ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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第5章 混沌蠢くバトルトーナメント
自分だけのガンプラ


 

「バトルトーナメントかぁ……。何か凄いところまで来ちゃったなぁ」

 

 バトルトーナメントの開催が迫るなか、配信をしていたナギサはバトルトーナメントについて触れる。

 

「応援する? ありがと~。正直、私ってクランの中じゃ一番よわよわだし、足引っ張らないように頑張りたいな」

 

 流れるコメントでもリスナーはナギサを応援してくれている。その一つ一つを目で追いながら励まされたような気分にはなるも、現実的に自分がベクルックスで最弱である自覚のあるナギサはそれでもより良い結果が残せるよう締め括ると配信を終える。

 

 配信を終えて、一息つく。バトルトーナメントに参加できる事になったのは喜ばしいが、果たして自分は何が出来るのだろうか。勿論、バトルに出場するとなれば全力を尽くすが、そもそもその機会はあるのだろうか。

 

「でも、どうせならやってみたいよね」

 

 足踏みするのは自分らしくない。どうせならバトルトーナメントも自分もベクルックスの1人として応援ではなく、共に戦いたいのだ。

 

「それに……置いてかれたくないしね」

 

 それだけではない。世界は常に変化し続けている。それは人間関係においてもそうだ。気が付けば自分の知らないうちにツムギとソフィーは親しくなっていた。それこそ福岡旅行で2人の距離はグッとより近づいただろう。それはツムギが日本に初めて訪れたソフィーを気にかけていたのもあるが、ソフィーも元々ツムギを悪く思っていなかったのもあるだろう。自分が何もしなければ周囲の人間にも置いて行かれてしまう気がするのだ。

 

 ・・・

 

「SDって組みやすいねー」

 

 後日、放課後のブレイカーズ3号店の作業ブースにはツムギとナギサの姿があった。店頭で購入したガンプラを作成しているのだろう。ナギサがパチパチと小気味良くパーツをはめ込んでいるのはデフォルメが特徴的なSDEX ガンダムエアリアルだ。色分けこそシールに頼ってしまう部分はあるが価格も安価でかつ作りやすさはガンプラの中でもダントツと言えるだろう。

 

「トオノが作ってるのはSDEXだけど、MGSDっていうブランドもあるよ」

「MG? ちょっとサイズが大きい奴だよね。パーツもHG以上あって大変そうだけど、その分、ギミックとかも凄いんでしょ?」

「まあね。MGSDはそんなMGの技術をSDに落とし込んだガンプラなんだ。可動域やギミックがかなり凝ってるんだよ。フリーダムのビームサーベルを収めるのにロック機能を採用してくれた時は本当に嬉しかったなぁ」

 

 SDEXを組み終わって満足げに眺めるナギサ。スタイリッシュなデザインで肉抜きの少ない良いガンプラだ。そんなナギサを横目にEG νガンダムとフィンファンネルのオプションパーツセットを組んでいたツムギが雑談する。それはそうとフリーダム系ガンプラのビームサーベルのポロリ問題は毎回悩まされている気がする。

 

「ちなみにエアリアルのMGSDもあるよ」

「へぇー! でも、高そうだよね」

「4000円以上だったかな」

「ぬぁ……フルメカニクスと同じ位の値段かなぁ」

 

 ナギサが初めて触れたガンプラがガンダムエアリアルなだけあって思い入れがあるのだろう。現にSDEXを組んでいるし、過去には配信でフルメカニクスのガンプラも組んでいる。所謂、推し機体もラインナップに入っていると言われれば興味が出てきたのだろう。とはいえ値段を聞いて、何とも言えない表情を見せる。

 

「ふぅ……俺も出来た」

「νガンダムって奴だよね。この間、福岡行った時にあった実物大立像の」

「あれとはちょっと違うけどね。ただ生で見たから無性に作りたくなったんだ」

 

 ツムギの方も組みやすいガンプラなだけあって漸く組み終えたようだ。ガンダムシリーズを最近、見始めたナギサはまだνガンダムが登場する作品は観ていないが、それでも福岡旅行での立像の印象が強いのだろう。

 

「でも、このガンダムってアシンメトリーな印象があったけど、こんな感じなの?」

 

 実物大νガンダム立像だけではなく、商業施設内のガンプラ施設で見たνガンダムの小さな立像はフィンファンネルを片側だけに装備していた気がするが、ツムギが作成したνガンダムは両側に装備している。自分が知らないだけでこんな感じなのだろうかとナギサは首を傾げる。

 

「トオノが言うようにνガンダムは本来、片側だけにフィンファンネルを装備しているアシンメトリーなデザインだよ。ただ今回はオプションパーツセットをふたつ組み込んで計12基のダブルフィンファンネル仕様にしたんだ」

「贅沢な使い方したね。お金大丈夫?」

「俺の財布の中身が吸われていきます……」

 

 まるで翼を広げたようにフィンファンネルを装備したその姿は圧巻だ。とはいえ、EGに加えてオプションパーツだけでもHG νガンダムの値段を越えると言うのにそれをもう一つ、オプションパーツを購入したのだ。先程まで満足げだったツムギも途端に乾いた笑みを見せる。

 

「でも、自分がこうしたいっていうガンプラが組めたんだ。悔いはないよ。お金もないけど」

「自分が納得できるお金の使い方なら良いんじゃない? ナギサさんは否定しないよ」

 

 現実から目を背け、自分に言い聞かせるように話すツムギ。趣味に金を積むのは自由だろう。勿論、常識の範囲内でとは思うが。

 

「そう言えばストライクブレイザーもそんな感じで作ったの?」

「そうだね。元々、ユウヒさんが昔、誕生日プレゼントでくれたEGのストライクとガンバレルのオプションパーツがくれたのきっかけだっけ」

 

 自分がしたいように作ったといえば、ツムギのストライクブレイザーもそうなのだろうか。何気なく聞いてみれば、ツムギは過去に誕生日プレゼントでユウヒからもらったガンプラについて話していると……。

 

「──懐かしいね」

 

 ふと声をかけられた。見てみれば、仕事がひと段落したのだろう。ユウヒがやってきて、そのまま近くに腰かける。

 

「あの頃はまだツムギ君も小さかったからね。作りやすいEGと戦闘機としても楽しめるガンバレルのオプションパーツをプレゼントしたんだよ」

「俺も当時は親の空いた時間に手伝ってもらいながらガンプラを組んでた時期だからね。ユウヒさんからプレゼントしてもらったガンバレルストライクが人生で自分だけの力で作ったガンプラなんだよ」

 

 ユウヒと出会い、交流を深めていくうちに誕生日を祝してプレゼントをもらった。それはユウヒなりにまだ小学生のツムギの事を考えて、作りやすさとプレイバリューを考えてプレゼントしたものだった。お陰でツムギも自力で組んだガンプラとして印象深いようだ。

 

「それでガンプラバトルをしてはいたけど、GBBBBに飛び込むって言うのでユウヒさんに相談しながら作ったのがストライクブレイザーなんだ」

「相談って言っても大した事はしてないけどね。ツムギ君のバトルスタイルを考えてのパーツ構成と制作技術でちょっとアドバイスしただけだよ」

「お陰で自分だけのガンプラが作れました。今でも感謝してます!」

 

 ストライクブレイザーはGBBBBの世界に入るにあたって制作したガンプラのようだ。その過程でユウヒを頼ったようだが、ユウヒ当人としてはそこまで大したことをしたというつもりはないようでその後のツムギの言葉に大袈裟だなぁと苦笑している。

 

「自分だけのガンプラかぁ……」

 

 ストライクブレイザーの制作秘話を聞き、ナギサは考えるように天井を見上げる。勿論、カスタマイズせずとも自分の手で作ったガンプラは世界で一つだけの自分だけのガンプラと言えるだろう。

 

「あの、さ……。実は私もカスタマイズを考えてて、2人にもアドバイスもらいたいなーって」

 

 かつてはエアリアルをカスタマイズすると考えてもあれで纏っていて想像でつかなかった。しかしGBBBBに入り、配信やミッションで多くの経験をしたことでナギサの中でイマジネーションが働いたのだろう。だがそれを形にするにはまだ不安がある。だからこそ自分よりも技術のあるツムギとユウヒに頼ると、2人は顔を見合わせるも、すぐに二つ返事のように頷いてくれるのであった……。

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