ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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伝説のチーム

 

《恐れるな。自分の中の可能性を信じて、力を尽くせば道は自ずと開ける……》

 

 そうすれば目の前の困難を打ち破れるだろう。ナギサがツムギとユウヒに頼んだ数日後。GBBBBニュースでは今日もレコがミスター・ガンプラと共に元気よく配信をしていた。

 

《遂にこの日がやって来たね! 楽しみで夜も七時間くらいしか眠れなかったよ!》

《わっ、それは大変です……ってナンでやねん! 理想の睡眠時間を確保してるじゃないですか!》

 

 いよいよバトルトーナメント開催の日がやって来た。いつものミスター・ガンプラとレコによる軽妙なトークがGBBBBを盛り上げていく。

 

《気を取り直して……。ミスター、今大会の見どころを教えてください!》

《そうだね。見どころというか、私が注目しているのは……例の奇跡のチームだね!》

《奇跡のチーム……って、あぁっ! たった一度のチャレンジでアイテムを獲得したあのチームの事ですか!》

 

 今回のバトルトーナメント。見どころや注目は沢山あるであろうが、ミスター・ガンプラが挙げたのは奇跡のチーム。それはレコが言うように一度のチャレンジでバトルトーナメントへの参加権を手に入れたクラン・ブレイカーズであった。

 

《前のクラン戦の時にも紹介しましたし、何かと縁がありますね!》

《そうだね! あのチームは何かを持っている……。GBBBBに新しい風を吹かせる何かを!》

《ミスターがそこまでおっしゃるとは……。奇跡のチームの活躍、今から楽しみですね! 勿論、他の参加チームの方々もGBBBBmの頂きを目指して、仲間と頑張ってください!》

 

 クラン戦でもミスター・ガンプラはブレイザーの力と覚醒の力を使用するツムギとクラン・ブレイカーズに注目していた。バトルトーナメントへ出場するとなれば必然的に注目するだろう。クラン・ブレイカーズへの期待感を膨らませながらGBBBBニュースを終えるのであった。

 

 ・・・

 

「奇跡のチームだって! 今度こそアタシ達全員が注目されてるよ!」

「そ、それは良かった……。でも、ほ、ホンマにバトルトーナメントが始まるんやね……。緊張してきた」

 

 バトルトーナメントの開催日もあって、先程のGBBBBニュースをクラン・ブレイカーズ全員がロビー広場で見ていた。ツムギだけではなく、チーム全体が注目されていることにリンが手放しに喜んでいると、その隣でタオは今にも吐き出してしまいそうなほど、緊張した面持ちを見せていた。

 

「出てみたいって言ってた時の勢いはどこに行ったの? ってタオを見ていたら、アタシもちょっと緊張してきたかも……」

 

 バトルトーナメントの参加自体はあんなに乗り気だったタオが今では緊張してガチガチになってしまっている。そんなタオを呆れ交じりに見ていたリンだが、余計に意識してしまったのか、段々と表情が強張っていく。

 

「……最初は誰が出る?」

「リリンは全然、緊張していないね……」

 

 だが、何であろうと特に緊張という概念がないのか、リリンはいつもの調子で今回のバトルの出場メンバーについて尋ねる。それあまりの普段との変わらなさにリンは苦笑してしまっている。

 

「冷静でいてくれるのは心強いやん。実際、出るメンバーは大事やもんな。折角、出場できたんやから、ここは一先ず手堅いメンバーで……」

「折角だ。ツムギ、リンちゃん、タオ……。最初に集まった3人で出りゃ良いじゃねえか」

 

 リリンの様子にタオもいくらか緊張が解けてきたのだろう。大事なバトルトーナメント。その一戦目の出場メンバーを選出しようとすると、マシマがクラン・ブレイカーズ結成のきっかけとなった初期メンバーを挙げる。

 

「お前らのありったけをぶつけてこいよ! 負けたら負けたでそん時だ!」

「そうですね。チームの礎の3人が出るべきです。後悔のないよう戦ってきてください」

「……応援してる」

 

 こういう時のマシマは兄貴分として非常に頼もしく背中を押してくれる。マシマの意見に同意見で異論もないのか、シーナとリリンもツムギ達を応援してくれた。

 

「ありがとう……。いつもと変わらず、全力でいきます!」

 

 心強い仲間達の応援を受けて胸が熱くなるのを感じながら、ツムギは同じ想いでいるリンとタオを見やり、力強くバトルトーナメントへの意気込みを見せる。

 

「その意気だよ、ツムギ君」

 

 そんなツムギに声をかけてくる者がいた。聞き馴染みのある柔らかな声に誘われてみれば、そこにはユウヒとマトイ3兄妹の姿があった。

 

「ユウヒさん! それにタツヤさん達も……どうして?」

「折角のツムギ君の晴れ舞台だもの。生で見ようと思ってね」

 

 多忙なユウヒなだけではなく、タツヤ達も一緒ともなればどうしたのかと聞いてみれば、どうやらユウヒはバトルトーナメントに出場するツムギ達を応援しようとログインしてきてくれたようだ。

 

「俺達はそれだけじゃないんだけど」

「ああ。今回のツムギ達の対戦相手が気になって来てみたんだ」

 

 しかしマトイ3兄妹がログインしてきたのは応援だけではないらしい。アヤトの言葉に頷きながらタツヤは今回のツムギ達の対戦相手について触れる。そう言えば、まだ対戦相手の情報を碌に調べていなかったなとツムギ達は対戦相手についての情報を調べようとすると……。

 

「──あの、すみません。今、ちょっとだけ時間良いですか? お聞きしたいことがあって……」

 

 突然、声をかけられた。今度は誰かと思って見てみればピンク髪の制服を着た可愛らしい少女の姿があった。

 

「あぁっ!?」

「どうしたの、ヒマリちゃん。知り合い? 可愛らしい人だけど」

 

 ピンク髪の少女を見た瞬間、目を丸くして驚いているヒマリ。ヒマリだけではない。タツヤもアヤトも心なしか驚いているように見える。その反応にツムギが何気なく聞いてみる。

 

「そ、そう言う事は気軽に言っちゃダメだって!」

「……ちょっとアンタ。マシマみたいになってるよ」

 

 しかしツムギからすれば何気なく放った言葉だったが、少女は慌てた様子で注意する。その言葉に続くようにリンから低い声と共にやけに圧をかけられてしまった。

 

「何言ってんだ、ツムギ。そのヒマリちゃんも可愛らしい子じゃないか。なぁ、ヒマリちゃん」

「「あん?」」

「いや、何でもねぇ……」

 

 マシマみたいだと言われたその当のマシマはすぐにヒマリに声をかけに行く。しかし可愛い妹が一見すれば軽い男に声をかけられようとしている為、マシマとヒマリの間に立ったタツヤとアヤトが鋭い眼光を走らせ、分の悪さを感じたマシマはおずおずと引き下がる。

 

(ツムギって、あぁいう子が好みなのかな……?)

 

 以前もソフィーとの会話中にマシマの影響を考えてしまう場面があった。やはりマシマに影響されているのだろうかとツムギが頭を悩ませている横でリンは複雑そうな表情で少女を見やる。ツムギの交友関係のある少女でいえば、ナギサが出てくるが、彼女も目の前の少女に似て、明るい雰囲気を持つ少女だ。自分とは違う明るく可愛さを持つ少女達にリンはどんどん眉間に皺を寄せていくと……。

 

「……リン? どうかした?」

「なっ、なな……何でもない! コイツがどんな子が好きかとか、アタシには関係ないもん!」

 

 リンの様子が気になったリリンが声をかけるも、リンは慌てて誤魔化す。それはそうだろうと呑気に流すツムギの横で何やらタオはニコニコと愉快そうに笑っているが。

 

「あっ、それでね。聞きたいのは1回戦の集合場所で……。ここで良いのかな? GBBBBの大会って初めて出るから、まだよく分からなくて……」

「お嬢さん、集合場所はここで合ってるぜ。そして、俺達の運命の出会いも──」

 

 気を取り直して少女は声をかけた理由を明かす。バトルトーナメントに出場するのだろうか。そんな疑問を他所に少女に懲りずに速攻で声をかけにいくマシマ。ブレない男である。

 

「うわ出たで、エセ紳士……」

「誰がエセ紳士だっつうの。本物だ、本物!」

 

 そのブレない姿勢に呆れた眼差しを向けるタオ。とはいえマシマからすれば聞き捨てならないのか、すぐに訂正する。

 

「っていうか、アンタ。ユウヒさんとかには声はかけないんだね。こんなに綺麗な人なのに」

「男女の区別位つくっての。俺の魂が女性である事を否定してんだよ」

 

 一見すれば女性かと見間違うようなユウヒ。リンも最初は間違えてしまっていたが、マシマからすればその感性から決して性別の違いを間違える事はないようだ。

 

「エセでも紳士でもエエけど、ネトゲでナンパはマナー違反やで! まぁ、相手にされてへんみたいやけどな」

「おーい、こっちだって! ふたりとも、早くおいでよ!」

 

 紳士ならば誰彼構わず声をかけるような真似はしないだろう。タオは呆れ交じりの注意をするが、当の少女は特に気にした様子もなく、振り返って手を振ると、2人の青年が合流してくる。

 

「3人……ということは、あなた方もバトルトーナメントに?」

「うん、その通りだよ。奏海高校チームとして参加するんだ」

 

 合流してきた短髪の青年と眼鏡の青年、そして目の前の少女。人数的にもやはりバトルトーナメントへの参加者のようだ。シーナの問いかけにチームの名を明かしながら頷く。

 

「改めて自己紹介だね。私はミヤマ・サナ。で、こっちはフドウ・リュウセイ」

「よろしく!」

「アイゼン・トウマだ。サナが世話になったようですまない」

 

 ピンク髪の少女ことミヤマ・サナは自己紹介をしてくれる。そのまま短髪の青年の名前を明かすと、リュウセイは気さくに手を挙げながら挨拶する。そして残った眼鏡の青年も簡潔に自己紹介を済ませつつも礼儀正しくサナについて詫びる。

 

「奏海高校って言うたら、ガンプラバトルの色んな大会に出ては優勝して名を上げてた超有名校やんか……」

「しかも、アイゼン・トウマは学生時代からプロとして名を馳せていたな。コイツは手強いぜ!」

 

 奏海高校という名に覚えがあるのだろう。ガンプラバトルで輝かしい実績を持つ学校のようで唖然とするタオの横でマシマもトウマに覚えがあるようでバトルともなれば決して簡単にはいかないであろうと好戦的な笑みを見せる。

 

「正確には元奏海高校チームなんだけどね。もう卒業して何年も経つし。最初は参加するつもりじゃなかったんだけど、久しぶりに同窓会で会って盛り上がっちゃって」

「バトルトーナメントの告知を見て、サナが出たいと言い出したのがきっかけだったな。今の年齢で学生時代の姿をしたアバターを使うのは気恥ずかしいが……」

 

 目の前のサナ達は見た目こそツムギと変わらない年頃に見えるが、あくまでアバターだけの話なようで実際は既に社会人のようだ。トウマもどこか照れたような様子を見せている。

 

「参加に必要なアイテム……。あれが10回で出たのは、運が良かった」

「……凄い。私達、一回クリアするので時間ギリギリだったのに」

 

 クラン・ブレイカーズと同じように一般参加枠での出場なのだろう。リュウセイの口ぶりでは10回のミッションでアイテムを獲得したようだが、リリンが振り返るようにミッションの難易度からしても周回するには時間がかかるミッションであった。それだけに奏海高校チームの実力の高さがうかがえる。

 

「そりゃあ、実績だけで言うたらマイスターにも引けを取らん面々やからね……。そんでもってこの人らが僕らの一回戦の相手やねんな……」

 

 リリンの言葉に頷くタオは戦慄してしまっている。マイスターにも引けを取らないというのだから決して簡単な相手でもなくクラン・ブレイカーズのバトルトーナメントの一回戦の相手は他ならぬ目の前の奏海高校チームなのだ。

 

「……あれ、奏海高校って」

「俺達の先輩だな」

 

 先程から奏海高校の名前に聞き覚えがあったツムギはふと思い出したようにタツヤ達を見やれば、視線に気づいたタツヤは頷き、他の面々もマトイ3兄妹を見やる。

 

「君達は……。母校から新しいガンダムブレイカーが誕生したと聞いていたが確か君達だったな」

「どうも。先輩達の話は今でも語り草ですよ」

 

 トウマもタツヤとアヤトに覚えがあるのだろう。感心した様子のトウマだが、それよりも憧れの先輩であるリュウセイ達を目の前にタツヤは声を弾ませる。

 

「俺とタツ兄のガンダムブレイカーエストレーモはフドウ先輩の“ガンダムヘリオス”にインスピレーションを受けて、作成しました。奏海高校チームの名前がバトルトーナメントにあったから気になって来てみたんです」

 

 究極の名を持つガンダムブレイカーであるガンダムブレイカーエストレーモも何と目の前のリュウセイが作成したガンダムヘリオスという名のガンプラから影響を受けたようだ。その圧倒的な活躍を知っていただけにツムギは驚いてしまっている。

 

「それは光栄だ。俺達もガンダムブレイカーには縁があるから」

「……もしかして君達って」

 

 ガンプラバトルの歴史で大きな意味を持つガンダムブレイカー。それが母校の後輩であり、その後輩が自分のガンプラに影響を受けて作ったというのならば誇らしい気持ちはあるのだろう。ふと零したリュウセイの言葉にユウヒは何か覚えがあるのか、何かを話そうとした瞬間、バトルの時間を知らせるメッセージが届く。

 

「どちらが勝っても恨みっこなしだ。良いバトルをしよう」

 

 ユウヒが言おうとした言葉も気になるが、時間が来てしまっては仕方ない。爽やかなリュウセイの言葉に頷きながらクラン・ブレイカーズと奏海高校チームはそれぞれ出撃の為の準備を始めるのであった。

 

 ・・・

 

「──奏海高校チーム、か」

 

 一方、アルティメイトフォースゼロのクランルームにはマイスターの姿があった。これから始まるバトルトーナメントのバトルを見ようというのだろう。モニターに表示されるクラン・ブレイカーズと奏海高校チームの名にどこか興味深そうな様子を見せる。

 

「……久しぶりに見たな。しかし何とも不思議な縁だ。どちらが勝つか興味深い」

 

 クラン・ブレイカーズは勿論、マイスター個人としても奏海高校チームのメンバーに覚えがあるのだろう。それが自分が気にかけているツムギのクラン・ブレイカーズと対戦するというのだから運命の巡り会わせを感じてしまう。マイスター、そしてユウヒやタツヤ達が観戦するなか、クラン・ブレイカーズと奏海高校チームのバトルが始まるのであった。

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