった。今では話題に上がることの多いクラン・ブレイカーズ。かつてバトルをした時に比べて、大きく飛躍したものだ。
「……あのお嬢さんといい、あの青い炎のような光といい、これは少し調べる必要がありそうだ」
何かよからぬ事を企んでいるのか、妖しく笑うカオスはそのままクラン・ブレイカーズに気付かれることなく立ち去ろうとすると……。
「ならば細やかながらお力添えさせていただこう」
カオスを呼び止めるように声をかけたのはゼノギアであった。お互い知っている仲なのか、カオスは対して驚きもせずにゼノギアに向き直る。
「今日に至るまで協力してもらえているのはありがたいが君の目的は何だね」
「なに。私はただの歴史の立会人。アナタのする事に興味があるだけですよ」
表面上、和やかに話しているように見えるが、実際はお互いの腹を探り合うように当人達の間に僅かな緊張感が流れる。しかし2人とも意に介した様子はなく、流暢に言葉を繋ぐ。
「それに……私にも欲しいものもありましてね。その為にはアナタの力をお借りしたいのですよ」
「欲しいもの?」
ゼノギアが欲する物とは何なのか。協力関係にあるゼノギアとカオスだが、カオスは協力者と言ってもゼノギアについては何も知らなかった。
「太陽の子……。今はそう言っておきましょう」
ふと近くのモニターにアルティメイトフォースゼロのバトルの様子が映し出されている。そこにはマイスターだけではなく、タツヤのソラーレの姿もあり、マイスターに匹敵するレベルの戦闘のセンスを見せつけている。
そんな紅蓮の炎のような力強さを持つソラーレを見つめながら、口角を吊り上げて笑うゼノギア。ソラーレに……いや、タツヤに何か執着でもあるのだろうか?
「まあ、今は君のような才のある存在が同じ道を進んでいるのはありがたいことだ。歓迎しよう」
ゼノギアの真意は依然として分からないままだが、少なくともその能力は買っているようだ。カオスはゼノギアを引き連れて、GBBBBのロビー広場から立ち去るのであった。